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[68366] 2009年 1月 17日(土)22:37:10伊豆之国 さん
市内に一つだけの駅~「第二十一回十番勝負・問七」徹底検証
[68247][68325]で約束した通り、今回の十番勝負・問七「市内に一つだけの駅」についての考察を行いたいと思います。

問七の共通項「鉄道(ケーブルカー・ロープウェイ等を除く)の駅が1社1駅だけ」に該当する市は、現在全部で36市あるわけですが、「市内に駅が1駅だけ」になった経緯には、「元々1駅だけだった」ものと、「他の線が廃線になったために1駅だけ残った」ものに分けられそうです。他の線の廃線の結果、1駅だけになった市の例には、私が選んだ見附市([68325])や問題の市の藤枝(静岡鉄道駿遠線・昭和45年廃止)を初め、倉吉(旧国鉄倉吉線・昭和60年廃止)、笠岡(井笠鉄道・昭和46年廃止)、土岐(東濃鉄道駄知線・昭和49年廃止‥[68330]k-aceさん)などがあり、最近では小美玉市が2年前の鹿島鉄道の廃線によって市内の駅は常磐線の羽鳥駅だけになり、市制施行後1年にして「1駅だけの市」の仲間入りしています。
尾花沢(山形交通尾花沢線・昭和45年廃止)と大田原(東野鉄道・昭和43年廃止、[67727]いっちゃんさん)は、かつて市の中心部を通り市名と同名の駅もあった、市外の駅を起点とするローカル私鉄が廃線になって、現在は市域の外れにあって市の玄関にもなっていない駅が市内唯一の駅になっているもので、これらの私鉄があった頃には、私鉄の同名駅が時刻表の代表駅になっていたと思われます。
嘉麻(旧国鉄上山田線・昭和63年廃止)、能美(北陸鉄道能美線・昭和55年廃止)は、市の成立前には現在の市域にかつて複数の鉄道駅が存在していましたが、現在は「1駅だけの市」になっている例です。
逆に、以前は市内の駅が一つだけだったのが、「平成の大合併」によって複数になったものには、磐田、深谷、杵築などがあります。杵築市は昭和41年に大分交通国東線が廃線になって以来、日豊線の杵築駅が市内唯一の駅になっていましたが、4年前の合併によって2駅が新たに市内に入り、再び駅が複数になっています。
新線や新駅の開業によって市内の駅が複数になったものもあります。ひたち野うしく駅がなかった頃の牛久市や、愛野駅ができる前の袋井市(昭和42年に駿遠線の西側が廃線になって以来)などは、その当時は市内の駅が一つだけでした。志木([68314]MasAkaさん)、四條畷([68317]makiさん)、ふじみ野は、市名と同名の駅がその市内になくて隣の市にあり、別の駅がその市内唯一の駅になっているものです。
ところで、「市内に駅が一つしかない」市の中で人口が最多なのは、ダントツで平塚市でしょう。[68313]ぺとぺとさんの書き込みにあるように
人口26万にして駅が一つしかない
というのはまさに意外性たっぷりですが、現市域には過去にも馬車鉄道を含めても他の私鉄などが通っていた記録はないようで、昭和7年の市制施行以来、今日まで東海道線の平塚駅が「孤高」を守り続けているというわけです。

さて、次は十番勝負中にいろいろと話題になった「微妙な市」についての検証です。まず伊勢原市。大山ケーブルを除くと、市内にある駅は小田急の伊勢原駅だけ。愛甲石田駅は一部が伊勢原市にかかっていますが、駅の住所は駅長室(駅舎)の場所によって決まるそうで、駅舎がある厚木市の所在ということになります。ケーブルカー・ロープウェイを除外するというのは、過去にも第14回・問九(いわゆる「伊豆の国市問題」)、第17回・問七などがありましたが、私はこの問を考えたとき、最初は「ケーブル」の存在をすっかり失念しており、想定解が終了した後になってやっと気付いています([68216]なると金時さん、
山の中腹にあるあそこが「アレ」だという意識はあまりないです
[68217]ぺとぺとさん、
「お山の方」の系統のものは「今回は対象外でないか?」
[68219]EMMさん)。
次に、「最後に残った微妙な市」([68199]いっちゃんさん)という清瀬市。西武池袋線秋津駅が文字通り大変微妙で、駅の構内は清瀬・東村山両市と埼玉県所沢市の2都県3市にまたがっているという珍しい駅です([68306]桜トンネルさん)が、市販されている「駅名一覧」などによると東村山市所在となっているので、「駅舎の所在地が東村山市」なので「東村山市の駅」ということになるのでしょう。
運び屋Aさんが[68221]で挙げている「T市」とは、日本人さん&とんかち☆さんのお膝元・鶴ヶ島市ではないでしょうか。この市には、市の境界線をまたぐ駅が、鶴ヶ島若葉と、東武東上線に2駅連続しています。駅の住所は、鶴ヶ島が鶴ヶ島市、若葉が坂戸市になっています。鶴ヶ島駅は、地図を拡大してみると川越市に属する分のほうが大きいようですが、駅舎が鶴ヶ島市側にあるのでしょう。時刻表の代表駅も鶴ヶ島駅ですが、ほんのごくわずかの差で「不適当な市代表駅」にならなくて済んでいるわけです。もう一つ、東武越生線の西大家駅も微妙な位置ですが、こちらはどうやら完全に坂戸市内のようです。結局、全域が鶴ヶ島市内にある駅は越生線一本松駅だけであり、もし鶴ヶ島駅の駅舎の位置が川越市側にあったら、鶴ヶ島駅の1割強しか乗降客のなく「駅前も閑散としている(Wikipedia)」一本松駅が市内唯一の駅にして市の代表駅、ということになってしまいます。
あと一つ微妙なのは、かすみがうら市。常磐線神立駅[68333]運び屋Aさん)ですが、構内の一部がかかっているものの、ホームも全部が土浦市で、結局この市は「鉄道が通るが駅がない」ということになっています。
モノレールも除外すると、東大和市も市内に1駅([68335]星野彼方さん)で、しかもこちらも「微妙な市」に入ります。市内にある「普通鉄道」の駅は西武拝島線の東大和市駅だけで、同じく拝島線の隣駅・玉川上水駅は立川市(多摩モノレールの駅は東大和市)側にあり、多摩湖線の武蔵大和駅は、東大和市の前身・大和村(町)に由来すると思われますが、住所はわずかの差で東村山市になります。ずばり市名を名乗る東大和市駅も、駅のすぐ南が小平市で、3駅とも「微妙な駅」になっています。
[68384] 2009年 1月 18日(日)20:46:00【1】伊豆之国 さん
新しい駅~「第二十一回十番勝負・問三」について
まず初めに、[68372]オーナー グリグリさん
前回[68366]で書き込んだ「問七」についての一文、解説記事へ登録いただいたということで、どうもありがとうございました。
ところで、今回の十番勝負では、問七のほかにもう一つ、「駅」にかかわる問題が問三で出ています。そこで、今度は問三の共通項「新+市名」の駅について、いくつか気付いたところを書き込んでみたいと思います。
現在、市名の頭に「新」付く駅は、元の市名とは直接無関係なものを除くと、全部で57駅になります。これらを「元の市名駅との関係」から見ると、次のように分類できると思われます。
(1)「○○」(市名)駅、「新○○」駅が共に市内にあるもの。下記を除いた47市になります。
(2)「○○」駅がその市内にないもの。羽島(名鉄竹鼻線の「羽島市役所前」がかつて「羽島」を名乗っていた)、鉾田(鹿島鉄道が廃線)、習志野(隣の船橋市習志野地区にある‥[28805]Issieさん)、小金井(武蔵小金井駅)の4市が該当します。
(3)「○○市」駅になっているもの。西脇、豊田、狭山、瀬戸の4市です。
(4)「新○○」がその市内になくて隣接町村にあるもの。白河、古河の2市で、今回NGになったものです。古河は県境も越えています([65690]大龍エクスプレスさん、[65696]北戸さん)。「新山口」駅が「小郡」から改称されてから小郡町が山口市に合併されるまでの間の山口市も、この形でした。
したがって、今回の想定解は、このうち(4)を除いた計55市ということになるわけです。[68319]
曖昧なところがありそう
と書いたのは、上記分類のうち、特に(2)と(4)の扱いがどうなっているのか、境目が不確実だと思ったことによるものでした。
なお、平成17年1月28日までは名古屋・一宮・岐阜(翌日から「新○○」→「名鉄○○」に改称)、同年2月10日までは旧・八日市市も「該当する市」でした。

次に、「新○○」駅と、元になった「○○」駅との位置関係についてです。この両者の関係は、下記のように分類できそうです。
(a)「新○○」駅が「○○」駅と隣接またはすぐ目の前にあるもの。豊橋、浜松、魚津などです。
(b)少し離れているが、徒歩数分の範囲にあるもの。静岡、逗子、豊田(豊田市駅から)などです。
(c)両駅間は離れているが、鉄道により直接結ばれているもの。大阪、前橋、山口などです。神戸から新神戸に行くには、三宮で地下鉄に乗換えが必要になります。
(d)バスかタクシーを使うか、大回りしないと行けないもの。川崎、富士、小平などです。川崎から新川崎に行くには、南武線に乗って鹿島田駅で降りれば徒歩数分で行けますが、JRの運賃計算上では全く別の駅として扱われているようです。岩国は、錦川鉄道を使うと御庄駅から徒歩数分で新岩国駅に行けます。鹿沼-新鹿沼間は、徒歩では少しきついかもしれません。

ところで、[68372]に出ている「直接無関係の駅」ですが、
新田原 福岡県行橋市 JR日豊本線
この「新田原(しんでんばる)」駅のほど近くには、自衛隊築城基地がありますが、同じ「新田原」で「にゅうたばる」という自衛隊基地が宮崎県にあり、紛らわしいです。「新」を「ニュー」とは英語みたいですが、これはおそらく「にひ(にい)」がなまったものと思いますが、どうでしょうか。(こういう「言葉」の変化の方面は、Issieさんが詳しいと思いますが。)
もう一つ自衛隊が絡むものですが、
新守山 愛知県名古屋市守山区 JR中央本線
この駅名の「元」になった駅は、名鉄瀬戸線の旧・守山市駅(現・守山自衛隊前駅)です。「先代」守山市が名古屋市に合併されて、現在の駅名に変わっています。

最後に、[68379]日本人さん
レスを2件もいただき、誠に恐縮です。
ところで、先日の日経新聞の記事にあったのですが、磯部駅の名物に「磯部せんべい」があったそうですが、駅の売店は3年前になくなっているそうです。「磯部せんべい」は今でも作って(売って)いるのでしょうか?

【1】「新の付く駅の位置関係」において、(b)の桐生を豊田に訂正(新桐生と西桐生を取り違えていたため)。新川崎駅の位置関係について追記([68392]MasAkaさんのご指摘を受けて)。
[69946] 2009年 5月 5日(火)14:01:23【3】伊豆之国 さん
満開の桜の下、列車はもうやって来ない~第二十二回十番勝負「問二」徹底検証(その1)
[69914]で約束した通り、第二十二回十番勝負・問二「鉄道のない市」についての考察を行いたいと思います。

今回の「問二」の共通項は、「鉄道の駅はもちろん、線路も通過していない」という市ということで、現在、全国に55市(※)あることになっているわけですが、前回の問七「市内に駅が一つだけ」と同様に、「初めから全く鉄道に縁がなかった」(1)市と、「過去にあった鉄道が廃止された」(2)市とに分類できます。

(1)に属する市を挙げると下記の通りですが、その多くは「島」にある市であり、「本土」にある市はむしろ少数派のようです。(市の配列は便宜上問題および解答順とします)

武蔵村山、阿波、室戸、土佐清水、坂東、佐渡、対馬、土佐、西海、壱岐、天草、西之表、稲敷、うるま、上天草、江田島、淡路、宮古島、奄美、南城、五島、名護、石垣(計23市)

残りの32市(※)が、「かつて鉄道があったが、廃止された」という市(2)で、これはさらに「市制施行後に鉄道がなくなった」もの(A)と、「現市域にある旧町村に鉄道があったが、市の成立前に廃止されて現市域には鉄道がない」(B)という2つのケースに分けられそうです。これについて、下記の表にまとめてみました。

市名タイプ廃止された鉄道廃止年
石狩軽石軌道(馬車鉄道)S15(S12より運休)
富里成田鉄道八街線S15
嬉野肥前電鉄S6
伊佐旧国鉄山野線(旧大口市当時)S63
南島原島原鉄道(部分廃止→[64417]H20
垂水旧国鉄大隅線S62
浦添沖縄県営鉄道S20(戦災により壊滅)
南アルプス山梨交通(→[66626]S37
珠洲のと鉄道能登線H17
八女旧国鉄矢部線S60
山鹿山鹿温泉鉄道S40(S35より運休)
紋別旧国鉄名寄線H1
歌志内旧国鉄歌志内線S63
輪島のと鉄道七尾線(部分廃止)H13
山県名鉄高富線S35
三笠旧国鉄幌内線S62
国東大分交通国東線S41
西都旧国鉄妻線S59
糸満沖縄県営鉄道S20
南さつま鹿児島交通南薩線(旧加世田市当時)S59
洲本淡路交通S41
南あわじ同上S41
菊池熊本電鉄(部分廃止)S61
行方鹿島鉄道H19
豊後高田大分交通宇佐参宮線S40
御前崎静岡鉄道駿遠線(部分廃止)S39
鹿屋旧国鉄大隅線S62
宍粟波賀森林鉄道S42
豊見城糸満馬車軌道S10
宜野湾沖縄県営鉄道S20
沖縄沖縄軌道(馬車鉄道)S19
大川(※)旧国鉄佐賀線S62

(※)想定解にはもう一つ、大川市が当てはまると思います。

廃止路線については、Wikipediaの記事を参考に集めてきたのですが、もしかしたら落ちがあるかもしれませんので遠慮なくご指摘ください。‥それにしても「戦前にその市域に鉄道が走っていた」という市が予想以上に多かったこと。

♯文章が長くなってきたので、この続きは次回書き込むことにします。
今回のタイトルは、昭和62年に廃止になった筑波鉄道についての鉄道雑誌のタイトルからです。つくば市に形を変えて再び鉄道がやってきたのは、それから18年余り後のことでした。
[69949] 2009年 5月 5日(火)16:23:29【2】伊豆之国 さん
満開の桜の下、列車はもうやって来ない~第二十二回十番勝負「問二」徹底検証(その2)
前回[69946]に引き続き、「鉄道のない市」についての考証を進めたいと思います。

ところで、今回の「問二」で「NG」とされた神栖市と牧之原市は、「鉄道が通るが駅がない」という市で、他にこれに該当するのはかすみがうら・綾瀬・宮若の各市です([69934]運び屋Aさん)。このうち、神栖(鹿島臨海鉄道の貨物線が昭和53-58年の間旅客列車を運行、神栖駅・鹿島港南駅で客扱いしていた。なお、「大洗鹿島線」の開業は昭和60年)・牧之原(静岡鉄道駿遠線(HP)大井川以南が昭和43年に廃止)・宮若(旧国鉄宮田線・平成元年廃止)は、いずれも市の成立前に、鉄道の旅客駅がありました。

長い間鉄道が通らず、近年になって初めて鉄道の恩恵に浴することになった市には、八潮(「TX」・平成17年)、鳩ヶ谷(埼玉高速鉄道・平成13年)、宿毛(土佐くろしお鉄道中村線延伸・平成9年)などがあります。
かつてあった鉄道が廃止されてから長い年月を経て鉄道が復活した例には、那覇(沖縄県営鉄道が昭和20年に戦災により壊滅・事実上廃止→「ゆいレール」(沖縄都市モノレール)が平成15年に開業)、安芸・香南(土佐電鉄安芸線が昭和49年に廃止→土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」が平成14年に開業)、それに前回[69946]でも触れたつくば(筑波鉄道が昭和62年に廃止→「TX」が平成17年に開業。筑波山のケーブルカーは、前回の「問七」と同様に「対象外」扱い)といったところがあります。那覇市は鉄道が復活するまでに実に58年の歳月を要し、高知県の両市も復活まで28年かかっています。このうち香南・つくばの両市は、鉄道が消えたのは共に市の成立前で、香南市は市制の2年前に鉄道が復活し、つくば市は鉄道が消えたその8ヶ月後に市制(筑波鉄道が通っていた旧筑波町は2ヵ月後に編入)、それから18年を経て再び市域に鉄道が戻ってきたというわけです。

ところで、「鉄道のない市」で最も人口の多い市といえば、つい数年前までは、[69367]での桜トンネルさんの「フライング」
この問題を県庁所在地から答えるのは絶対に無理です
を思い起こさせる、那覇市がダントツ。これとつくば市が「両横綱」でしたが、現在の時点ではどうやら沖縄市(129,051人)が最多、以下うるま(114,259人)、浦添(108,348人)とトップ3を沖縄勢が独占し、本土で最多なのは4位の鹿屋(105,152人)。人口10万人以上で鉄道が市内にないのはこの4市ということになりそうです。

♯香南市・つくば市についての不正確な表現を修正
[72808] 2009年 11月 10日(火)11:48:19【2】伊豆之国 さん
East Station~第二十四回十番勝負「問八」徹底検証
[72787]で約束した通り、第二十一回・問三の「新+市名」駅([68384])と同様に「駅名」関係の問題であった、問八の共通項「東+市名」駅に関連したお話を書いてみたいと思います。
現在、市名の頭に「東」の付く駅は、元の市名とは直接無関係なものを除くと、全部で66駅ということになります。これらを「元の市名駅との関係」から見ると、次のように分類できると思われます。
(1)「○○」(市名)駅、「東○○」駅が共に市内にあるもの。下記を除いた59市となります。
(2)「○○」駅がその市内にないもの。これは、更に(a)市内に直接市名を表す駅がないもの‥舞鶴・大崎の2市、(b)市名を含む中心駅名があるもの‥小金井(武蔵小金井)・富岡(上州富岡)・向日(向日町)の3市、に分けられそうです。
(3)「○○市」駅になっているもの。寝屋川・山梨の2市です。

この中で、(2)で挙げた市のうち、舞鶴市については、かつては「舞鶴」駅があったのですが、昭和19年に現駅名の「西舞鶴」に改称され、それ以降「舞鶴」という駅名は存在していません(Wikipedia「西舞鶴駅」より)。現在では市の中心もかつての東舞鶴市に移り、東舞鶴駅が時刻表の代表駅となっているようです。一方、大崎市については特殊な事情がある例と言えましょう。大崎市には「東大崎」駅の他に「西大崎」駅がありますが、「大崎」という駅はなく、「東大崎」駅の開業は昭和30年、「西大崎」駅は平成9年に「上岩出山」から改称されたものですが、共に「大崎市」の発足より遥か前であり、駅名は古くからの地方名に由来すると思われます。そして両駅共に単線1本ホームの無人駅であり、「東大崎」駅も市の中心駅である「古川」駅から見ると西に位置します。「大崎」の「本家」はもちろん山手線の大崎駅ですが、「品川駅と北品川駅」の関係を思い起こしてしまいそうです。

かつて存在していましたが、改称や廃線で消えた「東」駅もあります。現在の和歌山駅は、昭和43年まで「東和歌山」といい、それまでの和歌山駅は「紀和」駅と改称されています。これについてのいきさつは、[4649]Issieさんの記事に詳しく述べられています。このほか、京王八王子駅も、昭和38年に現在地に移転・改称されるまでは「東八王子」と名乗っていました。廃線になったために消えた「東」駅には、東佐賀(旧国鉄佐賀線・昭和62年廃止)、東加茂(蒲原鉄道・昭和60年廃止)、東神戸(阪神国道線・昭和44年→[68422]拙稿、[68430]hmtさん)などがあります。
市名が消滅したために仲間から外れたものには、さいたま市となった東浦和・東大宮・東岩槻の各駅や、新潟市になった東新津駅といったところがあります。
「新」では例があった、直接市名に由来しながら別の市町村にある「東○○」駅、というのは現在は見当たらないようですが、過去には「東都城」という例がありました。元々は「三股」駅でしたが、昭和47年に「東都城」と改称され、61年に再び元の「三股」に戻されています。しかし、駅は当時から三股町にあり、そして現在も三股町です。都城市との合併話も、本サイト内の「合併情報」を見ても、どうやらないようです。これは、おそらく当時都城市への合併構想が進み、駅名を「先取り」して改称までしながら、結局直前で破談になった、といういきさつ絡みではないかと思うのですが、私には「未経県」の地なので詳しいことはわかりません‥。
「東」が地名の後ろに来る例は、一般の地名では普通に見られますが、市名の後ろに「東」、という駅名では「堺東」が唯一の例と思われます。この堺東駅は、東区にはなくて堺区にあり、乗客数も堺駅(こちらも堺区)を大きく上回り、1日の乗降客数は6万人近くに達し、実質的な堺市の中心駅と言えそうです。ちなみに、JR堺市駅も堺区ですが、利用客数は堺駅・堺東駅よりもずっと少なく、1万人余りとなっています。
「東+市名」の後ろに更に別の語が付く駅名もあります。名鉄築港線の「東名古屋港」駅がそれです。

次に、ちょっと前に話題になった、元の市名と無関係な「東○○」駅(&「東○○市」)について([72165][72167]稲生さん、[72166]なきらさん、[72168]hmtさん、[72169]Issieさん)。これについては、項を改めて書き込むことにします。
[72845] 2009年 11月 15日(日)14:00:58伊豆之国 さん
East Station~第二十四回十番勝負「問八」徹底検証(続編)
遅れてしまいましたが、[72808]で最後にちょっと触れた、「その市にない(市名と無関係の)東○○駅」についてお話しようと思います。現在、このような「東○○」駅は、次に挙げた各駅が該当すると見られます(貨物駅を除く)。これを、更に「東○○」駅と元の市名との関係についても分類してみたいと思います。

駅名所在地路線名備考(元になった駅名・地名、由来等)
東久留米東京都東久留米市西武池袋線駅名が市名に(東久留米市HP[72168]hmtさん)
東佐野大阪府泉佐野市JR阪和線泉佐野駅(南海電鉄本線、昭和23年まで「佐野駅」。地名も「佐野町」)
東新庄富山県富山市富山地方鉄道本線駅の所在地が「新庄町」(町の東というより南寄り?)
東高崎宮崎県都城市JR吉都線旧高崎町、高崎新田駅
東垂水兵庫県神戸市垂水区山陽電鉄垂水駅(JR山陽本線)<読み方違い>
東長崎東京都豊島区西武池袋線九州の長崎から見て東?→※1
東中野東京都中野区JR中央本線中野駅、中野区
東広島広島県東広島市JR山陽新幹線市名(「広島市の東」が市名に)→※2
東松江和歌山県和歌山市南海加太線和歌山市松江地区の東<山陰本線と同名別駅>
東松原東京都世田谷区京王井の頭線松原駅(東急世田谷線)→※3
東松山埼玉県東松山市東武東上線関東(東国)の松山→市名に([72168]hmtさん)
東村山東京都東村山市西武新宿線明治以来の村名(同上)
東八尾富山県富山市JR高山本線旧八尾町、越中八尾駅<読み方違い>

 ♯落ちがあったらご教示ください。

このうち、まず(※1)「東長崎」駅ですが、本サイトの記事検索にかけたところ、過去に出てきた2件はいずれも「本家」長崎市に合併された「東長崎町」に関する記事で、西武線の「東長崎駅」について書き込むのは意外にも今回が初めてになりそうです。この「東長崎」駅の所在地は豊島区長崎と南長崎の境ですが、駅の位置は長崎地区のむしろ西寄りであり、駅名はやはり
九州地方(西日本)と関東地方(東日本)との対比から生まれた「東」の概念を持ち込み
[72168]hmtさん)、これを駅名に採用した、というところではないでしょうか。
余談ですが、この豊島区長崎地区は町名変更が幾度か繰り返されており、かつて「長崎東町」という町名があり(最寄り駅は「椎名町」が近い)、この町に行こうとした人が知らずに「東長崎」駅で降りてしまう、ということが多かったそうです。

次に(※2)「東広島」駅ですが、こちらは事情が少々複雑です。新幹線の「東広島」駅の開業は昭和63年、「東広島市」の発足(市名誕生)は昭和49年ですから、駅名は「東広島市」の市名に由来すると考えてよかろうと思います。一方、かつて山陽本線の貨物駅に「東広島」という駅があり、
1969年に開設された貨物駅。1995年に本線上に移転し、広島貨物ターミナルと改称しています。ちなみに東広島市にある新幹線の東広島駅が開業したのが1988年なので、7年間は2つの「東広島駅」が共存していたことになります
[72815]今川焼さん)
という経緯があるとのことです。したがって、貨物駅のほうの「東広島」駅は、「その市名(広島市)に方角をつけた」駅。新幹線の「東広島駅」は、直接市名から取った駅、ということになるわけですが、「東広島市」の市名は「広島市の東」に位置することから来ていると思われますので(「東大阪市」などと同類)、新幹線の「東広島」駅のほうは、「直接その市(広島市)にはないが、間接的にはその市(広島市)とつながりがある」と見るのが妥当ではないかと思います。

それから(※3)「東松原」駅ですが、こちらも事情が複雑です。現在では、上記のように世田谷線「松原」駅との対比の形になっていますが、実はこの「松原」駅が元なのではありません。現在の「松原」駅は昭和24年に「六所神社前」「七軒町」の両駅を統合して「玉電松原」駅として開業したものであり、一方「東松原」駅は昭和8年の開業で、こちらのほうが先です。実は、京王線の「明大前」駅が昭和10年に現駅名に改称されるまで「松原」と名乗っていました。この「先代」松原駅と、「東松原」と同時にできた帝都電鉄(井の頭線)の「西松原」駅とが統合されて現在の「明大前」駅になり、「松原」が消えて「東松原」だけが残った状態がしばらく続いていたのでした。なお、大阪府松原市の中心駅は「河内松原」駅(近鉄南大阪線)です。

ついでに、現在は消えた「その市と無関係の東○○駅」には、「東飯田」(茨城県桜川市・筑波鉄道-昭和62年廃止)、「東川崎」(福岡県川崎町・旧国鉄上山田線-昭和63年廃止)といったところがあります。また、現役の駅で「かつてその市と無関係」だったというタイプの駅名には、「東甘木」(西鉄天神大牟田線・福岡県大牟田市、駅の所在地が「大牟田市甘木」。同一県の旧甘木市から見ると南西の方向)があります。
[72808]でも触れた「市名の後ろに東」というタイプの駅名では、現役では「堺東」だけのようですが、過去には「上田東」(長野県上田市・上田丸子電鉄<現・上田電鉄>丸子線、昭和44年廃止)という駅もありました。蛇足ですが、この丸子線で働いていた車両のうちの2両が、廃線後に「江ノ電」に移り、昭和61年に引退後、そのうちの1両が上田に来る前に走っていた山梨交通(昭和37年廃止→[66626])の終着駅があった、来年3月から「富士川町」になる増穂町の公園に「里帰り」保存されています。
[72847] 2009年 11月 15日(日)20:00:30伊豆之国 さん
East Station~第二十四回十番勝負「問八」徹底検証(続々編「しほがま」)
[72808][72845]と2回にわたって、先の十番勝負「問八」の共通項「東+市名」駅についてのお話しをしてきましたが、最後に、お題で「NG」の例とされ、十番勝負の感想文[72787]でも触れた「塩竈市」「塩釜駅」とその経緯について書き込むこととします。

「塩竈市」の市名については、「落書き帳」にもこれまで数多くの書き込みがありますが、要約すると
塩竈市役所内での表記統一は、1941年(市制施行の年)とのこと。従来の表記は、鹽竈・塩竈・鹽釜・塩釜。「塩」については常用漢字が、「竈」については地名の由来である「かまど」の字義に従った字が使われています。市民の過半数は、現在の市名で特に不便を感じない由。塩竈市HP
[70590]hmtさん)ということになるのでしょう。
さて、塩竈市内には「しおがま」の付く鉄道駅は現在4駅ありますが、全て「塩釜」の文字が使われています(過去にあった貨物駅「塩釜港」駅なども同様)。このうち、直接市名に由来する「塩釜」駅は、昭和31年に東北線のルート変更(元は戦時中に作られた貨物線。それまでの利府経由の線は、37年に岩切-利府間を残して廃線となった)に伴い開設された駅で、当初から「塩釜」の字体でした。そして、同時に陸前山王駅から分岐していた「塩竈線」の終点であった「塩竈」駅は「塩釜港」と改称、同時に旅客営業を廃止して貨物線「塩釜線」になり、またそれまでの「塩竈港」貨物駅が「塩釜埠頭」と「玉突き」式に改称されています。この貨物線は、その後も幾度かの変遷がありましたが、最終的に平成9年に全廃されています。一方、仙石線の「東塩釜」「本塩釜」「西塩釜」の各駅は、いずれも「宮城電鉄」という私鉄の駅として開業、当初はいずれも「釜」の字が使われ、昭和19年の国有化の際に市名と同じ「竈」の字体に改称。「塩釜」駅の誕生に遅れること7年、昭和38年に再びいずれも現在の「釜」に戻されるという経緯をたどっています。したがって、塩竈市は昭和19年から38年までの19年間は「東+市名」駅がある市であり、38年の再改称によって「該当しない市」になったことになり、また「塩釜駅」の開業から前記の仙石線各駅の改称までの7年間は「塩釜」駅と「○塩竈」駅とが共存していたことになるわけです。

「尾張」に、本題から外れますが、「塩竈市」以外にも「塩釜」の付く駅があります。名古屋市地下鉄鶴舞線の「塩釜口」駅。駅名は付近の地名から来ているようですが、この「塩釜」がかつて「塩竈・鹽竈」と書かれたことがあるかどうか、由来が気になります。
「竈」の字が今も現役で使われている駅もあります。「猫電車・タマデン」和歌山電鉄の「竈山」(かまやま)駅がそれです。近くの神社名に由来するようです。


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