合併・改称・市制等における都道府県告示の位置づけについて その1
[53926] 紅葉橋律乃介 さん へのレスにもなります。
地方自治法を見ると、廃置分合も、改称も、市制等も、都道府県告示については手続き上特に定められておらず、そもそも、都道府県告示が存在するとも限りません。具体的に効力もなさそうです(周知するだけでしょうか?)。
あくまで、廃置分合の効力が生ずるのは総務大臣告示になります(同法第7条第8項)。
市制や町制も同様に総務大臣告示で効力が生じます(第8条第3項で準用した、第7条第8項)。
ところが、改称に関しては、総務大臣告示をする旨の規定はありますが、「効力が生ずる」旨の規定がありません。ということは、当該自治体の条例によって効力が生じることになります。
(参考:
地方自治法 第3条 第7条 第8条)
次回その2では、具体例を挙げてさらに検討してみたいと思います。
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以下は整理です。
1 名称変更(都道府県以外の地方公共団体)・・「条例でこれを定める」(第3条第3項)
(1) | 当該地方公共団体の長はあらかじめ都道府県知事に協議(第3条第4項) |
(2) | 当該地方公共団体は条例で定める(第3条第3項) |
(3) | 当該地方公共団体は条例制定(または改廃)後、直ちに都道府県知事に変更後の名称及び名称を変更する日を報告(第3条第5項) |
(4) | 都道府県知事は報告があった旨を総務大臣に通知(第3条第6項) |
(5) | 総務大臣は、通知を受けた旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第3条第7項) |
2 市町村の廃置分合または境界変更・・「総務大臣告示によりその効力を生ずる」(第7条第8項)
(0) | 市の配置分合は、都道府県知事はあらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得る(第7条第2項) |
(1) | 関係のある普通地方公共団体の議会の議決(第7条第6項) |
(2) | 関係市町村が都道府県知事に申請(第7条第1項) |
(3) | 都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定める(第7条第1項) |
(4) | 都道府県知事が総務大臣に届け出る(第7条第1項) |
(5) | 総務大臣は、届出を受理した旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第7条第7項) |
(#) | 総務大臣告示によりその効力を生ずる(第7条第8項) |
3 町村を市とし又は市を町村とする処分・・「総務大臣告示によりその効力を生ずる」(第8条第3項で準用した、第7条第8項)
以下の規定は、第8条第3項で準用した、第7条第1項、第2項及び第6項から第8項までの例による。
(0) | 市の配置分合は、都道府県知事はあらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得る(第7条第2項) |
(1) | 関係のある普通地方公共団体の議会の議決(第7条第6項) |
(2) | 関係市町村が都道府県知事に申請(第7条第1項) |
(3) | 都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定める(第7条第1項) |
(4) | 都道府県知事が総務大臣に届け出る(第7条第1項) |
(5) | 総務大臣は、届出を受理した旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第7条第7項) |
(#) | 総務大臣告示によりその効力を生ずる(第7条第8項) |
4 村を町とし又は町を村とする処分・・「総務大臣告示によりその効力を生ずる」(第8条第3項で準用した、第7条第8項)
以下の規定は、第8条第3項で準用した、第7条第1項及び第6項から第8項までの例による。
(1) | 関係のある普通地方公共団体の議会の議決(第7条第6項) |
(2) | 関係市町村が都道府県知事に申請(第7条第1項) |
(3) | 都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定める(第7条第1項) |
(4) | 都道府県知事が総務大臣に届け出る(第7条第1項) |
(5) | 総務大臣は、届出を受理した旨を告示、国の関係行政機関の長に通知(第7条第7項) |
(#) | 総務大臣告示によりその効力を生ずる(第7条第8項) |