[75146] hmt さん
その所在地を調べると指扇小学校付近で、地形図から読み取れる標高は10m程度です。塔の上に存在?
そうかもしれません。
たとえば,江戸川区の平井7丁目の(旧)中川の近くにある三等三角点(点名:中平井)の標高は 40.03メートル。三角点の記号の下には「海抜0メートル」の等高線が走っていて,ここの地面が標高40メートルもあるはずがありません。
どうも都営住宅の屋上にあるようで,そこの高さのようですね。
そもそも「三角点」は“位置の基準点”であって,“高さの基準点”ではありません。地図上において三角点が表しているのは三角形の記号の中にある“点の位置”であり,標高は三角点が表すべきデータではありません。言い換えると,三角点が表す 緯度・経度・標高 の3つのデータのうち,地図の上で意味があるのは 緯度・経度 の2つだけであり,そこに記載されている標高の値はその点が“現にある場所”の高さを表しているにすぎません。
多くの場合,三角点は地面に置かれているので,そこに記載されている値を地面の高さとみなしてよいのですが,たとえば「中平井」のようにビルの屋上にあることもままあります。
三角点は,かつて目視で三角測量(位置を測量する)を行っていた時代から設置されているものであって,大事なことはその場所の“高さ”を示すことではなく,位置を測量するために“目立つ”ことにあります。三角鎖を構成するほかの三角点からよく見えること。
※補足
あるいは,昔は地面の上に三角点があったのだけれども,そこに建物がたてられたために三角点の“位置”(緯度・経度)は変えることなく,そのまま屋上へ移転,なんてこともあるかもしれません。ふじみ野市役所は,この例?
もちろん,三角点そのものがほかの地点に移設されることもよくあります。たとえば,厚木市北部の丘陵にある「鳶尾山」という三角点は極めて重要な一等三角点の1つなのですが,一時期,この山を離れて中津川をはさんだ愛川町の中津小学校の校庭に置かれていました。12年ほど前に訪れたときにはまだその小学校にあったのですが,いつの間にか鳶尾山に帰ったようです。
三角点が山頂にあるとは限らないのも同じ理由です。山の高さを表すことが三角点の使命ではないからです。
したがって,“地面の高さ”を知るために三角点の標高値を用いるのはあまり適当ではありません。そこに記載されているのは地面の高さではなく,三角点のある位置の高さだからです。
「多角点」が第一義的に表すべき値も,“高さ”ではなく“位置”なのでしょう。
“高さ”についての測量は水準測量によって行われてきました。
理屈の上では,最初に東京湾の海岸で「東京湾の平均海面」の高さを確定してこれを「標高0メートル」とし,海岸から一足ずつ“高さの差”を厳密に計測してその地点の標高を厳密に求めます。そうして求められた“高さの基準点”が「水準点」です。水準点が多くの場合,明治以来の古い街道沿いにあるのは,その街道を通って一足ずつ高さを測ってきたからです。
まあ,そんなわけですから,標高に関しては三角点の数字はたぶん「参考値」としてしか使えません。