[51121] Hiro(&TOKO) さん
境界変更・編入の件のご説明、ありがとうございます。
正直言って、
[51099]拙稿は、かなり動揺の中で書き込んだこともあり、自分で見るのも恥ずかしいくらい文章が美しくありません。
[51095] Hiro(&TOKO) さん のご教授を受け、「全国市町村名変遷総覧」の「編入」表記が、告示の表現と異なることが多々ある、というのに激しいショックを受けたものでした。
そもそも、私は、(新設合併はもちろん除いて、)『(市の中の)町・大字単位で大きく合併すること』が『編入』、『町・大字の一部(小字単位であったり、地番にして数筆であったり、という軽微なもの――イメージとしては、一般の地図に表現しにくいレベルのもの――が異動することが『境界変更』だと思っていたからです。地方自治法の定義もそういうものだと思っていました。もっとも、そう書いてある資料を見たわけでもなく、まったく根拠のない「感覚」でのものですが。
[51121] でご紹介いただいた、
滋賀県市町村合併ハンドブック(PDFファイル)は、単純明快でよくわかりました。上述の動揺が、一気に瓦解した心持ちです。ほんと、感謝いたします。ありがとうございました。
[51095] [51121] Hiro(&TOKO) さんでご指摘の件を含めて、合併に伴う地方自治法第7項第1項における定義付けと、告示の表現をモデル化してみると、次のようになるので正しいのでしょうか。『 』が告示内容(地方自治法第7条第1項での位置づけ)です。
条件:
・登場する自治体:A市、B町、C市
・B町は2つに分かれる場合、「大字b1」「大字b2」に分かれる(他の大字はない)
・B町は「分割」も「分立」もない
・自治体名の改称はない
★(例1)
「B町のすべてが、A市と合併する場合」(C市はそのまま)
・・・・「A市及びB町を廃し、その区域をもって(新)A市を設置する」、いわゆる新設合併の『廃置分合』と、「B町を廃し、その区域をA市に編入する」いわゆる編入合併の『廃置分合』の2とおりに分かれる。いずれも、B町の法人格は消滅するため、『廃置分合』となる。
★(例2)
「B町のうち大字b1はA市と合併し、残りの大字b2はそのままB町として存続する」
・・・・告示上(本文)は「B町大字b1の区域をA市に編入する」という言葉は使用するが、地方自治法第7条第1項上の扱いは、あくまで『境界変更』(表題に明記)。B町の残りである大字b2は、当然、B町として存続する。
★(例3)
「B町のうち大字b1はA市と合併し、残りの大字b2はC市と合併し、B町は消滅する」
(そもそも、このように分かれる例は今では少ないが、昭和の大合併の頃はよくあった)
●その1 この2つの内容が同一の告示で行われる場合(かつ、同日付けで合併する場合)
2つの合併がともに行われると、B町が消滅する。このため、
▲その1の1 「A市+B町大字b1」が新設合併、「C市+B町大字b2」も新設合併の場合
・・・・「A市、B町及びC市を廃し、A市及びB町大字b1の区域をもって(新)A市を設置し、C市及びB町大字b2の区域をもって(新)C市を設置する」との表現の『廃置分合』となる。
▲その1の2 「A市+B町大字b1」が新設合併、「C市+B町大字b2」が編入合併の場合
・・・・「A市及びB町を廃し、A市及びB町大字b1の区域をもって(新)A市を設置し、B町大字b2の区域をC市に編入する」の『廃置分合』となる。
▲その1の3 「A市+B町大字b1」が編入合併、「C市+B町大字b2」が新設合併の場合
・・・・上記「その1の3」のそのまま置き換えるだけだが、「C市及びB町を廃し、B町大字b1の区域をA市に編入し、C市及びB町大字b2の区域をもって(新)C市を設置する」の『廃置分合』となる。
▲その1の4 「A市+B町大字b1」が編入合併、「C市+B町大字b2」も編入合併の場合
・・・・「B町を廃し、B町大字b1の区域をA市に編入し、B町大字b2の区域をC市に編入する」の『廃置分合』となる。(今回の山梨県上九一色村の例)
●その2 2件の合併が別々の告示となった場合
(市町村や都道府県の議決の時期がずれる場合が想定されるが、あまり例はないと思われる)
▲「A市+B町大字b1」の合併が先行して告示され、あとから、「C市+B町大字b2」の合併が告示の場合
・・・・1回目の告示の時点では、B町はまだ存続するのが明らかなので、新設合併や編入合併はありえない(B町の法人格は存続する)ので、『境界変更』しかありえない。よって、上記(例2)の例で、告示上(本文)は「B町大字b1の区域をA市に編入する」という言葉は使用するが、地方自治法第7条第1項上の扱いは、あくまで『境界変更』(表題に明記)。
・・・・2回目の告示は、C市と、B町大字b2とはいえB町すべてとの合併である。このため、上記(例1)に倣い、新設合併ならば、「C市及びB町(大字b2)を廃し、C市及びB町(大字b2)の区域をもって(新)C市を設置する」(「大字b2」は表記しないが参考までに付記)との表現の『廃置分合』となる。また、編入合併ならば、「B町(大字b2)を廃し、その区域をC市に編入する」いわゆる編入合併の『廃置分合』となる。いずれの場合も、B町の法人格は消滅するため、『廃置分合』となる。
総務省(自治省などの時期を含む)告示では、本文中には廃置分合にも境界変更にも「編入」を使用しますが、表題では「廃置分合」と「境界変更」を明確に区分していますね。とすると、「全国市町村変遷要覧」は、この件に関しては、表題ではなく本文に忠実である、と解釈したほうがよさそうな気がします。
こういう考えで整理できれば、非常にすっきりしました。私が入力していった合併情報は、この観点に従い、該当するものは表現を「編入」から「境界変更」に順次訂正したいと思います。(「分立」「分割設定」の、同様に考えるのでよいのでしょうね。)
長文、失礼しました。
----------------------------------------------------------------
(参考)地方自治法
第七条 市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
----------------------------------------------------------------