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鉄道が通っていない市【第二十二回十番勝負 問二:解説記事】

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[69946] 2009年 5月 5日(火)14:01:23【3】伊豆之国 さん
満開の桜の下、列車はもうやって来ない~第二十二回十番勝負「問二」徹底検証(その1)
[69914]で約束した通り、第二十二回十番勝負・問二「鉄道のない市」についての考察を行いたいと思います。

今回の「問二」の共通項は、「鉄道の駅はもちろん、線路も通過していない」という市ということで、現在、全国に55市(※)あることになっているわけですが、前回の問七「市内に駅が一つだけ」と同様に、「初めから全く鉄道に縁がなかった」(1)市と、「過去にあった鉄道が廃止された」(2)市とに分類できます。

(1)に属する市を挙げると下記の通りですが、その多くは「島」にある市であり、「本土」にある市はむしろ少数派のようです。(市の配列は便宜上問題および解答順とします)

武蔵村山、阿波、室戸、土佐清水、坂東、佐渡、対馬、土佐、西海、壱岐、天草、西之表、稲敷、うるま、上天草、江田島、淡路、宮古島、奄美、南城、五島、名護、石垣(計23市)

残りの32市(※)が、「かつて鉄道があったが、廃止された」という市(2)で、これはさらに「市制施行後に鉄道がなくなった」もの(A)と、「現市域にある旧町村に鉄道があったが、市の成立前に廃止されて現市域には鉄道がない」(B)という2つのケースに分けられそうです。これについて、下記の表にまとめてみました。

市名タイプ廃止された鉄道廃止年
石狩軽石軌道(馬車鉄道)S15(S12より運休)
富里成田鉄道八街線S15
嬉野肥前電鉄S6
伊佐旧国鉄山野線(旧大口市当時)S63
南島原島原鉄道(部分廃止→[64417]H20
垂水旧国鉄大隅線S62
浦添沖縄県営鉄道S20(戦災により壊滅)
南アルプス山梨交通(→[66626]S37
珠洲のと鉄道能登線H17
八女旧国鉄矢部線S60
山鹿山鹿温泉鉄道S40(S35より運休)
紋別旧国鉄名寄線H1
歌志内旧国鉄歌志内線S63
輪島のと鉄道七尾線(部分廃止)H13
山県名鉄高富線S35
三笠旧国鉄幌内線S62
国東大分交通国東線S41
西都旧国鉄妻線S59
糸満沖縄県営鉄道S20
南さつま鹿児島交通南薩線(旧加世田市当時)S59
洲本淡路交通S41
南あわじ同上S41
菊池熊本電鉄(部分廃止)S61
行方鹿島鉄道H19
豊後高田大分交通宇佐参宮線S40
御前崎静岡鉄道駿遠線(部分廃止)S39
鹿屋旧国鉄大隅線S62
宍粟波賀森林鉄道S42
豊見城糸満馬車軌道S10
宜野湾沖縄県営鉄道S20
沖縄沖縄軌道(馬車鉄道)S19
大川(※)旧国鉄佐賀線S62

(※)想定解にはもう一つ、大川市が当てはまると思います。

廃止路線については、Wikipediaの記事を参考に集めてきたのですが、もしかしたら落ちがあるかもしれませんので遠慮なくご指摘ください。‥それにしても「戦前にその市域に鉄道が走っていた」という市が予想以上に多かったこと。

♯文章が長くなってきたので、この続きは次回書き込むことにします。
今回のタイトルは、昭和62年に廃止になった筑波鉄道についての鉄道雑誌のタイトルからです。つくば市に形を変えて再び鉄道がやってきたのは、それから18年余り後のことでした。
[69949] 2009年 5月 5日(火)16:23:29【2】伊豆之国 さん
満開の桜の下、列車はもうやって来ない~第二十二回十番勝負「問二」徹底検証(その2)
前回[69946]に引き続き、「鉄道のない市」についての考証を進めたいと思います。

ところで、今回の「問二」で「NG」とされた神栖市と牧之原市は、「鉄道が通るが駅がない」という市で、他にこれに該当するのはかすみがうら・綾瀬・宮若の各市です([69934]運び屋Aさん)。このうち、神栖(鹿島臨海鉄道の貨物線が昭和53-58年の間旅客列車を運行、神栖駅・鹿島港南駅で客扱いしていた。なお、「大洗鹿島線」の開業は昭和60年)・牧之原(静岡鉄道駿遠線(HP)大井川以南が昭和43年に廃止)・宮若(旧国鉄宮田線・平成元年廃止)は、いずれも市の成立前に、鉄道の旅客駅がありました。

長い間鉄道が通らず、近年になって初めて鉄道の恩恵に浴することになった市には、八潮(「TX」・平成17年)、鳩ヶ谷(埼玉高速鉄道・平成13年)、宿毛(土佐くろしお鉄道中村線延伸・平成9年)などがあります。
かつてあった鉄道が廃止されてから長い年月を経て鉄道が復活した例には、那覇(沖縄県営鉄道が昭和20年に戦災により壊滅・事実上廃止→「ゆいレール」(沖縄都市モノレール)が平成15年に開業)、安芸・香南(土佐電鉄安芸線が昭和49年に廃止→土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」が平成14年に開業)、それに前回[69946]でも触れたつくば(筑波鉄道が昭和62年に廃止→「TX」が平成17年に開業。筑波山のケーブルカーは、前回の「問七」と同様に「対象外」扱い)といったところがあります。那覇市は鉄道が復活するまでに実に58年の歳月を要し、高知県の両市も復活まで28年かかっています。このうち香南・つくばの両市は、鉄道が消えたのは共に市の成立前で、香南市は市制の2年前に鉄道が復活し、つくば市は鉄道が消えたその8ヶ月後に市制(筑波鉄道が通っていた旧筑波町は2ヵ月後に編入)、それから18年を経て再び市域に鉄道が戻ってきたというわけです。

ところで、「鉄道のない市」で最も人口の多い市といえば、つい数年前までは、[69367]での桜トンネルさんの「フライング」
この問題を県庁所在地から答えるのは絶対に無理です
を思い起こさせる、那覇市がダントツ。これとつくば市が「両横綱」でしたが、現在の時点ではどうやら沖縄市(129,051人)が最多、以下うるま(114,259人)、浦添(108,348人)とトップ3を沖縄勢が独占し、本土で最多なのは4位の鹿屋(105,152人)。人口10万人以上で鉄道が市内にないのはこの4市ということになりそうです。

♯香南市・つくば市についての不正確な表現を修正


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