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[68767] 2009年 3月 5日(木)15:46:24hmt さん
「飛び地」の魅力 (3)転用された農地の残影? 大阪国際空港
埼玉県の中に取り残された東京都の小さな飛び地・練馬区西大泉町。
[68716] オーナー グリグリ さんの問いかけをきっかけに、「飛び地」の魅力を探っています。

[68737]では、県境を隔てた飛び地 が全国でも10例ほどしかない「もの珍しさ」を第一に挙げて、その代表例・和歌山県東牟婁郡北山村を語りました。自分が所属する和歌山県の市町村と接することなく、他の2県(三重県・奈良県)との境界線を持つ全国唯一の飛び地の村は、木材の搬出先として深いかかわりを持ち続けた新宮との関係から生まれたものでした。

「飛び地」の魅力を語る第3弾は、外見上とりたてて特徴のない都市近郊住宅地の西大泉町、秘境とも言える紀伊山地の北山村とは様変わりして、旅行客が行き交う伊丹の大阪国際空港に行きましょう。

ヘーェ、小さな飛び地 が、大阪府豊中市・同池田市・兵庫県伊丹市の3市境界付近にたくさんあるのね。
国土地理院の地形図では詳細がわかりませんが、「自治体の飛び地」コレクション に集録された兵庫県伊丹市小阪田のリンクにより、Yahoo!地図 を開きます。

“豊中市>螢池西町3丁目の周辺地図”と表示されていますが、ポインタの位置をよく見れば、モノレール大阪空港駅のある豊中市と、その西及び南にかかる3つ羽根状の池田市飛び地とに挟まれた、250m2ほどの小さな小さな三角は県境で囲まれており、兵庫県(伊丹市)の飛び地であることがわかります。
北ターミナルビルのある伊丹市本体とを隔てる大阪府の距離は、僅かに数mですね。

この「県境を隔てた飛び地」の他にも、豊中市の中の池田市の飛び地が多数あるし、その中の一つには豊中市の二重飛び地があるという具合で、複雑の極致を示す境界関係は驚異でした。実のところ、リンクされた地図を見ながらも、完全に理解できたかどうか自信を持てないくらいです。

大都市の空港という有名地。広い敷地の中に入り乱れる多数の飛び地がある意外性も十分。そして複雑の極致を示す境界関係と、三拍子揃ったこの事例は、飛び地の世界でのスターと思われます。

これだけ複雑な事例を示されると、なぜこんな境界線ができたのだろうかと、当然の疑問がわきます。

これは、空港になる前の農地時代の境界線を引きずっているもので、田畑の地主により、行政区域が分かれる理由 という説明(2002/4/18)がなされていました。
農業政策として、それなりの必要性はあるようにも思えるのですが、自治体の境界変更はそんなに簡単にできるものなのでしょうか?

また、そのような事情で飛び地ができたものとすると、新たな疑問が2つ。【自問に対する自答】
耕作地でなくなった現在も、入り乱れた境界を保持しているのは何故か。【改める実益がない。】
同様の事例が、日本全国に多くあるはず。【個別の当事者が知っていれば十分で、日本全国のデータを集積する必要などない。】

こりゃ、何かの機会に複雑な飛び地が陽の目を見て、スーパーマップル関西道路地図 [19852] に紹介された大阪国際空港は、氷山の一角にすぎないのかもしれませんね。
[68778] 2009年 3月 8日(日)01:15:07EMM さん
飛び地関係レス
[68776] k-aceさん
徳島市、板野郡藍住町に隣接している板野郡北島町高房です。
徳島北高校を含む土地が徳島市で、北島町の一部が飛び地になっているようなのですが、なんだか徳島北高校は徳島市にあるんだと主張しているような市町境ですね。
試しに他の地図サイトで同じ辺りを見てみたら、MapFanではちょっと違う表現で書かれていました。
こちらだと、むしろ徳島北高校の校舎付近が徳島市の飛び地である…と見てとれます。
地図サイトだけではどっちが飛び地でどっちが飛び地でないのかの判断が難しい物件のようですね。


[68767] hmtさん
耕作地でなくなった現在も、入り乱れた境界を保持しているのは何故か。【改める実益がない。】
同様の事例が、日本全国に多くあるはず。【個別の当事者が知っていれば十分で、日本全国のデータを集積する必要などない。】
こりゃ、何かの機会に複雑な飛び地が陽の目を見て、スーパーマップル関西道路地図 [19852] に紹介された大阪国際空港は、氷山の一角にすぎないのかもしれませんね。
実際の所、「隠れ飛び地」は予想を遥かに越えて存在している可能性があります。
北陸を中心に営業を行っている刊広社と言う地図会社の住宅地図には地籍版と言うのがあるんですが、それの金沢市のものを見ていたら、自分の住んでいる町のとんでもない所に隣町の飛び地が出てるんです。
その一帯は住宅地で、そこにある家の住所は通常は「自分の住んでいる町の名+地番」な訳ですが、どこかの段階(登記簿上?)では「隣町の名+地番」に化ける、と言う事らしいのです。
仕事上でもそう言う事例にぶつかった事があります。
土地の所有者がわかりやすい平場の土地でさえこんな事がありますから、所有者の名義がかなりカオスな場合が多々ある山林部はどうなっているか分かったものではありません。
とてつも無い所にとてつもない飛び地が隠れている可能性が…
MapFanの金沢市の住所一覧を見るとその片鱗?を見て取る事ができます。
主に山ぎわや山中にある町の小字で、「○○町元××」という小字が散見されるんです。
このシリーズの小字、他の地図サイトの住所一覧では出てこないものなので多分ほとんどが山林部の小字だと思われます。
(一部山林のない所にも同様の小字があるところがありますが、その「元××」という小字は河原にあるではないかと思われます)
××の部分は○○町の隣町の名が入っているものもありますが、結構離れた所の地名の組み合わせ(その場合、××の方は平地の町の名が多い)もあります。
これは多分入会山の名残だと思います。
「元」が冠されているので現在は「所在している所の町」の一部…と言う事で良いんだろうと思いますが、うちの町内の例もあるんで、そう言ったものの中にも「どこかの場面では昔の町名に化け、飛び地となる」所があるかもしれません。
そんな中には「大額町元野々市」や「清瀬町元野々市」なんてのもあります。
「元」が付かない状態のままであれば、金沢市の中の野々市町の飛び地…と言う事になってたのでしょう。

#「××」の部分には「昔の名前で出ています」状態のものもぽつぽつ見られます。
弥勒縄手(現・弥勒町)、牛坂(現・旭町)、北森下(現・北森本町)、南森下(現・南森本町)、野々市新(現・久安)等々。
[68783] 2009年 3月 8日(日)12:39:10【1】Issie さん
温故知新(飛地の生成)
[68767] hmt さん
田畑の地主により、行政区域が分かれる

以前,[16469] でこんな総理府告示を紹介したことがあります。再掲しますね。

--------------------------------------------------------------------------------
昭和29年総理府告示第683号
   市町の境界変更
地方自治法第7条第1項の規定により,昭和29年8月1日から,千葉県千葉郡津田沼町と千葉市の境界を次のとおり変更する旨,千葉県知事から届出があつた。
   昭和29年7月31日 内閣総理大臣 吉田 茂

千葉郡津田沼町に編入する区域
千葉市大字実籾,愛宕,安生津,長作,天戸,馬加の内字屋敷台,蟹ケ沢,新田台,鳥ケ崎,起天堀,前田,前畑,外畑,内畑,吹上,台畑,米ノ内及び小谷津2430

但し,右区域を千葉市から津田沼町に編入する場合において,右区域外の住民が右区域内に所有する小作地を除き,右区域内の住民が右区域外に所有する小作地を加える。
---------------------------------------------------------------------------------

そこでの話をもう一度繰り返すと,
これはつまり,千葉県の 津田沼町 が千葉市(旧幕張町)の一部を編入して 習志野市 になる手続きの第一段階。
 1:この告示(第683号)により,津田沼町が千葉市の一部を編入し,
 2:次に 告示第684号 により,津田沼町が「習志野町」と改称し,
 3:次の 告示第685号により,千葉郡習志野町を「習志野市」とする処分が行われ(ここまで1954(昭和29)年8月1日に施行),
 4:最後に同年8月28日施行の 告示第712号 により,千葉市から編入した 長作・天戸 を再び千葉市に“返還”する,
…という手順で 習志野市 が発足したのでした。
その最初の告示の「但し書き」部分が,この話題に関連して少し気になる部分なのですね。

この「小作地」に関する但し書きがなくとも,特に元は1つの大字であった(さらに「近世村」までさかのぼれる)「大字馬加(まくわり/まくはり)」を“力技”で分割した 千葉市幕張町 と 習志野市花咲町および屋敷町 の間には,相互に多くの飛び地が発生していました(告示の中にある「小谷津2430」というのも,そうした飛び地の1つかもしれませんね)。1970年代末までには両市の間で“領地交換”が何度も行われて,現在では飛び地は解消しているようです(少なくとも,普通目にする地図の上では)。
[68789] 2009年 3月 8日(日)22:33:01hmt さん
「飛び地」の魅力 (5)隠れた飛び地
[68767]の末尾で、“大阪国際空港は、氷山の一角にすぎないのかもしれない”と書いたら、早速水面下に隠れた飛び地の実例に関するレスがありました。

[68778] EMMさん からは、金沢市の住宅地図地籍版の実例などにより、予想を越えて存在している「隠れ飛び地」の可能性を示していただきました。

[68783] Issie さんからは、習志野市誕生の直前に行なわれた総理府告示の但し書きにより、農地の所有関係から生じた飛び地の実例を示していただきました。
# 実は、“…所有する小作地”が如何なるものなのかを、農地法第2条第2項の定義(「小作地」とは、耕作の事業を行う者が所有権以外の権原に基いてその事業に供している農地をいう)にてらして理解することが、私にはよくできないのですが。

1970年代末までには両市の間で“領地交換”が何度も行われて,

習志野市例規集 行政区域の変更 にある 10件の境界変更告示のうち最初のものは千葉市への長作・天戸の“返還”。これと船橋市との境界に関する2件を除く7件(うち交換3件)が千葉市との間の飛び地処理でしょう。昭和46年が最後となっていますが、これで飛び地が解消したのかな?

水面下の飛び地を示唆する未確認情報が、5年前の落書き帳にもありました。
[23945] みやこ♂ さん
今度合併して佐野市になる葛生町,それの飛び地が「栃木市の向こう」にあるわけですが,これの中に実は栃木市の飛び地があって,さらにその中に一筆,葛生町があったような記憶があります。

出流山満願寺が下都賀郡(現・栃木市)ということで、その参道[39952]1本によって安蘇郡葛生町仙波(現・佐野市)の本体から切り離された飛び地。その中に二重・三重の飛び地があるという情報です。

然るべき役所へ行けば確認することができるでしょうが、このように、普通に流布している地図で公表されていない飛び地が、各地に存在する可能性はたしかにあります。

隠れた飛び地を詮索し始めたら、きりがないのかな?
[68879] 2009年 3月 19日(木)16:25:40hmt さん
「飛び地」の魅力 (6)小規模飛び地の原因になった出作
ようやく果たした和歌山県上陸が本土でなく飛び地

[68877] 稲生 さんの怪記録を祝して(?)、飛び地スレッド(一部を表示) を再開します。

大阪国際空港ターミナルビル付近は 2県・3市の境界。ここに複雑に入り乱れた、多数の小さな飛び地が存在 [68767]
それは、どうやら転用された農地の残影らしく、同様の隠れ飛び地は他の県にもある(あった)らしいことも知りました。

話題の発端になった練馬区西大泉町の飛び地も、その大きさからいうと野菜畑1枚分くらいです。
練馬大根畑だったのかどうか知りませんが、ここが農地のままなら、周囲が片山村→新座町→新座市と移り変わっても話題の主になることはなかったでしょう。
ところが住宅地開発の波がこの付近にも押し寄せ、登記簿を確認した結果、この畑だけは練馬区であることがわかりました。“1974年発見”とか。

住宅が建ち人が住み始めると、学校やゴミ収集という生活面からも東京都民であるという意識が生じます。
“埼玉県かと思ったら、東京の学校へ通えるんだって。ラッキー!”てな感じだったのでしょうか。
これでは、練馬区が新座市に引き渡したいと考えても、なかなか実現しません。[68738]参照。
飛び地の問題は、単に地図(地籍図)上の問題ではなく、住民の有無を抜きに考えることはできないことを教えています。

農家が、住所と異なる市町村内に耕作地を持つことはよくあることで、出作地とも呼ばれるようです。
台地上の野菜農家も低地になにがしかの水田を持ち、水田地帯の村人も台地上に野菜畑を必要とします。
[44818]で紹介した絵図 飛び地がいっぱいの130年前 には、武蔵野台地の上福岡に点在する低地の村々の出作地が描かれていました。
これらの出作地は、福岡町→上福岡市に統合され、最後に大井町内に残った上福岡市南台飛び地も、ふじみ野市の誕生で消滅しました。[45344] 太白 さん

「出作」という地名もあります。ウオッちずで検索すると12件(うち10件は四国)。発音は「しゅっさく」「でづくり」「でさく」とまちまち。
松戸市役所新松戸支所の所管区域 には、“小金(字金切、出作)”と記され、「出作」という地名が関東にもあることがわかります。
「小金・出作」は約1ヘクタール余の面積で、流山市「木地区・区画整理事業」計画区域の中にあり松戸市の飛び地的な存在である。
松戸市政懇談会報告

上記新松戸支所の所管区域の次を見ると「小金飛地」。これは大字と思われますが、正面から「飛地」を名乗る地名もあるのですね。

そこで、またウオッちずで検索すると「飛地」は170件。但し大部分は「○○市飛地」のような表記であり、地名そのものではないようです。重複を除いても 106市町村。国内には、少なくともこれだけの数の飛び地が存在することを示しています。
唯一の地名らしい表記は「初富飛地」。所在地はまたもや松戸市で、地形図を表示させてみると八柱霊園付近ですが、「初富飛地」という注記を見出すことができません。火葬場付近にある串崎新田(本体は鎌ヶ谷市初富の近く)飛び地のことでしょうか?

最後に一言。
「出作」そのものではないかもしれせんが、農村集落と離れた場所にある使用収益目的の用地として、山林があります。
村の本体と離れた場所にある山林が飛び地になっている著名な事例が、長野県上伊那郡 南箕輪村 です。
地図の中央付近が飛び地の山林。木曽山脈(中央アルプス)の北端付近です。
伊那市の領域を隔てて 天竜川沿い伊那谷に位置する村の本体は、地図の右下に見えます。
飛び地面積20.1km2というから、本体の面積とほぼ同じですね。日本最大の無人飛び地のはずです。


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