都道府県市区町村
落書き帳

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[68691] 2009年 2月 25日(水)21:53:51【1】hmt さん
「面積調」から探る市区町村の変容 (3)境界確定やら境界画定やら、まぎらわしいが…
国土地理院の 「面積調」 では、都道府県市区町村の境界に関係する変化を4種類に分けています。

[境界確定]
境界争いの結果、調停や裁定(地方自治法9条)により確定した場合と、争いがないが判明でない境界を知事が決定した場合(同9条の2)とがあります。総務省告示の対象。

2008年の事例として、従来は熊本県阿蘇郡小国町、大分県竹田市及び大分県玖珠郡九重町の3者の境界未定地であった区域の一部 0.04km2が、熊本県阿蘇郡南小国町の区域として確定しました[68527]
これに伴ない、境界未定の小国町面積参考値が 0.04km2減少しました。
それ以外では、沖縄県那覇市・南風原町・八重瀬町の間の境界確定がありましたが、面積は単位未満(0.00)です。
境界関係は2つの市町村がペアになっているのが普通ですが、このケースは3市町の間で2箇所が確定したのでしょう。

[境界画定]
境界確定とまぎらわしい言葉ですが、こちらは上記の知事による決定によらず、関係市町村の合意の結果を地形図に表示することで新たな境界を画定したもので、総務省告示の対象外です。2008年の該当なし。

[境界変更]
自治体全体を変更対象とする【編入】に対して、自治体の一部が変更対象となるものです。
その規模はごく軽微なものから、実質的に廃置分合の一環をなす場合まで さまざまですが、市町村に関するものはすべて総務省告示の対象です。
市区町村変遷情報でも、その取り扱いにつき苦慮された結果、主要なものは集録対象となった経緯があります[63303]

2008年を見る限り、市町村間の境界変更件数は意外に少なく、16件(つまり境界8件)でした。いずれも面積単位未満(0.00)の軽微な変更ですが、都県境を越える町田市・相模原市の領地交換[65716]も含まれているようです。
このほかに政令市の行政区の境界変更もあり、広島市では 0.03km2のものがありました。

[境界修正]
実体との相違点が明らかになった地形図上の行政境界を修正したものでしょう。相違の原因が自然的要因であれ、人為的な誤りであれ、地方自治法7条による正式の手続きを経て告示に至ることを必要としない修正であると思われます。
2008年の発表中では、0.56km2が秋田県横手市から仙北郡美郷町に移った境界修正[68527]が最大で、青森県にもこれに近い規模の修正がありました。他は 0.1 km2未満になりますが、全国で多数の境界修正がありました。

境界関係の次に現れる2項目は、新たな区域が市町村に組み込まれる場合です。

[埋立等]
2008年加入の最大面積は、諫早湾干拓の 8.75km2、次いで岩国基地沖合移転の 1.07km2でした[68527]
大部分は小規模なものですが、全国の[埋立等]総件数は 130件[68680]と「面積調」の中で最大数を占める項目です。
しかし、海上に新空港島ができても、既存自治体の面積が変るだけなので、市区町村変遷情報では無視されています。
もちろん、大潟村 のように新たな村が誕生する場合は、【村制】として集録されています。

[未所属地編入]
現在の所属未定地[67286]は、自然の島嶼と埋立地の各2群があります。南方四島と鹿児島県の鷹島津倉瀬、そして東京港の通称「中防」と名古屋港の「ポートアイランド」。これらが市区町村に編入されるあかつきには未所属地編入に該当するのでしょうが、さしあたり該当なし。
過去の実例を探すと、新居浜市例規 に 昭和34年編入例(0.13km2)がありましたが、その下に多数記されている埋立との違いはよくわかりません。何かの事情で所属未定状態になっていた古い埋立地でしょうか?

[地形図改測]
2008年には、久しぶりに地形図改測の事例がありました。
島根県隠岐郡隠岐の島町 0.02km2(2ha)減少が竹島であることは、[68680]で記しました。
[75136] 2010年 5月 18日(火)18:19:49hmt さん
面積変更
「都道府県市区町村」で使われている面積データは、市区町村プロフィール に記されているように、国土地理院「面積調」による毎年10月1日のデータを基準としています。
最新のデータ更新は、2010年3月に行われました[74273]

全国の自治体を対象とした正式の 面積調 は毎年発表されますが、その間にも自治体の面積変更はあります。
最も顕著な変化は自治体の廃置分合ですが、これについては、オーナー グリグリさんにより、その都度修正が行なわれています。
「都道府県市区町村」の面積データと「面積調」との主な相違点は、廃置分合への迅速な対応、境界未定自治体についての参考値の採用、北方領土の扱いの3点でしょう。

廃置分合以外の面積変化もいろいろあります。過去記事
件数にして最も多いのは埋立等(埋立・干拓)ですが、最近は大規模なものは少なくなっています。
境界関係では、境界確定・境界画定・境界変更・境界修正の4種類があります。小規模なものが多いこのグループの中で、大きな面積変化を伴うものが、沿岸自治体による内水面の分割です。

2007年の琵琶湖分割に続いて、秋田県でのオフ会が行われた 2008年の末に 十和田湖の分割が実現しました。
しかし、平成20年面積調には間に合わなかったので、翌年春の速報値[70477]で、47都道府県の面積がすべて決まるという結果になりました。

平成21年面積調では、霞ヶ浦・北浦[68806]の湖面境界も確定し、青森県十和田市・秋田県小坂町に加えて茨城県の11市町村の新しい面積も発表され、既に市区町村プロフィールに反映されています。

残された大物・浜名湖も、グリグリさんの記事[74280]直後とも言える本年3月16日に分割されました[74368]
この浜名湖分割を含む 合併及び境界確定等による市区町村の面積(平成21年10月2日~平成22年4月1日) が、国土地理院面積調のページに追加発表されています。

廃置分合関係は、原則として既に対応済だし、奄美大島における境界確定などは、従来の基準からすれば、次年度の更新まで待ってもよいような内容です。

浜名湖分割による面積データ変更も、十和田湖の場合と同様に次年度送りでもよいのかもしれませんが、細かいことを言うと、廃置分合のからむ湖西市の面積は、次のような経過をとっており、現在の市町村プロフィールに記されている 68.55km2 という面積の時期は、存在しなかったのでした。
湖西市 55.08→2010.3.16 浜名湖分割により 68.00→2010.3.23 新居町編入により 86.65(単位はすべてkm2)
新居町 13.47→2010.3.16 浜名湖分割により 18.65→2010.3.23 湖西市に編入消滅

更に、県境変更[73826](流路の変更で利根川南岸に取り残された南前小屋地区[54252])による埼玉県・群馬県の面積変更も、この機会に修正しておいたらいかがでしょうか。

ほんの僅かですが、相模原市中央区・南区の面積も違っています。
[79564] 2011年 10月 26日(水)18:21:58hmt さん
県境の変更 (5)廃置分合・境界変更に加えて 境界確定・境界画定・境界修正
「県境にわたる境界変更」については、既に 88さんにより、官報情報検索サービスを使った時系列順のリストが紹介され[79523]、これが 今回のシリーズ の発端になりました。
しかし、既に見てきたように、「境界変更」は県境変更手続の一部です。事例数としては多数あるが その大部分はマイナーな変更です。

村まるごと、又は一部を分村した村の大部分を隣接県に編入する「廃置分合」事例は、戦後に6件ありました[79559]

地方自治法下の廃置分合については、官報情報を利用した告示の確認により、市区町村変遷情報の裏付けが行なわれています[79228]。この作業は必要に応じて行われているものであり、変遷情報データが「官報掲載の廃置分合を漏れなく集めていること」を保証するものではないでしょう。

しかし、「県境にわたる廃置分合」の調査については、変遷情報の調査により、戦後の事例を ほぼ把握できるものと考えています。実は[79541]で記した調査により、戦前(該当なし)だけでなく戦後の結果も出ているのですが、[75937]のA1に記した8件がすべてでした。

特別法による県境変更[79537]は 収録対象となる戦後の事例なし。

その他に、境界未定であった地域につき行われる、境界確定や境界画定の制度があります。
また、実体との相違点が明らかになった地形図上の境界には、境界修正が行なわれます。
境界変更を含めた4種類の変化については [68691]参照。この内、境界変更と境界確定とは、総務省告示の対象になっています。

境界確定等の記された情報として、昭和63年以降の「面積調」が、国土地理院から公開されています。
県境にわたるものに限定すれば、数も限られていますから、これも広義の「県境変更」であると考え、収集する事例に含めておいた方が便利と思われます。

調べてみると、マイナーではあるが、県境マニアにとり興味深い事例がありました。

平成2年面積調 の57コマを見ると、埼玉県三郷市と東京都葛飾区との間に 64.99km2の境界未定地が発生したことがわかります。これは、現在に続いている水元公園の「小合溜」[79063]で、ウオッちず を見ると、確かに都県境線が途切れています。

面積調の摘要欄から、平成2年8月1日地形図「草加」に加えられた境界修正(6)の結果であることがわかります。
近年になってから小合溜の都県境に疑惑が生じ、両側の自治体の申請により地形図から都県境が消されたようです。
境界修正に至った事情の詳細は知りませんが、人跡稀な山岳地帯に限らず、このようにして「県境未定」の地域が発見されることもあるのだということを実感しました。

ついでに記すと、平成6年に同じようにして埼玉県戸田市と東京都北区・板橋区との間の 都県境未定が発生 58コマ(8) しましたが、こちらは短期間で 境界画定 55コマ(2) しました。浮間[79541]の隣接地ですが、戸田市が僅かに荒川南岸に突出しています。

最も最近の県境変更事例は、1年前の 2010年9月30日九州山地でした。熊本県球磨郡水上村と宮崎県東臼杵郡椎葉村との境界確定 3コマ(3)
落書き帳に予告記事[73875]がありました。県境未定だった場所は、国道388号 湯山峠の南側[66867] だそうですが、現在のウオッちずには既に県境が途切れなく描かれています。

この種の県境データ。少なくとも境界確定は総務省の告示がありますから、官報情報で昭和22年までの遡及調査可能なはずです。境界画定や境界修正は、地形図を所管する国土地理院から発表され、これも官報情報の対象になっていると思われますが、未確認です。


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