今回の十番勝負では、もう一つ「鉄」関係の問題がありました。それは問四。共通項は、「その市内に旅客が乗り降りできる鉄道駅がない市」。この問の類題は、過去に第22回の問二で出題されたことがありますが、そのときの共通項は「市内に鉄道線路が一切通っていない」(旅客駅はないが、線路は市域を通過している場合は対象外)となっていて、今回の問四とは微妙に異なっていました。第22回・問二では、こちらも
解説記事にまとめましたが、「駅も線路もない市」(計55市)については、現在も全て状況に変化もなく、またこのときの考察文(
[69946])と内容が重複するので、今回は割愛することとし、第22回・問二で「対象外」とされていた5市(
[69949])と、新たに該当することになった3市(うち1市は第22回・問二で対象外とされたタイプ)についてのみ表形式にまとめることにします。
第22回・問二では想定解に入らなかった市で、今回の第48回問四では想定解に入った8市は次の通りです。この表で、「タイプ」の欄の区分けは、
[69946]と同様、駅(線路)がなくなった時期が市の誕生より前か後かで分けたもので、「A」は市の誕生後に駅がなくなったもの、「B」は市の誕生前に駅があったが、市の誕生時点では既に「駅なし」になっていた市を表し、今回「C」としたものは過去に鉄道駅が存在したことがないことを示します。「廃止期日」の欄のカッコ内は、「市の誕生前」であることを示します。
市名 | タイプ | 廃止(休止)路線 | 廃止(休止)期日 | その他の線路の通過 | 備考 |
十和田 | A | 十和田観光電鉄 | 2012.4.1 | 東北新幹線 | 廃止関連記事 |
陸前高田 | A | 大船渡線(気仙沼~盛間) | 2011.3.12 | | 津波により路盤流失、以後バス代行。このまま復旧せず?([88294] k-aceさん、[93032]) |
富谷 | B | 仙台鉄道(北仙台~加美中新田間) | (1956.3.14) | | 1950.8.6以降災害で不通が続いたまま、廃止に至る。全線廃止は1960.5.1(HP)。2016.10.10市誕生 |
かすみがうら | C | - | - | 常磐線 |
神栖 | B | 鹿島臨海鉄道鹿島臨港線が旅客営業廃止 | (1983.12.1) | 現在も貨物線として営業 | 以降も臨時旅客列車が運行されたことがある |
綾瀬 | C | - | - | 東海道新幹線 |
牧之原 | B | 静岡鉄道駿遠線(大井川~堀野新田間) | (1968.8.21) | 東海道新幹線 | 全線廃止は1970.7.30。駿遠線資料館より |
宮若 | B | 旧国鉄宮田線 | (1989.12.23) | 山陽新幹線 |
ところで、気になる?今後の想定解の変動予想ですが、まず「鉄無し」から脱却し、この問の想定解から外れることが確定しているのが、浦添市。「ゆいレール」の浦添市域への延伸工事が着工され、既に路線敷設、駅の建設工事も進んでおり、来年中にも浦添市域に路線が伸び、駅ができることが確実になっており(
工事進捗状況…ゆいレールHPより)、このまま予定通り進めば、1945(昭和20)年に軽便鉄道「沖縄県営鉄道」が戦災で破壊されそのまま廃線となって以来、74年ぶりに市域に鉄道駅が復活する運びとなります。
嬉野市には、九州新幹線「長崎ルート」の建設工事が始まっており、嬉野市内にも駅ができることになっているのですが、ルートや建設方法を巡って計画が目まぐるしく変わり、予定では4年後の2022年(??4年??)に「暫定開業」と言うことになっているようで、予定通り進めば、1931(昭和6)年に「肥前電鉄」(
[69946])が廃線となってから91年ぶりに現市域に鉄道駅が復活、ということになるのですが、計画の迷走から工事の遅れはますます大きくなっているようで、これからどうなるか、まだまだ曲折がありそうです(
[79519])。
富谷市は、「軽便」だった前記の「仙台鉄道」が災害で復旧しないまま60年余りを経過した今日、仙台市のベッドタウン化して人口が急増し、道路の混雑が激化していることから、現在泉中央まで開業している仙台市地下鉄南北線の富谷市、さらにその北の大和町(「富谷市を通過した」と
[95515]で書き込んだ「宮城県某町」は実はこの大和町)への延伸を求める声が一部で挙がっているようですが、財政と採算の問題もあり、具体的な計画はまだ進んでいないようです(
こちら)。
一方、この問の想定解に入ることが確定しているのが、10月1日に単独市制を施行する那珂川市。域内を九州新幹線が通過し、「博多南線」として運行している「
博多南駅」の一部が市域に入っているのですが、博多南駅の住所は春日市なので、上記の表の「C」グループに該当することになります(
[71875] )。
「近い将来に想定解に入りそうな市の候補」と言うと、やはり「北海道の大赤字・閑散路線の存廃問題」の行方が大きく影響してきます。
[87990]あたりから始まった山野さんの一連の書き込みを始め、いろいろと落書き帳をにぎわせていたこの路線存廃問題ですが、私が
[95421]で書き込んだ「存廃検討路線のランク付け」の中で、現状では路線存続が厳しいのでは、と見られている「D」・「E」ランクに入っている路線を見ると、留萌線の終点となった留萌市が入っており、「維持に努める」と微妙?な表現になっている「C」ランクまで広げると、根室線の滝川~富良野間の沿線にある芦別・赤平の両市も入ってくることになります。