今回の十番勝負「問五」の共通項は、「全国苗字ランキングの300位以内に入る市」。そこで、自称「落書き帳の苗字ネタ四天王」の末席に身を置く者(
[71986])として、この「苗字と地名」のお話を始めてみたいと思います。
「日本の苗字」については、その種類とか歴史・由来などはここでは専門の方にお任せすることとして、まず最初に「苗字分布の地域差」について取り上げてみましょう。日本の苗字分布については、
こちらのHPに概略が記されていますが、私もデビュー間もない頃に書き込んだ「東日本と西日本の苗字タイプの境界」(
[59428])や、やはりデビュー1周年を迎えるにあたってシリーズで取り上げた「
ふるさとの苗字巡り」にある通り、人の移動が進んだ現在でも、まだまだ「地域による苗字の違い、地域の特徴的な苗字」はかなり残っているのではないでしょうか。今回の十番勝負の感想文の中にも、そのことをうかがわせる記事がいくつかあります。
[73972]MasAkaさん
千葉・成田・三浦・菊池の4つはいずれも東北地方に多い苗字
[73964]桜トンネルさん
千葉さんや三浦さんがそんな上位にまであがるほど多いのかどうかだけ不安だったので、確認してみると千葉さんが90位、三浦さんが45位だということには驚きました
「千葉」「成田」「三浦」はいずれも関東地方の地名に由来する苗字(このうち「成田」さんには下総(成田市)発祥もあるようですが、多くは現在の埼玉県熊谷市辺りにあった古い地名から興ったとの由)ですが、現在は関東よりもずっと東北のほうが圧倒的に多く、「千葉」さんは岩手・宮城で4-6位、「成田」さんは青森県で5位に入り特に津軽地域に集中。「三浦」さんは東北に広く分布し秋田県で7位、宮城・岩手・青森・北海道でも20位以内に入ります。「成田」さんのところで出たついでですが、「熊谷」さんも東北に多い苗字です。「菊池」さんは、肥後(熊本県菊池郡・市)の古くからの名族なのですが、この苗字がなぜ東北に増えたのかは、
[71948]にあるように「謎」が多いようです。
一方、兵庫県民の桜トンネルさんが「千葉」さんや「三浦」さんが全国ランキングの上位に入っていることに驚かれたのは無理もないことと思います。
兵庫県の苗字ランキングを見ると、「三浦」さんはそれでも102位に入っていますが、「千葉」さんは300位にも入りません。「千葉」さんは前記の通り宮城・岩手の両県に集中しており、この両県だけで全国の4割以上を占めています。千葉県でも県ランク100位前後に入りますが、東京寄りに住んでいる「千葉」さんの中には、東北から祖先の地に「里帰り」してきた人も多いのではないかと思います。
なお、兵庫県は5ヶ国(+2)の「合体」によるというその成り立ちから、阪神地域では標準的な関西型に近いのですが、そこから離れるにつれて、その地域に独特の苗字が多く見られます(
[65508])。先ほどの県ランキングを見ても、あるいは桜トンネルさんを初め阪神地域のメンバーの方にはなじみが薄い一方、今川焼さん・k-aceさん・播磨坂さんといった方々にはそれぞれ非常に身近、といった苗字が見つかるかもしれませんね。
[74024]らるふさん
中村市や山田市が無くなったのが、なんとなく残念
ランキング上位の苗字で、このほかに「平成の大合併」で市名が消滅してしまったものには、清水・石川・上野・古川・平田などがあります。町村・郡・区の名に使われているものには、前記の中村・山田・清水・石川・上野・平田のほか、山本・吉田・森・中島・小川・石井・青木・松田・中川などがあります。