海と陸の境界である海岸線。隅田川河口付近についてのグリグリさんの問いかけに対する
地理的な見方でのレス。
これに対して、河川や港を管理する自治体の立場からの境界・区域もあるはずとネットを探しました。
パンフレットPort of Tokyo 2008 によると、東京港は荒川河口から多摩川河口に至る範囲で、港湾区域面積(水域)5292ha、臨港地区面積(陸域)1033haとあります。
東京都入港料条例第二条には次のように記されており、「東京港の港湾区域」は港湾局で縦覧可能と思われます。
“入港料は、東京港(法第三十三条第二項において準用する法第九条第一項の規定により公告された東京港港湾区域をいう。)に入港する船舶から徴収する。”
しかしネットでは見つかりません。
東京港便覧 にはかなり詳細な地図が掲載されているのですが、これを見ても港湾区域の陸側の境界線はわかりません。また、海と陸の境界線も示されていません。
東京都建設局の管理する河川についても、
全体像 を知ることはできたのですが、臨海部の詳細は不明でした。
ようやく探し出したのが
隅田川流域河川整備計画 というpdf文書。その24/38頁に隅田川の範囲を明示した記載がありました。
要部のみを抜粋。
隅田川 備考:荒川からの分派点・岩渕水門から東京湾まで
下流端 左岸:中央区勝どき三丁目地先、右岸:中央区築地五丁目地先
隅田川派川
下流端 左岸:江東区越中島二丁目地先、右岸:中央区佃三丁目地先
これは意外。「河川」を管理する東京都(建設局)の見方によれば、浜離宮と勝どき五丁目の間は隅田川の下流端よりも先の「東京湾」でした。
同様に隅田川派川は豊洲貯木場の手前で終り、その先二手に分かれる晴海運河(上記文書4/38では春海運河)と豊洲運河は「河川」の対象外のようです。
江東内部河川についても整備計画があり、その対象として旧中川、大横川、大島川西支川、大横川南支川、北十間川、横十間川、仙台堀川、平久川、小名木川、竪川、越中島川と、おおよそ越中島-須崎の線よりも北にある河川が挙げられています。
言い換えればそれよりも南、汐浜運河・豊洲運河など「○○運河」いう名の水路は建設局の「河川」ではなく、「海」を扱う港湾局の管轄区域であることになります。
東京都の基準によれば、臨海部の「○○運河」は海ということになります。
これは普通の地理的感覚とはかなり違いますが、この基準ならば、「海上架橋」は大幅に増えます。
グリグリさんが
[57062]で挙げた11橋のうち隅田川(本川)の4橋と隅田川派川の相生橋を除けば、春海橋・朝潮運河の4橋・晴海大橋の6橋は海上の橋。
見落としてしまいそうなのが、明治28年に完成した月島の先、昭和になっての新造成部分とを隔てる通称「新月島川」。これは月島川と違って河川に入っていませんから、新島橋と浜前橋も海上架橋。
江東区内の豊洲橋・朝凪橋・東雲橋から辰巳橋を渡り、北に向かえば七枝橋・八枝橋・汐枝橋・汐浜橋。東の方にも新砂橋・砂潮橋・夢の島大橋。湾岸道路にも曙橋・新辰巳橋と枚挙に暇ありません。
有明には、一部は港区台場に属している13号地との間の「海」があり、mapionも海扱いです。この海には何本かの橋が架けられている他、有明ふ頭橋もあります。芝浦との間のレインボーブリッジを筆頭に海上架橋の宝庫地帯。
そして中央防波堤内側と外側を結ぶ中潮橋と中防大橋も、もちろん海上架橋。
東京湾の西側にも京浜運河や埋立地の間の海に架けられた橋が多数。
ついでに、東京臨海部の運河に関する資料を見ました。
東京都港湾局の「運河ルネッサンス推進方針」という
pdf資料 の3頁には、対象となりうる運河等水域が図示されています。
これによると、晴海運河を通る隅田川の分流は、相生橋の下流から晴海ふ頭の手前までが対象。
国土交通省のヒアリングに東京都が使った
東京港のめざす環境づくり というpdf資料の4頁にも東京港の運河を示す図がありました。
これによると築地と月島の間の「隅田川」が含まれ、その分流(晴海運河)は春海橋まで。
このように、同じ東京都の資料でも、それぞれ微妙に相違します。