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火山

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[23810] 2004年 1月 15日(木)21:23:21hmt さん
富士山が活火山である事実から目をそむけないで
[23797] 花の東京都民さん
美しい富士山にはこのまま死火山になってもらいたい
もちろん富士山は活火山です。 http://www.bousai.go.jp/fujisan/about_fuji.html
宝永の噴火からの休止期間300年なんて、富士山の一生からみたら、ほんの一瞬のまどろみに過ぎません。
このまま死火山になるなんてことはありません。現実を直視しましょう。

火山噴火予知連絡会の活火山ワーキンググループ専門家チームが2002年10月にまとめたランク分け案によると、全国で約110ある火山を噴火の危険性に応じて三つに分類した場合、最も危険性が高いとするAランク(徹底した継続的な監視が必要な火山)の候補 22火山の中に、富士山が入っていました。他のAランクの候補は、三宅島、有珠山、桜島などです。
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/Bio/200210/11-1.html

その後の検討で、Aランク火山は 評価得点が突出した最近活動が活発な13火山に絞り込まれ、富士山はBランク(常時観測が必要な火山)と発表されました。 http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/Bio/200301/22-1.html
しかし、
評価作業にあたった専門家グループのメンバーは「官学でハザードマップ(災害予測図)作りを急いでいる富士山でさえBランクなのだから、Bランクは、それだけ噴火リスクが高い山ととらえてほしい」と説明する。
とのコメントが示すように、
「富士山は噴火の危険の大きい活火山である」という現実から目をそむけるわけにはゆきません。
[23898] 2004年 1月 18日(日)14:18:51【1】hmt さん
活火山コレクション(1)まえがき
阿蘇の噴煙(2004/1/14) http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2004jan/14/K20040114MKB1O100000055.html はその後の続報もなく、噴火には至っていないようですね。
落書き帳で富士山噴火の話題に発展したのを機会に 「活火山コレクション」を作ってみました。
[23828] じゃごたろ さん から「山脈・山地名」の提案がありましたが、火山については グリグリさん [3148] がずっと前から構想をお持ちだったようです。

作ってみました……と言っても、気象庁が事務局を担当する火山噴火予知連絡会が2003/1/21に発表した三段階ランク付けに理科年表のデータを補足して表にしただけです。火山噴火予知連絡会を単に予知連と省略すると、国土地理院の関係する地震予知連絡会と混乱するので、以下この資料では気象庁と表現します。

先ず気象庁による「活火山」の定義です。従来は 過去2000年間に噴火した火山+地熱活動の活発な86火山を「活火山」と呼んでいました。
しかし、思いもかけず有史以来の活動を見せた木曽の御嶽山(1979年)のような山もあり、気象庁は「2000年以内に限ったままでは将来、噴火の可能性がある山を見落とす恐れがでてきた」として、昨年、およそ一万年以内の噴火に拡大しました。国際的な傾向に合わせることも変更理由に挙げています。
その結果、21の火山(表の*印)が噴火予知連リストに追加され、分割(表の**印)による増加1件を加えて108火山になりました。

気象庁は、過去の活動頻度に応じて、85火山を三段階のランクに分類しました。
最も活発なAランクは、過去百年に数回噴火した山で、浅間山など13火山。
富士山など36火山は、これに次ぐBランクで、数十年に一回程度、地震や噴煙などがあった火山。
火山の活動歴はあるが、近年は噴火していない36火山はCランク。
データ不足の択捉・国後の11火山と伊豆小笠原海域(10)、鹿児島、沖縄(各1)の12海中火山、計23はランク対象外です。
もっとも「この分類は 過去の火山活動度に基づくもので、噴火の切迫性や各火山の危険性を分類したものではありません。」と説明されています。過去の活動頻度がBランクだからといってAランクより噴火が後になるわけでもないし、噴火が起こった時の規模は更に別問題。
……ごもっともですが、それでは何のためのランク付けなのかな?

次回から地域別に4回に分けてこれら108火山を紹介します。
その際に、No.(便宜上付けた一連番号)、気象庁の火山名、ランク、所在のほかに、理科年表の表(2004年版 地109~116頁)において対応する火山名と読み、別名、最高峰、標高を補足して示します。これは、気象庁の使った火山名以外の名で呼ばれる例が多々あるので、地名コレクションとして少しでも充実させるためです。

例えば支笏湖の南北にある樽前山と恵庭岳はランクがAとCと異なる故もあり、気象庁では別々にカウントしていますが、理科年表では「支笏」としてくくり、支笏火山を構成する山体名として、樽前山、風不死岳、恵庭岳および支笏カルデラの4つを挙げています。今回作成した表では気象庁に従って両者を別建てとしながら、理科年表の火山名欄に 「支笏の内」 と記してこのような関係を示しました。
理科年表に記されていた別名、最高峰、標高も利用しました。但し最高峰は必ずしも活火山として挙げるのに適当な山体でない場合もあることをお断りしておきます。例えば阿蘇の最高峰として高岳1592mを表示してありますが、活火山として活動している山体は中岳1323mです。
このようなわけで阿蘇の中岳は今回の表の中に名前が出ず、雲仙の普賢岳の名も平成新山の陰に隠れてしまいました。このあたり、活火山コレクションとしては、表現にもう一工夫ほしいところです。

もともと理科年表の表のタイトルは 「日本のおもな火山」であって、活火山だけが対象でないのです。収録火山数 268。そもそも理科年表では「活火山」という言葉を使わず、「一万年以内に噴火した火山」と表現しています。「活きているかどうかわかりもしないのに 活火山と言えるものか」という執筆者の意思表示なのかもしれません。
「一万年以内に噴火した火山」の大部分は気象庁の108火山と一致するのですが、少し食い違っています。今回の火山コレクションで、気象庁火山名の末尾に # マークを付けたニセコ、恐山、八幡平、口之島は、理科年表では一万年以内に噴火とされていません。
逆に108火山以外なのに一万年以内に噴火と記された「隠れ活火山?」も、萌消(択捉)、久六島西方(秋田沖)、寒風山(秋田)、鵜渡根島(伊豆諸島)、海勢西の場(小笠原諸島)、大山(鳥取)などあります。
108火山中 ** を付けた南日吉海山・日光海山、以前は春日海山・福神海山と共に南硫黄島南東洋海底火山と言われていたものを分割したものですが、理科年表では4つ別々に示されています。
活火山が86から108に増えた際の分割増1は 上記の通りですが、他の21は追加分で、気象庁火山名の末尾に * マークを付けてあります。鶴見岳への伽藍岳追加は火山の数が増えないので21に含めていません。

集合体の火山や別名があるために、表の説明が結構長くなりました。
108活火山の分布図は http://www.kishou.go.jp/jma-magazine/0307/ 所載の「気象庁の紹介(その12)火山監視・情報センター」に出ています。南海、瀬戸内、近畿、東海、南関東が活火山の空白域ですね。
[23899] 2004年 1月 18日(日)14:20:11【1】hmt さん
活火山コレクション(2)北海道
No.火山名Rank読み(理科年表)所在理科年表火山名別名最高峰標高
1茂世路岳もよろだけ択捉島Kudriavy1124
2指臼岳さしうすやま択捉島指臼山Baransky1125
3散布山ちりっぷやま択捉島Chirip1587
4小田萌山おだもいやま択捉島Tebenkov1208
5択捉焼山こちりっぷ択捉島小散布IvanGrozny1158
6択捉阿登佐岳あとさたけ択捉島Atosanupuri1206
7ベルタルベ山べるたるべやま択捉島Berutarube1221
8ルルイ岳*るるい国後島ルルイ1486
9爺爺岳ちゃちゃだけ国後島Tiatia1822
10羅臼山くなしりらうすやま国後島Mendeleev888
11泊山とまりやま国後島Golovnin541
12知床硫黄山しれとこいおうざん網走1562
13羅臼岳らうすだけ網走・根室1661
14摩周ましゅう釧路・網走・根室摩周の内 カムイヌプリ摩周岳857
15アトサヌプリくっしゃろ釧路屈斜路の内508
16雌阿寒岳めあかんだけ釧路阿寒の内ポンマチネシリ1499
17丸山まるやま十勝1692
18大雪山たいせつざん上川旭岳2290
19十勝岳とかちだけ上川・十勝2077
20利尻山*りしりさん宗谷利尻富士1721
21恵庭岳えにわだけ石狩支笏の内1320
22樽前山たるまいさん石狩・胆振支笏の内1041
23倶多楽くったらかるでら胆振倶多楽カルデラ四方嶺581
24羊蹄山*ようていざん後志マツカリヌプリ・蝦夷富士1898
25有珠山うすざん胆振洞爺の内大有珠733
26ニセコ *#にせこかざんぐん後志ニセコ火山群の内イワオヌプリ・硫黄山1116雷電山1212
27北海道駒ヶ岳ほっかいどうこまがたけ渡島渡島富士剣ヶ峯1131
28恵山えさん渡島618
29渡島大島おしまおおしま渡島江良岳737
[23900] 2004年 1月 18日(日)14:21:47【1】hmt さん
活火山コレクション(3)東北・北関東
No.火山名Rank読み(理科年表)所在理科年表火山名別名最高峰標高
30恐山#おそれさん青森釜臥山879
31八甲田山はっこうださん青森八甲田の内大岳1584
32岩木山いわきさん青森津軽富士1625
33十和田とわだかるでら青森・秋田十和田カルデラ-
34秋田焼山あきたやけやま秋田1366
35八幡平#はちまんたい岩手・秋田1613
36岩手山いわてさん岩手南部富士2038
37秋田駒ヶ岳あきたこまがたけ岩手・秋田男女岳1637
38鳥海山ちょうかいさん秋田・山形出羽富士新山2236
39栗駒山くりこまやま岩手・宮城・秋田須川岳1627
40鳴子なるこかざんぐん宮城鳴子火山群胡桃ヶ岳461
41肘折*ひじおり山形-
43蔵王山ざおうざん宮城・山形熊野岳1841
42吾妻山あづまやま山形・福島西吾妻山2035
44安達太良山あだたらやま福島鉄山1709
45磐梯山ばんだいさん福島会津富士1819
46沼沢*ぬまざわかるでら福島沼沢カルデラ-
47那須岳なすだけ栃木茶臼岳1915
48高原山*たかはらやま栃木釈迦ヶ岳1795
49日光白根山にっこうしらねさん栃木・群馬2578
50燧ヶ岳ひうちがたけ福島紫安 2356
51赤城山#あかぎさん群馬黒桧山1828
52榛名山はるなさん群馬掃部ヶ岳1449
53草津白根山しらねさん群馬本白根山2171
[23901] 2004年 1月 18日(日)14:24:29【1】hmt さん
活火山コレクション(4)中部・富士箱根・伊豆諸島・小笠原諸島
No.火山名Rank読み(理科年表)所在理科年表火山名別名最高峰標高
54浅間山あさまやま群馬・長野2568
55横岳*長野(北八ヶ岳)記載なし2480
56妙高山みょうこうさん新潟越後富士2454
57新潟焼山にいがたやけやま新潟2400
58弥陀ヶ原たてやま富山立山2621
59焼岳やけだけ長野・岐阜2455
60アカンダナ山*長野・岐阜記載なし2109
61乗鞍岳のりくらだけ長野・岐阜剣ヶ峰3026
62白山はくさん石川・岐阜御前峰2702
63御嶽山おんたけさん長野・岐阜剣ヶ峰3067
64富士山ふじさん山梨・静岡剣ヶ峰3776
65箱根山はこねやま神奈川神山1438
66伊豆東部火山群いずとうぶかざんぐん静岡大室山580
67伊豆大島いずおおしま伊豆諸島三原山764
68利島*としま伊豆諸島宮塚山508
69新島にいじま・しきねじま伊豆諸島新島・式根島向山432
70神津島こうづしま伊豆諸島天上山571
71三宅島みやけじま伊豆諸島雄山783
72御蔵島*みくらじま伊豆諸島御山851
73八丈島はちじょうじま伊豆諸島八丈島の内 西山八丈富士854
74青ヶ島あおがしま伊豆諸島大凸部423
75ベヨネース列岩べよねーずれつがん伊豆諸島明神礁カルデラの内11
76須美寿島すみすかるでら伊豆諸島スミスカルデラ須美寿島136
77伊豆鳥島とりしま伊豆諸島鳥島硫黄山394
78孀婦岩*そうふがん伊豆諸島99
79西之島にしのしま小笠原諸島25
80海形海山*かいかたかいざん小笠原諸島-426
81海徳海山かいとくかいざん小笠原諸島-103
82噴火浅根きたいおうじま小笠原諸島北硫黄島792
83硫黄島いおうじま小笠原諸島パイプ山摺鉢山161
84福徳岡ノ場ふくとくおかのば小笠原諸島-22
85北福徳堆きたふくとくたい小笠原諸島-73
86南日吉海山**みなみひよしかいざん小笠原諸島-84
87日光海山**にっこうかいざん小笠原諸島-430
[23902] 2004年 1月 18日(日)14:26:07【1】hmt さん
活火山コレクション(5)南西日本
No.火山名Rank読み(理科年表)所在理科年表火山名別名最高峰標高
88三瓶山*さんべさん島根男三瓶山1126
89阿武火山群*あぶかざんぐん山口西台
90鶴見岳・伽藍岳(*#)つるみだけ大分鶴見岳1375
91由布岳*ゆふだけ大分豊後富士1583
92九重山くじゅうれんざん大分九重連山中岳1791
93阿蘇山あそ熊本阿蘇の内高岳1592
94福江火山群*ふくえじまかざんぐん長崎福江島火山群鬼岳315
95雲仙岳うんぜん長崎雲仙平成新山1486
96霧島山きりしま宮崎・鹿児島霧島韓国岳1700
97米丸・住吉池*あおじきよねまるすみよしいけ鹿児島 青敷・米丸・住吉池277
98桜島さくらじま鹿児島 姶良・桜島の内北岳1117
99若尊*わかみこ鹿児島姶良・桜島の内-204
100開聞岳かいもんだけ鹿児島 阿多・開聞の内薩摩富士924
101池田・山川*いけだこ鹿児島 阿多・開聞の内 池田湖,鰻池-
102薩摩硫黄島さつまいおうじま鹿児島 鬼界の内硫黄岳704
103口永良部島くちのえらぶじま鹿児島古岳657
104口之島*#くちのしま鹿児島 前岳628
105中之島なかのしま鹿児島御岳979
106諏訪之瀬島すわのせじま鹿児島 御岳799
107硫黄鳥島いおうとりしま沖縄212
108西表島北北東海底火山いりおもてじまほっぽうかいていかざん沖縄西表島北方海底火山-
[23960] 2004年 1月 20日(火)18:06:25hmt さん
活火山コレクション(6)主な噴火記録
大部分は歴史時代の大噴火・死者多数・全島避難の記録ですが、落書き帳に登場した話題や巨大カルデラ形成時期については、先史時代も収録しました。
死者の数を見ると、噴火自体よりも、噴火から誘発された津波による死者が多いことに驚きます。
噴火の影響による飢饉・疫病等の災害がもたらす死者も多かったことと思われます。

(2)北海道[23899]
15 屈斜路カルデラ:約26×20km 日本一の巨大カルデラ形成は12万年前まで。東壁上には摩周火山が8000年前に摩周カルデラ形成。
19 十勝岳: 1926年 火山泥流に村落埋没、死者144。
25 有珠山: 1853年 大有珠生成、1910年 明治新山、1944-45年 昭和新山、1977-80、2000-01。
27 北海道駒ヶ岳: 1640年 噴火津波、溺死者700余。
29 渡島大島: 1741年 噴火津波、溺死者1467。

(3)東北・北関東[23900]
44 安達太良山: 1900年 爆発、死者72。
45 磐梯山: 1888年 山体崩壊、噴出物総量12億m3 諸村埋没、桧原湖などを生成、死者461。
47 那須岳: 1408-10年 爆発・泥流、死者180余。

(4)中部・富士箱根・伊豆小笠原,[23901]
54 浅間山: 685年~1990年 噴火記録多数。特に大規模なのが1783年の噴火で、火砕流は鎌原村を飲み込み、溶岩流は鬼押出しとして知られる。死者1151。浅間焼けによる火山灰は同じ年のアイスランドでの大噴火(ラーキ、25kmの割れ目噴火で熔岩台地生成)と共に北半球の空を覆い、数年間気候を狂わせた。天明の大飢饉、フランス大革命はその影響とされる [11541]
57 新潟焼山: 1974年 水蒸気爆発。突然小規模な噴火の登場は、筆者が体験したから。独断と偏見に満ちた選定です。
63 御嶽山:1979年 有史以来の噴火再開。活火山の定義を見直すきっかけに。

64 富士山: 約2500年前に山体崩壊 御殿場岩なだれ [23834]。800-801年 延暦噴火、足柄路が塞がれ箱根路を開く [19249]。864年 貞観噴火、2億m3の青木ヶ原溶岩流が「せのうみ」を西湖と精進湖に2分 [3719]。1707年 東海地震の49日後に起きた宝永噴火、噴出物総量8億m3、農地・河川等に噴出物が積り被害甚大。小田原藩を領地替して幕府の手で災害復旧したほど。
66伊豆東部火山群: 1989年 伊東市沖で海底噴火、手石海丘(-81m)を形成。

67 伊豆大島: 1777-79年 最大の溶岩流。1950-51年。1986年 噴出物4000万m3、全島民避難。
71 三宅島: 1643年。1874年1村落全滅。1983年。2000年有毒火山ガスの長期大放出、全島民避難中
74 青ヶ島: 1780-85年 死者140、島民は八丈島に避難、以後50年間無人島。
75 明神礁: 1952年 観測船第5海洋丸遭難、全乗員31人殉職。明神礁を中央火口丘とする海底火山の外輪山西縁がベヨネース列岩 。
77 伊豆鳥島: 1902年 中央火口丘爆砕消失、全島民125人死亡、日本の火山観測の契機となる。1939年 中央火口丘再生、全住民が島外に去る。1974年気象観測所ができたが1965年撤退。
領有権問題から?所属市町村のない南方四島[18922] [22460]の中では最大。
79 西之島: 1973-74年 新島の面積0.2km2以上に成長し、旧島とつながる。日本国土の自然増加では戦後唯一の例?

(5)南西日本[23902]
93 阿蘇山:約24×18km日本で第2位の巨大カルデラを形成した大噴火は9万年前。553年 日本最古の噴火記録。有史以後の噴火はすべて中岳で記録多数。…1958年 観光施設破壊・耕地荒廃、死者12人。1989-95年毎年噴火。

95 雲仙岳: 有史以後(860~)の噴火はすべて普賢岳。1792年 新焼熔岩等・強震・眉山の崩壊・火山泥流・有明海に噴火津波(島原大変・肥後迷惑)、死者15188人は日本歴史上最大の噴火災害。1990-95年 熔岩ドーム形成(その後 国土地理院の地図に平成新山として記載)、火砕流多発。
96 霧島山: 742年以来噴火記録多数。高千穂お鉢火口、新燃岳山頂火口等。

98 桜島: 直径約20kmの姶良カルデラとシラス[23823]台地を形成した22000(~25000)年前 の噴出物 姶良Tnの総量は450km3=4500億m3。この時の火山灰は本州・北海道まで全国に飛来し、旧石器時代の指標層になっている。11000年前 カルデラの南縁に桜島形成。708年以来南岳噴火記録多数。…1779年 噴火津波、死者153。…1914年 溶岩流で大隅半島とつながる、噴出物総量20億m3、村落埋没・焼失、死者58。1946年1億m3。1955年以来噴火継続中。

102 鬼界カルデラ: 6300年前に170km3=1700億m3以上の 鬼界アカホヤを噴出する大噴火、南九州の縄文早期文化に壊滅的打撃。薩摩硫黄島は1934年 海底噴火で新島出没、現在噴火継続中。
106 諏訪之瀬島:1813年 溶岩流で全島民島を去り、60年間無人島。現在噴火継続中。
107 硫黄鳥島: 1903年 全島民久米島に移住。1959年 全島民移住、無人島となる。

[23933] グリグリさん
htmlファイルをお送りいただけるともっと嬉しいです(笑
hmtを名乗っているのに、hmtl ファイルを作ったことがありません。
あ、html でしたね(苦笑
[24080] 2004年 1月 23日(金)22:17:52hmt さん
火山データベース
活火山コレクション関連でWEB検索をしているうちに、専門の火山学者のデータベースが公開されているのを知りました。
日本火山学会のHPには、「日本の第四紀火山カタログ(CD-ROM版)」と書かれていますが、そのデータはWEB公開されていたことに、これまで気がつかないでいました。

トップページ http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/volcano/index.htm は、たしかにCD-ROMの紹介を主としていますが、WEB版データベース(下記の表)に進むことができます。
Volcano Table http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/volcano/kaz-table.htm

この表の一連番号1~245は南から北への付番で、枝番もあるので収録数はこれより多くなります。一覧表には番号、火山名 経緯度 体積 年代範囲を記載していますが、番号又は火山名からのリンクをたどると個体火山体のデータに至ることができます。
例えば195支笏をクリックすると、著者・前記4データと共に 支笏に含まれる4つの個体火山体 19支笏カルデラ、20恵庭、21風不死、22樽前 が表示されます。この表現も含めて理科年表([23898]参照)と共通するところが多いデータと思われます。
ここで 19支笏カルデラをクリックすると、次のような個体火山体データを得ることができます。
http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/volcano/kobetsu/id-19.htm

またトップページから、分布図 http://www.geo.chs.nihon-u.ac.jp/tchiba/volcano/kazan-all-title3.htm に進むこともできます。分布図には前記volcano tableの表と共通の番号が付され、個別データにリンクしています。

その他 火山関係データベース
100万年火山テフラ(火砕物)カタログ(日本) 群馬大学早川研究室
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/catalog/

世界の火山
Smithonianの http://www.volcano.si.edu/gvp/ の中にVolcanoes of the Worldがあります。
2000年噴火カタログ(世界) http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~hayakawa/catalog/2000W
[24108] 2004年 1月 24日(土)16:27:29hmt さん
西暦535年の大噴火~人類滅亡の危機をどう切り抜けたか~
西暦535年頃アフリカからペストが流行しはじめ、エジプト・東ローマ帝国・西ゴート王国(現在のスペインからフランスの一部)へと拡がりました。モンゴルでは馬に基礎を置いた柔然の経済が崩壊して突厥に追われ、5000kmを移動して東ヨーロッパにアヴァール帝国を作りました。南北朝時代の中国・三韓時代の朝鮮・欽明朝の日本・南北アメリカの先住民社会を含めて、世界各地同時多発の異常気象・飢饉・疫病・戦乱等の連鎖で人類滅亡の危機に見舞われたこの時代。

連鎖の始まりになった異常気象は何によって引き起こされたのか? 隕石の衝突か、火山の大噴火か? それとも… というストーリーで書かれたのが、タイトルの書物です。デイヴィッド・キーズ著・畔上司 訳(文芸春秋)。元のタイトルは"Catastrophe" (1999)。日本について言うと、538年の仏教公認が危機対策に関連しているとされています。

邦訳本のタイトルは、この南北両半球にわたる異常気象が、スンダ海峡のクラカタウ火山の大噴火により空を覆った火山灰が原因だったとする説を示しています。しかし、 http://www.volcano.si.edu/gvp/world/volcano.cfm?vnum=0602- によると、クラカタウでカルデラを形成した大噴火は416年となっており、年代が合いません。このストーリーをどこまで信じてよいことやら。なおクラカタウは1883年にも大噴火しています.

人類滅亡の危機はともかくとして、1783年にも火山ショックがありました。この年は6月にアイスランドのラカギガル火山列ラキ山が大噴火(スカフタオの火)、8月(旧暦天明3年7月)には日本で浅間山焼けと呼ばれる大噴火があり、2つの噴火による火山灰で空を覆われた北半球の農業は、数年間にわたり深刻な打撃を受けました。天明の大飢饉による人口減少は100万人以上とされ、火砕流等による直接の死者1151とは桁違いです。フランスでも「パンが食べられない」(もちろんケーキも食べられない)人が街にあふれ、大革命に至ったとされます [11541]
上前淳一郎:複合大噴火(文芸春秋)はこの事件を題材としたもののようですが、私はまだ読んでいません。

[23960]
102 鬼界カルデラ: 6300年前に170km3=1700億m3以上の 鬼界アカホヤを噴出する大噴火、南九州の縄文早期文化に壊滅的打撃。
これはNHKの「日本人はるかな旅」 2 巨大噴火に消えた黒潮の民(2001)で紹介されていました。これ以降の日本列島はカルデラ破局噴火をひとつも経験していません。

その他、
10世紀の白頭山(現中国/朝鮮国境)噴火と渤海国の滅亡、3500年前のエーゲ海サントリニ火山噴火とクレタ島ミノア文明衰退(事件から千年後にプラトンがアトランティス伝説を残す)等が論じられています。AD79年 のヴェスヴィオ火山の噴火(ポンペイ最後の日)も有名。

火山に関心のある方は、下記のサイト「火山学者に聞いてみよう」も役に立つと思います。
http://hakone.eri.u-tokyo.ac.jp/kazan/Question/topic/topicindex.html
例えば
歴史上最大の噴火 http://hakone.eri.u-tokyo.ac.jp/kazan/Question/topic/topic249.html
世界最大の火山 http://hakone.eri.u-tokyo.ac.jp/kazan/Question/topic/topic243.html
[24149] 2004年 1月 25日(日)15:00:25【2】hmt さん
Re:「死都日本」他
[24135] 今川焼 さん
「死都日本」石黒耀(講談社2002)では、宮崎県の加久藤盆地の地下にある加久藤火山が大噴火
これは予想外の場所でしたね。気象庁の活火山リストに基づく [23902] には入っていません。

リンクしていただいたシンポジウム要旨集は、大変参考になりました。有難うございます。
シンポジウムの中で 小山真人さん http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/abstracts.html#04 は、本書を
「稲むらの火」が現在もなお高く評価されるのは,文学作品としての秀逸さもあるためと考える.「日本沈没」のような啓発色の弱い娯楽作品であっても,当時の若者の進路に多大な影響を与えたこと(今の30~40 代の地震・火山学者に,この作品がきっかけで進路を選択した者が多い)は注目に値する.しかし,私たち学者が,実際にそのような一流の演出を得る機会は稀である.そのような意味でも「死都日本」には心底驚かされた.望んでも容易には得られない優れた教材が,労せずして入手できたとみるべきである.
と評価されています。
また、鍵山恒臣さんによると
霧島と加久藤カルデラの関係は?このシンポジウムで避けて通れない疑問のひとつであるが,実はよくわかっていない
とのことです。

1783年の「複合大噴火」:噴火が世界的気温低下に及ぼす影響は、噴出物のうち大気中に長期間止まりやすい火山灰によるもので、噴出物総量だけからは判断できないと思います。アイスランドにおける噴出物の主体は、割れ目噴火による大量の熔岩だったと思われます。
[40149] 2005年 4月 21日(木)19:17:59hmt さん
安永諸島
国立公文書館で開催中の特別展将軍のアーカイブズに、江戸幕府が作成させた国絵図の一部を紹介する写真パネルの展示がありました。

桜島の元禄図と天保図とを対比して、“安永8年(1779)の大噴火の結果誕生した島(安永諸島)”という説明。
作々さんのお膝元で、「島群コレクション」にない諸島を発見!

地図では「安永諸島」の文字を見付けることができなかったのですが、調べてみると、火山学者の間では通用しているようです。

桜島火山の噴火史によると、北東側の沖合いで海底噴火が続き,約1年の間に8個の島が誕生したとのこと。第3図の右上に現在でも残る4島が見えます。最も大きいのが新島(燃島)。

この小さな無人島に関心を持つのは、火山学者だけのようですが、豆南諸島や東京諸島[24183]のような特定の分野でしか通用しそうもない島群も収録していただいているので、「安永諸島」もお願いします。
[44101] 2005年 8月 13日(土)00:02:44【1】hmt さん
世界最大のカルデラを持つトバ火山
[44095] みやこ♂ さん
世界最大のカルデラって??

火山学者に聞いてみようの中の、トバ火山の項目で、Question #2509に対する回答から、大きなカルデラの数字を引用します。

インドネシアのスマトラ島にある トバカルデラが 約100×30キロメートルで 最大
2番目 は アメリカ合衆国のイエローストーンカルデラで 約70×50キロメートル
屈斜路カルデラは 約26×20キロメートルで 日本一
阿蘇カルデラは 約24×18キロメートル
姶良(あいら)カルデラは 直径約20キロメートル
とあります。

さて、このトバ火山は、昨年末の大地震津波の震源の近くですね。
74 000年前に起こった、過去10万年間では最大の噴火よって形成された トバ湖。 中に巨大なサモシール島がある琵琶湖の倍近い広さのカルデラ湖だそうです。
オーストラリアの専門家がトバ火山巨大噴火のおそれを警告したというニュースがあったとか伝えられたようですが、どの程度に可能性がある話なのかわかりません。もし、本当に噴火するとしたら、世界的に大きな影響がある筈なので、既に大騒ぎになっていると思うのですが、あまり続報を聞きません。可能性は低いのかもしれません。
[57991] 2007年 4月 14日(土)18:59:30hmt さん
5万年前にアフリカを旅立ったホモサピエンスは、日本にやって来て、高原山に石器工房
朝日新聞2007/4/12夕刊
旧石器時代に原石加工/3万5000年前の石器出土/産地に入り採取か

日本の旧石器というと、いやでも2000年11月に発覚した 旧石器発掘捏造事件 を思い出してしまいますが、今回の発見は“数十万年前の原人(ホモエレクトス)の石器!?”ではありません。

栃木県・高原山の黒曜石の原石産地遺跡で、後期旧石器時代初頭、約3万5千年前の石器が発見された。日本に人間の活動の痕跡が確実に残る最も古い時期で、原石を求めて山を登り、効率よく石器に加工していた可能性が高い。

昨年10月、矢板市教委調査委員会の本格調査で採取された石器の中に、「台形様石器」と判断されるものがあった。これと同じ台形様石器が出土する関東地方の立川ロームX層は、日本で人間活動の痕跡が確実に残る最古の地層で、約4万年前とも、3万5千年前ともされるとのこと。

草食動物が群れていたこの時代の関東平野から、狩に使う石器の材料を求めて北関東の高原山へ。しかも、川筋に流れ出した石を拾って利用して段階にとどまらず、岩場を登って、黒曜石の原石を打ち割り、現地で選別し、石器に加工して持ち帰った姿をうかがうことができる発見でした。

実は、文化庁の巡回展 発掘された日本列島2006 には、既に次のように紹介されていました。
高原山黒曜石原産地遺跡群剣ケ峯地区 黒曜石の山で見つかった石器工房 粗く加工した石器を関東各地へ運搬

今回の本格調査によって確認された台形様石器により、ホモサピエンスによる「第二次出アフリカ」の時期と符合することが、この遺跡のニュース価値を生んだようです。
新聞報道は、更に 次のように伝えています。
近年の人類学では、現代人とほぼ同等の思考・行動の基礎能力を持った新人は5万年ほど前にアフリカを旅立ち世界に拡散し、それまでの人類と置き換わったとの考えが主流となっている。今回発見された台形様石器の年代は、そうした世界拡散の時期にも合致する。

アフリカで誕生した現代人の祖先(ホモサピエンス)は、6万年から4万年前頃に「創造力の爆発」と呼ばれる時期を迎え、技術や芸術の才能を発揮しました。その居住域は世界各地へ拡散し、航海や長距離交易も実現しました。
しかし、それに先立って、彼等は存亡の危機を迎えていたようです。

7万4000年前に、スマトラ島のトバ火山の大噴火がありました。世界最大のカルデラということで、[44101]で書いたことがあります。その時に噴出された火山灰や軽石の量は2800km3というから、1815年のスンバワ島タンボラ火山の噴火(歴史上最大)における150 km3の20倍の規模です。この火山灰で太陽の光が失われ、ステージ5の温暖期(リス・ウルム間氷期)からステージ4の氷期に突入する「きっかけ」になったと思われています。

突如として地球を襲った寒さは、人類を含むすべての生命に大きな打撃を与えたものと思われますが、より古いリス氷期にも適応していた北の住民・ネアンデルタール人よりも、アフリカ生まれのホモサピエンスにとって、より厳しいものだったと思われます。遺伝子の多様性が失われた事実(「ミトコンドリア・イブ」という言葉で有名)は、氷期の到来により「絶滅危惧種」になりかけた過去を語っています。例えば、生存者2000人 というようなことが言われています。

このような試練に直面して、ハードウエア的には既に発達していた脳を使って、難局を乗り越える「ソフトウエア」を開発した結果が、前記の「創造力の爆発」だったのではないでしょうか。

5万年前頃に氷期がちょっとだけ和らいだ時期(ステージ3)が、アフリカから世界各地への現代人拡散の機会だったように思われます。
New York Timesのサイトにあった「10 Adams and 18 Eves」のマップをリンクしておきます。

ホモサピエンスによる「第2次出アフリカ」が、西はヨーロッパのクロマニヨン人、東は日本の高原山やオーストラリア、そして少し遅れて南アメリカにまで及んだことに思いを馳せると、今回の旧石器発見のニュースが、壮大な人類史の一翼を担うものと理解できます。
高原山に石器工房を残した彼らが、その後の極寒期(ステージ2)にも生き残り、縄文人になって現代に続く温暖期(ステージ1)を迎えることができたのか否かは知る由もありません。

蛇足
「第2次出アフリカ」とは、150万年前の原人による「第1次出アフリカ」と対比した言葉です。
アジアに来た原人は、ホモエレクトスの名で知られ、アフリカ残留組はホモエルガステルと呼ばれています。
人類の進化に関しては、4地域に分かれた原人がそれぞれに進化して現代人になったという「多地域進化説」と、上記の「アフリカ単一起源説」とが争われていましたが、20年前の「ミトコンドリアイブ」以来の分子遺伝学によって後者が優勢になりました。二つの仮説


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