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[57062] 2007年 2月 27日(火)10:24:27【2】オーナー グリグリ
海上架橋
さて、空港歴、経港歴、島達度と流行風邪が止まるところを知らない勢いですが、交通整理は後回しにしてさらに加速してみましょうか。[57022]で書いた「海上架橋」です。Webには一覧表などは見あたりませんねぇ。隅田川の河口付近に架かる橋はどこからが海上なのか分かり難いですが(★)、海岸線の定義ははっきりしているので(Webでは海岸線データを見つけることはできませんでしたが)、海上架橋をリスト化するのはそれほど困難ではないかと思います。地名コレクションのループ橋(道)やロータリー探しのような楽しさがありそうです。例えば房総半島のこんなところやこんなところ。

隅田川河口付近に架かる橋として、永代橋、中央大橋、佃大橋、勝鬨橋、相生橋、春海橋、朝潮大橋、朝潮橋、晴月橋、黎明橋、晴海大橋などがありますが、永代橋、中央大橋、佃大橋、勝鬨橋は隅田川に架かる橋のようです。相生橋と春海橋は晴海運河、朝潮大橋、朝潮橋、晴月橋、黎明橋は朝潮運河に架かる橋、そして、晴海大橋は東京港に架かる橋のようです。さて、東京港は海上だと思いますが、運河はどうなるんでしょうか。おそらく個別に海岸線が定義されているのだと思いますが、このあたり詳しい方のフォロ~を待ちます。

 ■追記:Webで調べると相生橋も隅田川に架かる橋と紹介されていますね。[33296]でhmtさんが話題にされてました。

ということで、海上架橋はグレーなもの(海岸線付近の架橋)もあるでしょうが、それほどコレクションするのは難しくないかも知れませんね。瀬戸内海や長崎県などにはかなりの数がありそうです。また、前述した房総半島の例のように湾口に架かる橋が結構あるようで、無さそうなところでも以外と見つかりそうです。徒歩で渡る橋、例えば伊豆半島の城ヶ崎つり橋のような例や、高速道路が海上にせり出しているような、橋とは言いにくいものなどもありますが、許容範囲を少し拡げてみて注釈付けておけば、後々整理し易くなると思います。

どなたかコレクションの編集者に名乗りを上げませんか。面白そうですよ。

佐賀県さん、島達度を[47183]で話題にされていたのをすっかり忘れていました。失礼しました。島達度ナイスです♪
[57051]ニジェさん、容量問題は現在はほぼないと考えていただいて結構です。時代が変わりました。(笑
[57151] 2007年 3月 4日(日)13:19:05【1】オーナー グリグリ
海上架橋の確認方法とコレクションのまとめ方
[57062] 2007 年 2 月 27 日 (火) 10:24:27【2】 オーナー グリグリ
そして、晴海大橋は東京港に架かる橋のようです。さて、東京港は海上だと思いますが、運河はどうなるんでしょうか。おそらく個別に海岸線が定義されているのだと思いますが、このあたり詳しい方のフォロ~を待ちます。
海岸線の定義の件を持ち出しましたが、簡単に確認できることに気が付きました。MapionやYahoo!地図などでクリックした位置(中央の位置)の住所が左上に表示されますが、この表示がない場合は海上と思われます。自治体境界なども含めてかなり精度の細かいデータが入っていることから、「表示なし=海上」と考えて良いでしょう(データ誤りはあるかもしれませんが)。海上架橋については、この方法で確認して架橋が海上かどうかを確認することにしましょう。なお、河口では架橋と海岸線が一致していることが多く、地図サイトの確認では微妙な場合がありますが、このような場合は海上とはしないでよいでしょう。

この方法で確認すると、晴海大橋は海上ではないようです。晴海2丁目、晴海4丁目、豊洲6丁目の間に架かる橋となるようです。そこで、この方法で北海道だけ調べてみました。ざっと調べたため漏れや間違いがあるかもしれませんが、コレクションのまとめ方としてこのような形式で良いのではないかと思います。いかがでしょうか。

No海上架橋種別両岸の所在地1両岸の所在地2備考
1霧多布大橋道路厚岸郡浜中町暮帰別東1丁目厚岸郡浜中町霧多布西一条2丁目霧多布半島
厚岸郡浜中町新川東1丁目
2白鳥大橋道路室蘭市陣屋町1丁目室蘭市祝津町4丁目国道37号/絵鞆半島
3新島橋道路函館市大町函館市大町緑の島
4道路函館市海岸町函館市海岸町函館港
5道路松前郡福島町字豊浜松前郡福島町字豊浜国道228号
6道路松前郡松前町字松城松前郡松前町字唐津国道228号
7道路松前郡松前町字唐津松前郡松前町字博多国道228号
8大磯橋道路松前郡松前町字大磯松前郡松前町字弁天国道228号
9折石大橋道路古宇郡神恵内村大字神恵内村古宇郡神恵内村大字神恵内村国道229号
10弁財澗大橋道路古宇郡神恵内村大字神恵内村古宇郡神恵内村大字神恵内村国道229号
11大森大橋道路古宇郡神恵内村大字赤石村字大森古宇郡神恵内村大字赤石村字大森国道229号
12港栄橋道路留萌市栄町1丁目留萌市明元町6丁目留萌港
留萌市開運町2丁目
13鉄道留萌市船場町2丁目留萌市明元町6丁目留萌本線

海上架橋経験が盛り上がっていますが、通った記憶があいまいな方が多いと思いますし数も多くなりそうなので、どちらかというと地名コレクションの方へ誘導したいネタになってきました。何しろ、地名コレクションはほとんど全部が経県オプションにできないことはないですから(ループ経験、ロータリー経験等々)、きりがないと言えばないでしょう。

追加:
霧多布大橋が海上というのは意外でした。もしそうだとすると霧多布半島は島になっちゃいますね。まぁ、人口開削による運河ですから島の定義にはならないのかもしれませんが。島の定義と海岸線の定義は必ずしも同期していないと言うことか。[18618]などで話題になった人口運河の万関瀬戸も海上になっていますし。
[57162] 2007年 3月 5日(月)00:36:54今川焼 さん
阿蘇海・久見浜湾は海 中海は湖
[57151]オーナー グリグリさん
MapionやYahoo!地図などでクリックした位置(中央の位置)の住所が左上に表示されますが、この表示がない場合は海上と思われます。
海上架橋のコレクションなどどうやって定義付けするのだろうと考えていましたが、この方法なら簡単でわかりやすいですね。
ところで、タイトルの件ですが、第十一回十番勝負問四の共通項の参考サイトに1km2以上の湖沼一覧を載せた国土地理院のページがありました。その表の中のめぼしいものを上記のグリグリさんご紹介の方法でマピオン上でチェックしてみたところ、少なくとも阿蘇海久見浜湾については住所が表示されない、つまりそこは海だという結果が出ました。
もちろん、グリグリさんが
島の定義と海岸線の定義は必ずしも同期していないと言うことか。
と仰るとおり、湖の定義と海岸線の定義も必ずしも同期していないということだと思いますが、ちょっとおもしろい結果でした。おかげで通ったことのある海上架橋が天橋立(小天橋=廻旋橋・大天橋)と久美浜湾口(湊大橋・湊小橋=歩行者用)で2つずつ増えました。
中海ですが、ちょうど境水道大橋あたりに海との境界があるようで、下を天橋立の文殊水道や久見浜湾の大向水道などよりもよほど大きな船も通る高さが40メートルもある立派な橋ですが、こちらは海上架橋とはならないということになりますね。

ちなみにコンサイス地名辞典によると
阿蘇海:天橋立の砂州で宮津湾内に区切られた潟湖。
久見浜湾:砂州でほぼ閉ざされ、湖沼化しつつある湾入。「理科年表」は中栄養の塩湖とする。
とあり、どっちともとれそうですが…。
[57190] 2007年 3月 7日(水)00:09:4288 さん
河と海 その1
冒頭にまず問題です。
香川県丸亀市の通称「さぬき浜街道」に、西から汐入橋京極大橋富士見大橋 があります。これらはそれぞれ、河川に架かる橋でしょうか、海に架かる橋でしょうか? 正解発表はまたあとで。

――――――――――――――――――――――――――――――
地理的な定義はよくわかりませんが、河川法、港湾法その他の法的な位置づけについてです(私は河川の方が得手なので、河川法が中心です)。
まず一言。「河川」「海」の境界を法的側面から明確にすることはできますが、非常に困難です。
[55136]拙稿で国道の起終点等についての正確な情報の確認方法をご紹介し、「確認はできるが容易ではない」と書きましたが、「河川」「海」の境界は、これよりもさらに困難です。

「川っぽいもの」「海っぽいもの」は、法的には、次のものに分かれます。

★川っぽいもの
○河川法の適用あり
 (1) 一級河川(河川法第4条)
 (2) 二級河川(河川法第5条)
 (3) 準用河川(河川法第100条)
○河川法の適用なし
 (4) (下水道法など他の法律によって指定された)水路
 (5) (1)~(3)の河川法も、(4)の他の法律も適用を受けない)(いわゆる)普通河川
(5)は法定外公共物である水路などです。「法定外公共物」は、以前は「農道・水路」として国有財産法の適用を受けていましたが、地方分権一括法により例外を除いて各市町村に譲与されました([48795]拙稿後半参照)。これにより、現在では基本的に市町村の財産になっています。地方自治法第238条を受けた、例えば丸亀市法定外公共物管理条例第2条の定義にもあるように、河川法の適用を受けない、「水路」などです。

★海っぽいもの(注:「川っぽいもの」に比べると詳細は自信なしです。)
■港っぽいもの
▲(人・貨物の)港系
 重要港湾、特定重要港湾(港湾法第2条第2項を受けて港湾法施行令で指定されたもの)
 地方港湾(港湾法第2条第2項)
 港湾区域(港湾法第2条第3項)
 臨港地区(都市計画法第8条第1項第9号港湾法第38条)
 など
▲漁港系
 第一種漁港、第二種漁港、第三種漁港、第四種漁港(漁港漁場整備法第5条)
■海岸っぽいもの
 海岸保全区域(海岸法第3条第1項)
 一般公共海岸区域(海岸法第2条第2項)
(海岸は、「農林水産省所管」「国土交通省港湾局所管」「国土交通省河川局所管」に分かれる。)
■普通の海っぽいもの
一般海域(例:香川県一般海域管理条例第2条)
この種の条例はどの都道府県にもあるようです。この「一般海域」の定義があるので、フツーの海はここにあてはまり、つまり海はすべて何らかの法律や条例の中に収まります。
――――――――――――――――――――――――――――――

さて、これらのもの(特に河川法による河川区域)が、どう告示されているか、ですが・・・・
★「メッセージ」は全角換算で3000文字(6000バイト)以内で入力してください。
とのことですので(!)、ここが区切りがいいので一休みし、続きは別投稿とします。
[57208] 2007年 3月 7日(水)23:59:5988 さん
河と海 その2
[57190]の続きです。その前に、
★「メッセージ」は全角換算で3000文字(6000バイト)以内で入力してください。
テキストリンク機能を使用した場合、外見上は見えないアドレスもこの文字数(バイト数)にカウントされるのですね。[57190]は2,800文字くらいのつもりだったのですが、書込みランキングを見ると1,200文字ほどでした。アドレスを加えた文字数は数える気は毛頭ありませんが・・・・・。

さて、河川の公示の件です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
河川法(昭和三十九年七月十日法律第百六十七号)
(一級河川)
第四条 この法律において「一級河川」とは、国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川(公共の水流及び水面をいう。以下同じ。)で国土交通大臣が指定したものをいう。
5 国土交通大臣は、第一項の規定により河川を指定するときは、国土交通省令で定めるところにより、水系ごとに、その名称及び区間を公示しなければならない。

河川法施行規則(昭和四十年三月十三日建設省令第七号)
(一級河川の指定の公示)
第一条の三 法第四条第五項 の公示は、次の各号の一以上により区間の起点及び終点を明示して、官報に掲載して行うものとする。
一 市町村、大字、字、小字及び地番
二 一定の地物、施設又は工作物
三 平面図
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、二級河川は河川法第五条第三項を受けて河川法施行規則第一条の四により公示します。準用河川は河川法第百条第一項により二級河川の規定を準用します(だから「準用」河川)。

公示の例を一つご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
香川県告示第六百九十八号(抄)
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第五条第一項の規定により、次のとおり二級河川を指定し、又は二級河川の指定を変更する。
  昭和六十年八月一日
            香川県知事 前川忠夫
区分河川名区間上流端下流端延長
変更(略)
西汐入川左岸丸亀市金倉町字上下所923番1地先海に至る4,590m
右岸同市新田町字池東1番1地先
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上流端は、地番があるのでその気になれば特定できますが(ちなみにここ)、下流端は「海に至る」という表現です。こうなると、河川管理者(この場合は知事)の書類を見るか、延長の距離から測るか、をすれば特定できますが、非常に困難です。このため、河川と海との境界は判別できません(他のものも同様に「海に至る」か、他の河川に合流するものは「○○川合流点に至る」との表現しか発見できませんでした)。

[55136]88で国道の起終点等についての特定の手法をご紹介しましたが、道路よりも河川の特定が困難なのは、その成り立ちの相違にあると思われます。
公の用に供されているものの総称として「公物」という表現がありますが、
人工公物:人工的に造成して公共のように供することの意思を示すこと(区域の指定や供用開始の告示など)によって初めて公物となる
・・・道路、公園など
自然公物:自然の状態(自然現象としてその状態になった時点)で既に公共の用に供される性格を持っている
・・・河川、海岸など
という違いがあります。このため、告示のしかたも異なるのではないか、と想像します。
よって、
 ・まず河川の告示を確認する
 ・下流が地番で特定されていればよいが、そうでない場合(これが大半だと思われる)は添付図面等で確認するしかない(個別に河川管理者に照会するしかない)
ということになります。

参考までに、黒田如水(官兵衛、孝高)の「水五則」をご紹介します。なかなか示唆に富んだ表現だと思います。
一 自ら活動して他を動かしむるは水なり
一 常に己の進路を求め止まざるは水なり
一 障害にあい激しくその勢力を百倍しうるは水なり
一 自ら潔うして他の流れを洗い清濁併せ容るるは水なり
一 洋々として大洋を充し発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変し霰と化し凝っては玲瓏たる鏡となり而も其の性を失わざるは水なり

またもや文字数オーバーですので、再び稿を改めます。
[57224] 2007年 3月 9日(金)06:00:0088 さん
河と海 その3(完)
[57190][57208]の続きです。

[57190]冒頭の問題の答です。
汐入橋は河川に架かっています。地図上の「西汐入川」は[57208]で香川県告示をご紹介したように河川法の二級河川であり、下流端は「海に至る」です。私はたまたま河川区域を示す図面に触れる機会があり、この橋の少し下流の左岸下流端右岸下流端までが河川区域でした。よって汐入橋は河川に架かっています。
京極大橋は、丸亀港(地方港湾)内です。よって、海に架かる橋です。
さて、実はこれが難問だったのですが、富士見大橋は、海に架かっています。地図上では「東汐入川」となっていますが、これは河川法にいう河川ではありません。また、この付近は先述の丸亀港の一部であり、この付近は河川の護岸ではなく、港湾施設である護岸(けい船岸、港湾管理者が管理)です。これは丸亀港の「港湾台帳」(港湾の区域を示す図面等)を見る機会がありましたのでその折に確認しました。よって富士見大橋は「海にかかっている橋」です。
余談ですが、この東汐入川(という名の港湾の一部)は、公有水面埋立法により(港湾法第58条第2項により、港湾区域内の埋立認可は港湾管理者が行う・・・この件はむじながいりさんのサイトの掲示板で灘の生一本さんにご教示いただきました)丸亀市が南方から順次埋め立て中です。この富士見大橋を含むさぬき浜街道は、この橋を除く前後は片側2車線で供用中ですが、この富士見大橋部分だけが現在片側1車線です。埋立工事竣工後は地続きとなり、片側2車線に拡張するべく事業中です。つまり、やがてはここは(おそらく港湾区域からもはずされますが)橋でもなくなります。
なお、河川でも、港湾でも、その中に道路を設置することは、本来の用途と異なって使用することになるため、道路管理者は河川法第24条港湾法第37条による占用許可を、河川管理者や港湾管理者から受ける必要があります。国、都道府県、市町村や公団などのお役所同士になりますが、手続きが必要です。

これに関連して「島」について。
定義はよくわかりませんが、国土地理院の島面積から逆に推測するだけしかできないのですが、
島・・・・海・湖により分離され、陸続きになっていないもの(このため、琵琶湖や中海のものは島扱い)
(河川により分断されているものは陸続き(千葉島なども)。輪中も河川による分断なので、伊勢の長島も陸続き扱い)
と想像します。これで上記の国土地理院のHPも説明できます。
・・・・・説明できないのが、香川県の小豆島の通称前島。([57103]くは さん 、[57119]hiroroじゃけぇ さん も触れていらっしゃいましたが。)
上記国土地理院HPでは小豆島としての面積は153.33平方kmなのです。地図から推測するとすぐそばの小豊島が1.09平方kmですから、通称前島は5平方kmくらいはあるはずなのですが、この153.33平方kmに含まれているように思います(前島が別立てされていないので)。
[51562]88でも少し別件で触れましたが、土庄町の大字なし地域がこの「前島」になります。
二級河川の伝法川はここらあたりまでだと思うので(河川法の公示は「海に至る」、図面は10万分の1のものしか見られなかったので詳細不明)、河川区域にはなっていないし、土渕海峡は「海峡」だし、地方港湾の土庄港の区域に入っていると思うのですが・・・・(詳細は確認できず)。海を挟んでいるにもかかわらず、「島」扱いされていない?? よくわかりません。
[57237] 2007年 3月 10日(土)23:04:13hmt さん
陸地系の「河川」と水面系の「海」
88さんの労作「河と海」 は、特に言及はされていませんが、グリグリさんの「海上架橋」[57062] [57151] に触発されたものと推察します。
 
地理的な定義はよくわかりませんが、河川法、港湾法その他の法的な位置づけについてです

[52855] Issieさんは、平野と盆地に関する話題の際に
一応きちんとした“約束”を共有する(つまり,“統一された呼称”が定められている)ことが当然に前提とされるべき“地形の専門家”の世界
と書かれていますが、河川の場合、「地理的な定義」などというものはあるのでしょうかねえ?
もっとも、河川は地形だけの世界ではなく、堤防・人工の公共水流を含めた、防災や利用などの社会的側面も強い存在なので、仮に「地形の専門家による河川の定義」があったとしても、落書き帳の世界には馴染まないかもしれません。

88さんの“法的な位置づけ”は、まさに社会的側面を重視した国土交通省河川局の立場からの視点と理解しますが、河川法第三条で“この法律において「河川」とは、一級河川及び二級河川をいい、…”と定義しながら、同第百条で“一級河川及び二級河川以外の河川で…”と、「準用河川」も河川の一種に広げてしまっているのは、矛盾ではないのかな?

どうも河川法における河川の定義は、第四条の“河川(公共の水流及び水面をいう。以下同じ。)”の部分であるように思われます。第三条は定義ではなく、法律の適用範囲か。

「河川」「海」の境界は、これよりもさらに困難です。

河川法第四条の“公共の水流”に着目して、流れているところは「河川」、流れていないのが「海」というのが原則的な区別なんでしょうが、流れが海に入って急停止するわけではないし、潮の流れもありますからね。

ところで、以前に沖ノ鳥島を管理するのが京浜河川事務所であることにつき、EMMさんから「陸地系と水面系」 という観点を教えていただいたことがあります。
今回のテーマにも関連するところがあるように思いますので、ご参考まで。
[57331] 2007年 3月 18日(日)12:37:23オーナー グリグリ
海上架橋の定義における海岸線
ふぉろ~が遅れて申し訳ありません。

[57151] 2007 年 3 月 4 日 (日) 13:19:05【1】 オーナー グリグリ
海岸線の定義の件を持ち出しましたが、簡単に確認できることに気が付きました。MapionやYahoo!地図などでクリックした位置(中央の位置)の住所が左上に表示されますが、この表示がない場合は海上と思われます。

[57162] 2007 年 3 月 5 日 (月) 00:36:54 今川焼 さん
第十一回十番勝負問四の共通項の参考サイトに1km2以上の湖沼一覧を載せた国土地理院のページがありました。その表の中のめぼしいものを上記のグリグリさんご紹介の方法でマピオン上でチェックしてみたところ、少なくとも阿蘇海と久見浜湾については住所が表示されない、つまりそこは海だという結果が出ました。

今川焼さんのご指摘の通り、Mapion、Yahoo!地図のどちらも阿蘇海と久美浜湾は住所表示がでないですね。しかしながら、どちらも日本の国土であるのは間違いありませんので、地図サイトにデータが設定されていないだけかと思います。十和田湖や琵琶湖などの境界未定部分についても暫定的に住所表示されているので、単に設定が抜けているだけではないかと思います。

ところで、私が海上架橋の海上の範囲を考える上で、「日本の国土面積は海岸線で定義されている」という前提があるのですが、この考えは正しいのでしょうか。それとも「海岸線」という言葉をもっと正確に定義する必要があるのでしょうか。

なお、私は海上架橋における「海上」の定義を日本の国土(面積)に含まれるか含まれないかで判断したいと考えています(架橋設備自体は日本国のものでしょうが)。88さんの一連の書き込み[57190][57208][57224]の「河と海」で議論されている境界線とは微妙に意味合いが違ってくるのではと思います。どうなんでしょうね。

#琵琶湖大橋については特例的に扱いたい気持ちはありますけども...
[57336] 2007年 3月 18日(日)22:53:02ペーロケ さん
海岸線について
[57331]グリグリさん
ところで、私が海上架橋の海上の範囲を考える上で、「日本の国土面積は海岸線で定義されている」という前提があるのですが、この考えは正しいのでしょうか。それとも「海岸線」という言葉をもっと正確に定義する必要があるのでしょうか。
 国土面積が海岸線で定義されるかどうかは不明ですが(例えば沖ノ鳥島に人工島を作っても、人工物なので領土としては認められないなど)、少なくとも河川区域と海岸線は明確に区分されているのではないでしょうか。私も同様の疑問があって、検索してみました。すると、環境庁(現環境省)が昭和55~56年に実施された第2回自然環境保全基礎調査報告書の中にあった海岸(汀線)・海岸陸域区分表の一覧表の「海岸・汀線」欄最下段にて
河口部
河川法の規定(河川法適用外の河川にも準用)による「河川区域」の最下流端を陸海の境とする。
 との記載がありました。つまり、河川法により明確に定義された「河川区域」とそれ以外の区域(つまり海岸区域)の「境界線」が左右両岸に存在し、それらを結んだ線も便宜上「海岸線」の一部と定義されているようです。ただし、1級河川.2級河川は河川現況台帳によって明確に定義されており(河川法施行令第5条第2項)、国や都道府県によって保管されているようです(同、第7条)。
 また、久美浜湾が果たして「湖」なのか「海域」なのかといったところは、意見が分かれるようです。グリグリさんは
しかしながら、どちらも日本の国土であるのは間違いありませんので、
 とおっしゃるように、「明らかに湖である」という立場を表明されておりますが、例えば京都府によると久美浜港は「地方港湾」と明記されていたり、湾奥に流れ込む2級河川 川上谷川の延長を12.2km(mapionで確認したところ久美浜湾は合算されていない数字と一致)としています。つまり、2級河川を管理するはずの京都府が「河川としては管理しませんよ~」って言っているんですから、文字通り「湾」なんでしょう。ただし、[9356]Issie先生に教えていただきましたが、立場が異なれば「湖」か「海」かといった定義も異なるため、省庁間でも統一性が取れていないんでしょうね。
 また、イチイチ河川台帳を閲覧するのも手間ですし、グリグリさんが提案されたmapionを活用することで簡易的に調べることが一番合理的かなと思います。
[57343] 2007年 3月 19日(月)18:14:3388 さん
河と海 補遺
[57331] グリグリさん
ところで、私が海上架橋の海上の範囲を考える上で、「日本の国土面積は海岸線で定義されている」という前提があるのですが、この考えは正しいのでしょうか。それとも「海岸線」という言葉をもっと正確に定義する必要があるのでしょうか。
なお、私は海上架橋における「海上」の定義を日本の国土(面積)に含まれるか含まれないかで判断したいと考えています(架橋設備自体は日本国のものでしょうが)。

海岸線の定義を探していたら、国土地理院近畿地方測量部の「測量と地図のQ&A」というページを発見しました。いろんなことが、意外とやさしく書かれています。今回の海と河川の境に関連しそうなところを、いくつか抜粋してご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――
日本水準原点とは
東京湾平均海面を 0 mとして、+24.4140m(関東大震災後の現在の状態)となるものが、東京都千代田区にあります。
平均海面は日本全国どこでも同じ高さですか
平均海面は、それぞれの地域で異なり東京湾平均海面との差は最大 30 cm ほどあります。 日本海側では、同じく太平洋側より、おおよそ 20 cm 高いといわれています。
ということですので、日本全国「平均海面=0m」とはなりません。このため、「海抜ゼロm」では定義付けが困難です。
面積調べの面積はどうして測ったものですか
面積の測定は、2 万 5 千分の 1 地形図に表示された行政界と水涯線に基づいてデジタイザで計測しています。
ここでいう「面積調べ」とは、 「全国都道府県市区町村別面積調」です。
「水涯線」とは、国土地理院の「河川、湖沼及び海」によると、
水涯線等とは、陸部と水部を区画する水ぎわの境をいい、陸水部においては平水時、海部においては満潮時の正射影で表示します。
とあり、この定義により、2万5千分の1の地形図がつくられているようです。
ちなみに、河川とは、同サイトでは
平水時において、常時水流のある自然および人工の河・川をいい、1条河川および2条河川に区分します。
とあり、河川法とは違った定義のようです。
島とはどのような大きさからいいますか
島とは、「領海及び接続水域に関する条約」では、「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう」 と書かれています。
その他、一般的には、「水で完全に囲まれた陸地の一つ」、「周囲を海、湖などの水域で完全に囲まれた陸地」などと定義され、 一般的にグリーンランドよりも小さいもの(日本では四国より小さいもの)を島といいます。
なお、地形図では、満潮時の状態を表示します。
「領海及び接続水域に関する条約」では、人工のものは除かれているようです。「一般的には」では人工の島を排除していません。
一方、国土地理院の「島面積」では、人工島を排除しているようです(関空などがないので)。
――――――――――――――――――――――――――――――
これらは、地理学上の共通の定義でしょうか? それとも、やはりあくまで「国土地理院の独自の基準」ということなのでしょうか?

冒頭のグリグリさんの疑問は、理屈上は「国土地理院の地図(2万5千分の1の地形図)で、水涯線(陸部と水部を区画する水ぎわの境をいい、陸水部においては平水時、海部においては満潮時の正射影)を境とし、海と河川を分ける」と定義できそうです。
ただし、なおも残る問題は、「どこが水涯線か」。例えば拙稿[57224]でご紹介した富士見大橋付近の水涯線をどのように国土地理院が引いたことにしているのか、わからないことです。
我々が同じ地形図を元にデジタイザで「これが水涯線か?」と思われるところで面積を計測してみて、国土地理院の見解と同じになるまで確認を繰り返す、という手法はありえますが、あまり現実的ではありません。
[57385] 2007年 3月 22日(木)18:15:03【2】hmt さん
隅田川の河口
[57062]グリグリさん
海岸線の定義ははっきりしているので、海上架橋をリスト化するのはそれほど困難ではないかと思います。
さて、東京港は海上だと思いますが、運河はどうなるんでしょうか。

「京浜港」 の一部である東京港は、大部分の区域が海上だと思いますが、もちろん 陸上に設けられた港湾施設 も、多数あります。

このことからも明らかなように、港湾区域内であるか否か([57224]88さん参照)は、「陸」(日本の領土)であるか「海」(領海)であるかを区別することにはならないと思います。

河口付近の「隅田川」の文字は、ウオッちずでは勝鬨橋の上流側ですが、5万分1地形図では浜離宮付近です。
隅田川の水流は、浜離宮に続く竹芝ふ頭と月島ふ頭の間のラッパ形に開いた部分を経て、かなり広い水面に出ます。

河川とは、国土地理院 によると、陸水部(陸地内に存在する水部)のうちで、「平水時において、常時水流のある」ことを条件にしているので、上記ラッパの口が隅田川の河口と思われます。

河川法では、「公共の水流及び水面」(第四条)とされており、水流のない公共水面(湖沼や貯水池)も「河川」に含まれている点が異なります。陸水部であることは明示されていませんが、法律の趣旨からして、海面を含まないことは自明と思われ、河口の判別は、やはり水流の有無ということになります。

そして、[57151] グリグリさん
海岸線の定義の件を持ち出しましたが、簡単に確認できることに気が付きました。MapionやYahoo!地図などでクリックした位置(中央の位置)の住所が左上に表示されますが、この表示がない場合は海上と思われます。

で示された判定法を適用した結果も、竹芝ふ頭・月島ふ頭間のラッパの口 が「(住所のある)陸」と「(住所のない)海」との境界であることを示しています。

この「アルプス社方式」で、晴海と豊洲の間の水面を確認すると、「(住所のある)陸」であることがわかります。
1945年(部修)の地形図では、相生橋より下流、晴海と豊洲との間の春海橋にも「隅田川」の字がありました。([33296]よりも新しい地図)

現在の豊洲6丁目が造成された後の地形図(1969修)では、晴海との間に「隅田川」の字がありませんが、上記した隅田川の派川(現在の名は、晴海運河)の水は、(幅が500mもあるだけにかなり遅くなると思いますが)“常時流れている”筈です。
つまり 客船入港実績日本一の晴海ふ頭 は、川に面していることになります。

そして、最初の「海上架橋」に戻ると、近々開通1周年を迎える 晴海大橋 は、残念ながら(?)失格です。

上記の晴海運河から分かれ、佃水門で制御された水流が、本川との間で海に注ぐ形の朝潮運河も、隅田川の派川と思われます。
佃と言えば、佃島と月島の間の「佃川」。佃大橋工事で埋め立てられてしまいましたが、「川」を名乗っていました。月島を分断している川島川、新月島川は現存。しかし、これらの「川」(地形図には名なし)は、常時流水があるのかな?

豊洲運河から東雲運河、辰巳運河にかけても隅田川の派川か?とも思われるのですが、このあたりになると、常時流水は?
「川」と言えるのかどうかは疑問ですが、「海」ではなく、「陸」の方に属することは確かでしょう。

「PRTR届出の公共用水域(河川、湖沼、海域等)の名称について」という pdf文書 には、東京都の河川名が列挙してあります。この中に東京臨海部の運河の名があれば、「陸」であることが確実だと思ったのですが、見当たりません。
「陸と海」の件からは逸れますが、千葉県の 同様の資料 には、江戸川の支川の中に「利根運河」があります。
この場合は、「運河」は「川」の一種として扱われています。
[57405] 2007年 3月 24日(土)15:41:05hmt さん
「(広義の)海岸線」とは、地図上の「陸部」と「海部」の境
[57062]グリグリさん
海岸線の定義

陸と海とが接する「海岸」の位置は、潮の干満の影響を受け、細かく見るほどに出入りがあり、川があると、そこで途切れます。
「海岸線」というのは、このような海岸(なぎさ)の実体をふまえた、「地図上の概念」であると考えます。

「地図上の概念」ですから、縮尺に応じて細かい出入りは省略されます。また、「海岸線」が途切れている河口は、これをつないで、連続した線が陸と海の境界として想定されます。これを「(広義の)海岸線」と言ってもよいのではないかと思います。以下、これを単に「海岸線」と書く場合もあります。

今回のテーマ「海上架橋」では問題になりませんが、地図の縮尺は、「海岸線の長さ」と「海岸線で囲まれる島の面積」とにかなり影響があるはずです。
九州島の面積が、古い理科年表では、42000km2と35700km2と大幅に異なっていたことを[23575]で書きましたが、これは縮尺の異なる地図に基づいて測定した結果であると思われます。なお、現在の面積 36,737.73 km2となっています。

このように、現在は全国をカバーする「2万5千分1地形図に基づく海岸線」を考えればよいと思います。
「2万5千分1地形図の読み方・使い方」 によると、 地形図における「陸部と水部を区画する水ぎわの境」は、「水涯線等」という用語で包括され、海部では満潮時の線で表示されます。[57343] 88 さん

航海用の海図 では、海面がもっとも上った時の陸と海の境界線が「海岸線」で、これは地形図における 海部の水涯線 と同じです。
なお、海面がもっとも下った時の陸と海の境界線は「低潮線」で、これは領海の幅を測定する際の“領海の通常の基線”です。(国連海洋法条約第5条)

[57331]グリグリさん
「日本の国土面積は海岸線で定義されている」という前提

ここでいう「国土」とは、「領土」(Territory)のことと理解され、満潮時海岸線の内側、すなわち 陸地と内水からなる陸部 であるという前提でよいと思います。
# 「国土」という言葉には、「領土」の他にも、(無害通航権などの制限はあるものの)主権が及ぶ「領海」や、領土・領水上空で主権が認められている「領空」(パリ国際航空条約)も含まれているのではないかと思います。

国土地理院の 「全国都道府県市区町村別面積調」 では、次のように記しています。
市区町村の面積は、国土地理院発行「2万5千分1地形図」に表示されている海岸線と行政界で囲まれた地域を対象に計測したものです。
なお、海岸線は満潮時の水涯線を表し、河川及び湖沼は陸域に含めています。

ここでは、「海岸線」という言葉も使われています。そして、
(狭義の)海岸線と行政界が接合しない(注:つまり囲まれていない)河口周辺は、海岸線の自然な形状に従って河口両岸の先端を直線で結んで陸海の境としました。

[57385] で例示した 隅田川河口 を見ると、首都高に覆われた古川を、浜崎橋JCT下流に僅かに姿を見せている河口部から自然に延長した線が、豊洲・晴海から月島まで一直線に伸びる埋立地の南西縁と交わるまでの間を“陸海の境”としたことがわかります。

この隅田川の本川河口は、港区と中央区との境界であるにもかかわらず行政界の線が書いてありませんが、晴海と豊洲の間、昨年 晴海大橋が開通した「川」(Yahoo!地図に見える 晴海運河 という名は、地形図にはありません)には、中央区・江東区の境界線が見えます。
「地形図に 行政境界線 がある」ということは、ここ晴海ふ頭が海部でなくて陸部に属している証拠になっていると思います。
[57407] 2007年 3月 24日(土)15:53:59hmt さん
「アルプス社方式」は概ね正しいと思われるが、たしかに疑問の箇所もある
[57151]グリグリさん
MapionやYahoo!地図などでクリックした位置(中央の位置)の住所が左上に表示されますが、この表示がない場合は海上と思われます。自治体境界なども含めてかなり精度の細かいデータが入っていることから、「表示なし=海上」と考えて良いでしょう(データ誤りはあるかもしれませんが)。
[57331]グリグリさん
今川焼さんのご指摘の通り、Mapion、Yahoo!地図のどちらも阿蘇海と久美浜湾は住所表示がでないですね。しかしながら、どちらも日本の国土であるのは間違いありませんので、地図サイトにデータが設定されていないだけかと思います。

国土地理院の 京都府面積調 には、
阿蘇海は、水面が境界未定のため、宮津市及び与謝郡与謝野町の面積には含まれません。
と記され、京都府の面積に入っている「内水」(本来なら市町村の面積にも含まれるべきもの)であることが明らかですね。
久美浜湾については、このような注記はありませんが、京都府及び京丹後市の面積に含まれているのでしょう。

ご指摘があった箇所の他にも、地図サイトのデータ設定が、正しくない場合があると思われます。
例えば、東京都面積調 によると、中央防波堤内側埋立地(中潮橋北側)と中央防波堤外側廃棄物処理場(中潮橋南側) とは「所属未定」ですが、「アルプス社方式」を適用すると、「江東区」になっています。

潟湖(海跡湖)に戻ると、水面の面積が縮小した現在の八郎潟調整池(潟上市・大潟村他多数)やサロマ湖(佐呂間町・湧別町・北見市)には住所がありますが、松川浦(相馬市)の住所はYahoo!地図に入力されていません。

類似の例は、「掘り込み港湾」でも見ることができます。
金沢新港([57370]EMMさん)、富山新港は住所があります。もともと住所のあった場所を掘ったのだから、住所がある「陸部」であると考えるのがが当然のように思われます。
ところが、田子の浦港・鹿島港・石巻港・苫小牧港の水面には、いずれも住所が入力されていません。

ついでに、日本最初の掘り込み港湾は、「手結港」 だそうです。承応元年(1652)に野中兼山が築港したというから、河口港だった石巻港が土砂堆積で機能を失い、1960年に新たな工業港の掘り込み工事に着手するよりも300年以上前のことです。
これは、明治政府が住所の制度を作る前から「海港」になっていたわけですから、住所がないのも当然かもしれません。

最後に、河口についてもう一つ。
日本の国土地理院
河口周辺は、海岸線の自然な形状に従って河口両岸の先端を直線で結んで陸海の境としました。
なんて言ってましたが、
セントローレンス川の河口付近 のような地形だったら、どのように扱うのでしょうか?
テムズ川の河口付近 も、結構拡がっていましたね。
[57433] 2007年 3月 26日(月)19:20:08hmt さん
摩周湖は、「大きな水たまり」
はじめに、[57405]で「用語の誤用」をしたことに気がついたので訂正を。

国土地理院の 地図記号の説明 の中の「河川、湖沼および海」によると、「水部」には、「陸地」内に存在する「陸水部」と「海部」があり、「陸部」と「水部」の境界が「水涯線」とされます。

結局、地形図の対象となる地球の表面は、「陸地」と「海」からなり、
「陸地」には、文字通りの「陸」と「陸水」との2つの部分(「陸部」と「陸水部」)があり、
「陸水部」は、「河川」(常時水流あり)と「湖沼」(河川の流入または流出あり)が主なものであるが、その他の陸水(「かれ川」と「地下の水路」が例示されている)もある。
そして、海岸線・河岸線・湖岸線などを総称して「水涯線」という。
ということだと思います。

上記の用語からすると、海岸線がとぎれている河口部をつないで想定した「(広義の)海岸線」の内側を、[57405]で「陸部」と書いたのは正しくなく、「陸地」と表記すべきだったようです。

それはさておき、気になるのが、河川でも湖沼でもない陸水。
例えば、常時水流のない運河、流入・流出河川のない貯水池・水たまりなどが考えられます。

東京臨海部の豊洲運河、東雲運河、辰巳運河、月島を分断する川島川、新月島川など[57385]、埋立地の間の水路は、常時水流のない運河であろうと思われます。大井ふ頭の手前にある京浜運河、羽田空港の手前の海老取川も同様。ちなみに、これらはすべて、アルプス社方式で住所が入力されている「陸地」扱いです。

名前が「運河」だったり「川」だったりしますが、呼び名は慣習の影響を受けるもので、本質的な区別ではないでしょう。
海老取川は、明治14年の地形図を見ると、多摩川が河口で分岐しながらデルタを形成する派川の一つとして認められる「天然もの」由来ですが、現状は、とても河川とはいえない状態でしょう。

河川でない「貯水池」(ため池)の代表例は、村山貯水池(多摩湖)や山口貯水池(狭山湖)。当然のことながら水の出入り口はあるのですが、幻の滑走路[22152]の下や横田トンネル[56950]を通っている水道管は「河川」に非ず。
同じく水道用でも、川を直接にダムで堰き止めた小河内貯水池(奥多摩湖)は、流入・流出河川があるので、「人工の湖」。
もっとも、このような区別が、どんなところに影響するのかはよく知りません。

「流入・流出河川のない水たまり」の中で、新聞報道のタネになったのが「摩周湖」です。
朝日新聞2001年12月26日
摩周湖、登記消え「大きな水たまり」
要旨:弟子屈町内の旧御料地処理につき、関係者が協議した結果、所管する省庁がない摩周湖は、土地登記を抹消し、「大きな水たまり」として無登記のまま国が管理することになった。
流出河川がない摩周湖は、河川の水源としての国土交通省の名義による登記ができない。湖の中の小島(カムイシュ島)は、樹木があるので農水省名義で土地登記するが、約20km2の水面は、法律的には「大きな水たまり」。

もっと小規模ですが、茨城県の 通称「ふじみ湖」 も、テレビで話題になったことのある「水たまり」です。採石場跡に湧き出て溜まった水の透明度が大だったとか。既に消滅しているのではないでしょうか。
[57436] 2007年 3月 26日(月)21:16:11オーナー グリグリ
詳しい解説をありがとうございます
hmtさんへ
下記の一連の書き込みで海岸線や国土の範囲の緻密な分析と解説をありがとうございます。大変分かり易い説明で、私の理解を裏付けてもらったようで感謝しております。

[57385] 2007 年 3 月 22 日 (木) 18:15:03【2】 hmt さん
[57405] 2007 年 3 月 24 日 (土) 15:41:05 hmt さん
[57407] 2007 年 3 月 24 日 (土) 15:53:59 hmt さん
[57433] 2007 年 3 月 26 日 (月) 19:20:08 hmt さん

いろいろ確認したいところもあるのですが、一つだけ、

[57407] 2007 年 3 月 24 日 (土) 15:53:59 hmt さん
類似の例は、「掘り込み港湾」でも見ることができます。
金沢新港([57370]EMMさん)、富山新港は住所があります。もともと住所のあった場所を掘ったのだから、住所がある「陸部」であると考えるのがが当然のように思われます。
ところが、田子の浦港・鹿島港・石巻港・苫小牧港の水面には、いずれも住所が入力されていません。
人工的に内水面とは言えない水域を広げた場合の所属問題ですが、上記の通りはっきりしていないようです。ケースバイケースなんでしょうかねぇ。[18618]の人口運河の万関瀬戸や[57151]の追加で感想を述べた霧多布大橋の架かる運河などは海部として扱われているように思うのですが。広義の海岸線の正確なデータはあるので確認はできるはずですが、どうやって調べるんでしょう。
[57441] 2007年 3月 27日(火)05:38:2188 さん
水没した土地の取扱いについて
[57407] hmt さん
[57436] グリグリ さん
掘り込み港湾等について、他のものと対比して不動産登記法の考え方を検討してみました。

不動産登記法
―――――――――――――――――――――――――
(土地の滅失の登記の申請)
第四十二条 土地が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から一月以内に、当該土地の滅失の登記を申請しなければならない。
―――――――――――――――――――――――――
ここでいう「滅失」とは、海没、水没などを言います。滅失登記がなされると、登記完了後、閉鎖謄本となります。

似て非なる例をひとつ。登記簿がない土地というのは[48795]拙稿でも述べた例がありますが、これらは国有地である「土地」であり、もちろん陸地です。登記簿がないものの、不動産登記法にいう「地図」(または「地図に準ずる図面」)はきちんとあります。登記簿がない理由は[51379] 拙稿でも書きましたが、
土地台帳法(昭和22年法律第30号)
第四条 土地には、一筆ごとに地番を附し、その地目及び地積を定める。
第四十四条 この法律は、国有地には、これを適用しない。
(昭和35年の不動産登記法の一部改正により不動産登記制度と台帳制度とが一元化され、現在に至っています。)
によるものです。この国有地は「登記簿はないが土地である」ということです。

一方、水没した土地を「滅失登記」すると、所有権等の対象となる「『土地』でなくなる」ので、その後も(「住所が存在する」というよりは)「住所はない」という方が自然かと思います。
例えば、[49706] 拙稿「公有水面埋立と面積」でも述べましたが、埋立の場合は「埋立免許→埋立竣功認可→新たに生じた土地の確認→町・字区域への編入」の手続きをとって初めて「住所」がつきます。これにより、「面積」に計上されると思われます([49706])。
掘り込みの場合はこの逆のイメージで、「掘り込み工事→土地の滅失登記→土地でなくなる→住所がなくなる(面積から除かれる)」と考えるではないでしょうか。

余談ですが、滅失登記を怠ると、不動産登記法には次の罰則規定もあります。このため、掘り込み港湾を作った自治体等は間違いなく滅失登記をしているはず・・・です。
―――――――――――――――――――――――――
(過料)
第百六十四条  ・・・第四十二条・・・の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
―――――――――――――――――――――――――
[57480] 2007年 3月 30日(金)23:04:09【1】hmt さん
日本の国土面積増加は、1960~70年代には毎年35km2もあったが、近年の平均は10 km2弱
[57436] グリグリ さん
広義の海岸線の正確なデータはあるので確認はできるはずですが、どうやって調べるんでしょう。

河口両岸の先端を自然な形で直線で結んで陸海の境とした「広義の海岸線」については、「面積調」 に使われた手法なので、国土地理院には元データがあると思いますが、個別の事例につき確認する手段の有無は、私にもわかりません。

ところで、「面積調」は2万5千分1地形図による計測値とされていますが、近畿地方測量部 によれば、埋立地の面積については、県公報等により告示された異動面積値を用いています。
地形図の陸海の境(広義の海岸線)が根拠ではないのですね。

一例を挙げると、平成18年版大阪府市区町村別面積調 で、泉佐野市・田尻町・泉南市の面積が合計で2.42km2増加していますが、、この年に「新たに生じた土地」として3市町の区域に編入された区域は、新しいB 滑走路とその手前の平行誘導路、及びそこに通じる南側連絡誘導路の用地に限られていたようです[51768]
これに対して、地形図 では、将来設けられるエプロン用地を含めた関空2期の人工島全体が「空港施設建設中」と注記された陸地になっています。

ところで、近年のわが国の国土面積の推移は、リンク資料 のようであり、備考に特記された他は、殆んどが埋立や干拓による増加と思われます。

もっとも、上記資料には、八郎潟干拓地 170 km2が含まれていないようです。日本第2位の面積を持った八郎潟は、もともと秋田県の面積に含まれていたはずです。児島湾は「海」でしたから、その干拓地 54km2は、昭和40年に先立つ5年間の増加 116km2に含まれていると思います。

上記資料によると、国土面積増加が多かったのは 1970年(昭和55年)を中心とする 20年間で、臨海工業地帯の造成が盛んだった頃でしょう。この期間(1968年を除く)を合計すると 約660 km2で、奄美大島か淡路島クラスの島が一つ生まれた勘定です。年平均にして 35km2。

近年はほぼ年間 10km2以下ですが、面積増加市区町村 を見ると、海上空港関係が目立ちます。例示のリンクは、2005年10月1日までの1年間であり、常滑市(中部国際空港)と神戸市中央区(神戸空港)が上位にありますが、北九州市小倉南区(新北九州空港)はその前年、神戸空港・関西国際空港2期は翌年の増加があります。

国土面積の自然増加があったのは、昭和63年(1988)の西之島新島ですが、噴火による新島が海上に姿を現したのは1973年ですから[56162]、かなり長い間の様子を見て、永続的な陸地と認定してから正式に編入したものと思われます。

この1988年は、面積計測の基準が5万分の1地形図から2万5千分の1地形図に変った影響で、わが国の面積が 100km2以上も減少しています。5万分の1の時代には、細かい入り江を無視して陸地に取り込んでしまい、過大になる傾向があったものと思われます。

地図の縮尺が面積測定値に影響したと思われる極端な事例を[23575]で書いたことがあります。小縮尺の地図に基づいて判断すれば、佐世保から西彼杵半島・島原半島・天草を経て鹿児島県出水に至る“陸橋?”によって 東シナ海から隔てられた “内水面?”(大村湾・有明海・島原湾・八代海)は、九州本島の面積に含まれることになります。
[57494] 2007年 3月 31日(土)19:40:07hmt さん
10年前に拡大した日本の「領土」
[57480] hmt
1970年を中心とする 20年間…を合計すると 約660 km2で、奄美大島か淡路島クラスの島が一つ生まれた勘定

陸地面積の増加はこの程度ですが、海域も含めた日本の「領土」となると、10年前の1997年に大きな拡大がありました。
それは、「領海」12海里を定める「基線」の内側にある「内水」の拡大です。

内水氾濫、内水面漁業、内水面の埋立 といような使い方に示されているように、「内水」とは、「陸地内にある水」という理解であり、これまでに、[57407]
阿蘇海は…京都府の面積に入っている「内水」(本来なら市町村の面積にも含まれるべきもの)である
[57480]
“陸橋?”で東シナ海から隔てられた“内水面?”(大村湾・有明海・島原湾・八代海)
などという使い方をしてきました。

しかし、「内水」という言葉は、海洋法の分野では、「海域」の一部でもあることに、今頃になって気がつきました。

領海に関する用語 における、「内水」の説明(第一管区海上保安本部)
(内水とは、)領海の基線の陸地側の水域で,沿岸国の主権が及びます。(但し書き省略)

要するに、本来は「低潮線」である「領海の基線」の陸地側の海域、つまり、潮の干満によって海面から露出したり、海水に覆われたりする範囲が「内水」なのですね。
これだけなら、有明海のような広い干潟が出現する場所はあるにしても、陸地からさほど遠くない範囲に限られるのですが…

上記ページの冒頭には、次のように記されています。
平成9年1月1日から領海の基線に直線基線が採用になりました。

「直線基線」の説明文によると、“海岸に沿って至近距離に一連の島がある場所においては”、“適当な地点を結ぶ直線基線”を採用することができ、具体的には「政令で定めた経緯度を結んだ直線」を、「低潮線」に代る基線として採用しているとのことです。

その結果、我が国の直線基線 の濃青色で示された広い海域が「内水」になりました。
直線基線の具体例として、九州西岸 を示しておきます。草垣群島などの小島が有効に使われています。女島灯台[55114] eiji_t さん)のある男女群島までは伸びていませんが。

なお、日本の排他的経済水域 に描かれている断面図(領海基線等を示す模式図)は、各水域の関係を良く表しているのですが、なぜか直線基線については触れていません。

陸【岸線】内水【基線】領海【12海里線】接続水域を含む排他的経済水域【200海里線】公海

この説明図によると、岸線の内側が「陸地=国土」、基線の内側が「領土」、12海里線の内側が「領域」となっています。
この記事のタイトルは、これに従って“10年前に拡大した日本の「領土」”としました。

[57331]グリグリさんの“「日本の国土面積は海岸線で定義されている」という前提”に対して、[57405]においてコメントしましたが、かえって私の言葉の使い方が不正確だったようです。
満潮時海岸線の内側、すなわち 陸地(陸部と陸水部)が国土であり、グリグリさんの表現の方が正しかったと思います。


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