[80386] オーナー グリグリさん
変遷情報検索を使って、明治、大正、昭和の名称の町村を抽出してみました。
町村制施行時に生まれた「明治村」は、
[80386]第1リストの冒頭に示されているように 21村あります。
この内、千葉県と神奈川県の合計3村は、町村制施行前日の合併です。
21村に明治末年までに誕生した3村(同リスト#22~24)と、“昭和になってから生まれた”福島県伊達郡明治村(同リスト#39)とを加えると、町村制下での明治村は
[80386]でまとめられているように「25村」です。
「抽出対象として市制町村制施行時前の町村情報も含め」「検索対象:変更対象自治体名/変更内容欄」として「明治」を検索すると、更に2村 「明治の大合併で消えた明治村」があった ことがわかりました。
郡区町村一覧
[62815]に掲載されていることから わかるように、
岡山県川上郡 と
大分県東国東郡 との2つの「明治村」は、郡区町村編制法により編制された最も古い明治村であろうと考えられます。
大正村の誕生は8村中6村が大正2年~4年と、大正のイメージが新鮮だった初年に集中しています。
昭和は長いし、戦後の昭和大合併もあるので、大正ほどではないが、やはり初年に多くの昭和村(町)が誕生しました。
それ以来、昭和大合併で村数が激減するまでの間、同じ県内に明治・大正・昭和が 同時に共存した事例を探ってみました。
場所は、窪川から四万十川に沿って下る予土線沿いです。川を下るのに、どんどん海から離れて行く奇妙な地形。土佐大正駅と土佐昭和駅とが隣接しています。2006年 四万十町になっていますが、大正・昭和という旧村名は、幡多郡東上山村・西上山村からの改称で、元からのペア だったことを今回知りました。
少し離れて明治村が2つあり、結局 昭和3年から昭和29年までの間、明治・大正・昭和が 高知県内の4町村に共存していたことになります。
もう一つ、奈良県にも添上郡明治村、南葛城郡大正村、生駒郡昭和村のトリオが 昭和10年から昭和28年まで共存。
平成はありません。
平成という年号が新鮮に響いた時代には、新自治体の誕生が殆どなく、利用される機会がなかったのですね。
そんな中で、自治体ではないが 地図に出ているのが「平成筑豊鉄道」。
国鉄伊田線・糸田線・田川線を引き継ぐ三セク鉄道会社の社名決定日が 1989年1月7日でした。
この日に昭和天皇崩御、新元号「平成」の発表 というわけで、急遽平成を冠した社名に決定したそうです。
もっと最近訪れた時代の節目は、「2001年 = 第3千年紀(第3ミレニアム)の初年」でした。
さすがに「ミレニアム市」は誕生していませんが、太平洋のミレニアム島
[71808]を記しておきます。
[71804] k-ace さん によると、掛川市に「22世紀の丘公園」があるそうですが、「21世紀」の付いた地名は どこかに作られているでしょうか?
松戸市の「二十世紀が丘梨元町」
[29051]などの地名は、直接に時代を記録したものでなく、梨の品種に基づくものでしょう。
二十世紀梨の原木は、1888年(19世紀)に、梨農家の息子・松戸覚之助
[29048]が
旧大橋村 で 発見。二十世紀が丘梨元町には大橋小学校があるので、まさにこの付近が梨の故郷の旧大橋村と思われます。
「二十世紀」と命名されたのは、20世紀になる直前の 1898年とか。西暦など殆んど使われていなかった頃ですから、極めて目新しい品種名と思われます。
【追記】
1940年は 皇紀(神武天皇紀元)2600年にあたり、大戦直前の時代の神頼み日本は大々的な祝賀気分に包まれました。
それより少し後ですが、1944年紀元節に行なわれた埼玉県北足立郡志木町などの戦時合併
[37842]。
「紀」の字を使った
「志紀町」 も 「時代を記録した地名」です。
…ということで、変遷情報で「紀」を検索してみましたが、同じ時代の類例はありませんでした。
「紀」を使った自治体は、紀伊国に関係する和歌山県と三重県の他、大阪府の志紀郡、兵庫県の多紀郡の関係で、近畿地方に多いことがわかりました。