[37581] sutekinaおじ さん からの引用
同じ記事の中で筑波大学、谷川教授の新市名を決めるときにしてはいけない5原則を掲げています。
それによると、(1)ひらがな、片仮名は使用しない。 (2)他の地域と識別できない名称は使わない。 (3)東西南北は原則として使わない。 (4)人名は評価が変わってくるので要注意。 (5)濁音を2つ以上使わない。
すでに何度も出されたテーマで遅きに失してますが、私の考えを述べてみます。
谷川氏の原則は総論としては良いのですが、具体的な問題が生じた時にどうすれば良いかを考える必要があります。私は伝統を守るのと同様、変えるのも文化と思っていますので、伝統地名にこだわりは無いのですが、ここでは、伝統地名の定義が確立しており、その地域の総称名が決定していることを前提として進めます。実際にはこれを決めるのが大変な作業なんでしょうが。(谷川氏が伝統地名を重要視しているかどうかは、記事を読んでいないので分かりません。)
(1)については、逆になぜ漢字名称でなければならないのか疑問です。市名ではありませんが、漢字名称の興味深い例を手元の本から拾ってみます。変化については他に説があるかもしれません。
日暮里(新堀)「にいぼり」が「にっぽり」に。豊田市幸海町(酒呑)「しゃちのみ」が「こうかい」に。「飛鳥」と「明日香」。
漢字記載のため、読みや表記が変化した例は相当数あるようです。かな表記であればこのような問題はなくなります。「員弁」を「いなべ」とするのは、読み易い点と、今後、地名の揺れがなくなる点で評価できます。かな表記は漢字より長くなりますが、地名の本質とは直接関係ないと考えます。漢字地名が歴史を表す場合もありますが、誤って伝えられている例もあるようです。私は「日暮里」の意味、発音を間違えたり、「員弁」の意味、発音が分かりませんので、土地の歴史については郷土史誌にお任せします。かな表記にも発音の問題がありますが、将来の音の変化までは考えておりません。
ローマ字表記については、あえてそうする必要は無いと考えます。
(2)については、他の地域と重複した場合の命名という問題が生じます。伝統地名を守るため合体地名を認めるのか、合成にするのか。字体を変えるというのは解決にはなりません。(3)とも関連しますが、現実には記号的な文字の付加や県名、旧国名、地域の象徴などを付加するのが解決策となるでしょう。全く新しい名称をつける場合も起こり得ます。(北広島町が市になった場合の名称に興味が湧いてきました。南北広島市は無いでしょうから、同名となる可能性もあります。)
(4)は私も同じで、地域の皆さんが考えることでありますが、将来、改称する場合も出るかも知れません。
(5)については、日本語の音の美的観点からと思います。私は清濁より促音に注意すべきと考えます。「つ」と「っ」は読取上間違えやすいという理由ですが、これは振り仮名についてですので、深く考える必要はないかもしれません。余談ですが、他言語母語の人にこの「っ」の発音を苦手とする方もいらっしゃいます。
(かな表記で清濁を区別しなかったので、佐世保や金沢などの読みの揺れが起こったという話もありますが。また、残したい音に鼻濁音があります。「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」の発音上の判別をしている地域があると言うことを聞いたことがあります。「ゃ」「ゅ」「ょ」は仕方ないです。)
ということで、地名関係、歴史関係、郷土史関係の皆さんには様々な考え方があると思いますが、結局はその土地の人が考えることになります。私なんか、信用できるあの人が決めたことだからそれで良い、なんてことになりそうです。お上が決めたことだからそれに従う、長いものにまかれるといった感じです。住民投票なんてする必要は無く、自ら選んだリーダーに託すということで、お上というよりお神に近いです。変な名前になっても、それに慣れていくと思います。地名に当てはまるかは分かりませんが、珍しい名のほうが印象に残るという場合もあります。
以上、市名に限っての意見でした。(この意見も時と場合によって変わったりしますが。こんにゃくのような性格なので。)