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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[53999]2006年9月16日
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[54044]2006年9月18日
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[55225]2006年11月18日
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[55501]2006年12月10日
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[55568]2006年12月17日
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[55730]2006年12月30日
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[56275]2007年1月18日
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[56539]2007年1月30日
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[57396]2007年3月24日
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[57435]2007年3月26日
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[59280]2007年6月19日
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[63303]2008年1月11日
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[63569]2008年1月25日
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[53999] 2006年 9月 16日(土)16:51:3488 さん
市町村合併情報 履歴情報 苦悩日記 No.1
いつも市町村合併情報をご贔屓にしていただき、ありがとうございます。

さて、私が過去に順次さかのぼって追加入力している合併履歴情報(合併以外も含む)についてですが、1943年(昭和18年以降)のものはとりあえず入力しました。
戦前になると地方自治法施行以前ですし、各種資料を見比べると整合が取れず、「木に竹を接ぐ」とでも言えるような状況になりつつあります(既に皆様のご指摘もあります)。このため、整理・検討状況についてお示ししますので、ご意見、情報等を頂戴できれば幸いです。

第1回は、「市町村合併」の定義、「廃置分合」の定義、「境界変更」の定義、です。次のとおり分類・表記している(する予定)です。ご意見等をいただければ幸いです。
なお、主たる資料元は、市町村合併ハンドブック市町村合併とは(PDF) (情報提供:[51121] Hiro(&TOKO) さん)です。
その他参考資料は、落書き帳アーカイブズから、編入?新設?市町村合併の種類などについて分立した市町村の実例です。
――――――――――――――――――――――――――――――
● 「市町村合併」の定義
地方自治法第7条第1項に規定される「市町村の廃置分合及び境界変更」の一形態で、市町村の数の減少を伴うもの
地方自治法
第7条  市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。

▼ 「廃置分合」の定義
 市町村の区域の変更が法人格の発生または消滅をきたすもの(記号の説明・・・・・○:法人格の発生、×:法人格の消滅)
(1) 新設(合体)
 二以上の市町村を廃止し、その区域をもって新たな一の市町村を置くこと
   A市(×) + B町(×) → C市(○)
(2) 編入
 ある市町村を廃止し、その区域を他の市町村の区域に加えること
   A市 + B町(×) → A市
(3) 分割
 ある市町村を廃止し、その区域を分けて二以上の市町村を置くこと
   A市(×) →B町(○) + C町(○)
(4) 分立
 ある市町村の区域の一部を分け、その区域をもって新たな市町村を置くこと
   A市 → A市 + B町(○)

注:市町村合併情報では、「(狭義の)市町村合併情報」(都道府県順, 日付順) と 「合併以外の自治体変更情報」(都道府県順, 日付順) がありますが、(3)分割及び(4)分立については、逆の市町村合併と考え、「(狭義の)市町村合併情報」(都道府県順, 日付順)に掲載しています。

▼ 「境界変更」の定義
 市町村の法人格に異動を及ぼすことなく、ただ区域のみが変更されるもの
注:「境界変更」は、現在のところ、市町村合併情報では対応しておりません。将来構想です。
――――――――――――――――――――――――――――――
(次回予告)
合併・改称・市制等における都道府県告示の位置づけ
(これ以外にも整理に悩んでいるものもありますので、また、皆様の御知恵を拝借したいと思います。)
[54044] 2006年 9月 18日(月)15:55:3788 さん
市町村合併情報 履歴情報 苦悩日記 No.2
合併・改称・市制等における都道府県告示の位置づけについて その1
[53926] 紅葉橋律乃介 さん へのレスにもなります。

地方自治法を見ると、廃置分合も、改称も、市制等も、都道府県告示については手続き上特に定められておらず、そもそも、都道府県告示が存在するとも限りません。具体的に効力もなさそうです(周知するだけでしょうか?)。
あくまで、廃置分合の効力が生ずるのは総務大臣告示になります(同法第7条第8項)。
市制や町制も同様に総務大臣告示で効力が生じます(第8条第3項で準用した、第7条第8項)。
ところが、改称に関しては、総務大臣告示をする旨の規定はありますが、「効力が生ずる」旨の規定がありません。ということは、当該自治体の条例によって効力が生じることになります。
(参考:地方自治法 第3条 第7条 第8条

次回その2では、具体例を挙げてさらに検討してみたいと思います。
――――――――――――――――――――――――――――――
以下は整理です。

1 名称変更(都道府県以外の地方公共団体)・・「条例でこれを定める」(第3条第3項)
(1)当該地方公共団体の長はあらかじめ都道府県知事に協議(第3条第4項)
(2)当該地方公共団体は条例で定める(第3条第3項)
(3)当該地方公共団体は条例制定(または改廃)後、直ちに都道府県知事に変更後の名称及び名称を変更する日を報告(第3条第5項)
(4)都道府県知事は報告があった旨を総務大臣に通知(第3条第6項)
(5)総務大臣は、通知を受けた旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第3条第7項)

2 市町村の廃置分合または境界変更・・「総務大臣告示によりその効力を生ずる」(第7条第8項)
(0)市の配置分合は、都道府県知事はあらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得る(第7条第2項)
(1)関係のある普通地方公共団体の議会の議決(第7条第6項)
(2)関係市町村が都道府県知事に申請(第7条第1項)
(3)都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定める(第7条第1項)
(4)都道府県知事が総務大臣に届け出る(第7条第1項)
(5)総務大臣は、届出を受理した旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第7条第7項)
(#)総務大臣告示によりその効力を生ずる(第7条第8項)

3 町村を市とし又は市を町村とする処分・・「総務大臣告示によりその効力を生ずる」(第8条第3項で準用した、第7条第8項)
以下の規定は、第8条第3項で準用した、第7条第1項、第2項及び第6項から第8項までの例による。
(0)市の配置分合は、都道府県知事はあらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得る(第7条第2項)
(1)関係のある普通地方公共団体の議会の議決(第7条第6項)
(2)関係市町村が都道府県知事に申請(第7条第1項)
(3)都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定める(第7条第1項)
(4)都道府県知事が総務大臣に届け出る(第7条第1項)
(5)総務大臣は、届出を受理した旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第7条第7項)
(#)総務大臣告示によりその効力を生ずる(第7条第8項)

4 村を町とし又は町を村とする処分・・「総務大臣告示によりその効力を生ずる」(第8条第3項で準用した、第7条第8項)
以下の規定は、第8条第3項で準用した、第7条第1項及び第6項から第8項までの例による。
(1)関係のある普通地方公共団体の議会の議決(第7条第6項)
(2)関係市町村が都道府県知事に申請(第7条第1項)
(3)都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定める(第7条第1項)
(4)都道府県知事が総務大臣に届け出る(第7条第1項)
(5)総務大臣は、届出を受理した旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第7条第7項)
(#)総務大臣告示によりその効力を生ずる(第7条第8項)
[55225] 2006年 11月 18日(土)07:41:2988 さん
市町村合併情報 履歴情報 苦悩日記 No.3
市町村合併情報(履歴情報)は、お蔭さまで1912(明治45・大正元)年を入力中です。大正分の入力を終わり、次からはいよいよ明治分に突入します。市町村合併情報の更新履歴には残らない手法で入力方法をしていますが、順次増殖中ですので、御贔屓にしていただければ幸いです。

さて、No.1及びNo.2(特に[54044])の続きです。「合併・改称・市制等における都道府県告示の位置づけについて」
まずは、[54044]の復習と、まとめを兼ねて。
市町村の「改称」「廃置分合」「町から市への変更」など、根拠となるものを整理すると次のとおりです。なお、地方自治法は何度も改正を重ねていますが、当該条文は制定当初から変更はない、ということを確認いたしました。
種別効力発生根拠条文備考
(1)改称市町村の条例法第3条第3項市町村から都道府県知事への報告・
都道府県知事から総務大臣への報告・
総務大臣の告示も必要あり
(2)廃置分合総務省告示法第7条第8項市町村の議決・都道府県の議決が必要
(3)境界変更総務省告示法第7条第8項市町村の議決・都道府県の議決が必要
(4)町村→市総務省告示法第8条第3項で準用した法第7条第8項法第8条第1項
「市となるべき要件」を具える必要あり
(5)市→町村総務省告示法第8条第3項で準用した法第7条第8項
(6)村→町総務省告示法第8条第3項で準用した法第7条第8項法第8条第2項により都道府県条例で定める
「町としての要件」を具える必要あり
(7)町→村総務省告示法第8条第3項で準用した法第7条第8項

[54044] 88
ところが、改称に関しては、総務大臣告示をする旨の規定はありますが、「効力が生ずる」旨の規定がありません。ということは、当該自治体の条例によって効力が生じることになります。
[54174] 紅葉橋律乃介 さん
 おや、そうすると告示があっても条例が制定されないと、本当にその名称なのかどうか確認できませんね? 名称変更した自治体は、いちいち条例を確認しないと「確定」とは呼べない?
のとおり、厳密に言うと、「改称」だけが当該市町村の条例で確定し(総務大臣による告示等は「周知」に過ぎない)、その他の「廃置分合」「市制」などは「告示で効力が生じる」ことになるようです。
--------------------------
これを踏まえて、具体的な考察です。
●その1 埼玉県“忍市”をめぐって ~市制施行に係る行政手続の考察~
埼玉県行田市の市制施行時の話ですが、埼玉県告示(行田市HP内)では
(A)忍町を忍市とする告示
昭和24年3月29日
埼玉県告示第129号
地方自治法第8条の規定により、昭和24年5月3日から、北埼玉郡忍町を忍市とする。
(B)忍町を忍市とされた場合における新市の名称変更に関する条例
昭和24年3月3日
公布
忍市を行田市に変更する。
附 則
この条例は、忍町を忍市とされた日からこれを施行する
(C)忍市を行田市とする名称変更を許可した告示
昭和24年3月29日
埼玉県告示第130号
地方自治法第3条により忍市を行田市とする。市の名称変更の条例を許可した。
官報では(官報情報検索サービスより)
(D)総理廳告示 第二十八号
町を市とする処分
地方自治法第八條第三項の規定により、昭和二十四年五月三日から、埼玉縣北埼玉郡忍町を行田市とする旨、埼玉縣知事から届出があつた。
昭和二十四年四月二十三日
内閣総理大臣 吉田  茂
この行田市の例(A)~(D)を、前述のルール(1)~(7)にあてはめると、次のとおりとなります。
行田市ルール備考
(A)なし県の告示はそもそも規定なし
(B)(1)
(C)なし県の告示はそもそも規定なし
(D)(4)(※)
(※)なのですが、
・ 標題からも「町を市とする処分」であり、また、本文中の根拠が地方自治法第8条第3項でもある。(これが(4))
・ 「忍市を行田市とする」は、忍町の条例により確定している。(B)
・ 「町を市とする処分」の総理庁告示にあわせて、「忍市を行田市とする」件の「周知のための総理庁告示」を兼ねたものである
と解釈いたしました。
これにより、「忍町」→「忍市」→「行田市」であることが間違いない、と検証しました。

●その2 茨城県那珂郡美和村(現:常陸大宮市)成立の件
[51369] Hiro(&TOKO) さん (引用者で適宜体裁変更させていただきました)
茨城県那珂郡美和村(現:常陸大宮市)
◎総理府告示第四百七十一号
   村の廃置分合
 地方自治法第七条第一項の規定により、茨城県那珂郡檜沢村及び嶐郷村を廃し、その区域をもつて美和村を置く旨、茨城県知事から届出があつた。
 右の配置分合は、昭和三十一年九月二十九日からその効力を生ずるものとする。
 昭和三十一年九月二十九日
    内閣総理大臣 鳩山 一郎
○茨城県告示第八百五号
 昭和三十一年九月二十九日から那珂郡檜沢村及び同郡嶐郷村を廃しその区域をもつて檜沢嶐郷村を置く。
  昭和三十一年九月二十一日
    茨城県知事  友末洋治
○茨城県告示第八百三十二号
 昭和三十一年九月二十一日付茨城県告示第八百五号中「檜沢嶐郷村」を「美和村」と改める。
  昭和三十一年九月二十六日
    茨城県知事  友末洋治
茨城県告示は、頭書資料から見てもそもそも根拠がなく、廃置分合は(2)のように総務省告示(当時は総理府告示)が効力を発するため、都道府県告示は効力はありません。このためで「檜沢嶺郷村は存在しなかった」ということでよい、と判断しました。
もっとも、茨城県告示でも、「改称」ではなく、「前回分の告示の訂正」とも言える表現をしていることもありますが。

疑義・ご意見等をいただければ幸いです。私も、もひとつ不安な面がありますので。
[55501] 2006年 12月 10日(日)09:08:4388 さん
市町村合併情報 履歴情報 苦悩日記 No.4
私は最近、「幕末以降市町村名変遷系統図総覧 改訂版(1,2)」(2000年9月、西川治監修、太田孝編著、東洋書林)をもとに、藩政村・城下町をExcelで整理しています。一方、明治末期の合併情報(今は1908年頃)を市町村合併情報を入力・編集したり、市制町村制時の自治体名を整理したり・・飽きが来ないように同時並行でいろいろやっています。

さて、藩政村・城下町についてですが、例えば、私が既に手元に整理した数は、ほんの数県ですが以下のとおりです。まだチェックはしていないので少々の数字の異同はあるのでご勘弁を。
県名藩政村・城下町数現在の市町村数
徳島県65324
香川県52117
愛媛県1,14720
高知県1,07435
福岡県2,31768
全国では、明治11年5月の元老院会議における報告によれば、町村数は「約8万」とのこと(「地方自治百年史 第一巻」(平成4年3月30日発行、地方自治百年史編集委員会編集、地方自治法施行四十周年・自治制公布百年記念会発行、財団法人地方財務協会発売)。現在の約1,800の40倍。単純にいえば、現在の市町村は藩政村・城下町40町村が集まって成立している、というところでしょうか。

藩政村・城下町の概説を。
幕藩時代の町村は、一種の法人であり、村自体として財産を保有し、あるいは債務を負担することもありました。今日の地方公共団体のように、住民とは別個の法人格をなすものではなく、村民の総体でありました(「総有」)。村の役員は「村方三役」または「地方三役」と呼ばれ、その役割等は次のとおりです。
関東関西人数役割
名主庄屋1人村長。半官半民で、行政官の手先でも、村の理事者でもある。
組頭年寄(または脇百姓)3~5人名主(庄屋)の補助者、五人組の頭分かつ村民の代表
百姓代2~3人純然たる村民の代表者、名主(庄屋)・組頭(年寄・脇百姓)に対する監督者
これらの名称は地方によって一様ではないようです。
また、城下町では「町」一つ一つが藩政村と同様に自治団体であり、例えば江戸、大阪、福岡といった都市が全体として自治体であったことはありません。

現在、「藩政村」「城下町」について、疑問な点がいくつかあります。
(文献は前述「幕末以降市町村名変遷系統図総覧 改訂版(1,2)」)
(1)「○○郡××村」ではなく、「○○郷××村」や「○○郷上分××村」となっているところがあります。これらは「郡」には属していなかったのでしょうか? また、この時代の「郡」や「郷」の位置づけは、どうなのでしょうか?
(2)城下町は、「郡」(あるいは「郷」)には属するのでしょうか? 例えば、福岡の城下町の一つである「天神町」の、「那珂郡馬出村」に対応する呼称は、何でしょうか。 単に何もつかずに「天神町」?「那珂郡天神町」?「福岡天神町」?「福岡城下天神町」?・・・
(3)福岡県(豊前)の小倉は、上記書では「企救郡小倉町」の表記しかありません。福岡には155の町が並んで表記されているのに・・・(久留米や柳川も町名が並んでいる)。小倉は例外でしょうか? それとも単なる表記誤り?
このあたりになると、「地理」より限りなく「歴史」に近くなってきますが、まだまだ私は不勉強なのでご教示いただければ幸いです。参考図書などもお示しいただければありがたいです。

――――――――――――――――――――――――――――――
[55497] 紅葉橋律乃介 さん
もちろん市町村制以前に、北海道にも町村があったわけですが、明治以前の歴史が“ない”以上は、興味が湧かないのも無理がない…かも。
確かにおっしゃるとおり、他の地域とは北海道の歴史はかなり異なりますから、地元の方からするとやむを得ないところもあるでしょうね。明治以降の制度も北海道はかなり独特のものですしね。
ところで、「市町村合併情報」がどんどん遡っているようですが、全データを1ページに表示するのはそろそろ限界ではないでしょうか。
おっしゃるとおり、私の環境でもかなり苦しくなって来ております。まさしくちょうど今、グリグリさんが改善作業(step.1)を行っていただいている最中ですので、近々、改善版をupできると思います・・といっても、私はグリグリさんにおんぶにだっこなのですが。
[55568] 2006年 12月 17日(日)13:57:2088 さん
市町村合併情報 履歴情報 苦悩日記 No.4-2
藩政村などについて

[55514] ○○さん
(レスしていただいた立場で恐縮なのですが、ニックネーム名が?なので)
藩にもよりますが、江戸時代の郡は基本的に「国」と同様に理念上の行政区画・地理概念にすぎず、
なるほど、よくわかりました。これは、大正10年4月10日法律第63号の「郡制廃止ニ関スル法律」(施行日は大正12年4月1日)以降現在に至る郡の位置づけと同様に理解しておいてよいでしょうね。
郷は古代の郷名や荘園名が、藩政時代になっても習慣上地域名の一種の遺称として使われていたケース・・・・またいくつかの村を束ねた中間的な行政区画を郷と呼んでいた藩もありますし、要するにある地域一円の村すべてが郷に包含されているとされる地方もあれば、一二の村名の上にのみ郷名を冠する地方もあるのは、実態が種々だったからでしょう。
「郷」については、古代とは異なり、江戸期にはさまざまな使用方法があり(使用しないところも)、種々なのですね。ありがとうございました。

[55523] hmt さん
「市町村合併情報」への今回の収録 によって、青山村から串川村へ、そして昭和大合併による津久井町 を経て、平成の大合併で相模原市[48710]という連鎖が完成しました。
内容には関係ありませんが、このように個別の情報へのリンクの貼り方があるのは知りませんでした。これは便利ですね。今後また使わせていただきます。
藩政村
近世の村を指す用語として、慣用されているのでしょうが、全国に通用させる言葉としてはいかがなものでしょうか。青山村のような「天領」の民の子孫としては、いささか引っ掛かるものがあります。
まあ、大名の知行地にしても、正式には「藩」という呼び名ではなかったようですが。江戸期に「藩」はなかった?参照。
確かに天領の存在もご紹介のアーカイブズも、私の頭にも以前はあったのですが、最近は入力の「数」をこなすのを優先し(単なる言い訳)、失念しておりました。
「藩政村」の表現は、こちらこちらでも使用されています。だからといって絶対正しいものでもなく、「天領村」(造語です)があったのも事実でしょうし。江戸期の「町村」にあたる一般名詞で、いい表現があればそれを使いたいのですが。
「幕末以降市町村名変遷系統図総覧 改訂版(1)」(2000年9月、西川治監修、太田孝編著、東洋書林)の「序」では、『江戸時代の幕藩体制下の町村』という表現があり、『藩政村』なる表現は出てきません。また、「町」については、『城下町』『商業町』『港町』『門前町』『鉱山町』等、との表現がありますが、個々の町がどれにあたるかについては記載はありません。実態で分けるか、これもまた何か一般名詞があればそれで整理するか、いい方法があれば、と思います。私の頭の中 & 私の手持ち整理データでは、現在のところでは「城下町」と「藩政村」という2種類の区分に便宜上しております。
東京都東京市?
これも、本来ならば私が矛盾点を事前にグリグリさんに知らせてシステムの改良をお願いした上で、初めて追加入力すべきものなのでしょうが、それを省き、ひたすら「数」を優先した結果このようになったものです(現行の入力システムでは現在の47都道府県から選択するしか方法がないもので)。
揚げ足取りみたいな指摘でごめんなさい。
いえいえ、ありがたいことです。[55501]拙稿も、hmtさんからのレスがあると期待して書き込みましたし(ご指名させていただきたいくらいだったのですが)。

・・・・と、ここまで原稿をほぼ完成していたところで、さらに[55567] hmt さん の書き込みがありましたが、それについてのレスはまた別稿にて。
[55583] 2006年 12月 18日(月)01:07:5688 さん
[市区町村変遷情報」発進記念 市町村合併情報 履歴情報 苦悩日記 No.5
[55567][55569] hmt さん
いつも、ご意見・叱咤・激励等ありがとうございます。
hmtさんのご意見とほぼ並行で、「市区町村変遷情報」のリニューアル発進作業が進んでいてupとなりましたので、折角のご意見をすぐに反映できていない点をまずお詫びいたします。hmtさんの意図されていたように反映できている部分と、そうでない面とがあると思います。
変更情報をまとめる対象として使っている「自治体」という言葉について
確かに、私が描いているのは自治権の有無等にかかわらず、概念的には「市区町村」と考えるのが適確なようです。
大潟村や小笠原村のように、一時的に自治権が制限された「村」であっても、「村」としては名称的にも存在していたのですから、何らかの注釈をつけた上で「村」として取り扱いたい、と考えています。
東京23区については、総務省の資料(pdfファイル)のp.6以降でもあるように、「基礎的な地方公共団体」となったのは、平成10年(1998年)の地方自治法改正(施行は平成12年(2000年)4月1日)以降ですしね。23区の位置づけも正確には地方自治法の改正の都度、変わっています。
地方自治法以前では、「郡区町村編制法」「市制」「町村制」あたりをベースとしながら、例外は多数ありますね。じっくり法律や勅令等を読み込んで(当面は中野文庫あたりを参考にする予定・・・究極は図書館で原典をあたりたいですが)、例外についても備考欄(コメント)で十分に説明したいです。
「市」に関しては「市制中東京市京都市大阪市ニ特例ヲ設クルノ件」「六大都市行政監督ニ関スル法律」の2法律、「区」に関しては「北海道区制」「沖縄県区制」の2勅令、「町」「村」については勅令がたくさん出ていますが、これらも備考欄(コメント)で対応したいです。欲を言うと、「変更種別」欄で区分すべきなのかもしれませんが、複雑すぎてかえって混乱するかな、とも思います。
さらに遡っての「藩政村」等については・・・全国で約8万あるこの藩政村や城下町等を、私は反映させたいと考えていますが、グリグリさんやでるでるさんと調整が済んでいる訳ではありません。なんせ、今と同じデータベースによる入力・表示で対応することが本当に可能で、かつ、分かりやすいのかどうか・・・・これも将来構想です。
それよりも、対象を「市区町村」に限らず、「都道府県」も加えたらいかがでしょうか。
と言っても、江戸時代の「津久井県」[41805]や廃藩置県後の僅かな期間しか存在しなかった「302県」は除外し、3府72県以後に限定。
今までの入力は、そもそもが平成の大合併からスタートしていましたから、都道府県の変更は当然ありませんでした。履歴情報を遡ったことによって、「東京府」が出てきて、やがては県の分立も・・・(私の地元香川県は明治21年(1888年)12月3日に愛媛県から独立した全国最後の県です)。これは、うまく整理すれば数も少ないですから容易でしょう。悩ましいのは、市制町村制以前の明治初期に合併等を行った例もありますから、それとの突合を図ろうとすると複雑になりそうです。ただ、「藩政村」に手をつけるなら、「藩」→3府302県→3府72県も反映させようとするのは欲張りすぎでしょうか?
「市区町村」だけでなく、「郡」に関する変化(例:鳳珠郡)も、既に収録対象になっていることに気がつきました。これも「区域の変化」でしょう。
それにしても、郡役所のあった時代はともかく、現在の「郡」は単に区域を表わす「地理的名称」にすぎませんね。もちろん「自治体」ではないし、「地方行政組織」とも言い難いかな。
「市区町村」というより、「郡市区町村」というほうがより適確かもしれません。もっとも、現在の北海道の「支庁」も対応してますので、これも含んでいますね。

境界変更
この件については、実は今年5月初め頃に、グリグリさん、でるでるさんとメールでやりとりしました。編入・境界変更に係る議論の頃です。この際に、市町村合併情報(当時)にどこまで反映させるかを議論した際に、「(明確に線引をするためにも)境界変更は除く」としたものです。
私が元々基礎資料として使用しているのが「全訂 全国市町村名変遷総覧」(1991年8月、自治省行政局振興課監修、日本加除出版)であり、この文献がそもそも、
――――――――――――――――――――――――――――――
境界変更については、件数が膨大であるため、大字の全区域が移動したものの除き、原則として割愛した
――――――――――――――――――――――――――――――
であり、同書上にはこの「大字の全区域が移動したもの」は「編入」という言葉で記載されております。私は十分に理解しないで、且つ、意識しないでこれらも当初は入力し、上記の書き込みやメールでの議論となったものです。拙稿[53999]
注:「境界変更」は、現在のところ、市町村合併情報では対応しておりません。将来構想です。
については、究極はこれらも入力したいと思っているのですが、そのココロは、「大字の全区域が移動」=「藩政村単位での移動」だ、ということです。市町村変遷情報を藩政村まで遡ろうかという皮算用をしている私にとって、こういう「大きな『境界変更』」は、対応したい、と目論んでいるわけです。拙稿[51138]
町・大字の一部(小字単位であったり、地番にして数筆であったり、という軽微なもの――イメージとしては、一般の地図に表現しにくいレベルのもの――が異動すること
は、定義としては同じ境界変更なので線の引き方が難しいのですが、重要度は低いと思います。

岡山県和気郡旧福浦村が赤穂市に越県で境界変更した件は、(取揚島を除けば)藩政村がまるまる移動した、ということになるので、この構想が進めば対応できると考えています。
また、埼玉県入間郡元狭山村、長野県西筑摩郡神坂村、福井県大野郡石徹白村の例も、この方法により対応するか、あるいは、「備考」欄で対応する手法のほうが簡便で手っ取り早いのかもしれません。

また、埼玉県児玉郡共和村の件については、[55578] Hiro(&TOKO) さん にフォローしていただきました。ありがとうございます。

――――――――――――――――――――――――――――――
[55576] 紅葉橋律乃介 さん 「後志支庁」「北海道上川郡上士別村・朝日村」
[55580] 右左府 さん 「秋田県山本郡二ツ井町」
[55581] 花笠カセ鳥 さん 「兵庫県出石郡出石町」
早速修正いたしました。ありがとうございました。
[55586] 2006年 12月 18日(月)12:52:36【1】88 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.5-2
長野県西筑摩郡神坂村の件
[55584] 白桃 さん
[55585] Hiro(&TOKO) さん が完全に答えていただいております。私も告示を引用しようと思っていたところで・・助かりました。ありがとうございました。
なお、つい先ほど、神坂村の中津川市への編入の詳細データを更新しました。現在では市町村変遷情報のサービス対象外としております、神坂村の一部の境界変更が分かる表記にいたしました。(境界変更そのものの全体への対応は将来構想なのですが、それまでの暫定的な表現もかねて・・・)「協議状況・経過等」の欄でカバーする手法は、平成の大合併の情報提供ででるでる編集長が開発した(?)手法です。説明だけであれば、この手法で対応できそうです。

#以下内緒のはなし。秘かに、こんなのもあるんですが・・・・。

#表題を訂正しました。本家の名称が変更になっていたのを失念しておりました。
[55730] 2006年 12月 30日(土)21:27:5788 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.6
今回は「苦悩」というよりは「編集」日記、でしょうか。私が実際に行っている整理・入力作業の手順をご紹介します。「こうやって情報収集・整理してます」というご紹介も兼ねて。
紹介文献の正式名称は、[55681]拙稿の冒頭にあります。

データ整理編
(1)「総覧」を元に、Excelの表に新自治体名、変更対象自治体名、変更種別、変更年月日等を入力する(「市制町村制」以降)。
(2)「幕末以降総覧」を元に、藩政村・城下町等に限り、Excelの表に自治体名、を入力する(それ以外は(1)で整理)。
(3)官報情報検索サービスで総理府等の告示を抽出し、Wordpad(リッチテキスト形式)で告示ごとに保存する。(ファイル名は告示日+新自治体名とし、都道府県ごとにフォルダ作成)
(4)(3)のデータを元に、Excelの表に告示日、告示番号を入力する。この際、(1)と相違がないか、確認する。
・ 疑義・不明な点があれば、その都度、他の文献(「辞典」「消えた辞典」「便覧」)と照合。
・ Excelの表は、概ね市区町村変遷情報の項目と同じ。異なるのは、告示番号・年月日の項目をつくり、また、同日付けの「市制」「改称」などはそれぞれ1行を取っている(基本は1告示1行)、など。
(Excelの表は容量が大きくなりすぎて不便になったので、今は年代ごとに3分割(あわせて約11MB)。)

データ入力編
(A)市区町村変遷情報に、変更対象自治体名、変更種別、変更年月日を入力する(現在から過去へ、同日付けは南から北へ)。
(B)市区町村変遷情報に、告示番号及び告示年月日を入力する。
(C)市区町村変遷情報の備考(協議状況等)欄に、詳細情報(分割の場合の大字名など)を入力する。

以下は、上記の作業の進捗状況です。
(A)(B)(C)
(1)完了1905以降済一部のみ試行一部のみ試行
(境界変更(大)とも)(境界変更(大)はほんの一部のみ)
(2)徳島県~長崎県済
(3)沖縄県~鳥取県済
(境界変更はすべて未)
(4)沖縄県~広島県済
(境界変更はすべて未)

(1)の完了とは、市制町村制までです。ただし、市制町村制時の「新自治体名」は整理しましたが、「変更対象自治体名」は、つまりは藩政村を組み合わせてたくさん並べる作業となるため、作業の効率化のためあえて(2)を整理してから(1)に転記するつもりです(地元香川県と隣接徳島県はこれらも含めて試行がてら完成済み)。
「境界変更(大)」とは、「総覧」に掲載されている、大字のすべてが移動する境界変更です(便宜上命名)。
(1)で「境界変更(大)とも」とあるのは、[55583] 拙稿でも述べたように、「総覧」がこれらをすべて記述してあることから他の廃置分合や改称と一緒に整理したものです。もっとも、これらは同書では「編入」と記載してあり、また、[51099]拙稿でも述べたように、私はこれを当初は「境界変更」ではなく「編入」と意識していたもので・・・。

その境界変更への市区町村変遷情報での対処ですが、
[55686] Hiro(&TOKO) さん
確かにそうですが、軽微であるなしを判断しながら掲載していくより、そういうことを一切考えずに告示から追えるものすべてを順番に掲載していくほうがはるかに作業効率はよいのではないかと私は考えています。(じゃぁ、お前がやれって?^^;)
という訳で、告示の本文を見て軽微であるなしを判断するのではなく、最初から「境界変更(大)」を記述した「総覧」を元にして追加するなら、今からでもすぐにできます。あとは、グリグリさんに「『境界変更』も公開するようにする」と、プログラムを変更していただくなどの必要はありますが。
・・・・と、これについては「方針」さえ決まれば対応はすぐにできます。

[55685] でるでる さん
落書き帳での皆さんからの沢山のご意見や議論、十番勝負の件(第12回問八)などもあって、やっぱり変遷情報を語る上では「境界変更」情報も外せないないな、との思いを私も持つようになりました。・・・(中略)・・・私も88さんと同様に究極はそこまでやってみたい衝動に駆られてきたし(88さん化?)、今となっては私も、ほぼ覚悟を決めつつあります(笑)。でも、一度”コレ”に手をつけたら、数年計画になってしまいそうな恐怖感が(^^;
作戦成功です(笑)。なお、私が市区町村変遷情報のお手伝いに参入してからまだ1年たっていませんが、とりあえず、一気に明治の後半まで遡れました。私のやる気次第ですが、市制町村制・明治の大合併に達するのは時間の問題だと思われます。
さらに強欲を言えば、例えば拙稿のこちらをもっと見やすくした表をつくりたいんですけどね。Issieさんの例えばこのページをアレンジしたような・・・・。検索機能はもちろん別に用意するとして・・・・。

[55686] Hiro(&TOKO) さん
実は私、官報情報検索サービスから今告示を順番に洗い出す作業をチビチビとやっています。(まだやっとタイトルがそろったばかりで、詳細は昭和23年~24年ぐらいしか集まっていませんが。^^;なかなかそういう時間が取れないもので。)もしカメの歩みでよろしければ、告示から境界変更を洗い出す作業のお手伝いが出来るかもしれません。
これについても、上記のとおり、私も同じことをやっております。もっとも、私の場合、「○○県知事」「廃置分合」のand検索で、県ごとにやっております(「廃置分合」を「名称変更」「(市)とする処分」などに置き換えれば応用可能)。Hiro(&TOKO) さんには[51121]のように、制度・定義や歴史の解説でお知恵をたくさんいただいているのでとても心強いです。(官報情報検索サービスの利用経験も私より豊富なようですので、またお教えいただければありがたいです。

[55276]で Issie さん からご教示があった(古くは[27855]でも)
実は町村の異動について「官報」が使えるのは,1947年5月3日の地方自治法施行以降のことです。それ以前の「市制」(明治44年法律第68号)・「町村制」(明治44年法律第69号)の下では,市の異動については 内務省告示 による周知の対象とされていましたが,町村の異動はその対象とはされず,したがって「官報」には掲載されず,「法令全書」にも収録はされませんでした。
[55345] 紅葉橋律乃介 さん
 ということで、官報で調べきれない情報の調査には、やっぱり道府県の公報が重要になってくる乃かも知れません。地元の方が地道に集めるしかないんでしょうね…。
まさしく、そういうことだと思います。皆さんのお力を借りることがあおるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

#まだ、今年1年の総括にたどり着かない・・・。
[56275] 2007年 1月 18日(木)00:46:30【1】88 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.7
稿を改めたのは、「・・・日記」での投稿は市区町村変遷情報の大きな編集方針をまとめたものにしようななあ、と思ったもので・・・。

[55926] 紅葉橋律乃介 さん
ところで、何度も書いているかも知れませんが、市町村名や郡名は「総覧」の表記をそのまま使われているようですね。個人的には「入口」(成立・改称)と「出口」(合併や分割・改称)では、表記を統一していただきたいと思います。
これも、ごもっともなご意見です。漢字表記については、私の編集が現在のところ「とりあえず数を増やす」に走ってしまっているため、不一致が出ています。私としても方針が確定していないので、新規入力分はあとで修正しやすいように市区町村変遷情報更新履歴に残さないようにしています(邪道)。漢字表記の方針については、漠然と次のように考えています。
(1)原則として、藩政村当時から常用漢字で表記する。
(理由:旧字体から常用漢字(旧当用漢字)へは一括して字を置き換えただけであり、自治体が「表記を変えた」ものではないため)
(2)(1)にかかわらず、旧字体から常用漢字への変更(またはその逆)が「改称」の手続きを経ている場合は、その「意図」を反映させる。
(改称までは旧字体で表記し、改称後は常用漢字で表記する、等)
(3)現在、常用漢字があるにもかかわらず、「あえて」いわゆる旧字体で表記しているものは、その意図があるとみなし、藩政村当時からその「旧字体」で表記する。
(4)現在、常用漢字以外の漢字を使用しているものは、藩政村当時からその字体で表記する。
(漢字の部分(偏・旁など)において常用漢字に置き換えが可能であっても、漢字全体が常用漢字か否かで判断する。)
(5)(1)~(4)にかかわらず、これらの文字がネット上で使用することができない場合(同じ字体の漢字がない場合(文字化けする恐れがある場合を含む))には、便宜上、類似した字体で表記し、備考欄のコメントで補足する。
まだ私案かつ試案に過ぎませんので、本サイトにも漢字(日本語)に造詣が深い方も大勢いらっしゃるようですのでご意見をいただければ幸いです。
[56539] 2007年 1月 30日(火)10:05:1988 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.8 境界変更について、さらには市区町村変遷情報の対象について
[56459] [56468] hmt さん
[56460] [56482] Hiro(&TOKO) さん
[56480] 紅葉橋律乃介 さん
[56483] グリグリ さん
[56488] [56489] でるでる さん

皆様、ご意見をいただきありがとうございます。
さて、市区町村変遷情報がどこまでを対象にするか(境界変更などをどう対応するか)ですが、案は4つくらいあるかと思います。
(1)廃置分合まで市町村の増減を主とし、あわせて改称、郡・区設置等を記載
(2)境界変更(大)まで実質的に「藩政村」の変遷を記載
(3)境界変更(小)まで地方自治法第7条にいう「境界変更」すべてに対応
(4)所属未定地の編入・埋立まで自治体の範囲が変わるものはすべて網羅
現在は(1)です。
(2)は、私がよく(!)述べているように、境界変更のうち(大)は実質的に藩政村(=大字(例外あり))の廃置分合なので、ここまで採用するもの(面積も大きめ)。
(3)は、地方自治法に言う「境界変更」の定義では「境界変更(大)」「境界変更(小)」の別はないので、これらはすべて採用するもの。
(4)は、今までの皆様の提案にはありません(所属未定地については[56482] Hiro(&TOKO) さんが一部言及されていますが)。「所属未定地の編入」を補足すると・・・、公有水面埋立地(すでに存在してしまっているもの?)及び廃川敷等で所属未定地であったものを、地方自治法第7条の規定に基づき決定し、自治省告示されたものです(昭和36年(1961年)を最後に例がないようです)。またこれと似たような「埋立」ですが、これは「今から埋立するもの」「その手続きが終わって今から所属を決めるもの」についての手続きでしょうか(これについては[49706] 88 で公有水面埋立法及び地方自治法による手続きについてご紹介済)。(3)があるのならこのほぼ同等(あるいはそれ以上)の面積が変わる(4)もあってもいいのかな、と思ったので挙げました。
現在のところ、(1)に限り掲載している(備考欄での補記はあくまで補足)のが実態です。元々が平成の大合併を網羅しようとスタートした(旧)市町村合併情報で、それを年月を遡り、昭和の大合併等を含めた「変遷」と発展させてきました。

[56488] [56489] でるでる さん がうまく論点を4つに絞ってくださっていますので、これに沿って書いてみます。
●第1「境界変更の項目自体の必要性」
これは、本市区町村変遷情報を見る人がどこまで興味を持ち、また、活用するか、というところでしょう。また、興味を持つ人が少ないとしても、一大「情報データベース」としての役割を担う(さらに興味を増幅させる)、という考えもあるでしょう。
●第2「掲載(採用)基準の内容と有無」
情報を掲載(採用)する以上、何らかの基準は必要であろうかと思います。「○○を掲載するのならば他地域の同条件の△△も掲載する」ということは必要だと思います。また、その基準は明確・簡潔であることが望ましいでしょう。
●第3「情報の収集方法&編集作業」
情報源としては次の3つに大きく分けられるでしょう。
(A)市販の文献
 (「総覧」「辞典」「消えた辞典」「幕末以降総覧」「便覧」が私88が所有している文献です。他にも市販のものはあるでしょうが。)
(B)ネット上で見られる資料
 (各都道府県や市区町村の公式HPや、官報情報検索サービスも会員制ですがこれに入れてよいでしょう。)
(C)図書館にある官報等
 (内務省等の告示や都道府県告示を調べるのに最適。(A)(B)のウラを取るのにも有用です。)
いずれにせよ、各種文献で異なる記述もありますから、できる限り複数の資料を確認し、「真実」を見極める判断が必要かと思います。
私に限らず、他の人が編集者であっても(A)(B)(C)の順で情報の収集はしやすく((A)(B)の順は内容によるでしょうが)、同じ順で編集作業はしやすいと思います。
●第4「情報量の増加に伴う見やすさ&検索しやすさなどの利便性」
[56482] Hiro(&TOKO) さん によると、1947年(昭和22年)以降の官報情報検索サービスで資料収集された件数は
廃置分合 約4,040件
市町村制施行 約1,200件
名称変更 約170件
郡の区域変更 約200件
境界変更 約5,560件
所属未定地の編入 約1,190件
と紹介いただいています。仮に市区町村変遷情報の対象範囲を前述の(3)まで(あるいはさらに(4)まで)拡張すると、現在の方針の(1)までの合併情報が半分以下の割合になり、「『合併』情報の埋没」の懸念が生じます。
ちなみに、境界変更(大)の件数は、私が「総覧」から転記して整理したものによると官報情報検索サービス対象期間である1947年(昭和22年)以降で約350件です(参考までに1889年(明治22年)の市制町村制以降現在まででは約480件)。境界変更全体に占める境界変更(大)(大字単位での移動に伴う境界変更)の割合はわずかであることがわかります。
この「『合併』情報の埋没」を回避するには、グリグリさんで対応可能なのならばですが、例えば通常は(1)または(2)までのメニューで表示するように設定し、(3)(4)のスペシャルバージョンを希望する人にはそこから別メニューへ誘導する、ということができれば対応可能かと思います。この場合でも、データベース構築上は同じもので取扱い、抽出できるようにしておけば汎用性は高いかと。究極はデータベース検索の市区町村変遷情報版でしょうけどね。

私は正直なところ、今までは(2)くらいまでを念頭においていたのですが、今は(3)または(4)まで、という欲(強欲?)に駆られつつあります・・・・・。これはHiro(&TOKO) さん化?でしょうか・・・(笑)。
[57396] 2007年 3月 24日(土)07:15:1488 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.9 今後の計画(私案)について
[57378] さんとも さん
すでに[57389] むっくん さん が代わりにご回答していただいていますが(むっくんさん、ありがとうございます)、さらに補足して。
市区町村変遷情報の入力に関しては、グリグリさんが便利なツールを用意してくださっています。あと50件ほどの入力で、ついに市制町村制・明治の大合併の第一弾に達します。
私自身は、データの整理・入力は[55730]拙稿で述べた手法でやっていますが、[55730]当時の整理作業がそれぞれさらに進んでいます。現在、1,000件ほどは、すぐにでも追加入力できる状態です。全国の市制町村制・明治の大合併はこのようにひたすら入力します(約13,000件)。

さて、その他についての今後の構想です。でるでる編集長、オーナーグリグリさんとの調整はできていないことをお断りして、私の勝手な案としてご紹介します。

★(1)検索機能について
「新設」「編入」「市制」「改称」など、変更種別ごとに検索できるようにする。また、特定の日付を指定し、その時点での市町村の一覧を表示できるようにする。
→これについては、[55842][56774]グリグリさんのコメントにもあるように検討はしていますが(私も案は出していますが)、プログラム開発はグリグリさんに「おんぶにだっこ」です。
★(2)表形式について
藩政村から現在に至る自治体の変遷を表形式で一目でわかりやすいものを提供する。
→これも[55730]拙稿で少し触れているのですが、[51038][51040]拙稿や、Issieさんの例えばこのページをアレンジしたようなもので作れればいいな、と思います。
#グリグリさんへ業務連絡。 以前送付した「試行品」、期間限定でもいいですから見本でupすることは可能でしょうか?
[57378]さんともさんや、[57389]むっくんさん が期待されている住所の遍歴がわかるものですが、ホントは私も作りたいのですが、むっくんさんのおっしゃるように、調査・整理がとても困難です。藩政村=現在の町・大字のところはわかりやすくていいのですが、区画整理(宅地・農地)や地番整理、住居表示に伴って藩政村の境界線をガラッと作り変える例は多々あります(特に都市部)。構想の表では、せめて藩政村と現在の町・大字を併記して(つまり途中は割愛し、また多少の異同は省略して)、「概ねの対比表」くらいにはしたいなあ、と思っています。
地名好きさんの行政区画変遷一覧表でも、トップページで
郵便番号の割振られていない大字・町名等を含め現行地名を公開した後、自治体誕生時から現在までの大字・町名の変遷を全公開します。
とありますので、やはり考えることは皆さん同じ、ということでしょうか・・・・。
★(3)各制度の解説のページについて
市制町村制、大都市の特例など、制度変遷などの解説ページを作る。
→明治以降現在に至るまで、地方の市町村制度などは何度も変更されています。過去の書き込み(たとえば指定都市([56824]hmtさん作成アーカイブ)でも紹介されていますが、制度の変遷を整理し、解説し、用語の説明の辞典の機能も合わせたページを提供できれば、と思っています。

前述しましたように、これらはまったくの私案ですので、ご了解のほどを。私もデータを入力するだけでは終わりたくないなあ、と強欲になっています・・・・。
[57435] 2007年 3月 26日(月)21:12:1188 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.10 「市区町村変遷一覧表(仮称)」について
[57400] オーナー グリグリ さん
早速「試行品」のupありがとうございます。
東かがわ市を選んだのは、白桃さんに敬意を表したわけがないではないではないではないのですが、
・ 現行の大字=藩政村であること
・ 市制町村制以前(明治の初期)に合併(丹生村の設置)があること
・ [51038]拙稿で紹介済であること
・ ほぼ大内郡=東かがわ市であること
・ 小規模で作成の手間が手ごろであること
など、試行品としてのいい条件がそろっていたからです。
最初はさぬき市[51040]とあわせての表のつもりだったので、さぬき市の変遷をも反映した日付構成のままになってしまっています(東かがわ市だけならばもっと横幅が狭くて済みます)。

都道府県単位で一つの表を作る、とも最初は思っていたのですが、
・ 都道府県単位では1,000~2,000行(藩政村の数)になり、「一つの表」としては見にくい
・ 変遷年月日が多くなり過ぎ、(おそらく)画面の幅が足りない
などが想定されるため、「現在の市町村単位」で一つの表にするのが適切か、と今は思っています(都道府県単位で1ページに表記)。
今回の「市区町村変遷一覧表(仮称)」は、「一目での変遷の見やすさ重視」と思っています。「特定の日付時点での市町村を一覧表示する」等の機能は、将来構想でもある「市区町村変遷情報データベース検索」に役割を担っていただこうかな、と思います。
(しかし、こんな表はプログラムで(ある程度でも)自動作成できるでしょうか?>グリグリさん まあ、時間をかけてよければ私が少しずつ手作りしてもよいのですが。)
なお、小生は初めてHTMLの資料を少し読んでタグを「直打ち」で作成したものです(グリグリさん一部補正済み)。入力の省力化のためにExcelを少し使用しましたが、HP作成ソフトは使用しておりません。

[57414][57415] むっくん さん
私の試案(私案)にお付き合いいただき、ありがとうございます。一例としてとても参考になりました。
大津市は面積も広く、合併の回数も多いのですが、これを一つの表にしようとするとかなり大きくなりますね。かといってこれは分割するわけにもいかないので、表を作るならやはり大津市で一つの表でしょうね。全国でもこれくらいの合併をした市区町村はそこそこありそうです。
それにしても、現行の町名・大字と、藩政村を見比べた場合、藩政村の名前がよく現在も残っているといえる例でしょうか? 多いか少ないか、というと、感覚的な要素が入るので判断が難しいのですが、私の感覚としては、中心部を除くと現実としてよく残っている、と感じました(個人的にはもっと残っていて欲しいですが)。「○○△丁目」をつくるときも、極力藩政村の地名を残そうとしていることも感じられます。あとは、市制町村制時の名称を冠して現在に至る例も多いですね。もっとも、大津市に限らず全国的によく見られる傾向だとは思いますが。

まだでるでるさん・グリグリさんと未調整の試行品ですので、皆様のご意見をいただければ幸いです。
[59280] 2007年 6月 19日(火)22:54:2988 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.11 城下町・藩政村について
市区町村変遷情報関連ですが、城下町・藩政村に関しての、okiさん関連ばかりです。

まずは別件から。
[58590] oki さん
調べた結果はご報告したいと思うのですが、落書き帳に直接書き込むのは量が多すぎます。エクセルやCSVのファイルをやり取りできる方法はないもんですかね。
市区町村変遷情報の最下部にもありますが、「upd%uub.jp」(%は@に置き換えてください)あてにメールをいただけると、グリグリさん、でるでる編集長、そして私88の3人あてにメールが届きます。なお、この場合、okiさんのメールアドレスが我々に知らされますので、もしこの方法をとられる場合は、この点をご承知の上でよろしくお願いいたします。
これ以外の手法は・・・都道府県市区町村の「ファイル交換システム」を作れば可能ですが・・・これは将来計画としておきましょうね(>グリグリさん)。

[58209] oki さん
◆福岡・天神町について
個々の藩は日本の中の自治国家であり、城下町はその首都であると考えることができます。城下町は、領主直轄の特別な地域であり、「年貢を納める藩政村の上に君臨する」もので、郡や村と同一のレベルにあるものではない、というのが私の考えです。・・・(中略)・・・「天神町」は、それが属する城下町福岡が一体となって「那珂郡馬出村」などの村の「上」に君臨する存在で、馬出村と同一レベルで扱うことはできない、ということになります。
あえて住所として表記すれば、「筑前福岡天神町」となるでしょうから、福岡は郡と、天神町は村と同一レベルと言えるかもしれません。しかしこれは、福岡が黒田藩の首都であり、領下の村々から年貢を収奪する領主支配の拠点であるという事実を前提として、あえて言えばそう解釈することもできる、ということです。
「城下町福岡が一体となって」という考え方は理解できます。しかし、城下町には、支配者側の武家の町と、商人町が同居しています。支配者側でないという意味では、商人町は藩政村に近い存在ともいえるのではないでしょうか。
市区町村変遷情報で、江戸期を表そうとした場合には、okiさんご指摘の支配体制の件を意識しつつ、天神町は那珂郡には属さない「福岡天神町」として表し、「那珂郡馬出村」同列として表記しようかと思います。もっとも、この表記をするのは江戸期には適切かもしれませんが、明治初期には合わないかもしれません(後述)。

[58922] oki さん
◆小倉町について
ご紹介の「例規類纂(近代デジタルライブラリー所収)」、拝見しました。各資料をまとめると、
「例規編纂」・・・1875(M8)年の地租改正以降は「企救郡小倉町」
1881(M14)「郡区町村一覧」では・・・「企救郡室町等25町」
1887(M20)「地方行政区画便覧」・・・「企救郡小倉室町等25町」
ですね。「幕末以降市町村名変遷系統図総覧」では、他の町村の例によると明治初期の合併も本来記載があるべきところですが何の記載もないので江戸期から「(企救郡?)小倉町」のような表現に見えます。
一体どちらが正しいのか、ひょっとして両方とも正しいのかもしれないが、それは当時の地方制度が非常に混乱していて、明治政府の担当部局である地理局でも実態を把握しきれていないということではないのか、色々考えるのですが、正直言って私には判断がつきません。
市制・町村制以降地方自治法施行までは、内務省告示(市)・都道府県告示(町村)が「正式な(根拠となる)文書」と判断していいと思うのですが、それ以前となると何が公式なものなのでしょうか? ・・・個々のものを継ぎ合わせるしかないのでしょうか? 確かに、わからなくなります。また、M元年から市制・町村制までの間を制度の変遷にあわせて検証すべきところなのでしょうか? 実はそれもあって、私の一連の投稿「明治初期 地方自治制度の変遷について」で私自身も勉強したところです。この明治初期が複雑であり、かつ情報が不確実過ぎて手に負えないのであれば、市区町村変遷情報の対象は藩政村・城下町まで遡るのではなく、市制・町村制直前(あるいは可能な限りに絞った明治初期)を起点とした方が賢明なのかもしれません(少し弱気ですね)。私としてもこれは不本意なので、なんとかある程度の目星をつけて、江戸期に到達したいのが本音です。

明治初期の城下町等の表現は、[58209]oki さん の例ご紹介を元に例を記すと、広島と徳島の例では、次のような感じでしょうか?
広島徳島(城下町)徳島(藩政村)備考
江戸期安芸国広島水主町阿波国徳島寺島町阿波国名東郡田宮村
版籍奉還(*)
廃藩置県広島県安芸郡広島水主町名東県名東郡徳島寺島町名東県名東郡田宮村
郡区町村編制法広島県広島区水主町高知県名東郡徳島寺島町高知県名東郡田宮村
市制・町村制広島県広島市水主町徳島県徳島市寺島町徳島県名東郡加茂村(大字田宮)
(*)支配者としての城下町の位置づけは廃止
#徳島県の変遷を結果として追ったことになったのは、たまたまとはいえ一興です。

さきほどの福岡天神町・那珂郡馬出村や、小倉室町も同様に整理できるのかもしれません(が、「事実」は如何に・・・)。
[63303] 2008年 1月 11日(金)21:45:5388 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.12 市区町村変遷情報リニューアルについて
お気づきの方も既に大勢いらっしゃるとは思いますが、2008年1月6日(日)、市区町村変遷情報は少しリニューアルしました。グリグリさんに年末年始で何かとご多忙の中、また、十番勝負開催期間中にもかかわらず、プログラムの変更などを実施していただいたものです。グリグリさん、ありがとうございました。

今回の変更点は、変更種別の追加(一部廃止)に伴うものですが、主なものは次のとおりです。
1未定合併方式(新設または編入)が未定の合併予定情報に対応
2境界変更市町村の法人格の異動がない区域変更に対応
3勅令市戦前の東京市、京都市及び大阪市に関する指定(後に東京市は都制により指定外)
4政令市戦前の名古屋市、横浜市及び神戸市に関する指定

境界変更については、過去から大勢の方に議論していただきましたので、境界変更をめぐる議論(市区町村変遷情報での対応を中心として)をご覧ください。
「勅令市」「政令市」については、hmtさん及びIssieさんによる「勅令市(勅令指定都市)、省令市(省令指定都市)について」をご覧ください。

今回の「境界変更」の追加に伴い、編入と境界変更に告示が分かれていた、実質的に分割する事例についても対応が可能となりました。例として、福井県大野郡石徹白村が岐阜県郡上郡白鳥町への編入(従来から表示)の1日前に、福井県大野郡郡和泉村に境界変更された(今回から表示)例などをご覧ください。
また、私88は明治期の市制町村制・明治の大合併の追加編集作業を暫時中断し、境界変更の情報充実に現在努めており、境界変更箇所の大字名等を詳細欄で表記しております(まだ概ね1957年7月以降だけですが)。もっとも、境界変更の情報そのものの入力を要する(あわせて内容確認も必要とする)ものも多数ありますので、まだ全部は揃っていませんのでご了承ください。

今後とも市区町村変遷情報をご贔屓にしていただければ幸いです。
[63569] 2008年 1月 25日(金)22:49:15【1】88 さん
第十八回 十番勝負 問七 余話1 & 市区町村変遷情報 苦悩日記 No.13 境界変更について
1 1954/4/1付けの武雄市の新設/市制について
[63494] グリグリさん
十番勝負開始直前だったために88さんに修正依頼するわけにもいかず、自分でこっそり修正したのでした(修正したのは元日だったかなぁ)。88さん、事後になりますがご了承とご確認をお願いいたします。
武雄市の合併の件は、グリグリさんご指摘のとおりです。修正ありがとうございました。
私自身は遅ればせながら第二ヒントで共通項がわかり、残り3市となった想定解を探して調査していました。市区町村変遷情報ではなく、その編集作業用を兼ねて自分で作成したExcelのデータでです。私は専ら、まずExcelデータを作り、それをコピー・ペーストすることにより市区町村変遷情報の編集作業を実施しています(作業手順の概要は[55730]拙稿参照)。
さすがにほとんどの市は既出。そこへ問題の武雄市(「旭村」を含む)を発見しましたが、すでに[63308]で中島悟さんが誤答。不思議に思い、念のため市区町村変遷情報で調べてみると「朝日村」。手持ちの他の文献も、官報情報検索サービス官報情報検索サービスの総理府告示を見ても「朝日村」。
いろんな方から書き込みやメールでご指摘を受けて(自分で気づくこともある)修正作業を行うとき、市区町村変遷情報の入力の修正とあわせて手持ちのExcelデータも修正するのですが、修正のときにExcelデータの修正漏れかなあ、でも武雄市の修正作業ってしたことあったかなあ、と脳の片隅に疑念が残りながらも、解答できる市を探すことに気をとられ、武雄市の件はその後頭から消えておりました(中島悟さんが、誤入力の武雄市を見て(記憶にあって)解答したのならば、申し訳ない、とも思っておりましたが)。
そのあたりの不思議さは、[63494] グリグリさんを読んで、瓦解したわけです。
言い訳になりますが、誤りは続々と発見され、つい最近もご指摘をいただいて大量に修正したばかりです。「庄」「荘」、「且」「旦」、「黒」「里」、「鴫」「鴨」の誤りなど・・・。編集担当者としては、市区町村変遷情報を、十番勝負に限らずいろいろと活用していただくのは、議論の発展、興味の広がりなど、喜ばしい限りです。ただし、(残念ながら)まだまだ誤りがあるであろうことに思いを寄せると、気恥ずかしい限りです。十番勝負に関しては、この誤りにより「不成立」なんてことがないように感じるともに、より正確で充実したものにしたい、と改めて思う次第です。

2 市制町村制以前に存在した旭町(村)について
[63494] グリグリさん
まず、どの時点での「旭」市町村とするかについては、明治22年(香川県は23年)の市制・町村制施行(88さんの記事[58627]参照)以降に存在した市町村としました。したがって、例えば、徳島県勝浦郡の福原村、生実村、旭村の三村が町村制施行により明治22年10月1日に福原村として誕生していますが、施行前の旭村は対象外としています。
市制町村制以前は曖昧(調査困難)が多いので、賢明な定義だと思います。・・・と言いながら、それで満足するのはもったいないので(笑)、徳島県勝浦郡旭村と同様、市制町村制以前に存在していた旭町(村)を探してみました。詳細は別稿としますが、その結果、全国で44あった旭町(村)の誕生時期等は次のとおりとなりました。
時期誕生数消滅数
江戸末期10
明治(市制町村制前)90
明治(市制町村制時)237
明治(市制町村制後)77
大正02
昭和(戦前)02
昭和(戦後)420
平成05
4443
まず、天保郷帳にある旭町(村)は、1件だけです(参考:「地名研究必携」(2003年5月) 谷川健一:監修 滝澤主税:編著 日本地名研究所 )。越後国中蒲原郡旭村で、別名が朝日村とあります。「幕末以降・・・」では「朝日村」です。この中蒲原郡朝日村は、津島村→金津村新津市を経て現在の新潟市となっています。これは表記に諸説ある例のようですので、今回は省きました。
なお、「幕末以降・・・」によると、1889.5.1に東京市神田区となった中に旭町が、1889.4.1に福岡県山門郡柳河町となった中に旭町がありましたが、いずれも城下町ですのでこれも参考記録としておきます。
「地名研究必携」の記載例としては、参考としてもう1件、伊勢国度会郡旭村があります。天保郷帳の時点では粟野村ですが、その後に粟田村が勢田村,旭村,藤里村,前山村に分かれて明治を迎えたようです。1889.4.1の市制町村制施行時には、この旭村を含む数村が合併して三重県度会郡宮本村となり、旭村は消滅しました(現在の伊勢市の一部)。
全国44の「旭」は、武射郡旭村の3年を最短として、短期間で消滅している例が多いです。しかも、合併で誕生し、次回の合併で消滅した「旭」がほとんどです。
「旭」の漢字の成り立ちは、会意兼形成で、「九」は「曲折したあげくに伸び出る意を含む」、「旭」は「九+日」で「隠れていた太陽が、ようやく輝き始めること」とあります(参考:「新版 漢字源」(1999年4月1日改訂新版第6刷、学習研究社))。まさしく「旭」=「朝日」です。典型的な瑞祥地名といってよいでしょう。ですから、全国どこにでもある(つけられる)、ということでもあるのでしょう。こうして44あった「旭」の自治体のうち、現在残っている唯一の自治体が「旭市」です。

3 旭市(町,村)の(小規模な)境界変更について
旧旭市(町,村)の境界変更は、大字単位のものでは、[63495]グリグリさんでご紹介のあった千葉県印旛郡旭村大字馬渡を佐倉市に境界変更する例のほか、S30(1955).7.23付けで茨城県鹿島郡旭村大字神山のすべてを(大字成田の一部とともに)東茨城郡大洗町に境界変更した例があります。大洗町は今でも大洗町のままですから、想定解が増えることにはなりませんが、[63495]グリグリさんの表に△で追加、ということで。
都道府県市町村変更日変更種別変更対象自治体
茨城県東茨城郡大洗町1955.7.23境界変更鹿島郡 旭村の一部
また、旧印旛郡旭村大字馬渡は、佐倉市を経てS38(1963).9.1付けでその一部は印旛郡四街道町に再び境界変更して戻っています。「佐倉市大字馬渡字谷三一二のうち及び三一三並びにこれらの土地から鹿島川の水路の中心線にいたる区域」です。それ以上の再境界変更はないようです。つまり、一時的には大字馬渡のすべてが佐倉市に境界変更されたものの、現在では(旧)大字馬渡の一部は四街道市であり、すべてが佐倉市にあるわけではないようです。
今回、これらも含めて官報情報検索サービスにより、1947(S22).5.3以降に告示された境界変更について確認しました。詳細は別稿とします。

4 そもそも「境界変更」について
[55583]拙稿で、境界変更についていろいろ述べました。この中で、私が基礎資料としている「全訂 全国市町村名変遷総覧」(1991年8月、自治省行政局振興課監修、日本加除出版)において、
境界変更については、件数が膨大であるため、大字の全区域が移動したものの除き、原則として割愛した
と掲載の取捨選択について記載がある、とご紹介しました。今回、市区町村変遷情報での「境界変更」の変更種別において、
市町村の法人格に異動を及ぼすことなく単に区域のみを変更することであるが、細かい事例を含めると膨大な数になるため、概ね大字単位のものおよび実質的に「分割」に相当するものだけを独自の判断で選択し掲載している
としました。
今回のリニューアルに伴い、境界変更全体を確認中である、と[63303]拙稿でふれました。まずは官報情報検索サービスで境界変更の告示を確認することから始めていますが(小規模なものも含めてすべて)、先ほどの「全訂 全国市町村名変遷総覧」に掲載されている境界変更でも、実際には大字のすべてが移動したものではないものも散見されます(大字の大部分にはなるようですが、確認できません)。そもそも、この文献も、他の文献同様明らかなミスもあります。[56460] Hiro_as_Filler[Hiro(&TOKO)] さん の
データベースへの収録作業を行う際には、作業としては告示を順に追っていくことになろうかと思います。収録基準ということを考えると、その際には、告示を見ながらこれは○○だから収録しよう、これは××だから収録は見送ろうという判断を個々に行うことになります。そうやって1件1件掲載について収録の是非を判断をしている手間を考えると、何も考えず見つけたものをすべて収録していく方が、作業として楽なのではないか
というご意見を実感しております。
現在、表示されている「境界変更」は、前述の変更種別の定義に沿ったものでありたいとは思いますが、悩ましいものも多そうです。変更種別の説明書きでも「『概ね』大字単位のもの」と、逃げを打っていただいておりますので、少しは気は楽なのですが、十番勝負の共通項で「大字レベル」と定義されてしまうと、メンバー中では資料を比較的豊富に所有していると自負している私も検証が非常に困難です。今回のグリグリさんによる[63494] [63495]の検証は膨大な労力がかかったであろうと推察しますが、究極は境界変更は「告示をあたるしかない」ということになりそうです。
という訳でグリグリさんに提案なのですが、十番勝負においては、「境界変更」に関連する共通項は避けた方が良いのでは、と私が言うのも変なのですがいかがでしょうか? 紛れが多すぎます。第十二回十番勝負問八で、「複数の郡(4つ以上)からできた市」の共通項のときにも、境界変更の検証が困難であることもありましたので・・・(記事集)。

5 おまけ
[63495]グリグリさん
千葉県印旛郡旭村は1955.3.10に千代田町と新設合併し四街道町となった際に、旭村の一部(大字馬渡)が佐倉市に境界変更されています。[63303]で88さんに案内していただいた「境界変更」などの市区町村変遷情報リニューアルの件は、実はこの佐倉市の境界変更を市区町村変遷情報に加えたい欲求から更新作業を行ったものです。88さんに悟られないように作業を進めるのに苦労しました。(笑
グリグリさんの術中どおり、まったく悟っていません。編集担当者としては、問七にブービーで滑り込めて、最低限の面目は保てたか、というところです。


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