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『小倉百人一首』

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編集者:油天神山

「小倉百人一首」に登場する地名を集めて、現代の地図に場所を示してみました。歌に地名が出てこなくても、勅撰和歌集の詞書等から歌の舞台が推定されているものは掲載しています。
何分にも七世紀から十三世紀にかけて詠まれた和歌の世界であり、正確な場所を知らないままに地名を詠み込んだ歌を作ることは、この時代にはごく普通のことでした。ですから、現在の場所については諸説あるものや、実在するかどうか、そもそも地名かどうかも疑わしいものがいくつもあります。そうした異説は備考欄に示しました。
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コレクション数:48 件/最新更新日:2016.10.23
番号作者所在地現在の名称、備考
春すぎて夏来にけらし白妙の
   衣ほすてふ天の香具山
持統天皇奈良県橿原市天香久山
田子の浦(1)にうち出でてみれば白妙の
   富士(2)の高嶺に雪は降りつつ
山部赤人(1)静岡県富士市
(2)静岡県富士宮市他
(1)蒲原近辺とする説も
天の原ふりさけ見れば春日(1)なる
   三笠の山(2)に出でし月かも
安倍仲麿奈良県奈良市『古今集』左注に「明州といふ所の海辺にて・・・」とある。中国浙江省寧波
(2)春日山(御蓋山)
九州説も。福岡県太宰府市他
わが庵は(1)のたつみしかぞ住む
   世を宇治山(2)と人はいふなり
喜撰法師(1)京都府京都市
(2)京都府宇治市
喜撰山
これやこの行くも帰るも別れては
   しるもしらぬも逢坂の関
蝉丸滋賀県大津市
十一和田の原八十島かけて漕ぎ出ぬと
   人には告げよあまの釣舟
参議篁島根県隠岐郡『古今集』詞書に「隠岐の国に流されける時に・・・」とある。
「八十島」を難波とする説も
十二天津風雲の通ひ路吹とぢよ
   乙女の姿しばしとどめむ
僧正遍照京都府京都市『古今集』詞書に「五節の舞姫をみてよめる」とある。宮中での作
十三筑波嶺(1)の峰より落つる男女の川(2)
   恋ぞつもりて淵となりぬる
陽成院茨城県つくば市(1)筑波山
(2)→男と女
十四陸奥のしのぶもぢずりたれ故に
   乱れそめにしわれならなくに
河原左大臣福島県、宮城県、
岩手県、青森県
しのぶもぢずり=陸奥国信夫郡特産の布。現在の福島県福島市
十六たち別れいなばの山の峰に生ふる
   まつとしきかば今帰り来む
中納言行平鳥取県鳥取市稲葉山
因幡国の山」とも解される
十七ちはやぶる神代もきかず龍田川
   からくれなゐに水くくるとは
在原業平朝臣奈良県生駒市他奈良県生駒郡三郷町付近の大和川説もあり
十八住の江の岸に寄る波よるさへや
   夢の通ひ路人目よくらむ
藤原敏行朝臣大阪府大阪市住之江区
十九難波潟みじかき蘆のふしの間も
   あはでこの世をすぐしてよとや
伊勢大阪府大阪市
二十わびぬれば今はたおなじ難波なる
   みをつくしても逢はむとぞ思ふ
元良親王大阪府大阪市
二十四このたびは幣もとりあへず手向山
   紅葉の錦神のまにまに
菅家京都府・奈良県境?手向山は地名ではないとする説が有力。若草山説も
二十五名にし負はば逢坂山のさねかづら
   人に知られでくるよしもがな
三条右大臣滋賀県大津市
二十六小倉山峰のもみぢばこころあらば
   今ひとたびのみゆき待たなむ
貞信公京都府京都市右京区
二十七瓶の原(1)わきて流るる泉川(2)
   いつみきとてか恋しかるらむ
中納言兼輔(1)京都府木津川市
(2)京都府木津川市他
(2)木津川
三十一朝ぼらけ有明の月とみるまでに
   吉野の里にふれる白雪
坂上是則奈良県吉野郡吉野町他
三十二山川に風のかけたるしがらみは
   流れもあへぬ紅葉なりけり
春道列樹京都府京都市左京区・
滋賀県大津市
『古今集』詞書に「志賀の山ごえにてよめる」とある
三十四たれをかも知る人にせむ高砂
   松も昔の友ならなくに
藤原興風兵庫県高砂市
三十五人はいさ心もしらすふるさとは
   花ぞ昔の香ににほひける
紀貫之不詳
京都府または奈良県
『古今集』詞書に「初瀬にまうづるごとにやどりける人の家に・・・」とあり、都と初瀬の間
四十二契りきなかたみに袖をしぼりつつ
   末の松山浪越さじとは
清原元輔宮城県多賀城市浪打峠説もあり。
岩手県二戸市・二戸郡一戸町
四十六由良の門を渡る舟人かぢを絶え
   行方も知らぬ恋のみちかな
曽禰好忠和歌山県日高郡由良町・日高町丹後説もあり。
京都府宮津市・舞鶴市
四十七八重葎しげれる宿のさびしきに
   人こそ見えね秋は来にけり
恵慶法師京都府京都市下京区『拾遺集』詞書に「河原院にて・・・」とある。現在の渉成園
四十九みかきもり衛士のたく火の夜はもえ
   昼は消えつつ物をこそ思へ
大中臣能宣朝臣京都府京都市「御垣守」は御所を警護する兵士
五十一かくとだにえやは伊吹のさしも草
   さしも知らじな燃ゆる思ひを
藤原実方朝臣滋賀県米原市伊吹山
五十五滝の音はたえて久しくなりぬれど
   名こそ流れてなほ聞えけれ
大納言公任京都府京都市右京区名古曽の滝跡。大覚寺境内
五十八有馬山(1)猪名(2)のささ原風吹けば
   いでそよ人を忘れやはする
大弐三位(1)兵庫県神戸市北区
(2)兵庫県伊丹市他
(1)六甲山外縁の山とされるが詳細不明
六十大江山(1)生野(2)の道の遠ければ
   まだふみも見ず天の橋立(3)
小式部内侍(1)京都府福知山市他
(2)京都府福知山市
(3)京都府宮津市
(1)大枝山(=老ノ坂)説も。
京都府京都市西京区・亀岡市
六十一いにしへの奈良の都の八重桜
   けふ九重ににほひぬるかな
伊勢大輔奈良県奈良市
六十二夜をこめて鳥のそら音ははかるとも
   よに逢坂の関はゆるさじ
清少納言滋賀県大津市
六十四朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに
   あらはれわたる瀬々の網代木
権中納言定頼京都府宇治市
六十六もろともにあはれと思へ山桜
   花よりほかに知る人もなし
前大僧正行尊奈良県吉野郡『金葉集』詞書に「大峯にて・・・」とある。大峰山脈
六十八心にもあらでうき世に永らへば
   恋しかるべき夜半の月かな
三条院京都府京都市『栄花物語』に「上の御局にて・・・」とある。宮中での作
六十九嵐吹く三室の山(1)のもみぢ葉は
   龍田の川(2)の錦なりけり
能因法師(1)奈良県生駒郡斑鳩町(2)奈良県生駒市他
七十二音に聞く高師の浜のあだ波は
   かけじや袖の濡れもこそすれ
祐子内親王家紀伊大阪府高石市
七十三高砂(1)の尾上(2)の桜咲きにけり
   外山の霞立たずもあらなむ
権中納言匡房(1)兵庫県高砂市
(2)兵庫県加古川市
「高砂の尾上」は高い山の頂を指し、地名ではないとする説が有力
七十四憂かりける人を初瀬の山おろしよ
   はげしかれとは祈らぬものを
源俊頼朝臣奈良県桜井市
七十八淡路島(1)かよふ千鳥のなく声に
   幾夜寝ざめぬ須磨(2)の関守
源兼昌(1)兵庫県淡路市
(2)兵庫県神戸市須磨区
八十八難波江の蘆のかりねのひとよゆゑ
   みをつくしてや恋ひわたるべき
皇嘉門院別当大阪府大阪市
九十見せばやな雄島のあまの袖だにも
   濡れにぞ濡れし色はかはらず
殷富門院大輔宮城県宮城郡松島町
九十二わが袖は潮干に見えぬ沖の石
   人こそ知らねかはく間もなし
二条院讃岐宮城県多賀城市若狭湾琵琶湖など異説多数
単に岩礁を指し、地名ではないとする説も有力
末の松山」(四十二)からわずか100mの距離
九十四み吉野の山の秋風さ夜ふけて
   ふるさと寒く衣うつなり
参議雅経奈良県吉野郡吉野町他
九十五おほけなくうきよの民におほふかな
   我たつ杣に墨染の袖
前大僧正慈円滋賀県大津市「我たつ杣」は比叡山および延暦寺を指す
九十七来ぬ人を松帆の浦の夕なぎに
   焼くや藻塩の身もこがれつつ
権中納言定家兵庫県淡路市
九十八風そよぐならの小川の夕暮は
   みそぎぞ夏のしるしなりける
従二位家隆京都府京都市北区上賀茂神社の境内を流れる川
百敷や古き軒端のしのぶにも
   なほあまりある昔なりけり
順徳院京都府京都市「百敷」は御所の意

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