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[73436] 2009年 12月 29日(火)22:15:4688 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.15 市制町村制施行時等における飛地・入会地等の表記方法について
市区町村変遷情報の編集作業における、全体的な話について少し述べます。

最近、私自身の作業において、市制町村制施行に関する一連の作業が、そのほとんどを占めています。
私は市制町村制施行・明治の大合併における町村の名称や、町村の全部か一部か等については、主として「幕末以降総覧」を一次資料としております(略称は[55681]冒頭)。今では市制町村制施行の根拠となる各府県令をご紹介いただいていますので、「幕末以降総覧」の記載を基に、府県令を見て修正作業を行っています(作業の効率上の都合)。この市制町村制施行時における独特の事例について2点紹介いたします。

★その1 従前の村のほんの一部を事実上分割する場合
市制町村制施行時前は、町村(特に村)の区域は、かなり錯綜していたようです。従前の村落の形態がかなり複雑であったためでしょう。「幕末以降総覧」では、市制町村制施行時に、A村が、A村(本体)と、A村のほんの一部(B村の中にある小さな飛地であるなど、小字単位にもならないくらいの小さいもの。田数枚程度の規模のことも)に分かれる場合、「A村」「A村飛地」というという表現になっていたり、そもそも「一部」の存在を省いたりしています。
この根拠となる府県令では、「幕末以降総覧」と同様に「A村」「A村飛地」と表現していたり、「一部」の字名や面積を詳細に記したりしています。
●例1・・・兵庫県(M22.2.22兵庫県令第24号)
「幕末以降総覧」「兵庫県令」とも
菟原郡精道村:深江村飛地
菟原郡本庄村:深江村
菟原郡本山村:深江村飛地
菟原郡魚崎村:魚崎村
菟原郡住吉村:魚崎村飛錯地
(注:町村名は抜粋(以下も同様))
このように、深江村、魚崎村の本体(大半)は本庄村、魚崎村となりましたが、他の村に組み入れられた区域があります。しかし、本来の根拠である兵庫県令や「幕末以降総覧」では、表現を簡略化しています。
●例2:和歌山県:(M22.2.22付け和歌山県令第15号)
「幕末以降総覧」
名草郡西和佐村:(名草郡松嶋村 なし)
名草郡四箇郷村:名草郡松嶋村
「和歌山県令」
名草郡西和佐村:名草郡松嶋村ノ内字上新田反別拾弐町弐反三畝拾八歩
名草郡四箇郷村:名草郡松嶋村但字上新田反別拾弐町弐反三畝拾八歩ヲ除ク
和歌山県令では、詳細に記述されています。しかし、「幕末以降総覧」では、この記述を省いており、松嶋村はすべて四箇郷村になったかのように見えます。

この例1・例2の両方とも、いわゆる「本村部分」についても、市区町村変遷情報においては「○○村の一部」と表現するようにしております。藩政村・大字単位の分割ではないので、編集対象から省くという考え方もあるのですが、境界変更とは異なり、新設時の根拠規定そのものに記載されているという観点から、「○○村の一部」という表現で対応しております。
なお、いわゆる「本体」とみなしている部分があることが府県令から読み取れる場合もあるのですが、どちらが「本体」か、という判断を迫られる例もありそうですので、敢えて、本体・飛地等と思われるもの双方ともに「○○村の一部」という表現に統一しています。この考え方は、市制町村制施行時以降の新設合併・編入合併の例でも同様です。
なお、試行品が日の目を見たときには、あくまで概要を示す「わかりやすさ」を重視し、この飛地等の「○○村の一部」は省いて表記しようかと思っています。正確な情報については、現在編集作業を行っている個別の情報に委ねる、と、役割分担をしたほうがよいかと考えています。

★その2 「入会地」の場合
「入会地」については、「幕末以降」「県令」ともに、「A村B村入会地」と丁寧に記しています。この入会地は、A村でもB村でもありませんので、そのままきちんと記載するか、割り切って割愛するかのどちらかになります。
入会地は、薪炭用などの山林や、カヤなどを植えた草刈場ですから、面積は町村本体に比すると小さいでしょう。(明治22年という時代背景をも窺うことができます。)
●例3:富山県(M22.3.19富山県令第37号)
「幕末以降総覧」「富山県令」とも
上新川郡下タ村:蘆生村, 今生津村, 布尻村, 町長村, 吉野村, 吉野村外四ヶ村入会地, 蘆生村今生津村入会地, 布尻村町長村入会地
(注:現時点では、まだ富山県の市制町村制施行時の情報は編集(入力)作業を行っておりません。)

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これらは、現時点で私が考える編集方針であり、皆様のご意見をいただければ幸いです。
[73447] 2009年 12月 30日(水)07:43:10oki さん
昔の飛地と来年の勝負
三回連続投稿で申し訳ないのですが、見過ごせない書き込みがあったもので。

[73436] 88 さん 市制町村制施行時等における飛地・入会地等の表記方法について

88さま。市区町村変遷情報の入力、誠に、誠にご苦労様です。
私も、徳島などで天保郷帳~明治合併期の町村変遷について整理をはじめたことがあるので、この作業にどれだけの時間と労力が必要かは分ります。あれだけのデータを入力・整理されていることには、ただただ感謝、との思いだけです。
その上で、あえて言わせていただくのですが(この点については前々から考えていたのです)、少なくとも明治合併期に関しては、本村部分、飛地部分の両方について同じように「○○村の一部」とする現在の表現方法は、改めた方が良いと思います。各村がどのように合併したのかが非常に分りにくくなる場合があるからです。
実例を挙げます。私が現在住んでいる東京都江戸川区(当時は南葛飾郡)における3村の事例です。

小松川村:
西小松川村の一部, 逆井村, 東小松川村の一部
松江村:
西一ノ江村の一部, 東小松川村の一部, 西小松川村の一部
船堀村:
西船堀村, 東船堀村, 西宇喜田村の一部, 桑川村の一部, 西一ノ江村の一部, 東小松川村の一部, 西小松川村の一部

以上挙げた3村のいずれにも、「西小松川村の一部」、「東小松川村の一部」が出現しており、「西一ノ江村の一部」は2村にあります。
落書き帳のメンバーの皆さんであれば、小松川村は西小松川村と逆井村の合併村、松江村は西一ノ江村と東小松川村、船堀村は東西船堀村で、ほかはすべて狭小な飛地だろうと見当がつくと思います。しかし、市区町村変遷情報を閲覧しているのは常連メンバーだけではないはずで、この種の情報にあまり詳しくない人が見た場合、以上のような表記法だと、東小松川村や西小松川村がどのように合併したのか、混乱を来す畏れが強いのではないでしょうか。
そのような事態を回避するには、例えば次のような表記が求められるのではないかと思います(あくまで例です。実際の表記法はさらに工夫する必要があります)。

小松川村:
西小松川村(本体), 逆井村, 東小松川村(飛地)
松江村:
西一ノ江村(本体), 東小松川村(本体), 西小松川村(飛地)
船堀村:
西船堀村, 東船堀村, (以下すべて飛地 西宇喜田村, 桑川村, 西一ノ江村, 東小松川村, 西小松川村)

あるいは、変遷情報の表にはあえて飛地の村を表示せず、「本体」の表記も省略して、これらを「詳細」部分だけに記述してもいいのかもしれません。いずれにせよ、現在の表記法は改善した方が良い、と考えます。
なお、ここには例がありませんが「どちらが本体か、という判断を迫られる」微妙な場合は、その場合に限って「○○村(一部)」などの表現を使えばいいと思います。
また、関連して言うと、変遷情報の参考文献としては「幕末以降総覧」などの刊本しかあげられていませんが、少なくとも明治合併時のデータについては、府県令でのチェックを行なっているのですから、その旨を明記するとともに、デジタルライブラリーの該当府県令へのリンクを張っておいた方が良いのではないでしょうか。「飛地」が現在のどの地域に該当するのか気になる人には、元データである府県令を見てもらうことにしても良いですし。

もちろん、これ以上88さんの負担を増やすのは本意ではないので、ご自身がもっともやりやすい手法をとっていただければと思いますが、以上の点も考慮してもらえれば有り難いです。

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本日、ネット環境のない実家に帰省しますので、今年の書き込みはこれが最後です。いろいろと楽しませていただいて有難うございました。来年もよろしくお願いいたします。
前回の十番勝負は見送りましたが、今回は参加したいと思っています。帰京してからの参戦なので、完答できれば御の字でしょうが。

では、皆様良いお年を。
[73497] 2009年 12月 31日(木)21:59:28【1】88 さん
市区町村変遷情報 苦悩日記 No.16 市制町村制施行時等における飛地・入会地等の表記方法について 2
[73447] oki さん
市制町村制施行時・明治の大合併時の、飛地の取扱いについてのご意見、どうもありがとうございます。
少なくとも明治合併期に関しては、本村部分、飛地部分の両方について同じように「○○村の一部」とする現在の表現方法は、改めた方が良いと思います。各村がどのように合併したのかが非常に分りにくくなる場合があるからです。
ご懸念はごもっともです。私自身、この点は問題があると思っていますので、基本的には全面的に同意します。しかし、その手法を採るには、大きく分けて2つの点で問題があり、方針として踏み切れなかったのです。これさえクリアできれば、対応したいのが本音です。
言い訳っぽくなってしまいますが、以下に述べます。

●1 「本体」「一部」「飛地」の判断基準及び表現方法について
[73436]でご紹介した兵庫県の例で具体的に書きます。M22.2.22兵庫県令第24号自体が「深江村」「深江村飛地」、「魚崎村」「魚崎村飛錯地」と表現していますので、本体云々については判断することはありません(仮にクレームがあっても「県令の表現どおり」と開き直ることができます)。
もっとも、この場合でも、
(1)「本体」と記載するか否か(ex. 深江村 or 深江村(本体) or その他)。
(2)「飛地」「飛錯地」の違いは何か。他の例で、これ以外の表現はないか。
(3)飛地ではないが他村に組み込まれる場合は「一部」でよいか。また、この場合、飛地か、飛地ではないか、はどのような方法で確認するのか。
同じく、和歌山県の例で述べます。M22.2.22付け和歌山県令第15号では「松嶋村ノ内○○」が西和佐村に、「松嶋村但○○ヲ除ク」が四箇郷村に、であるので、「松嶋村但○○ヲ除ク」の方が面積も広いと推察し、松嶋村本体であると「判断する」ことになります。
(4)本当に「本体」は四箇郷村となったのでよいのか(判断の確認)。仮に、今回の松嶋村の例はともかく、面積が大きくても表現しやすいので「△△村ノ内□□」という例があるのではないか。
(5)「本体」と表現するか否か(ex. 松嶋村 or 松嶋村(本体) or その他)。
(6)「松嶋村ノ内○○」は「松嶋村の一部」と表現するのでよいか。また、これは飛地なのか、飛び地でないのか。これをどのような方法で確認するのか。

兵庫県・和歌山県の例はほんの一部ですので、他府県の検証を含めて、表現方法の統一化などの検討が必要です。

●2 市制町村制施行時・明治の大合併時より後の市区町村変遷情報との整合について
上記1をクリアしたとして、方針が2つ考えられます。
例えば、H18.3.1付けで山梨県西八代郡上九一色村が、北部(梯,古関)は甲府市へ、南部(富士ヶ嶺,本栖,精進)は南都留郡富士河口湖町へと分かれて編入して消滅した件についての表現を、どうするか、です。
(a)市制町村制施行時も、それ以外も統一する。
・何らかの基準(人口、面積、旧町役場の位置、等)により、北部または南部どちらかが「本体」と判断する
→2分割は昭和の大合併では多数あり、3分割や4分割もある。同様に行おうとすると、現実には判断することが困難である。
(b)市制町村制施行時と、それ以外を別の方針とする。
←市制町村制施行は、それ以前の町村の状況が江戸時代の所有形態や村落状況などが複雑なままで特別な状況であることも背景にある。それ以降の合併と同一視することは適当ではない。
・本例ではそのままとする
実は、現在では「上九一色村(北部)」「上九一色村(南部)」と表記されています。実は、これは、グリグリさん or でるでるさんが市区町村変遷情報の黎明期に編集を行ったものであり、「一部」という表現は、私が編集作業に参加してから私が独自に使用を開始したような気もします。

(b)の方が現実的であるとは思います。しかし、将来の市区町村変遷情報の検索等のプログラム化・データベースとしての機能の活用を考えたときに、ダブルスタンダードというのを避けたい気持ちもあります。


この件につきましては、okiさんをはじめ、皆様のご意見をさらにいただければ幸いです。引き続き検討したいと思います。
[73753] 2010年 1月 7日(木)23:37:47【4】むっくん さん
Re:市制町村制施行時等における飛地・入会地等の表記方法について
[73436][73497]88さん
市制町村制施行時等における飛地・入会地等の表記方法について、以下に私見を書きたいと思います。

市区町村変遷情報においては、市制町村制施行時もそれ以外のときも、各村の「本体」がどのように合併したのかが分かることが最も重要なのではないかというのが私の考えです。
とするならば、A村が市制町村制施行に際し複数の村(B村,C村,D村)に分かれたのであるならば、A村の本体がB村,C村,D村のいずれに行ったのかが一目で分かることがまず必要だと思います。そのため、
(1)「本体」と記載するか否か
ということに関しては勿論Yesで深江村(本体)などと表記した方が利便性が高いと思います。
もちろん一つの村の各字ごとに分かれる2分割や3分割や4分割がなされたためにどの部分が本体かが判断できない場合もあると思います。
その場合、例えば愛媛県(市制町村制施行時)の#124久米郡久米村のところでは、「南土居村の一部(字上組)」とでも表記すればよいのではないでしょうか。

そして「本体」「一部」「飛地」の判断基準の方法としては、新旧対照市町村一覧(編著:和泉橋警察署、出版:加藤孫次郎、M22.12.(香川・愛媛県の部分はM23.6.))(第1冊第2冊)を使うのが良いのかもしれません。
明らかに本体とわかる部分には「○○村の一部」に相当する「○○村ノ内」との記載がありません。そして、どの部分が本体かが判断できない場合では複数箇所に「○○村ノ内」との記載となっています。
また本来は「一部」区域が存在するので「○○村ノ内」と書くべきところでも省略されている箇所もあります。これはおそらくかなり小さな区域なのではないかと推測します。
飛地については「飛地」全体である時は「○○村飛地」と記載されているようですが、東京府のように飛地でも一部区域にとどまる場合は「○○村ノ内」という表記になっているようです。
私が今まで見てきた範囲(少なくとも西日本の各府県)では上記のような編集方針であると私は推察します。

(2)「飛地」「飛錯地」の違いは何か。他の例で、これ以外の表現はないか。
大阪府では府令には記されていませんが「共有地」「錯雑地」という表現があります。(詳細は後述)
また徳島県では「飛入地」「差込地」という表現があります。(参考:県令第30号(M22.6.29))

(3)飛地ではないが他村に組み込まれる場合は「一部」でよいか。
に関しては「一部」でよいと思います。
またこれに関連してですが、飛地ではない一部地区及び飛地を含むところも「一部及び飛地」ではなくて「一部」とした方が「本体」の変遷を主とする立場からは分かりやすいのではないかと思います。
例えば愛媛県(市制町村制施行時)の#139周布郡小松村のところでは、「玉之江村の一部及び飛地」ではなくて「玉之江村の一部」との記載となります。
#ただし[73754][73755][73756]では県令第64号との照合の便宜を考え、「一部地域及び飛地」という表現にしています。

(3)(6)飛地か、飛地ではないか、はどのような方法で確認するのか。
飛地か飛地ではないかを、一々調べるのは実際上無理があると思います。
そこで主要部分の変遷に比して重要性が落ちることに鑑み、県令に記載があるところのみを市区町村変遷情報に記載すれば充分なのではないでしょうか。

最後に
兵庫県・和歌山県の例はほんの一部ですので、他府県の検証を含めて、表現方法の統一化などの検討が必要です。
ですが、一例として大阪府の市制町村制施行時の状況を紹介します。
大阪府史第七巻(編:大阪府史編集専門委員会、出版:大阪府、1989)には附図「市制町村制施行直前行政区画図(明治22.3.31)」があり、ここでは大阪府の市制町村制施行前(M22.3.31)と市制町村制施行直後の区域が記載されています。
ここでは例えば、(ア)唐崎村三島江村共有地、(イ)佐井寺村飛地、(ウ)千林村今市村錯雑地、といった共有地や飛地や錯雑地が記載されています。
しかし(ア)は唐崎村(本体)や三島江村(本体)と共に島上郡三箇牧村となり、(イ)は佐井寺村(本体)と共に島下郡千里村となり、(ウ)は千林村(本体)今市村(本体)と共に東成郡古市村となりました。そして(ア)(イ)(ウ)の類例もいずれもその本体の村々と共に同一村を構成することになりました。
ところが合併根拠の府令第17号では記載されていません。
これは、同一村を構成することになったために記載する実益がなくなり、意図的に省略されたものと推測されます。
このような事例をも念頭においておく必要もあります。

・余談1
本筋からずれますが、三重県のように自治体名ではない区域が根拠たる県令に書かれている場合があります(拙稿[70709]参照)。この場合をどのようにするかです。

・余談2
入会地は、薪炭用などの山林や、カヤなどを植えた草刈場ですから、面積は町村本体に比すると小さいでしょう。
大きさという観点でみますと、大阪府島上郡大冠村の一部となった“辻子村外2村錯雑地”は辻子村(本体)よりも面積は大きくなっています。同じようなことが「入会地」の場合についてもあるかもしれず、入会地の面積は町村本体に比すると小さい、とは必ずしも言えないかもしれません。

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さて、色々述べてきました。
議論を発展させるには、実例を交えてみるのもいいのかもしれません。
というわけで、市区町村変遷情報(市制町村制施行時)・愛媛県でどうなるかを見てみました。修正依頼(実はこちらが主だったりする)もついでに行いつつですが。。。

次稿に続きます。

【1】「飛地」「飛錯地」以外の表記法について追記
【2】誤字修正
【3】「本体」「一部」「飛地」の判断基準の方法について追記
【4】誤字修正


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