都道府県市区町村
落書き帳

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[67248] 2008年 11月 10日(月)21:42:10【1】hmt さん
国土面積統計の変遷 (9) 面積データの現状
統計局HP(第1章2 統計対象) にあるように、昭和34年以前に用いられた「昭和10年全国市町村別面積調」[67057]の国土面積は、陸地測量部が5万分1地形図に基づいて測定したデータで、陸海の境界を満干両潮界の2分の1とし、湖沼面積も含めたものでした。

昭和35年(1960)以降は、国土地理院が毎年10月1日現在で 「全国都道府県市区町村別面積調」を公表 することとなりました。

1987年までの面積は戦前に引き続き5万分1地形図ベースの面積でしたが、2万5千分1地形図が全国整備完了し(1983)、昭和63年(1988)からは、面積データも2万5千分1地形図ベースに改められました。

国土面積公表値の推移 を見ると、昭和63年の国土面積は37万7719.76km2と、前年に比べて115.48km2減少しています。
ベースとなる地形図が変り、陸海の境界が満潮界に改められたことは、面積の測定値を根本から変えるものであり、面積データは1988年にリセットされたものと理解されます。

これより後は、昭和63年10月1日時点の市区町村別面積値を基礎とし、1年ごとの変更を加減した面積が公表されています。
(1)市区町村界の異動による関係市区町村の増減面積
(2)「新たに生じた土地」の確認が済み,都道府県公報に告示された市区町村別の埋立地又は干拓地の面積
(3) 関係市区町村長の確認により2万5千分の1地形図に表示する境界に修正が行われた場合,これに基づき,国土地理院で再測定して得た関係市区町村の増減面積

面積調トップページ の下の方には、要約すると次のような基準が記されています。
2万5千分1地形図の海岸線(満潮時)。河川及び湖沼は陸域に含める。河口周辺は、海岸線の自然な形状に従って両岸先端を直線で結ぶ。
行政界の一部が地形図上に表示されていない場合:「境界未定」と記載し合計面積を掲載。「全国市町村要覧」の面積に*を付し、参考値として記載。

毎年10月1日現在のデータは、翌年2月1日頃に公表され、冊子も販売されます。国土地理院HPでは 4月1日現在の速報値 も発表されています。

もちろん、統計局の 日本統計年鑑 にも国土面積は集録されます。
「1 - 1 国土構成島数,面積及び周囲」を開いてみると、[66996](明治15年)[66993](大正元年)[67072](昭和24年)と同様のスタイルの「国土構成島数、面積及び周囲」が現れます。現在掲載されている面積は平成18年10月1日となっています。
島数と面積データを示しておきます(周囲データは省略)。

地域構成島数面積割合本島面積
全国6852377,923100.00362,190
北海道50983,456220.877,984
本州3194   a)231,105   a)61.15227,963
四国626   a)18,790   a)4.9718,299
九州216042,17811.1636,738
沖縄3632,2750.601,207
a)地域の境界にまたがる境界未定の面積(118km2)を除く。

注記a)の本州・四国にまたがる境界未定とは何処か?と地図で見ると、石島/井島 の西海岸付近に僅かな境界未定部分があるために、岡山県玉野市と香川県香川郡直島町の全域(合計面積118km2)が宙に浮くことになっているのでした。

本州と四国の島の数が[66993]のように端数がついていない理由は、両地域にまたがる島が偶数(石島/井島、大槌島、瓢箪島、鳶小島の4島)であるためです。統計年鑑が用いた海上保安庁の資料で2県にまたがる島とされたのは7島であり、上記4島に甲島、二子島(2島)を加えれば[15404]で紹介された数字と合います。取揚島は見落とされています。

ついでに、全国の島の数 6852 に言及した 過去記事 を紹介しておきます。
[68680] 2009年 2月 23日(月)21:49:44【2】hmt さん
「面積調」から探る市区町村の変容 (1)諫早湾干拓・埋立・竹島の地形図改測による国土面積変更
[68527] k-ace さん
国土地理院によると、2008年10月1日現在の国土の面積が、埋立などにより1年間で13.58平方km増加し、377943.57平方kmとなりました。増加分の6割以上が長崎県諫早市の諫早湾干拓事業によるものとのこと(8.75平方km)。

2002年~2006年には、国土面積増加ランキングの上位を、常滑市など 海上空港(中部国際空港、北九州空港、神戸空港、関空2期)造成用埋立地のある市町村が占めていました。[57480]参照。
2008年(2007年は1 km2以上の埋立なし)の首位は、少し様相が変って干拓地が新たに入った諫早市でした。
児島湾や八郎潟の干拓 とは時代が変り、海の環境保全の視点から大きな批判を浴びる結果になった諫早の干拓事業ですが、これにより到達した2桁(km2)の国土面積増加は、2003年以来5年ぶりのことでした。

振り返れば、大規模な臨海地帯の造成が行なわれた時代があり、1966-1980年の15年間には、年平均39km2もの埋立がありました。

“最小面積の都道府県は大阪府”というかつての「常識」が、いつの間にか覆されていた原因は、埋立による面積増加でしたが、長期統計都道府県別面積xls は、大阪府と香川県との面積逆転が 昭和から平成に移り変わる頃のことだと教えています。

大阪湾の埋立 が多いのは事実ですが、1985年から1990年にかけての僅か5年間で、関西国際空港の3倍にもなる 16km2も大阪府面積が増加しているのは驚き。
これに対して、同じ5年間に香川県の面積は 7km2も減少。

ここで、この5年間は面積統計にとり、特別な時期であったことに気がつきました。
[67248] hmt
昭和63年(1988)からは、面積データも2万5千分1地形図ベースに改められました。
ベースとなる地形図が変り、陸海の境界が満潮界に改められたことは、面積の測定値を根本から変えるものであり、面積データは 1988年にリセットされたものと理解されます。

単純に比較してはいけなかったのですね。

香川県の面積減少には、岡山県との境界未定地のある井島(石島)の面積が関係しているという説があります。
東書KIDS の香川県を見ると、1988年の見直し作業で境界未定地が判明し、香川郡直島町の面積14.2km2を削除したことが記されています。

でも、長期統計の数値には、“一部境界未定のため,総務省統計局において推定した。”という注釈が入っており、直島町の面積を推定値で入れてあるはずです。減少した7km2の原因は別にあるはずです。
陸海の境界が満潮界に改められた
ということなので、入浜式塩田(の跡地)などが「海」になり、面積から除外されたことが考えられます。

2008年の埋立等(干拓を含む)に戻ると、全国の件数は 合計 130件もありました。
面積は合計で 13.60km2ですから、諫早湾干拓を除いた埋立1件あたりの面積は 0.04 km2と小規模なものです。

ところで、最初に出た “13.58平方km” は、上記の埋立等面積の合計 13.60km2より 0.02 km2少なくなっています。
その原因になっているのが、次の記述です。

島根県隠岐の島町の地形図改測による0.02平方km減少もありました。

隠岐の島町と聞いてピーンと来るのは竹島。
2007年までは、国有財産台帳上の 0.23km2を使っていました。[67240]参照。
地形図改測の結果、竹島の面積は 0.21km2になったのですね。

2万5千分1地形図「西村」の 図歴 を見ると、“更新 H19/12/01”と記されています。
竹島を 空中写真によって修正測量することで 国土管理の実績を作り、わが国の領土という 国際的アピールを図ったものでしょうか?
[79063] 2011年 8月 12日(金)23:53:04【2】hmt さん
県境未定地域 江戸川分流点付近
香川県井島・岡山県石島の山火事に関連して、両県の境界未定区域との関連も 言及されています[79041]
この機会に、「都県にまたがる境界未定地域」について復習し、東京に近い事例の研究もしてみます。

[21603] てへへ さんは、国土地理院の「都県にまたがる境界未定地域」を紹介しています。当時は 20ヶ所ありました。
現在の国土地理院の面積調は、旧基準から現在の基準に改められた【注】 昭和63年分 まで遡ることができ、その 4~6コマには、1988年10月における 28ヶ所、合計面積13,361.54km2 の県境未定地域が列挙されています。

最新のリストは 2010年10月現在 で、県境未定地域の「数」は、14ヶ所と半減していますが、「合計面積」は12,833.85km2と、22年前に比べて あまり変りません。

【注】1988年にリセットされた面積データについては、[67248]で触れていますが、その詳細は「面積調査の方法」に記されており、例えば 面積調H21 の3~4コマで見ることができます。
同じ資料の5コマには、境界未定地域の市区町村面積につき、総務省自治行政局発行「全国市町村要覧」(平成21年版)に記載されている面積を参考値として*印を付し掲載したことも記されています。境界未定地域の市区町村面積の拠り所として使われている「参考値」の記載は、面積調H16以降です。

国土の面積 を補足する注記から 本題の「県境未定地域」に戻ると、例えば朝日山地は、以前は南北2ヶ所に数えられていましたが、村上市の新設合併により関係自治体が広域化したために、2008年からは両者が融合しました。自治体面積広域化のため、境界未定地域面積は拡大しました。
十和田湖は、陸上と水面の2ヶ所に数えられていましたが、2008年の青森・秋田県境確定で未定地域が消滅しました。
[66867]で 15ヶ所が列挙された後の 最も新しい変化は、2010年の熊本県・宮崎県境界確定です。これにより、椎葉五家荘の県境未定地728.31km2が消滅しました。

境界未定地域の面積は、必ずしも未定境界線の規模に対応するものではありません。境界線のほんの一部だけが未定であっても、広い面積の市区町村と関係していれば、境界未定地域の面積は大きくなります。
朝日山地が 3523km2という面積最大規模の県境未定地域になっているのは、鶴岡市、村上市など大きな面積の自治体に関係するためです。同様に、飛騨山脈も富山市などの面積が効いています。
結局のところ、境界線自体の確定や市町村合併が、ある程度は進行しているにもかかわらず、全国の境界未定地域の合計面積は、ずっと1万km2を超えたままであり[67267]、全国面積の 3.4%にも及びます。

公式資料には、県境未定地域の名称は記されていませんが、便宜上、それぞれの地域を代表する地名を付して、現存する 14ヶ所の「都県にまたがる境界未定地域」関係都府県名を列挙しておきます。

蔵王(宮城・山形)、朝日山地(山形・新潟)、小合溜(埼玉・東京)、江戸川(千葉・東京)、白馬(新潟・長野)、飛騨山脈(富山・長野)、富士山東(山梨・静岡)、富士山西(山梨・静岡)、伊吹山地(岐阜・滋賀)、木曽川(愛知・三重)、石島(岡山・香川)、英彦山(福岡・大分)、久住山(熊本・大分)、えびの(宮崎・鹿児島)

東京に最も近い県境未定地は、埼玉県境・水元公園の「小合溜」と、千葉県境の江戸川です。
今回は、江戸川改修で生まれた、東京・千葉県境未定地につき記します。

ウオッちず をご覧ください。
江戸川と旧江戸川とが分流する地点で、県境線が切れています。

そのいきさつを探ると、1915~1918年に行なわれた江戸川改修工事に行き着きます。
洪水時の余水を放出するために、現在の行徳橋付近で南西に向きを変えて流れていた江戸川を、そのまま南東に流す「江戸川放水路」が建設されました。この時に新旧河道の分岐点は少し上流側に設けられ、江戸川流路の一部は西に動きました。
地図で岬状に突き出ている三角地帯は、江戸川右岸から左岸になったわけです。

河川改修に伴い流路の反対側に取り残された土地が発生するのは珍しいことではなく、普通は、旧住所のまま 事実上の飛び地になって 残ります。時折、県境変更などにより是正されるの都度、落書き帳の話題になるのはご承知の通りです。

1918年江戸川放水路ができた頃の経緯は知らないので、当事者が千葉県なのか行徳町なのかも不明ですが、この頃に「江戸川流路の変更に伴い、東京との境界も西に動いた」という解釈が行なわれたのでしょう。

現在この地には、国土交通省江戸川河川事務所・江戸川河口出張所や 野球のグランドがあるそうです。探訪記
探訪者は、地図で市川市に「河原番外地」という表示を見つけて訪れたのですが、出張所の所長曰く“ここは東京都江戸川区東篠崎ですよ”。

たぶん、住民がいないので、問題が明らかになる機会が遅れ、長い間、東京も千葉も自分の領地だと思い続けていたのでしょう。

河川名について。江戸川放水路の 現在の名称は「江戸川」です(河川法改正1960?)。
しかし、江戸川放水路 という呼び名も、江戸川河川事務所自身により使われているのですね。
問題の境界未定区域を生んだ 短絡部分と、それより下流の河道は、「旧江戸川」が公式名。

【追記】
面積調によると、境界未定地域は、千葉県市川市、浦安市及び東京都江戸川区となっています。
上記の江戸川分流点は、市川市と江戸川区の境界ですから、浦安市が入っている理由がわかりません。
地図を見ると、旧江戸川の河口部分、舞浜大橋から先にも境界線がありませんが、TDLと葛西海浜公園との間には、問題になりそうな陸地は存在しません。
面積調では、この境界未定地域に、更に船橋市が加えられた年(H14)もあります。謎。
【追記2】
[79067]グリグリさんの記事にあった名取川河口部にも、問題になりそうな陸地は存在しませんでした。
しかし、面積調(宮城県)を見ると、仙台市若林区と名取市とは「境界未定」でした。
旧江戸川河口部、舞浜大橋から先の境界線のない僅かな部分には、陸地がなくても、やはり浦安市を「境界未定」とする原因になっているようです。あいまいな県境


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