こんにちは。あまり体系的な理解をしているわけではないですが、今話題になっている件について、身近にある西三河地方がどうなっているかを例とともに見てみます。
【群について】
西三河には、碧海郡、幡豆郡、額田郡、加茂郡の四郡があるわけですが、私の感覚では日常的にはほとんど意識していません。私は昭和末期の生まれですので、物心ついたときには碧海郡は既に消滅しており、他3郡はいちおう存在するものの中心地域は既に市。平成合併を経た今では他の郡もほぼ消滅し、
幡豆郡-西尾市
額田郡-岡崎市
加茂郡-豊田市、みよし市
というほぼ1対1の関係があるため、市で完全に代用がきいてしまうためです。
ただ、碧海郡に関しては異質です。多様な個性を持つ小都市がそれぞれ早くに市になってしまい、今でも5市に分かれているために総称が必要なことが大きな理由かと思います。幡豆郡地域と合わせて「西三南地区」という言い方もないことはないですがほとんど普及しておらず、むしろ「碧海5市」という言い方のほうが優勢です。当地をサービスエリアとするCATV「キャッチネットワーク」は、1998年までは「碧海キャッチネットワーク」でした。名鉄西尾線「碧海古井駅」は碧海電鉄の社名に由来するものですが、改称されず残っているのは地域住民の中でここが碧海郡だという意識が残っていることと無関係ではないでしょう。
もっとも、西尾市、岡崎市、豊田市のそれぞれの市域も一部に碧海郡域を含んでいるので、厳密には碧海5市が旧碧海郡のすべてではありません。現西尾・岡崎・豊田市になっている地域では、古くからの地元住民は碧海郡の意識を持っていますが、その意識の浸透度は5市に比べると少ないです。
【字について】
[77486]okiさんによれば愛知県は小字起番地域が多いそうですが、当地に生まれ育ってみると小字起番が当たり前のような認識で、言われてみれば確かにそういう住所とそうでない住所があるな、と思うほどです。なので、字を含む住所を書くことは日常的にあるのですが、基本的には(≒公文書以外では)「大字」「字」などの文字は書かないことにしています。あまり理由を考えたことはないのですが、理由としては
1.つくのかつかないのか、つけるなら「字」か「小字」か、正式な表記がよくわからない。
2.いわゆる「字丁目」の存在
が思いつきました。
1.については、
[83016]グリグリさんのおっしゃることと同じです。たとえば名鉄三河線若林駅の住所は「豊田市若林東町沖田37番地」と表記しますが、これは私が若林東町の小字を「字沖田」のように記載した文書を見たことがないので、「字」と書くのには抵抗があるためです。
一方で、同じルールで額田郡幸田町役場の住所を表記すれば「額田郡幸田町菱池元林1番地1」なわけですが、幸田町は大字小字の順に並ぶ表記がかなり統一的に採用されている節があり、ならば町役場HP同様「額田郡幸田町大字菱池字元林1番地1」と書いてもいいのかな、とも思います。このあたりはちょっと迷いがあるところです。
2.について、横浜市の字丁目については
[80293]N-Hさんの投稿がありますが、私の身近でも岡崎市に採用例があります。たとえば岡崎六供郵便局の住所は正式には「岡崎市六供町字3丁目28番地」ですが、この表記はどうにも気持ち悪いので、公文書でない限りは書きたくありません。しかも厄介なことに、六供町には「普通の字」も存在していて、たとえば岡崎市民会館の住所は「岡崎市六供町字出崎15番地」なのです。「字3丁目」と「字出崎」は同格なのに、表記の気持ち悪さだけで片方だけ省略するのは一貫性がないので、おのずと両方省略せざるを得なくなります。