距離というのは、地球に近い曲面に投影された地図上の存在です[72089]。
従って、現実の安中市役所が標高約 174mの地表にあっても、投影された地図上の安中市役所からの距離は、海岸と同じ投影面(GRS80)の中でのことです。
緯度・経度から球面距離を求めるのは、球面三角法を使う面倒な計算が必要だったのですが、便利な世の中になったおかげで、国土地理院HPの
計算プログラム を使えば、即座に結果が出ます。
出発点 安中市役所 北緯36分19秒 東経138度53分14秒、到着点 直江津海岸 北緯37度10分25秒 東経138度13分49秒を上記のプログラムに入力し、測地線長 110,820mという結果を得ました。
日本人さんが
[65148]で求めた110.8kmは、マピオンのキョリ測
[65156]によるもので、本質的には同じ計算と考えられ、結果も当然のことながら一致しました。
さて、日本一海から遠い佐久市臼田の場合、駿河湾(田子の浦)、相模湾(国府津)、日本海(梶屋敷)が直江津と事実上の等距離でした。安中市役所は、もっと東だから西側の2箇所は考慮外として、相模湾と、新たに東京湾までの距離を測って日本海(直江津)と比較しておきます。
相模湾(二宮海岸)までは119kmあり、日本海より遠かったのですが、問題は東京湾です。
東京湾は埋立地がゴチャゴチャしていますが、隅田川河口付近が一番近そうなので、到着点として、東京港 日の出ふ頭 北緯35度39分07秒 東経139度45分39秒を選んで計算してみました。
結果は、測地線長(つまり距離)が108,656mと出ました。
結局のところ、「海から最も遠い市役所は安中」という結論に変わりはなかったようです。
しかし、その差は僅かですが、安中市役所から最も近い海は日本海でなく東京湾であり、その距離は、108km台であるという事実が知れました。
「日本一海から遠い市町村」というと、
(1)日本一海から遠い地点のある市町村 = 長野県南佐久郡臼田町→佐久市
[54218]
(2)役場の所在地が日本一海から遠い市町村 = 長野県南佐久郡佐久穂町
[65148]
の他にも、
(3)任意の地点が日本一海から遠い市町村
がどこであるか気になります。
しかし、距離計算に便利なプログラムがあっても、近い海は地図で見当をつける必要があり、検証は結構面倒なものになると思われます。
これにて、海から遠い市町村の話を終りとします。
おまけ
[54218]における、臼田町観光協会の認定証を掲載したページへのリンクが切れていました。
改めて、佐久市環境境界臼田支部長の認定証を掲載した
ページ をリンクします。
# 市町村合併の影響がこんなところにもあるのですね。
また、 「全国地図測量史跡」
日本一海から遠い地点 もリンクしておきます。
「国土地理院地図部技術報告」第4号に詳細があるようですが、ネット上には未発見です。