[57033] faith さん
「半鐘」の盗難のニュースがいくつか報道されていますが、「半鐘」って地方によってはよく見かけるものなのでしょうか。関西ではあまり見ないような気がします。
「半鐘泥棒」と言えば、「ちび」が「のっぽ」に対して嘲り返す時に使うセリフと心得ていましたが、「光り物」の高騰を背景に、本物の半鐘泥棒が出現するとは…
正直なところ「半鐘の地域性」について考えたことなどありませんでしたが、この落書き帳の中で
京都・有済小学校に残る太鼓望楼 に言及したことを思い出しました
[48969]。
関西では半鐘でなく太鼓が使われていたのか?
…ということで、東京消防庁の消防雑学事典を調べてみたら、
望楼のことあれこれ と題するページの中に
定火消の櫓には大きな太鼓と半鐘が設けられ、常に2人の見張番が監視していましたが、大名火消や町火消の櫓には、見張番を置かず、櫓に板木(ばんぎ)や半鐘が下げられているだけでした。
と書いてありました。
江戸でも火事を知らせる鳴り物は半鐘に限らず、太鼓や板木も使われていたのですね。
さて、関西の半鐘。
京の鐘楼 を見ると、竜安寺半鐘・金福寺半鐘が出ています。小型の梵鐘ですね。
神戸の「青木祭礼だんじり」のようなお祭の鳴り物としての半鐘も存在するようです。
祭祀用具としての半鐘か。なるほど、弥生時代の銅鐸の記憶がよみがえるような気がします。
これもお祭りですが、
松山市北条(旧北条市)風早の火事まつり によると、半鐘と太鼓を打ち鳴らしながらのだんじり屋台運行が“火事を連想させる”ことからの異名であると記されています。
半鐘は、学校で授業時間を知らせる合図にも使われていました。
pdf広報・東かがわ市。
白桃さんご幼少の頃には残っていたかな?
望楼の半鐘が盗まれた話に戻ります。
朝日新聞によると、2月中旬から21日までに下妻市や常総市など茨城県南西部9市で26個盗まれているのが確認され、栃木県でも小山市や野木町などで13個が被害に遭ったとのこと。鍵付きの鎖で盗難防止対策をしている消防署員の写真を見ると、今でも火災発生を人々に知らせるために使われているものと思われます。
現在では、消防自動車が出動する時に鳴らす「サイレン」によって火事を知る場合が多いのではないかと思います。
サイレンは、2枚の多孔円盤の一方を回転させて空気の流れを断続させる楽器ですが、現在は電子回路によるサイレンも使われています。
サイレン(セイレン)は、船乗りを美声で誘惑して難破させる魔女。ホメロスの敍事詩「オデッセイ」で有名ですね。ローレライの岩にも同類が居ました。
半鐘の打ち方は、遠くの火事ならジャーンジャーン(二つ半鐘)、近くなるにつれて、三つ半(ジャーンジャーンジャーン)、四つ半、そして「擦り半鐘」の連打。♪火事だ近いよ スリバンだ(お祭りマンボウ)。
鎮火するとゆっくり2回短くジャン、ジャン。この「おしめり」の合図「おジャン」から「終末を迎える」意味が生まれました。落語「火焔太鼓」のサゲ(
[57047]油天神山さん)。
あいおい損害保険の前身・大東京火災海上保険は、「半鐘」の社章を使っていました。