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[8795] 2003年 2月 6日(木)03:46:34ぷりぷり さん
れすなどです
[8790]てへへさん
 早速調べていただいてありがとうございます。確かにうつくしくない...。やはり一般に売れるデータ量としてはこれが限度でしょうか。

関連して,
 2万5千分1地形図が全てベクトルデータに置き換わることを受けて,15年度から刊行される同地形図がリニューアルする予定です。明治代の迅速2万分1からマイナーチェンジをくり返してきましたが,今回は初めての大幅変更ではないでしょうか。ちなみにきっかけは「世界測地系」への移行(世界標準の経緯度の採用-これまで日本独自の経緯度位置だった)です。

主な変更点
1.図郭範囲が広くなる。今後は隣接する図と数センチ重複する。海ばっかりの図面はなるべく重複させ陸地を多くのせる。
2.地名など文字が全てゴシック体に
3.3色刷りが4色刷りに
4.温泉(泉源)記号は湯気が直線だったのを昔のように「ゆらゆら線」に戻す
5.鉄道貨物線の記号を新設(灰色のはたざお線)

詳しくは
http://www.gsi.go.jp/WNEW/TEC-NEWS/2002/tec116.html
にあります。

なんだか,なじみのない人には「何書いてるんだ」と思われましょうが,「ちずらー」にとっては一大事。眺めが変わりますから。異国のようかも(←大げさ)。

岩国ネタがありましたので。
 錦川がとてもいいです。中国地方とは思えない透明な水,広い河原。錦帯橋を過ぎて門前川と今津川が分かれるところにある大きな楠の木群。錦川が岩国の街を独特なものにしていると思います。(それにしても岩国にも麻里布にも飲み屋が少なかった...)
[45617] 2005年 10月 13日(木)19:25:52hmt さん
地球を測った人々(10終) 空から地球を測る時代
「四千万歩の男」というように、長い間、“地球を測る”のは、地表で行なう測量でした。
ところが、20世紀になると人類は「翼」を手に入れ、その前に完成していた写真術と結びつけた空中写真の撮影が可能になりました。写す角度をずらした2枚の空中写真撮影により、高さを含めた情報の記録が可能になり、ステレオ写真の立体図化機によって地図を作れるようになりました。
この方法で2万5000分の1地形図が作成された際(1968年)、剱岳の高さが見直されたエピソードは、[43689]で記しました。

飛行機よりも高い空中を飛ぶ人工衛星も、地球を測るための、有力な手段になりました。
人工衛星の軌道は、地球の重力の影響を受けて微妙に変化します。これを電波で追跡すれば地球の形を測定できます。[45211]では、地球は僅かに扁平な回転楕円体ではあったことを記しましたが、詳しく調べると、みかん形の回転楕円体から、更に様々な「ゆがみ」を持っていることがわかりました。

地殻の表面にはヒマラヤ山脈やマリアナ海溝のような凹凸がありますが、それだけでなく、仮想の海水面(ジオイド)にしても、回転楕円体からずれていました。北極側が突出した洋梨形にも譬えられます。
赤道面も完全な円ではなく、インド洋のモルジブの付近は回転楕円体から凹んでおり、逆に ニューギニアは突き出ているという具合。そのようなジオイドの凹凸を示す地図は、例えば理科年表で見ることができますが、引用サイトもあります。

人工衛星を利用した「地球を測る」手段として、欠かすことができない存在になっているのが「GPS」 Global Positioning Systemです。
位置の知られている星を観測すれば、時刻の情報と共に処理して自分の現在位置がわかる…という事実は、「天測」として利用されてきました。フラムスチードに始まるグリニヂ天文台が整備してきた航海暦がその代表的なものでした。

GPSは、直接的にはロランC(Long Range Navigation-C)のような地上局を使う電波航法の後継でしょうが、1日に1周する星空を利用した「天測」の現代版であるとも言えます。こちらは、高度2万km、12時間で1周する人工衛星NAVSTARを24個(他に予備)用い、昼夜を問わず4個以上の衛星から電波を受信することができます。元来は軍事目的のために米国が開発したシステムですが、1993年から民間でも使えるようになりました。

NAVSTARには、極めて正確な時刻を刻む原子時計が積み込まれており、1ミリ秒毎に信号を発信しています。地上では、受信した時刻と衛星が電波を発信した時刻の時間差を測って衛星までの距離を知ります。衛星の位置は厳密に管理されていますから、3個の衛星までの距離を知れば、理論的には自分の位置がわかります。
実際には、受信機を安価に作る必要があり、1000万円もする原子時計を使うわけにはゆきません。クオーツ時計では誤差は免れず、これが距離、従って位置の誤差になります。その対策として、 GPSでは4個目の衛星からも受信することで、受信機の時計の誤差を消去します。とても巧い仕組みです。
# GPSの開発は、ノーベル賞に値する仕事だと思うのですが、誰がやったのか知りません。

GPSでは、地球の重心を原点とする直交座標で位置を表わします。
三角測量の時代は、地球の表面(ベッセル楕円体)が基準でしたが、測量方法がGPSになると、地図作りの基準も見直され、地心座標に基づく世界測地系に移行しました。2002/4/1に施行された 改正測量法では、地図を投影する楕円体も世界測地系のGRS80になっています。
具体的には、東京付近で経線が東に290m、緯線が南に350m程度(距離にして南東に約450m)ずれ、経度の値がマイナス12秒、緯度の値がプラス12秒程度変わりました。
この落書き帳では、変更された地形図の図取りの重複などが話題になりました。「地形図」に親しもう!
なお、海上保安庁所管の海図はWGS84に基づいていますが、GRS80との実用上の差異は殆どないそうです。

GPS測量と言えば、世界最高峰エベレスト(チベット語でチョモランマ「世界の母神」、ネパール語ではサガルマータ「大空の頭」)の高さを測り直したというニュースが入っています。
中国の国家測量局は9日、世界最高峰のエベレスト(中国名:チョモランマ)の高さは今年5月から行った測定の結果、これまでの公表値より3.7メートル低い、8844.43メートル(誤差0.21メートル)だったと発表した。

1999年にアメリカの研究チームがGPSで測った結果は8850m、中国が1975年に測定した値は8848.13m。
頂上が氷雪に覆われていることも、数字が変る要因の一つでしょうか。地球温暖化で低くなる傾向?
なお、チョモランマQomolangmaは、「珠穆朗瑪峰」と書き、「珠峰」と略記されるようです。

余談ですが、昔、世界最高峰は崑崙山脈のアムネマチンという説を聞いたことがあります。調べてみると、世界一高い山は? というページがありました。これによると、アムネマチンは9041m。崑崙・チベット・ヒマラヤの大きな山塊が重力の向きを狂わせたせいだという説明ですが、それにしても違いすぎる。

上記ページには、ジオイドからの標高の他に、地球楕円体からの高さ(最高はK2の8859m)にも言及しています。おまけの「地球中心からの高さ」については、[29173]日本最高峰?沖ノ鳥島 参照。
地球楕円体面からの高さとジオイド面からの標高の説明図

GPSから山の高さに脱線しましたが、ここで本筋に戻し、「更に遠い空の彼方から地球を測る」方法を一つだけ追加。
それは、 VLBI(Very Long Baseline Interferometry:超長基線電波干渉法)です。詳しくは、国土地理院のVLBIのページをご覧ください。

最後のあたりになると、業績をあげた個人名が出なくなりましたが、これで「地球を測った人々」のシリーズを終ります。
シロウトの断片的な知識をつなぎ合わせて作ったストーリーです。誤りなどあればお許しください。
長文におつきあいいただき、有難うございました。
[73766] 2010年 1月 9日(土)15:09:09【1】k-ace さん
ポイントゼロ
こんにちは、k-aceです。

十番勝負は三問残して、ヒント待ち状態です。ヒントが出た今夜以降また考えます。

さて十番勝負とは関係ないのですが、ちょっと気になったので調べてみたものがあります。
それは、経緯度の分以下がすべて0の交差点「ポイントゼロ」がある日本の自治体。
過去には日本テレビ系のある番組の企画「ポイント・ゼロを探そう!!」というのがありまして、何回か見た記憶があります。
検証にはKenMapの「経緯線表示」を使用し、どちらの自治体にあるのか微妙な場合はウオッちずの経緯度表示を使用しました。尚、地図リンクはしていません。

調べてみると39地点(24市14町1村)ありました。惜しいのが1地点ありましたが。
以下自治体一覧です。
・北海道:札幌市南区(赤井川村境近く)、北見市、夕張市、沼田町(小平町境近く)、幌延町、斜里町、滝上町、芽室町(清水町境近く)、浜中町(厚岸町境近く)、白糠町
・岩手県:八幡平市、奥州市
・秋田県:大潟村
・山形県:酒田市、川西町
・茨城県:つくばみらい市(常総市境近く)
・栃木県:那須塩原市
・埼玉県:小鹿野町
・新潟県:糸魚川市、南魚沼市
・石川県:七尾市
・福井県:福井市(越前町境近く)
・長野県:辰野町
・岐阜県:高山市
・静岡県:浜松市天竜区、伊豆市
・愛知県:刈谷市
・三重県:熊野市(和歌山県北山村境近く)
・滋賀県:栗東市(草津市境近く)
・兵庫県:西脇市
・岡山県:美咲町
・広島県:庄原市
・山口県:光市
・徳島県:東みよし町(つるぎ町境近く)
・愛媛県:今治市
・高知県:黒潮町
・長崎県:東彼杵町
・熊本県:阿蘇市
・宮崎県:小林市

惜しいのが下関市。陸地に程近いのですが、海上でした。
また、下関市ほどではないのですが、知夫村や新上五島町等、陸地に近い海上にポイントゼロがある所もあります。

間違いがある場合は指摘お願いします。
[73793] 2010年 1月 10日(日)00:30:14オーナー グリグリ
交会点(第三回・十番勝負問四)
[73766][73771] k-ace さん
[73773] k-ace さん
第三回・十番勝負問四の想定解数ですが2004年8月当時は11市ではないでしょうか?
問題の市と正答の市計10市-庄原市+刈谷市+札幌市=11市
この件、調べてみました。二つのことが分かりました。

(1) 第三回問四の採点情報に誤りと漏れがありました。
第三回の頃には現在のような十番勝負専用のページはありませんでした。採点は書き込み記事で行っていました。その後、専用ページを立ち上げた際に、過去の回の採点情報も専用ページに情報入力を行いました。誤りと漏れは次の通りです。

【誤】
庄原市いっちゃん[31694]◯(正答)
【正】
庄原市千本桜[31693]×(誤答)
刈谷市いっちゃん[31694]◯(正答)

千本桜さんの誤答(庄原市)といっちゃんさんの正答(刈谷市)が誤って一つのデータとして入力されてしまったようです。現在は修正済みです。

(2) 北緯43度東経141度札幌市は第三回当時は赤井川村と判定
経緯度を日本測地系に基づく地図サイトで判定していたため、赤井川村と判定しました。世界測地系を基準とすると500m程度のずれで札幌市になるようです。世界測地系については国土地理院のこちらのページを参照してください。

地図サイトのURLには経緯度のパラメタがあり、例えばマピオンでは北緯43度東経141度の位置を示すURLは次のようになります。
http://www.mapion.co.jp/m/43_141_7/
これをクリックすると現在でも赤井川村をポイントします。マピオンでは日本測地系の経緯度のまま地図ソフトの処理を行っているためでしょう。経緯度を利用者に見せている訳ではないので、敢えて世界測地系にする必要はないためだと思います。Googleでは世界測地系のパラメタになっています。他の地図ソフトも調べてみると面白いでしょう。

第三回当時、どの地図ソフトを検証に使ったかは忘れてしまったのですが、[32279]でいっちゃんさんが水海道市が誤答だったことについて、マピオンなどでは北緯36度東経140度は水海道市を指すとコメントしているように、
http://www.mapion.co.jp/m/36_140_7/
このURLだと常総市水海道川又町をぎりぎりポイントします。当時、なぜここを誤答としたのか不明ですが、何らかの地図ソフトで確認したところ現在のつくばみらい市側を指したので誤答とした記憶があります([32277]参照)。それが、ウォッちずだったかどうかは定かではありませんが、現在、ウォッちずで確認するとつくばみらい市側を指し示します。第三回の検証時には、世界測地系と日本測地系を混在して判定していたのかもしれません。

k-aceさん、ご指摘をありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

以下、参考です。

北緯43度東経141度:マピオン ウォッちず
北緯36度東経140度:マピオン ウォッちず

注意:上にも書きましたが、マピオンではURLパラメタとして経緯度を使っているだけで、上記の場所が当該緯度経度の位置であるというわけではありません。
[73827] 2010年 1月 11日(月)19:49:52【2】hmt さん
Dの複合・明石の子午線
お断り:経緯度関係の追記・一部修正で長くなったので、標準時関係は一旦削除。改めて別記事にします。

[73766] k-ace さん ポイントゼロ
[73793] オーナー グリグリ さん 交会点(第三回・十番勝負問四)

これらの記事から思い出したのが、約40年前に読んだ松本清張の「Dの複合」でした。
東経135度線や北緯35度線の上にある場所が次々に登場する作品で、「D」とは Longitude, Latitude, Degreeや、地球の半球の形を示唆しているようです。

東経135度からすぐに連想する場所と言えば、日本標準時の子午線が通る明石です。
もちろん、東経135度線上にある町は 明石だけではありません。
「Dの複合」の冒頭は、浦島伝説が残るといういう日本海側の京都府竹野郡網野町(現・京丹後市)でした。
日本海から明石までの間には西脇があります。ここは 北緯35度・東経135度の交会点で、「日本のへそ」 を名乗っています。

調べていたら、東経135度子午線の通る自治体の数は? というページがありました。
20世紀末には京都府3町、兵庫県5市8町(2町は淡路島)だったものが、2002年の世界測地系移行により地図上で約10秒東に移動した結果、京都府中郡峰山町・福知山市・和歌山市の3市町の西端をかすめることになり、合計19市町になったそうです。
子午線は、紀淡海峡の友ヶ島灯台付近を通過し、淡路島に代ってここが最南端の陸地になりました。
実は、「Dの複合」では、この友ヶ島付近の海上が事件現場だったのですが、それはさしあたり無関係のこと。

平成合併の結果、2006年までに12町はすべて消滅。東経135度子午線の通る自治体は12市に再編成されました。
このページの最後には、次のコメントがありました。
なお、市町村合併の情報は「都道府県市区町村」のサイトが詳しいです。

12の市に存在する 東経135度子午線標識一覧。なんと49件。
しかし、明石は 日本最初の標識を設けたことで、1世紀前から「子午線のまち」として全国に抜群の知名度を誇る存在です。
明治43年(1910)10月30日 兵庫県明石郡明石町に「大日本中央標準時子午線通過地識標」建設
その場所は、当時の日本測地系に基づく位置だったというから、神戸地裁明石支部付近でしょうか。

「当時の日本測地系」と断った理由は、その原点が1892年に陸地測量部が告示した日本経緯度原点[70433]だったからです。
ところが、その後の再観測により原点経度が10秒4違っていたことがわかり、1918年に変更されました。古い地形図の図郭の経度に10秒4の端数がある理由がこれです。日本測地系の東経135度は、原点経度の変更に伴い 西に移動しました。これが1918年から2002年3月まで使われた日本測地系の子午線で、明石市役所を通ります。

現代の人々に「子午線のまち」を印象づけているものは、「JSTM」という文字が記された時計塔のある明石市立天文科学館です。
JSTMとは、日本標準時子午線Japan Standard Time Meridianの略ですから、誰でも東経135度はここを通っていると思います。

このことを地図により確認しようと、次の緯度経度を打ち込んでみると奇妙なことに気がつきます。
http://www.mapion.co.jp/m/34.646_135_8/
mapionを使ったのは、[73793]グリグリさんが指摘されている“日本測地系のまま”であることを利用するためです。表示された 東経 135度地点は 神戸大付属小学校です。これは明石市役所の真北ですから、1918年に10秒4西に動いた子午線とは符合するのですが、戦後の1960年に日本標準時子午線上に建てられていると思われる天文科学館は、約 400mも東にあります。

“本当に天文科学館は子午線上に建ってるの?”という質問に対しては、天文科学館自身が 答えています
天文科学館の子午線塔の位置は精密な天体観測によって決められた、天文経度の東経135度日本標準時子午線上に建てられています。

どうやら天文科学館という名の通り「天文」主導で作られた施設であり、天体観測による「天文経緯度」を使っているのですね。
天文経度は、観測地とグリニッジにおける天体の子午線通過時刻の差から求めますが、地球の形や地下構造のような局所的な違いの影響を受けます。
これに対して、地図で使う経度は、地表を回転楕円体に投影した値です。これまでに出てきた日本測地系と、2002年から使われている世界測地系とは、近似する回転楕円体の仕様や中心位置の違いこそありますが、いずれもモデル化した「測地経緯度」(地理学的経緯度)の仲間です。

天文学と地理学では異なる子午線があり、地理学的な経度も、1892年・1918年・2002年と変ってきた。このことを知らないと「さまよえる子午線」に翻弄されます。

なお、明石での最初の天文測量は1928年に行なわれ、その結果を受けて、1910年の「大日本中央標準時子午線通過地識標」石柱が、大蔵交番(子午線交番)前に移されたそうです。
天文科学館の位置は、空襲被害復旧のための再観測(1951)に基づく子午線上に定められました。

[5218] Issie さん
今年【2002年】の4月にその東経135度線自体が“日本の地図の上”では「移動」しました。
そんなわけで,これまでの東経135度線上に明石市などが立てている標準時関係のモニュメントは,いっぺんに意味を失ってしまったのですね。

という記事がありましたが、「天文経度の東経135度」だから、地理学的な経度が動いても影響を受けないのでした。

明石の経度が長くなりましたが、「Dの複合」に戻ります。
事件現場は 友ヶ島付近の海上であり、事件とは無関係だった 北緯35度ですが、小説には、京都の松尾大社や 三保の松原が登場します。
四条通がほぼ北緯35度線に沿う京都は、地図を見る時に便利な基準として以前から利用していました。同様に、よく知られた経度の基準線は、明石の135度を中心に、東は船橋の140度、西は長崎の130度(少し外れる)。

この記事を書くきっかけになった交会点も、経緯度の基準として役に立ちます。
第三回十番勝負問四の共通項にグリグリさんが添付した 参照HP には、多数の交会点が紹介されています。
その中から絞り込んで、私が特に注目しておきたい地点を挙げておきます。

東経140度・北緯40度 秋田県南秋田郡大潟村 八郎潟干拓地の真ん中。[37037]
東経135度・北緯35度 兵庫県西脇市 「日本のへそ」[5220][43111]
東経130度・北緯30度 トカラ列島[56250] 口之島(鹿児島県鹿児島郡十島村)の少し東(海)。
おまけにもう一つ
東経145度・北緯45度 網走・知床沖のオホーツク海。

覚えやすい数字ですから、世界地図を見ながら、その位置・大きさを日本と比較する時の基準に役立つでしょう。
[73957] 2010年 1月 17日(日)13:47:59hmt さん
標準時 (1)鉄道と標準時
[73827] hmt
東経135度からすぐに連想する場所と言えば、日本標準時の子午線が通る明石です。
経緯度に関する上記の記事に続いて、子午線と深い関係にある 標準時 を取り上げます。

人々の生活時間は太陽に支配されています。
正午、すなわち お日様が真南に来る時(天文学的な用語を使えば 太陽の南中時刻)を境に 午前・午後。
十二支は、「午(うま)の刻」のように時刻にも使いますが、方位にも使います。
だから北(子)から南(午)へと貫く経線が「子午線」。

もちろん、太陽の南中に基づく局所時は、西の町では東の町より遅れて進行します。月食が観測される局所時も西と東では異なります。この原理を木星の衛星食(月食より頻繁なので好都合)に応用したのが、カッシーニの 経度測定法[45211]でした。
でも、日常生活という観点からすれば、各地の人は「その町の時刻」(局所時)を使って不便を感じていなかったのでした。

19世紀、遠くの町を結ぶ鉄道が出現してから、各地バラバラな局所時の不都合が顕在化してきました。

東海道線が全通した1889年7月から半年後の「明治23年1月大日本全国各鉄道汽車発着時刻並賃金表」を見ると、新橋発6:10am→京都着11:20pmと、辛うじて東西両京をその日のうちに結ぶことを達成した状況が示されています。所要時間17時間10分。
両地点の経度差4度は局所時の差に換算すると16分ですから、所要時間に対して1.6%となります。当時の社会通念からすれば、これは許容範囲内の誤差と思われますが、分刻みのタイムスケジュールで運行している内閣鉄道局にとっては、もしも列車発車時刻を各地で使われている局所時に合わせて公示しなければならないとしたら、誠に不都合なことになります。

イギリスでは鉄道普及の結果、全国的にグリニッジ時刻が使われるようになり、1880年に標準時が法制化されました。

アメリカ合衆国の独立当初には、独立の「あかし」として首都ワシントンの国会議事堂を経度の原点とする考えもあったようです。
しかし、東西に広いアメリカで、バラバラな局所時による混乱を避ける必要を切実に感じていたのは、やはり鉄道でした。
イギリスで標準時が制定されると、アメリカの鉄道もこれに倣い鉄道標準時を採用しました。広い国なので、東部はグリニッジから5時間遅れ、太平洋岸は8時間遅れという具合に、1時間刻み 4ゾーンに標準化 したわけです。
これが決め手となり、イェール大学天文台もニューヨーク時間を廃止し、「東部標準時」を採用しました(1883/11/18)。

アメリカ合衆国において、ワシントン基準でなく、グリニッジから整数の時間差を持つ基準が採用されたことは、標準時の制定に際して、国内的な要請だけでなく 国際的統一も考慮されたことがわかります。
当時、測地学では 経度の国際的な統一問題 が議論されていました。
1884年にワシントンで開かれた25ヶ国による国際子午線会議(日本も出席)で、グリニッジを本初子午線とすることなど7項目が決議されました。

この決議は条約と違って強制力がないので、角度や時間を60進法から10進法にする希望のように実現していない項目もあります。
しかし、眼目となる経度の国際的統一と、普通日(universal day)の例外的な形で認められた局所時の一つを「本邦一般の標準時」とすることについては、明治19年勅令51号が制定されました。

第1項・第2項はグリニッジ基準で統一された経度であり、第3項には次のように記されています。
明治21年1月1日より東経135度の子午線の時を以て本邦一般の標準時と定む

冒頭において、各地の駅と、その間で動いている列車を同一の分刻みタイムスケジュールに載せるためには、各地で違う局所時の使用は不都合であることを指摘しましたが、日本では 1888年から標準時を実施しており、鉄道が自ら主体となって標準時化を進める必要はなかったのでした。
[73958] 2010年 1月 17日(日)13:57:59【1】hmt さん
標準時 (2)勅令に残る「中央標準時」・総務省の“標準時”・JJYの「日本標準時」
ここまで、ある地域で共通に使われる時刻、いわば普通名詞の“標準時”を主として使ってきました。
限定された意味を持つ「中央標準時」、「日本標準時」という言葉もあり、少し調べてみましょう。

明治28年、日清戦争後の下関条約で台湾と澎湖列島が日本領になりました。
そして、台湾及澎湖列島並に八重山・宮古列島には「西部標準時」(東経120度)が設けられ、従来の【東経135度】標準時は 1896年から「中央標準時」と改称されました。明治28年勅令第167号

この西部標準時を定めた勅令の第2条は 1937年に削除されました。
標準時は1つになったのに わざわざ「中央」を残すこともないと思われますが、国際連盟脱退後の当時も日本が統治していた南洋群島[35703][71808]で3つの標準時(東経135,150,165度)を使っていたためかもしれません。
とにかく、上記の勅令自体は今も生きており、理科年表でも「中央標準時」という言葉を見ることができます。

国立大学法人法施行規則 別表第一にある国立天文台の目的には次のように記されており、「中央標準時」は文部科学省の所管とわかります。
…天象観測並びに暦書編製、中央標準時の決定及び現示…

ところで、時刻と密接な関係のある時間の単位は、経済産業省所管の計量単位令別表第一に記されており、「秒」はセシウム原子振動数を用いた値で定義されています。これは、1967年の国際会議決議に基づくものです。
昔の計量法の定義は平均太陽日基準でしたが、地球の自転が一定でないことがわかって回帰年基準になり、更に昭和47年改正で地球の自転観測値に依存せずに一定の時を刻む上記の原子基準へと再々定義され、現在の政令に引き継がれたわけです。

このように、時間を測ることについては厳密に定義された法令があるのですが、いくら正確な時計を使っても、「時刻合わせ」をしなければ「正確な時刻」にはなりません。
その「時刻合わせ」の拠り所となるものが 標準時を定めた法令 ということになるわけですが、これが上記の「秒」の定義のような厳密なものでないのです。

1896年から「中央標準時」と改称された明治19年の勅令[73957]には、
明治21年1月1日より東経135度の子午線の時を以て本邦一般の標準時と定む
と書いてあるだけで、それが平均太陽時であることさえ示されていません。

旧暦時代の明治4年に始まった午砲(ドン)[22989]でさえも 平均太陽時によっていたので、明治19年の標準時も明治28年に改称された中央標準時も、当然平均太陽時を想定していたと思われるのですが…
要するに、標準時の定義に関する法令は明治のまま放置されており、時間の定義に比べて厳密さを欠いた状態であることは明らかです。

明石の時計塔[73827]には、JSTM = Japan Standard Time Meridian日本標準時子午線と記されていました。
この「日本標準時」とは、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の 日本標準時プロジェクト が使っている用語です。

小金井市に本部があるこのプロジェクトは、コールサイン「JJY」という無線局を運用して、 協定世界時UTCを9時間進めた 日本標準時 JST(Japan Standard Time) を通報しています。運用状況

JJYの法令上の根拠は 総務省設置法 第四条七十三号と思われます。
周波数標準値の設定、標準電波の発射及び標準時の通報に関すること。
この法律に使われている言葉は“標準時”【普通名詞?】であり、「日本標準時」でも「中央標準時」でもありません。

本稿を書くにあたり主として参照した『青木信仰著 時と暦(1982 UP選書)』の254頁によると、発射する標準時の内容は郵政省告示【現在は平成11年総務省告示第382号?】で詳しく規定しており、
勅令の中央標準時が法的には生きており、郵政省の告示の標準時とは別ものである。というか「中央標準時」と「標準時」の間には法的関係がない。
と記されています。

東京天文台(当時)の先生の発言ですから“法的関係がない”ことに間違いはないでしょうが、筋道としては、国立天文台がその目的に沿って UTC+9時間 = 「中央標準時」という“決定”を行い、(総務省に?)“現示”し、総務省管轄下のJJYプロジェクトが“標準時の通報”を行うという実務関係があると推測します。「日本標準時」は JJYのサービスネーム(役務名称)でしょう。

結局のところ、現在の標準時の基準は協定世界時UTC(coordinated universal time)です。
歴史を遡るとグリニッチ平均太陽時GMT(Greenwich Mean Time)に行き着き、世界時UT(universal time)とも呼ばれます。
原子時計の精度が向上すると、これを時報の基準にも使うことになり、地球自転に基づくUTに近い時刻になるように操作した(旧)協定世界時が1960~1971年に実施されました。1972年以降は、「うるう秒」方式によりUTに近い時刻を保持する方式になっています。
JJYの説明でも[71808]でも、説明なしに使った UTC は、このようなものでした。

「協定世界時の9時間先」は、実質的には東経 135度に相当しますが、[5253] ゆう さんの発言にあるように、
現在の日本の標準時の定義を要約すると「協定世界時の9時間先」で、定義上は東経135°という言葉がなくなってしまいました。

この記事を書くにあたっては、上記の本(時と暦)と共に、教えて!gooも参照しました。


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