はじめに、
[57405]で「用語の誤用」をしたことに気がついたので訂正を。
国土地理院の
地図記号の説明 の中の「河川、湖沼および海」によると、「水部」には、「陸地」内に存在する「陸水部」と「海部」があり、「陸部」と「水部」の境界が「水涯線」とされます。
結局、地形図の対象となる地球の表面は、「陸地」と「海」からなり、
「陸地」には、文字通りの「陸」と「陸水」との2つの部分(「陸部」と「陸水部」)があり、
「陸水部」は、「河川」(常時水流あり)と「湖沼」(河川の流入または流出あり)が主なものであるが、その他の陸水(「かれ川」と「地下の水路」が例示されている)もある。
そして、海岸線・河岸線・湖岸線などを総称して「水涯線」という。
ということだと思います。
上記の用語からすると、海岸線がとぎれている河口部をつないで想定した「(広義の)海岸線」の内側を、
[57405]で「陸部」と書いたのは正しくなく、「陸地」と表記すべきだったようです。
それはさておき、気になるのが、河川でも湖沼でもない陸水。
例えば、常時水流のない運河、流入・流出河川のない貯水池・水たまりなどが考えられます。
東京臨海部の豊洲運河、東雲運河、辰巳運河、月島を分断する川島川、新月島川など
[57385]、埋立地の間の水路は、常時水流のない運河であろうと思われます。大井ふ頭の手前にある京浜運河、羽田空港の手前の海老取川も同様。ちなみに、これらはすべて、アルプス社方式で住所が入力されている「陸地」扱いです。
名前が「運河」だったり「川」だったりしますが、呼び名は慣習の影響を受けるもので、本質的な区別ではないでしょう。
海老取川は、明治14年の地形図を見ると、多摩川が河口で分岐しながらデルタを形成する派川の一つとして認められる「天然もの」由来ですが、現状は、とても河川とはいえない状態でしょう。
河川でない「貯水池」(ため池)の代表例は、村山貯水池(多摩湖)や山口貯水池(狭山湖)。当然のことながら水の出入り口はあるのですが、幻の滑走路
[22152]の下や横田トンネル
[56950]を通っている水道管は「河川」に非ず。
同じく水道用でも、川を直接にダムで堰き止めた小河内貯水池(奥多摩湖)は、流入・流出河川があるので、「人工の湖」。
もっとも、このような区別が、どんなところに影響するのかはよく知りません。
「流入・流出河川のない水たまり」の中で、新聞報道のタネになったのが「摩周湖」です。
朝日新聞2001年12月26日
摩周湖、登記消え「大きな水たまり」
要旨:弟子屈町内の旧御料地処理につき、関係者が協議した結果、所管する省庁がない摩周湖は、土地登記を抹消し、「大きな水たまり」として無登記のまま国が管理することになった。
流出河川がない摩周湖は、河川の水源としての国土交通省の名義による登記ができない。湖の中の小島(カムイシュ島)は、樹木があるので農水省名義で土地登記するが、約20km2の水面は、法律的には「大きな水たまり」。
もっと小規模ですが、茨城県の
通称「ふじみ湖」 も、テレビで話題になったことのある「水たまり」です。採石場跡に湧き出て溜まった水の透明度が大だったとか。既に消滅しているのではないでしょうか。