今回(第二十三回)の十番勝負の問十、いろいろと話題がありますが、まずは根拠を整理してお示しします。まだまだ、これ以上に話題を展開できることでしょう。
[71642] だいてん さん
地方自治法も含めて、一度条文を整理した書き込みをしようかな、と考えています。
横取り・先行して申し訳ありませんが、ある程度準備中でしたので、あしからずご容赦ください。適宜、補足していただければ幸いです。
さすがに量が多いので、各法律の条文の引用は差し控えます。各自ご参照ください。
「合併特例旧法」と「合併特例新法」は、法律名も「・・特例に関する・・」か「・・特例『等』に関する・・」かの相違です。
合併特例旧法は、平成17年3月31日をもって失効しました。
なお、議員の定数特例・任期特例に関しては、この2つの法律は内容は同じです。
地方自治法(昭和22年4月17日法律第67号)
市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年3月29日法律第6号)(合併特例旧法)
市町村の合併の特例等に関する法律(平成16年5月26日法律第59号)(合併特例新法)
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▲定数についての原則(一般論)
市町村の議会の議員の定数は、地方自治法第91条第1項の規定により、条例で定める。同法同条第2項に、その上限が定められている。
▲定数特例について
●新設合併の場合
合併特例旧法第6条第1項(合併特例新法第8条第1項)
合併後最初の任期の間に限り、地方自治法第91条第2項に規定する数の2倍に相当する数を超えない範囲でその議会の議員の定数を定めることができる。(★定数特例その1)
●編入合併の場合
○合併特例旧法第6条第2項(合併特例新法第8条第2項)
存続する市町村の議会の議員の残任期間に限り、編入される市町村ごとに、編入される市町村の当該区域の人口を、編入する市町村の人口で除して得た数を編入する市町村の議会の議員の旧定数に乗じて得た数(端数は四捨五入、ただし最低保障一人)の合計数を旧定数に加えた数(「編入合併特例定数」)をその議会の議員の定数とすることができる。(★定数特例その2)
※合併特例旧法第6条第3項(合併特例新法第8条第3項)により、編入された市町村ごとに選挙区を設置
○合併特例旧法第6条第5項(合併特例新法第8条第5項)
合併特例旧法第6条第2項(合併特例新法第8条第2項)の「編入合併特例定数」を採用した場合、合併関係市町村の協議により、合併後最初に行われる一般選挙の任期に相当する期間についても、編入合併特例定数をもってその議会の議員の定数とすることができる。(★定数特例その2の2)
※合併特例旧法第6条第6項(合併特例新法第8条第6項)により、編入された市町村ごとに選挙区を設置
▲在任特例について
○合併特例旧法第7条第1項(合併特例新法第9条第1項)
合併関係市町村の協議により、
・新設合併の場合は市町村の合併後二年を超えない範囲で当該協議で定める期間
・編入合併の場合はその編入する市町村の議会の議員の残任期間に相当する期間
に掲げる期間に限り、引き続き合併市町村の議会の議員として在任することができる。(■在任特例)
○合併特例旧法第7条第2項(合併特例新法第9条第2項)
在任特例は、
・合併特例旧法第6条第1項(合併特例新法第8条第1項)(★定数特例その1):新設合併の定数特例
・合併特例旧法第6条第2項(合併特例新法第8条第2項)(★定数特例その2):編入合併の定数特例
を採用した場合は適用不可
○合併特例旧法第7条第3項(合併特例新法第9条第3項)
合併特例旧法第7条第1項(合併特例新法第9条第1項)の「■在任特例」を採用した場合は、合併特例旧法第6条第5項(合併特例新法第8条第5項)を準用する。
つまり、「■在任特例」を採用した場合、合併後最初に行われる一般選挙の任期に相当する期間についても、定数特例を採用できる(★定数特例その3)
※合併特例旧法第7条第4項(合併特例新法第9条第4項)により、合併特例旧法第6条第3項(合併特例新法第8条第3項)を準用(つまり、編入された市町村ごとに選挙区を設置)
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以上のように、「定数特例」といっても3パターン(正確には4パターン)あります。合併特例旧法・新法を区分すると6or8パターンあります。しかも、各合併協議会の協議項目を見ても、十分にはわからない例が多いです。「合併後の議会で別途定める」としているものも多いためです。
★定数特例その1 | 合併特例旧法第6条第1項(合併特例新法第8条第1項)によるもの |
★定数特例その2 | 合併特例旧法第6条第2項(合併特例新法第8条第2項)によるもの |
★定数特例その2の2 | 合併特例旧法第6条第5項(合併特例新法第8条第5項)によるもの |
★定数特例その3 | 合併特例旧法第7条第3項(合併特例新法第9条第3項)によるもの |
参考として、
島根県庁市町村合併Q&A-第2章/合併特例法の特例措置をご紹介しておきます。これは、合併特例旧法の解説ですが。