[84136] スナフキん さん
かつて奥羽本線とを結んでいた羽後交通で1駅手前、「あぐりこ」って駅名も非常に気になる存在です。
昭和3年から昭和48年まで湯沢-西馬音内(にしもない)間を結んでいた電車【注】の駅名は、「あぐりこ稲荷」由来で、寺社風駅舎の前には鳥居も建てられていたとか。
西馬音内も言葉(アイヌ語?)が先にあって、漢字表記地名は後で付けられたものでしょうが、
あぐりこさん は
元稲田(げんどうだ)神社 という公式名と別に 民間レベルで使われる通称 なので、堅苦しい漢字表記を必要としなかったのでしょう。
あぐりこ伝説 で語られた「油揚げが好き」な娘の正体は、「正一位元稲田稲荷神社」の祭神ではなく、その配下で 人々に奉仕していた 頬被りした狐(神社参道の写真に写っている)なのでしょう。
娘ですから、浅野内匠頭の妻 阿久里(瑤泉院)や吉行あぐり等、女性の名に使われた「あぐり」と共通するところがあるのかもしれません。「あぐり」については
宇宙の循環の原理を知り、天と一体に巡ること とか、
ものが充満したこと とか諸説あるようですが、詳しくは知りません。
妖怪通信に収録された件数を見ると、30件の秋田県はトップで、妖怪の本場のように思われます。
【注】電車
雄勝鉄道(後の羽後交通雄勝線)が開通した 1920年代は、電車が普及した時代でした。
奥羽本線には蒸気列車が走っていた時代ですが、横手盆地南部の 10km程度の私鉄にも電車が使われました。
但し苦しい経営で電気代が満足に払えず、送電を止められたこともあるとか(Wikipedia)。
それでも 1935年に西馬音内-梺(ふもと)間を延長。これも難読地名です。
戦前に作られた 10km程度の規模の私鉄を 身近な事例で示すと、砂利鉄道の話
[41599]に登場させた 多摩鉄道(西武多摩川線)があります。但し 最初の開業が 1917年と雄勝鉄道よりも少し古く、戦前は非電化でした。
20km程度の規模になりますが、田口鉄道
[84057]も 雄勝鉄道と同時代に作られた 電車方式による地方私鉄でした。
田口鉄道が全通した 1932年度には、私鉄キロ数が 延長9904kmという最高値を記録しました(和久田康雄:日本の私鉄p.97)。