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[70709] 2009年 7月 4日(土)08:48:54【1】むっくん さん
今後の市区町村変遷情報の記載にあたって(その1)
現在、市区町村変遷情報の入力作業は明治の大合併を遡っています。
明治22~23年に市制町村制が施行された45府県のうち、既に19府県の入力作業が完了しており、現在20府県目の入力作業が行われています。

今後、市区町村変遷情報(市制町村制施行時)を記載するにあたって、判断に苦慮させられるところや資料の食い違いで苦慮することがあります。後の記載時になって初めて、「どのように記載するのが適当なのか」と苦慮することは避けた方が良いと思いますので、先に紹介することにします。


(1)自治体名ではない区域が根拠たる県令に書かれている場合
この事例としては三重県飯高郡松阪町、同郡港村、同郡松江村、阿拝郡上野町、同郡小田村が挙げられます。

(a)飯高郡松阪町、同郡港村、同郡松江村の場合
まず県令第13号(M22.3.1)で飯高郡松阪町において記載されている松阪町作地というのは自治体名ではありません。ではこれは何なのかと言えば、おそらく松阪市街地にありながら松阪の各町の区域に含まれない、いわば附属している農地であると考えられます。
#市街地の各町に附属している農地というのはかつて滋賀県の長浜にもありましたが、こちらの方は明治14年に編入合併で消滅。

しかし自治体名ではなくても、「松阪町作地」の区域はおそらく松阪の市街各町の一部とはなっていないから県令では別途記載されているのでしょう。しかしながら「松阪町作地」を記載しないとすると、廃置分合の前後でその区域が異なるというおかしなことになるため、自治体名でなくても市区町村変遷情報に記載する必要があります。

次に港村においては県令第13号(M22.3.1)では「松阪市街地ノ内 字本町ノ内 反別二反三畝拾八歩、松阪市街地ノ内 字西町ノ内 反別五反八畝五歩」とあります。しかしながら松阪市街地は自治体名ではありませんので、松阪本町の一部,松阪西町の一部と書くのが正当なのであろうと考えられます。
同様に松江村においての「松阪市街地ノ内 字川井町ノ内 反別三反歩」も松阪川井町の一部と書くのが正当なのであろうと考えられます。
参考:地方行政区画便覧(著・出版:内務省地理局、M20.10.)、三重県統計書(明治21年)(編・出版:三重県庁、M22.12.21)

(b)阿拝郡上野町、同郡小田村の場合
県令第13号(M22.3.1)によると上野町では「上野市街地ノ内 字坂居町 同 字寿町 同 字宮ノ腰 同 字幸町 同 字新地ノ内 反別一町六反六畝十七歩五合四夕 同 字新屋敷ノ内 反別三畝四歩六合二夕」とあり、小田村では「上野市街地ノ内 字上之平 同 字西之平 同 字万町ノ内 反別一町三反九畝七歩二合六夕 同 字新屋敷ノ内 反別一町八反二十三歩四合六夕 同 字新地ノ内 反別四反三畝三歩三合一夕」とあります。

この議論を始める前に上野市街地とされた区域はどこなのかを特定する必要があります。
まず、戦国時代に筒井高次が上野に来る以前からあった集落が上野村です。
そして、江戸時代は地子免除の上野城下町と、上野城下町に近接した上野村にある街道筋の町(農人町)が出来ます。上野城下町と農人町は江戸時代においては別のものとして取り扱われていました。
そして明治になって上野市街地と上野村とを分けたとき、上野村にある街道筋の町も上野市街地に含まれることとなり、上野村の範囲は筒井高次が上野に来る以前からの上野村の範囲に限定されることになります。ここで上野市街地は、上野城下町に加えて、近隣の村の村に点在する町の部分(農人町)を飛地として持つことになりました。無論、上野市街地とは、自治体としての名称ではありません。
#ちなみに明治5年の区制の時の資料では上野市街地との文字はなく上野町と記されています。そして、地方行政区画便覧(著・出版:内務省地理局、M20.10.)でも上野市街地との文字はなく上野35町が記載されています。


ところで上野市街地と上野村とを分けるのとほぼ時期を一にした明治3年、上野に大水害が起こりました。
このとき低地に住んでいた人が移住したことで飛地が発生し、この痕跡が県令第13号(M22.3.1)で見て取れます。
さて、県令第13号(M22.3.1)で上野市街地ノ内とされている箇所を見ていきます。
まず「字坂居町」及び「字幸町」とは上野35町の1町である幸坂町の住民が移住したところです。「字坂居町」及び「字幸町」は地籍が「字坂居町」及び「字幸町」ではあるものの、住んでいる人は幸坂町の人々ということになります。
同様に「字寿町」は上野35町の1町である馬苦労町の住民が移住したところ、「字宮ノ腰」は上野35町の1町である万町の字地であったところ、「字新屋敷」「字新地」は上野35町の1町である小田村の住民が移住したところです。

さて市区町村変遷情報で如何に記載するかです。
例えば「上野市街地ノ内 字寿町」というのは、明治3年の洪水で被害にあった「上野馬苦労町」の人々の移住先で、元は上野城の西外堀であったところです。
一般的には江戸時代には、各藩が設定しない限り、城に○○町という名称はありませんでしたので、廃藩置県時には基本的には城の区域は自治体の空白地域となります。それが明治になってから、○○町という名称をつけることで、自治体の空白地域が解消されることになりました。
#城の区域と同様に、城下町の大きな寺の領域も自治体の空白地域でした。

ところが上野の場合は、例えば字寿町と土地に名称を付けたにもかかわらず、住んでいる人が別の馬苦労町の人々であったために、「上野市街地ノ内 字寿町」がおそらく自治体である「上野寿町」となれなかったという事情があります。そして「上野市街地ノ内 字寿町」は上野35町の区域でも周辺の村の区域でもありません。
県令第13号(M22.3.1)で「上野市街地ノ内 字寿町」というようなものをわざわざ記載したというのは、上野市街地には上野35町の区域に含まれず、かつ当然ながら周辺の村にも含まれない区域(e.g.「上野市街地ノ内 字寿町」など)があることの証左とも言えます。

さてこれをどのように記載するのが適当かですが、自治体ではないからといって「上野市街地ノ内 字○○」を記載しないというのは先ほどの「松阪町作地」と同じく不都合な点が出てきますので、採用できません。とはいっても、「上野市街地ノ内 字○○(一部)」という記載はいかがなものかとも思われます。
そこで、この5年後に小田村から城南村が分立した三重県告示第17号(M27.2.13)を参考にして記載するのが良いのではないでしょうか。この県告示第17号では「上野市街地ノ内 字○○」を「元上野町 字○○」と記載しています。

ということは、上野町及び小田村での記載において、「上野市街地ノ内 字○○」とは「上野町(一部)」と記載するのが、一番無難であると考えられます。ただし小田村にある「同 字万町ノ内 反別一町三反九畝七歩二合六夕」というのは先ほどの松阪の事例から考えるに「上野万町(一部)」と記載するのが適切であると考えられます。

参考:地方行政区画便覧(著・出版:内務省地理局、M20.10.)、三重県統計書(明治21年)(編・出版:三重県庁、M22.12.21)、上野市史(編・出版:上野市、1961)


(c)以上の複雑な箇所をまとめますと次のようになります。
飯高郡松阪町では、松阪町作地も記載する。後述の飯高郡港村及び飯高郡松江村との整合性より、松阪本町,松阪西町、松阪川井町、の3町では「の一部」の記載もする。
飯高郡港村では、松阪市街地ノ内 字○○というものは、松阪本町の一部,松阪西町の一部と記載する。
飯高郡松江村では、松阪市街地ノ内 字○○というものは、松阪川井町の一部と記載する。
阿拝郡上野町では、上野市街地ノ内 字○○というものは、上野町の一部と記載する。後述の阿拝郡小田村との整合性より、上野万町では「の一部」の記載もする。
阿拝郡小田村では、上野市街地ノ内 字○○というものは、上野町の一部、上野万町の一部と記載する。


(2)枝郷が根拠たる県令に書かれている場合
江戸時代においては、郷帳に○○村枝郷△△村という形態で記載されているものは、例え枝郷であっても公的には一つの自治体としてみなされていました。
こういった自治体は明治5年の区制施行と同時に(遅くとも明治7年頃までには)各府県で大半がなくなったのですが、唯一三重県においては市制町村制施行時まで残ったところが2箇所(津市、安濃郡新町)ありました。

(a)津市
津市は安濃郡の
津56町、伊予町、的場、津興村、津興村ノ内・船頭町、津興村ノ内・上弁財町、津興村ノ内・柳山、津興村ノ内・阿漕町、津興村ノ内・下弁財町、岩田村、岩田村ノ内・岩田町、岩田村ノ内・宮ノ前、岩田村ノ内・佐伯町、岩田村ノ内・弓屋敷、岩田村ノ内・立合町、岩田村ノ内・西裏、岩田村ノ内・久留島、岩田村ノ内・野崎垣内、岩田村ノ内・元築造、岩田村ノ内・出口、岩田村ノ内・弓ノ町、岩田村ノ内・山中、岩田村ノ内・綿内、八幡町、藤枝町、栄町、下部田村の一部、下部田村ノ内・余慶町、乙部村の一部、塔世村の一部、古河村の一部、藤方村の一部
が合併して成立しました。この中で例えば、「津興村ノ内・船頭町」というのは津興村と別個独立した自治体ではあるが、その町の地籍は津興村にあるということになります。
自治体か否かを重視する市区町村変遷情報では「津興村」とは別個に「津興村ノ内・船頭町」を記載する必要があります。

ではその記載方法です。
単に“船頭町”と記載する、“船頭町”と記載した上で詳細情報に“津興村ノ内”と記載する、単に“津興村ノ内・船頭町”と記載する、という3つの方法が考えられます。とは言え、最後の“津興村ノ内・船頭町”と記載するという以外の選択肢は実はありません。

といいますのも、今後市区町村変遷情報はさらに年度を遡ることになるのでしょう。そして明治14年頃まで記載することになったとします。この時、例えば当時の兵庫県神戸区には、“橘通三丁目”、“坂本村ノ内・橘通三丁目”が隣接して存在しています。この記載を問題なく行うためにはM22.4.1の段階で、“津興村ノ内・船頭町”と記載しておかなければなりません。
#なお、上述の津56町に含まれる鷹匠町、西ノ口出屋敷、西裏、馬場、榎ノ下の各町はかつては地籍が塔世村にある枝郷の自治体でしたが、明治17年の連合戸長役場の管轄資料によればこの当時は既に独立した町となっていました。


(b)安濃郡新町
安濃郡新町は古河村、刑部村、古河村/刑部村ノ内・八町、神納村、南河路村の1町4村が合併して成立しました。


参考:地方行政区画便覧(著・出版:内務省地理局、M20.10.)、県令第12号(M22.3.1)、県令第13号(M22.3.1)、三重県統計書(明治21年)(編・出版:三重県庁、M22.12.21)(248-251コマ)、津市史第4巻(著:梅原三千、西田重嗣、出版:津市役所、1965)27,28,43-45頁、市制施行地郡区境界組替ヲ処分ス(PDF)(編:内閣、M22.6.)


#私は市制町村制施行時に枝郷がからむ事例というのを上述の2例(津市、安濃郡新町)以外には知りません。

次稿に続きます。
[70710] 2009年 7月 4日(土)08:49:06【1】むっくん さん
今後の市区町村変遷情報の記載にあたって(その2)
[70709]の続きです。

(3)市制町村制施行に伴う合併の日付に関連して
明治22~23年に市制町村制が実施された45府県の内、42府県では市制町村制施行と同時に区町村の廃置分合も行っていますが、そうではないところがあります。

宮城県と千葉県では市制町村制施行の前日のM22.3.31に廃置分合&郡界変更を行っています。そして静岡県では静岡市のみが市制町村制施行当日のM22.4.1に、それ以外の町村はそれより一ヶ月前のM22.3.1に廃置分合&郡界変更を行っています。

市制町村制施行と同日付で全県で廃置分合&郡界変更が行われなかったため、宮城県仙台市と静岡県静岡市では市区町村変遷情報(市制町村制施行時)の記載に困ることになります。

(a)仙台市の場合
宮城県における廃置分合規定は、県令第8号(M22.2.9)、県令第9号(M22.2.9)及び県令第27号(M22.3.31)です。
ここで問題となるのが仙台市です。
1 新設/市制 仙台市 仙台区
と記載できれば何の問題もないのですが、他のところ(名古屋市や福岡市など)との関係上
1 新設/市制 仙台市 仙台区、仙台区○○町、(略)
と記すことになります。以前から仙台区に所属した町の記載は特に問題ないのですが、市制町村制が施行される前日に合併したところ(宮城郡荒巻村の一部、小田原村の一部、南目村の一部、南小泉村の一部)をどのように表記すればよいのか、私には分かりません。

(b)静岡市の場合
静岡県における廃置分合規定は、静岡市に関係するものは県令第18号(M22.2.26)、静岡市以外に関係するものは県令第17号(M22.2.26)及び県令第19号(M22.2.26)です。
このうち、県令第18号に記載されているのは安部郡&有渡郡に所在する静岡124町と、有渡郡川邊村の一部区域ですが、県令第18号での記載内容からすると、有渡郡川邊村の区域はせいぜい数筆程度であり、有渡郡川邊村はM22.3.1の時点でおそらく消滅していると考えるのが自然であると考えられます。
とすると、
1 新設/市制 静岡市 安部郡○○町, (略), □□町, 有渡郡△△町, (略), ××町, 川邊村の一部
とは記載できないでしょう。果たしてどのように記載するのが適当なのかが、私には分かりません。


(4)石川県の市町村の廃置分合の根拠
ここでは以前[68521]拙稿で書いた石川県の市町村の廃置分合の根拠を
誤:県令第23号(M22.3.8)
正:県令第2328号(M22.3.8)
と結論づけた経緯を記します。

まず石川県統計書明治21年(著・出版:石川県、M23.2.15)によりますと、M21.12.31現在の警察区画で、江沼郡大聖寺警察署管轄の町数は60、能美郡小松警察署管轄の町数は31、石川郡松任警察署管轄の町数は23、鳳至郡輪島警察署管轄の町数は4となっています。19コマでは江沼郡役所の所在地が大聖寺八間道、能美郡の所在地が小松小馬出町、石川郡役所の所在地が松任東一番町、鳳至郡の所在地が輪島河合町となっています。

次に石川県統計書明治22年(著・出版:石川県、M24.2.18)によりますと、M22.12.31現在の警察区画で、江沼郡大聖寺警察署管轄の町数は1、能美郡小松警察署管轄の町数は2、石川郡松任警察署管轄の町数は1、鳳至郡輪島警察署管轄の町数は1となっています。177コマでは江沼郡役所の所在地が大聖寺町字八間道、能美郡の所在地が小松町字小馬出町、石川郡役所の所在地が松任町字東一番町、鳳至郡の所在地が輪島町字河合町となっています。

これらを比較すると、石川県の市制町村制施行に伴う廃置分合の根拠規定を県令第23号(M22.3.8)だけであるとすると説明することができません。
県令第23号(M22.3.8)のみならず県令第28号(M22.3.8)も根拠とすることで初めて、明治22年4月1日に成立した「江沼郡大聖寺町」、「能美郡小松町」、「石川郡松任町」、「金沢市」、「鳳至郡輪島町」の1市4町の廃置分合の過程を説明することが出来るようになります。


(5)資料の誤りについて

(a)福井県
福井市の成立に伴う廃置分合規定は県令第18号(M22.2.16)で、[69698]拙稿では福井県現行諸令達(編著:福井県内務部第一課、出版:福井県、M25.5.17)に記載されているものを紹介しています。ここでは福井市を構成することになる町数は87、村数は1となっています。
しかしこれは他の資料と食い違います。例えば内閣が作成した公文類聚には市制町村制施行に伴う市制施行地及び郡界変更の経緯が「市制施行地郡区境界組替ヲ処分ス」(2府42県、東京府は別途まとめている)でまとめられており(注1)、それが国立公文書館にてPDFファイル(15.1MB)として公開されています(前稿[70709]の(2)で紹介済み)。その6コマには福井市を構成することになったのは越前国足羽郡福井86ヶ町、仝國仝郡石場畑方と記載されています。この福井86ヶ町とは地方行政区画便覧(著・出版:内務省地理局、M20.10.)に記載されている町数や新旧対照市町村一覧(編著:和泉橋警察署、出版:加藤孫次郎、M22.12.)などの記載と一致します。
この食い違いの1町とは「福井江戸中町」で、福井県現行諸令達以外では一切見ることが出来ません。これは「福井江戸上町」「福井江戸下町」があるから誤って「福井江戸中町」も書いたものであろうと推察します。
(注1):あくまでも市制町村制施行に関連しての市制施行地及び郡界変更の経緯のまとめであり、市制町村制施行と同日付ではないことに注意が必要。例えば宮城県や千葉県や静岡市(前稿[70709]参照)、そして栃木県&大分県の郡変更などは同日付ではありません。

(b)大阪府
大阪府の大阪市・堺市以外の郡部の廃置分合規定は府令第17号(M22.2.20)で[69698]拙稿では大阪府郡部町村名(編著・出版:吉田常三郎、M22.5.)を紹介しています。
しかし、この資料には誤りもあり、大阪府統計書(明治22年)(著:大阪府内務部第一課、出版:大阪府、M23.12.25)と比較して使う方がよいものと考えられます。

今後の参考となることを願い、あらかじめ完全な誤りの箇所を抜粋してみました。ただし「坂」or「阪」、「川」or「河」といった漢字表記の揺らぎについては原則記していません。

まずは大阪府郡部町村名(編著・出版:吉田常三郎、M22.5.)の誤りの箇所です。
・成立したのが西成郡手船村となっていますが、正しくは西成郡千船村です。
・東成郡天王寺村を構成する村の一つが東成郡阿武野村となっていますが、正しくは東成郡阿部野村です。
・島下郡車作村は島下郡石川村の一部となったと記載されていますが、正しくは島下郡見山村の一部となりました。
・島下郡玉櫛村を構成する村の一つとして島下郡水尾と記載されていますが、正しくは島下郡水尾村です。
・島下郡鳥飼村を構成する村の一つとして島下郡鳥飼八防と記載されていますが、正しくは島下郡鳥飼八防村です。
・大鳥郡向井村を構成する村の一つとして大鳥郡西万屋新田村と記載されていますが、正しくは大鳥郡西万屋新田です。

次は大阪府統計書(明治22年)(著:大阪府内務部第一課、出版:大阪府、M23.12.25)の誤りの箇所です。
・錦部郡天野村を構成する村の一つとして錦部郡天野村と記載されていますが、正しくは錦部郡天野山です。

(c)和歌山県
和歌山県に市制町村制が施行された時の廃置分合規定は拙稿[69697][69698]で示したとおりですが、正誤表が完全には反映されていません。
当時のオリジナルの県令が、国立公文書館よりPDFファイル(2.7MB)で公開されています。このPDFファイルの最後のコマに正誤表が記載されています。
#なおこのPDFでは、和歌山県の郡界変更を示した県令第14号(M22.2.22付)([69697]で紹介済み)、和歌山県の廃置分合規定である県令第15号(M22.2.22付)([69698]で紹介済み)、和歌山県に市制町村制が施行されることを示す県令第17号(M22.2.22付)([69698]で紹介済み)、それに伴う市役所町村役場位置を示す県令第20号(M22.2.27付)及び県令第15号の正誤表が記載されています。


以上が今後の市区町村変遷情報の記載にプラスとなることがあれば幸いです。
[75438] 2010年 7月 4日(日)18:22:29【4】むっくん さん
市制施行の要件
hmtマガジン発足おめでとうございます。

市と町の違いで触れられている、市となるための要件(人口要件)をまとめてみました。以下、時系列で並べます。

M22~23市制町村制施行時
人口凡そ2万5千人以上
市制町村制理由での
今此市制を施行せんとするものは三府其外人口凡二万五千以上の市街地に在りとす。尤郡制制定の時に至て其要件を確定することある可しと雖も今内務大臣の定むる所に従て之を施行せんとす。
との文言)

? 内務省で市制施行の内規制定
人口3万人以上と規定(法律上の規定はなし)
#地方自治制度(著:秋本敏文・田中宗孝、出版:ぎょうせい、S53.8.31)53頁の記述による

S18 内務省での市制施行の内規改正
人口5万人以上(法律上の規定はなし)
#地方自治制度(著:秋本敏文・田中宗孝、出版:ぎょうせい、S53.8.31)53頁の記述による

S22.5.3 地方自治法(S22.4.17法律第67号)施行
人口3万人以上で都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項)

S23.1.1 法律第169号(S22.12.12)で地方自治法改正
人口3万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)

S29.9.20 法律第193号(S29.6.22)で地方自治法改正(政令第227号(S29.7.31)でS29.9.20施行)
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
・すでに申請されている場合は従前のまま、つまり人口3万人以上でかつ連たん戸数は6割以上、かつ都市的業態人口は6割以上、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(昭和29年法律第193号附則第2項1号)
・知事の合併計画に基づき、かつS41.3.31までに申請した場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から3万人以上に緩和(昭和29年法律第193号附則第2項2号)

S33.4.5 法律第53号(S33.4.5)で地方自治法改正
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
・S33.9.30までに申請した場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から3万人以上に緩和(地方自治法附則第2項)
・知事の合併計画に基づき、かつS41.3.31までに申請した場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から3万人以上に緩和(昭和29年法律第193号附則第2項2号)

S38.6.8 法律第99号(S38.6.8)で地方自治法改正
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
・知事の合併計画に基づき、かつS41.3.31までに申請した場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から3万人以上に緩和(昭和29年法律第193号附則第2項2号)
・地方自治法第8条の町村を市とする処分でS42.12.31までに申請した場合は国勢調査のかわりに当該市町村の人口に関する指定統計調査による人口によることも可(地方自治法附則第20条の3)

S40.3.29 市町村合併特例法(S40.3.29法律第6号)が成立
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
・知事の合併計画に基づき、かつS41.3.31までに申請した場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から3万人以上に緩和(昭和29年法律第193号附則第2項2号)
・S42.3.31までに申請した場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から4万人以上に緩和(地方自治法附則第20条の3)
・地方自治法第8条の町村を市とする処分でS42.12.31までに申請した場合は、国勢調査のかわりに当該市町村の人口に関する指定統計調査による人口によることも可(地方自治法附則第20条の4)

S45.3.12 法律第1号(S45.3.12)で地方自治法改正(政令第14号(S45.3.12)により法律第1号(S45.3.12)の施行期間はその施行の日より二年間)
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
S47.3.11までに申請した場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から3万人以上に緩和(ただし人口3万人以上5万人未満の場合では、連たん戸数、都市的業態人口は7割以上を満たすこと)(地方自治法附則第20条の5)

H10.12.18 法律第145号(H10.12.18)で昭和40年法律第6号市町村合併特例法が改正
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
H17.3.31までに市町村合併によって成立する場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から4万人以上に緩和(市町村合併特例法第5条の2)

H12.12.6 法律第138号(H12.12.6)で昭和40年法律第6号市町村合併特例法が改正
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
・H16.3.31までに市町村合併によって成立する場合は、人口3万人以上(市町村合併特例法第2条の2)
・H17.3.31までに市町村合併によって成立する場合は、上記原則の人口要件が5万人以上から4万人以上に緩和(市町村合併特例法第5条の2)

H15.7.9 法律第105号(H15.7.9)で昭和40年法律第6号市町村合併特例法が改正
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
H17.3.31までに市町村合併によって成立する場合は、人口3万人以上(市町村合併特例法第5条の2)

## 昭和40年法律第6号市町村合併特例法は同法附則第2条第1項により平成17年3月31日限りで失効。失効期日は法律第50号(H7.3.29)の改正による。

H17.4.1 (新)市町村合併特例法(H16.5.26法律第59号)が成立
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
・H22.3.31までに市町村合併によって成立する場合は、人口3万人以上((新)市町村合併特例法第7条第1項)
・H22.3.31までに市町村合併によって成立する場合は、上記原則のいずれかを欠いていても可((新)市町村合併特例法第7条第2項)

H22.4.1 法律第10号(H22.3.31)(PDF)でH16.5.26法律第59号(新)市町村合併特例法が改正
(原則)
人口5万人以上(地方自治法第8条第1項1号)でかつ連たん戸数は6割以上(地方自治法第8条第1項2号)、かつ都市的業態人口は6割以上(地方自治法第8条第1項3号)、かつ当該都道府県の条例で定める都市的形態を備えること(地方自治法第8条第1項4号)
(例外)
H32.3.31までに市町村合併によって成立する場合は、上記原則のいずれかを欠いていても可((新)市町村合併特例法第7条)


<訂正>
【3】「H16.5.26法律第59号(新)市町村合併特例法はH22.3.31限りで失効。」との記載を削除しました。その代わりとしてH22.4.1の改正関連を追記しました。
【4】H17.4.1の新法での例外の一つを追記。
[76873] 2010年 11月 24日(水)15:12:46むっくん さん
市制町村制施行に伴う郡界改定の根拠法令(ver.3)
[76871]で予告しました[75041]拙稿(市制町村制施行に伴う郡界改定の根拠法令(ver.2))の修正版です。
総ての府県までは集めきれていません。
本稿では千葉県の県令第17号のURLリンクが加わりました。そのURLリンク先は千葉県報(明治22年3月)34コマ, 35コマです。

番号府県名市制町村制根拠左記公布日施行日
6山形県県令第16号M22.3.18M22.4.1
県令第21号M22.3.18M22.4.1
7福島県県令甲第22号M22.3.25M22.4.1
9栃木県勅令第32号M22.3.13M22.3.13
11埼玉県県令甲第6号([69697]M22.3.23M22.4.1
埼玉県県令甲第10号([69697]M22.3.26M22.4.1
埼玉県県令甲第18号M22.3.30M22.3.30
12千葉県県令第17号(本稿の冒頭、[75041]M22.3.27M22.3.31
13東京府府令第24号(PDF)M22.3.30M22.3.30
19山梨県県令第42号M22.6.26M22.7.1
21岐阜県県令第38号M22.6.27M22.7.1
22静岡県県令第17号M22.2.26M22.3.1
23愛知県県令第46号M22.9.24M22.10.1
28兵庫県県令第23号M22.2.22M22.4.1
県令第34号M22.3.5M22.4.1
29奈良県県令第11号([75041]M22.3.2M22.4.1
30和歌山県県令第14号M22.2.22M22.4.1
35山口県県令第14号([68659]M22.3.3M22.4.1
37香川県県令第83号M22.12.28M23.2.15
38愛媛県県令第63号([73754]M22.11.11M22.12.15
43熊本県県令第9号M22.3.4M22.4.1
44大分県県令甲第11号M22.3.2M22.3.2
46鹿児島県県令第25号([69707]M22.3.5M22.4.1


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次稿では[75042]拙稿(市制町村制施行時の府令県令(ver.4))の修正版を記し、次々稿では[75044]拙稿(郡区町村編制法時の各府県布達(ver.2))の修正版を記します。

次稿を記す前に千葉県で町村制が施行された時の法的根拠のリンク先を紹介します。
まずは町村制施行の法的根拠である千葉県県令第19号(M22.3.27)のリンク先です。このリンク先は千葉県報(明治22年3月)35コマです。
次は町村廃置分合の法的根拠である千葉県県令第18号(M22.3.27)のリンク先です。本文のリンク先は、千葉県報(明治22年3月)35コマです。そして町村廃置分合について具体的なことを記した別冊のリンク先は、千葉県報(明治22年3月)38コマ, 39コマ, 40コマ, 41コマ, 42コマ, 43コマ, 44コマ, 45コマ, 46コマ, 47コマ, 48コマ, 49コマ, 50コマ, 51コマ, 52コマ, 53コマ, 54コマ, 55コマ, 56コマ, 57コマ, 58コマ, 59コマ, 60コマ, 61コマ, 62コマ
となります。


----------------
次々稿では[75044]拙稿(郡区町村編制法時の各府県布達(ver.2))の修正版を記します。

次々稿を記す前に千葉県で郡区町村編制法が施行された時の法的根拠のリンク先を本稿で紹介します。
郡区町村編制法施行の法的根拠である甲第65号布達(M11.11.2)のリンク先は明治11年千葉県甲号布達2(自11月至12月)7コマ, 8コマです。
[76874] 2010年 11月 24日(水)15:13:24【1】むっくん さん
市制町村制施行時の府令県令(ver.5)
[76871]で予告しました[75042]拙稿(市制町村制施行時の府令県令(ver.4))の修正版です。
千葉県についての項目を新たに付け加えました。

番号府県名市制町村制根拠左記公布日町村の廃置分合左記公布日市制町村制施行日
2青森県県令第15・16M22.2.20県告示第13M22.2.12M22.4.1
県令第14M22.2.20
県令第22M22.2.25
3岩手県県令第11・14号([75041])M22.2.16県令第12・13・15号(参考)M22.2.16M22.4.1
4宮城県県令第10・11M22.2.9県令第89M22.2.9M22.4.1
(M22.3.31実施)
県令第27M22.3.31
(M22.3.31実施)
5秋田県県令第15M22.2.15県令第15M22.2.15M22.4.1
6山形県県令第14M22.2.25県令第1718M22.3.18M22.4.1
7福島県県令甲第23M22.3.25県令甲第21M22.3.25M22.4.1
8茨城県県令甲第13M22.3.20(*1)県令甲第12M22.3.20(*1)M22.4.1
(M22.3.31実施)
9栃木県県令第16号([75041])M22.3.15県令第15M22.3.15M22.4.1
10群馬県県令第19M22.3.4M22.4.1
11埼玉県県令甲第8M22.3.23県令甲第7号(本文別冊)M22.3.23M22.4.1
12千葉県県令第19号([76873])M22.3.27県令第18号([76873])M22.3.27M22.4.1
(M22.3.31実施)
13東京府府令第26M22.4.11府令第25(PDF)M22.4.11M22.5.1
14神奈川県県令第9号M22.3.11M22.4.1
(M22.3.31実施)
15新潟県県令甲第21M22.3.__県令甲第22号(本文別冊)M22.3.6M22.4.1
16富山県県令第38・39M22.3.19県令第37M22.3.19M22.4.1
17石川県県令第26・27M22.3.8県令第2328M22.3.8M22.4.1
18福井県県令第20M22.2.16県令第1819M22.2.16M22.4.1
19山梨県県令第40M22.6.26(*2)県令第41M22.6.26M22.7.1
20長野県県令第17M22.3.19県令第1819M22.3.19M22.4.1
21岐阜県県令第40M22.6.27県令第39M22.6.27M22.7.1
22静岡県県令第20M22.2.27県令第1819M22.2.26M22.4.1
(郡部M22.3.1実施)
(市部M22.4.1実施)
23愛知県県令第48M22.9.24県令第47M22.9.24M22.10.1
24三重県県令第15M22.3.1県令第12・1314M22.3.1M22.4.1
25滋賀県県令第15M22.2.19県令第13M22.2.19M22.4.1
26京都府府令第2527M22.2.23府令第26M22.2.23M22.4.1
27大阪府府令第16(PDF)M22.2.20府令第17M22.2.20M22.4.1
28兵庫県県令第25M22.2.22県令第121M21.11.22M22.4.1
県令第24M22.2.22
29奈良県県令第9号([75041])M22.3.2県令第10号(参考)M22.3.2M22.4.1
30和歌山県県令第17M22.2.22県令第15M22.2.22M22.4.1
31鳥取県県令第94号(本文[62287]別冊)M22.9.22M22.10.1
32島根県県令第19M22.3.9県令第20・2122M22.3.9M22.4.1
33岡山県県令第25M22.4.19県令第26M22.4.29M22.6.1
34広島県県令甲第21M22.3.8(*3)県令甲第22M22.3.8M22.4.1
35山口県県令第13M22.3.3県令第15M22.3.3M22.4.1
36徳島県県令第30M22.6.29M22.10.1
37香川県県令第82M22.12.28県令第84M22.12.28M23.2.15
38愛媛県県令第62M22.11.11県令第64M22.11.11M22.12.15
39高知県県令第31M22.3.4県令第30号M22._.__M22.4.1
40福岡県県令第42・43号M22.3.13県令第42・43号([62384])M22.3.13M22.4.1
41佐賀県県告示乙第3号(*4)M22.3.26未発見(参考)M22.4.1
42長崎県県令第21・22M22.3.5県令第1819M22.3.5M22.4.1
43熊本県県令第11M22.3.4県令第10M22.3.4M22.4.1
44大分県県令甲第10M22.3.2県令甲第12M22.3.2M22.4.1
45宮崎県県令第15M22.3.29県令第17M22.3.29M22.5.1
46鹿児島県県令第26号([75041])M22.3.5県令第26号M22.3.5M22.4.1

(*1)M22.3.15は裁可日。M22.3.20に県報が出て公布された。
(*2)[62809]文末考察により修正。
(*3)広島県市町村合併史(編・出版:広島県、1961)83頁の記載により修正。
(*4)佐賀県史近代(編:佐賀県史編さん委員会、発行:佐賀県、1967)には、この告示が佐賀が市制を施行した際の根拠と書かれている(原文は確認できず)。同書には他の町村の町村制施行の根拠規定については何も触れられておらず不明。
#市制町村制の施行日と異なる日に町村の廃置分合が実施された府県については、その実施日を記した。
[76875] 2010年 11月 24日(水)15:13:51【2】むっくん さん
郡区町村編制法時の各府県布達(ver.3)
[76871]で予告しました[75044]拙稿(郡区町村編制法時の各府県布達(ver.2))の修正版です。
郡区町村編制法施行根拠、郡区町村編制法施行により成立した区の法的根拠の一覧、郡区町村編制法施行に伴い郡を分割した法的根拠、さらには郡区町村編制法施行後市制町村制施行以前に分割された郡とその法的根拠の一覧を紹介します。


(1)郡区町村編制法施行根拠
郡区町村編制法は全国同一時期に施行されたわけではありませんでした。郡区町村編制法をいつ施行するかは、各府県の布達に委ねられていました。まとめますと下記のようになります。

府県名郡区町村編制法施行根拠左記公布日郡区町村編制法施行日
開拓使乙第4号布達M12.7.23M12.7.23
青森県甲第14号布達M11.10.30M11.10.30
岩手県坤第1号布達M12.1.4M12.1.4
宮城県甲第225号布達M11.10.21M11.10.21
秋田県第379番布達M11.12.23M11.12.23
山形県乙第112号布達M11.11.1M11.11.1
福島県甲第8号布達M12.1.27M12.1.27
茨城県丙第123号布達M11.12.2M11.12.2
栃木県乙第274号布達M11.11.8M11.11.8
群馬県甲第93号布達M11.12.7M11.12.7
埼玉県甲第19号布達M12.3.17M12.3.17
千葉県甲第65号布達([76873]M11.11.2M11.11.2
東京府(※)甲第49号布達(PDF)M11.11.2M11.11.2
神奈川県甲第145号布達M11.11.18M11.11.18
新潟県甲第42号布達M12.4.28M12.4.28
石川県甲第143号布達M11.12.17M11.12.17
山梨県甲第267号布達M11.12.19M11.12.19
長野県乙第4号布達M12.1.4M12.1.4
岐阜県甲第10号布達M12.2.18M12.2.18
静岡県甲第36号布達M12.3.12M12.3.12
愛知県M11.12.20?M11.12.20?
三重県甲第1号布達M12.2.5M12.2.5
滋賀県甲第32号布達M12.5.16M12.5.16
京都府第70号布達M12.3.14M12.3.14
大阪府天第22号達M12.2.10M12.2.10
堺県甲第36号布達M13.4.15M13.4.15
兵庫県甲第1号布達M12.1.8M12.1.8
和歌山県乙第6号布達M12.1.20M12.1.20
島根県甲第1号布達M12.1.6M12.1.6
岡山県甲第110号布達M11.9.20M11.9.20
広島県甲第137号布達M11.11.11M11.11.11
山口県甲第1号布達M12.1.6M12.1.6
愛媛県甲第139号布達M11.12.16M11.12.16
高知県甲第267号布達M11.12.6M12.1.1
福岡県甲第199号布達M11.10.12M11.10.12
長崎県甲第121号布達M11.10.28M11.10.28
熊本県甲第5号布達?M12.1.20?M12.1.20?
大分県改第1号布達M11.11.1M11.11.1
鹿児島県甲第9号布達M12.2.17M12.2.17
沖縄県郡区町村編制法未実施
(※)伊豆七島、太政官布告第44号(M13.10.8)で東京府管轄となった小笠原諸島には郡区町村編制法を施行せず。
#千葉県の郡区町村編制法施行根拠を修正し、URLリンクを追加しました。


(2)郡区町村編制法の施行に伴い設置された区の一覧
郡区町村編制法の施行に伴い区も設置されました。郡区町村編制法による区の一覧を以下にまとめました。下記表での存在期間とは、郡区町村編制法による区であった期間を意味します。

府県名区名成立根拠存在期間
開拓使札幌区乙第4号布達M12.7.23~M31.9.30
函館区乙第4号布達M12.7.23~M31.9.30
宮城県仙台区甲第225号布達M11.10.21~M22.3.31
東京府麹町区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
神田区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
日本橋区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
京橋区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
芝区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
麻布区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
赤坂区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
四谷区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
牛込区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
小石川区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
本郷区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
下谷区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
浅草区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
本所区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
深川区甲第49号布達(PDF)M11.11.2~M22.4.30
神奈川県横浜区甲第145号布達M11.11.18~M22.3.31
新潟県新潟区甲第42号布達M12.4.28~M22.3.31
石川県金沢区甲第143号布達M11.12.17~M22.3.31
愛知県名古屋区M11.12.20?~M22.9.30
京都府上京区第70号布達M12.3.14~M22.3.31
下京区第70号布達M12.3.14~M22.3.31
伏見区第135号布達M12.4.11~M14.1.9
大阪府東区天第22号達M12.2.10~M22.3.31
南区天第22号達M12.2.10~M22.3.31
西区天第22号達M12.2.10~M22.3.31
北区天第22号達M12.2.10~M22.3.31
堺県堺区甲第36号布達M13.4.15~M22.3.31
兵庫県神戸区甲第1号布達M12.1.8~M22.3.31
岡山県岡山区甲第110号布達M11.9.20~M22.5.31
広島県広島区甲第137号布達M11.11.11~M22.3.31
山口県赤間関区甲第1号布達M12.1.6~M22.3.31
福岡県福岡区甲第199号布達M11.10.12~M22.3.31
長崎県長崎区甲第121号布達M11.10.28~M22.3.31
熊本県熊本区甲第5号布達?M12.1.20?~M22.3.31
(注)上記表での存在期間とは、郡区町村編制法による区であった期間を意味します。


(3)郡区町村編制法の施行に伴い分割・改称された郡の一覧
郡区町村編制法の施行に伴い分割・改称された郡もありました。郡区町村編制法施行時のみならずその後明治13年末までに分割・改称された郡の一覧を以下にまとめました。

府県名成立根拠公布・施行日郡の分割・改称
青森県甲第14号布達M11.10.30津軽郡→東津軽郡、西津軽郡、中津軽郡、南津軽郡、北津軽郡
北郡→上北郡、下北郡
岩手県坤第1号布達M12.1.4岩手郡→南岩手郡、北岩手郡
和賀郡→東和賀郡、西和賀郡
磐井郡→西磐井郡、東磐井郡
閉伊郡→西閉伊郡、南閉伊郡、東閉伊郡、中閉伊郡、北閉伊郡
九戸郡→南九戸郡、北九戸郡
秋田県第378番布達M11.12.23秋田郡→南秋田郡、北秋田郡
山形県乙第112号布達M11.11.1村山郡→南村山郡、東村山郡、西村山郡、北村山郡
田川郡→東田川郡、西田川郡
置賜郡→西置賜郡、東置賜郡、南置賜郡
福島県甲第7号布達M12.1.27会津郡→南会津郡、北会津郡
白川郡→東白川郡
白河郡→西白河郡
蒲原郡(福島県管下)→東蒲原郡
茨城県丙第123号布達M11.12.2茨城郡→東茨城郡、西茨城郡
葛飾郡(茨城県管下)→西葛飾郡
相馬郡(茨城県管下)→北相馬郡
栃木県乙第274号布達M11.11.8都賀郡→上都賀郡、下都賀郡
群馬県甲第93号布達M11.12.7群馬郡→東群馬郡、西群馬郡
勢多郡→南勢多郡、北勢多郡
甘楽郡→南甘楽郡、北甘楽郡
埼玉県甲第19号布達M12.3.17足立郡(埼玉県管下)→北足立郡
埼玉郡→北埼玉郡、南埼玉郡
葛飾郡(埼玉県管下)→北葛飾郡、中葛飾郡
千葉県甲第64号布達M11.11.2相馬郡(千葉県管下)→南相馬郡
葛飾郡(千葉県管下)→東葛飾郡
甲第81号布達M11.11.18埴生郡(下総国)→下埴生郡
埴生郡(上総国)→上埴生郡
東京府甲第49号布達(PDF)M11.11.2多摩郡(東京府管下)→東多摩郡
豊島郡→南豊島郡、北豊島郡
足立郡(東京府管下)→南足立郡
葛飾郡(東京府管下)→南葛飾郡
神奈川県甲第145号布達M11.11.18多摩郡(神奈川県管下)→西多摩郡、南多摩郡、北多摩郡
新潟県甲第42号布達?M12.4.28?蒲原郡→北蒲原郡、中蒲原郡、西蒲原郡、南蒲原郡
魚沼郡→北魚沼郡、南魚沼郡、中魚沼郡
頸城郡→東頸城郡、中頸城郡、西頸城郡
石川県甲第143号布達M11.12.17新川郡→上新川郡、下新川郡
山梨県甲第267号布達M11.12.19山梨郡→東山梨郡、西山梨郡
八代郡→東八代郡、西八代郡
巨摩郡→南巨摩郡、中巨摩郡、北巨摩郡
都留郡→南都留郡、北都留郡
長野県乙第4号布達?M12.1.4?佐久郡→南佐久郡、北佐久郡
高井郡→上高井郡、下高井郡
水内郡→上水内郡、下水内郡
筑摩郡→東筑摩郡、西筑摩郡
安曇郡→南安曇郡、北安曇郡
伊那郡→上伊那郡、下伊那郡
岐阜県甲第10号布達M12.2.18石津郡→上石津郡、下石津郡
愛知県甲第190号布達M11.12.20設楽郡→北設楽郡、南設楽郡
加茂郡→東加茂郡、西加茂郡
甲第16号布達M13.2.5春日井郡→東春日井郡、西春日井郡
三重県甲第1号布達M12.2.5牟婁郡→北牟婁郡、南牟婁郡
滋賀県甲第61号布達M13.5.29浅井郡→東浅井郡、西浅井郡
京都府第70号布達M12.3.14桑田郡→南桑田郡、北桑田郡
和歌山県乙第6号布達M12.1.20牟婁郡→東牟婁郡、西牟婁郡
乙第9号布達M12.1.20牟婁郡が東牟婁郡, 西牟婁郡に分かれたのは行政上のみ
乙第96号布達M12.5.6牟婁郡が地理上においても東牟婁郡、西牟婁郡に分かれる
愛媛県甲第139号布達M11.12.16浮穴郡→上浮穴郡、下浮穴郡
宇和郡→西宇和郡、東宇和郡、北宇和郡、南宇和郡
長崎県甲第121号布達M11.10.28彼杵郡→西彼杵郡、東彼杵郡
高来郡→北高来郡、南高来郡
松浦郡→北松浦郡、南松浦郡、東松浦郡、西松浦郡
大分県改第1号布達M11.11.1国東郡→西国東郡、東国東郡
海部郡→北海部郡、南海部郡
#千葉県の郡名変更の根拠である甲第64号布達のURLリンクを新たに付け加えました。また、同じく千葉県の郡名変更の根拠である甲第81号布達を新たに追記しました。


(4)郡区町村編制法が施行されている時に分割された郡
郡区町村編制法が施行された後、市制町村制が施行されるまでに分割された郡の一覧を以下にまとめました。ただし(3)との重複を避けるため、明治14年以降のみに限定しています。

府県名成立根拠公布・施行日郡の分割・改称
宮崎県太政官布告第19号M16.6.4宮崎県諸県郡→鹿児島県南諸県郡、宮崎県北諸県郡
鹿児島県勅令第7号M20.4.2伊佐郡→南伊佐郡、北伊佐郡
大隅郡→南大隅郡、北大隅郡
囎唹郡→東囎唹郡、西囎唹郡
栃木県勅令第32号M22.3.13寒川郡、下都賀郡→下都賀郡(編入合併)
#市制町村制施行直前の栃木県の郡廃止の根拠規定を新たに付け加えました。


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