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落書き帳記事番号検索結果3 件の記事を検索しました。


記事#記事日付
記事タイトル
発言者
[74009]2010年1月22日
半島談義 (1)半ば島、殆んど島 hmt
[74028]2010年1月23日
半島談義 (2)讃岐半島 hmt
[74038]2010年1月24日
半島談義 (3)半島の範囲 紀伊半島 hmt



[74009] 2010 年 1 月 22 日 (金) 22:29:59【1】 hmt さん
 半島談義 (1)半ば島、殆んど島

[73963] オーナー グリグリさん
■市名に関連する半島がある市(半島コレクション登録が対象)

十番勝負に出題された機会に、「半島」についての雑談を少々。

[18426][18434] オーナー グリグリさん
#私は小さいときから半島が好きでした。能登半島の影響かな?
ところで、半島という地形名はいつ頃から始まっているのでしょうか。
[18447] Issie さん
いつからある言葉なのか,私もよく知りません。
もしかしたらこれらは欧米で発達したの地形学が日本に輸入されたときに使われ始めた用語なのではないか,とも考えています。

伊能中図(1:216,000)を見ると、例えば伊良湖崎や渥美郡という注記はあっても、渥美半島の文字は見つかりません。能登も伊豆も国名は記されてますが、○○半島という使い方はされていません。

「しま」や「みさき」は眼前の景観を直接に表す言葉です。「しま(島)」は一目で見渡せないほどの大規模な地形にも転用されましたが、「みさき」や「はな」は概ね陸地が突出した先端部付近の局所地形に限定して使われています。
日本でも「海に突き出た細長い陸地全体」を地図の上で認識し、「能登」のような固有の地名で呼んでいた。しかし、日本ではそれを一般化した観念は発達しなかった。だから、欧米の地形学輸入に際して、「半島」という和製漢語を創作することになった。こんな筋立てでしょうか。

例えば、本州の中央部で日本海に突き出た能登。隣にある真正の「島」である佐渡と形も似ており、深い富山湾で根元がくびれた姿を「半ば島」と表現した地形名は、その本質をよく当てています。
同じように深い駿河湾に隣接し、根元がくびれた姿で本州の中央部から太平洋に突き出た伊豆半島と好一対の存在です。

辞書を見ると「peninsula」の語源は、ラテン語で「paene」+「insula」つまり西洋言葉では「殆んど島」という意味だそうです。
代表的な存在は、ピレネー山脈で隔てられたイベリア半島。そして、北極圏では地続きになっているものの、事実上は大陸から海を隔てた存在であるスカンディナヴィア半島。

半島の由来はこのくらいにして、国土地理院の扱いを調べてみます。

ウオッちずで検出される「半島」は、公共施設(例:知多半島道路)や重複を含めて 29件と意外に少数です。
その多くはごく小規模な半島【例えば屈斜路湖の中の和琴半島】であり、これまでに言及した能登半島・伊豆半島・渥美半島のような有名な半島は、いずれも出てきません。

その理由は、25000分の1地形図の小規模な地形と、能登半島のような大規模な地形とでは対象がずれているからです。伊能図に○○半島がないことを確認するのに大図(1:36,000)ではなく中図を使ったのも、そのことを考慮したためです。

私の手元に、「標準地名集(自然地名)」【注】の巻末からコピーした「主要自然地域名称図」という地図があります。
実は、その一部は[53057]で紹介した“地名の標準化について”という論文pdf 中で 第3図として引用されており、次の記載があります。
この名称は国土地理院発行の 20万分1またはそれより小さい縮尺の地図に注記することを目的として定められた。

半島(peninsula):陸地における水平肢節の突出部をいう。
【注】 国土地理院, 昭和56年発行増補改訂版。なお、「主要自然地域名称図」の欄外には昭和29年地理調査所と記されており、この 1954年に地理調査所が行った検討[18447]の成果であることがわかります。上の引用文では1960年[67221]以降の名称である国土地理院と改められていますが、論文第3図では地理調査所のままでした。

やはり「半島」は、大規模な地形が多いため、もともと20万分1地勢図のような小縮尺図との相性がよいようです。

「主要自然地域名称図」に記された半島を拾い上げてみると、大小取り混ぜ、次の 37件でした。(便宜上、都道府県コード順に配列。)
●根室半島 ●知床半島 ●積丹半島 ●渡島半島 ○松前半島 ○亀田半島 ●津軽半島 ●下北半島 ●牡鹿半島 ●男鹿半島 ●房総半島 ●三浦半島 ●能登半島 ●伊豆半島 ●渥美半島 ●知多半島 ●志摩半島 ●丹後半島 ●紀伊半島 ●島根半島 ●児島半島 ●高縄半島 ○佐多岬半島 ○企救半島 ○若松半島 ●糸島半島 ●東松浦半島 ●北松浦半島 ●西彼杵半島 ●長崎半島 ●島原半島 ●宇土半島 ●国東半島 ●佐賀関半島 ●大隅半島 ●薩摩半島 ○野間半島
* 縮尺200万分1程度の図には●、縮尺100万分1ないし50万分1程度の図には●および○を付した地域を採用

“昭和29年地理調査所”なので沖縄は日本地図の範囲外。従って本部半島は登場しません。

グリグリさんが 2003年に集めた半島コレクション[18426]は 69件で、もちろん上記 37件のすべてをカバーしています。
現在 は220件。小さな半島地名をこまめに拾い、格段の収録数になっています。

[74028] 2010 年 1 月 23 日 (土) 22:15:56【2】 hmt さん
 半島談義 (2)讃岐半島

[74009]に続き、地名コレクションページの記念すべき第1号[18454] でもある「半島」についての雑談。

[73986] 白桃 さん
本当は「さぬき市」で答えたかったのですが、[18443]であんな書き込み【「讃岐半島」に異議あり】をした手前、…

十番勝負で「さぬき市」を答えた[73999] 伊豆之国さんも “この「讃岐半島」は初耳”と書いています。
実は私も「讃岐半島」という言い方があることは、落書き帳で初めて知りました。

Googleで“讃岐半島”を検索してみても、僅かに79件しか出てきません。
しかも、頭に出るのが「半島コレクション」と「灘コレクション」。これでは自作自演?

続いて、森林農地整備センター 中国四国整備局内の頁で、【なぜか?】徳島県管内の概要
その次の JLogosにより、“讃岐半島”が角川日本地名大辞典の「讃岐平野」の説明文中に使われていることがわかりました。
【追記】
図書館で確認したら、この辞典には「讃岐半島」という独立した見出し語も存在しました。そこには、讃岐半島から北に突出する半島や鼻が列挙されており、その中にはコレクション未集録の屋島半島という名もありました。

地理学者は、四国の中における地質や地形の特異性をも考慮して、香川県を半島と捉えたのかもしれません。
もちろん それは 白桃さんの異議[18443]に記されたような 四国の付属品という意味 ではないと思いますが、何よりも「海に突出した陸地」という自然地形から来る言葉である「半島」としては、細長さ(突出度)が不十分であるように思われます。

[18446] グリグリさん の見方も懐疑的。
どちらかというとちょっと丸くなっているだけで、半島というイメージではないなぁ
ただ、今回の「半島コレクション」は単純に「半島」地名の収集が目的です。

同じ記事の中で、形だけでなく、人文的要素も考慮されるという指摘がなされています。
人の行き来など利便性も含めて半島という言葉が使われているのだと想像します。

“半ば島”は人の行き来に不便という観点からも、讃岐を「半島」と呼ぶ用法が適切であるとは思われません。
源頼朝の流刑地は 名前だけでも伊豆の「蛭ヶ小島」【伊豆には島地もあるので、殊更に本物の島かと誤解】でしたが、讃岐の国府に近い 崇徳院の白峯陵 は、同じ時代の流刑地であっても、“半ば島” ではありません。

半島振興法 の定義も、地形だけでなく人文的要素を加味しています。
第一条 …三方を海に囲まれ、平地に恵まれず、水資源が乏しい等 国土資源の利用の面における制約から 産業基盤及び生活環境の整備等について 他の地域に比較して低位にある 半島地域(架橋等により本土との陸上交通が確保された島を含む。以下同じ。)…
第二条1項二号 高速自動車国道、空港等の高速輸送に係る施設その他の公共的施設の整備について 他の地域に比較して低位にある地域であること。

半島振興対策実施地域対象市町村一覧pdf によると 23地域が指定されており、[18446] グリグリさん(2003/7/20)がリンクしています。市町村合併の状況から判断すると、2005年の資料に更新され、そのままの状態のようです。
もちろん、讃岐半島という指定地域は存在しません。

地形的な観点からすると、この法律では 架橋島を半島扱いにしている(半島振興法第一条) ことが注目されます。
具体的には、広島県の「江能倉橋島」【この言い方には初対面でしたが、その意味はよくわかります。】と 山口県の「室津大島」【半島部と大畠瀬戸の両側とを含む】とが該当します。
人工架橋島ではなく、大正溶岩で地続きになった桜島も、「大隅半島」の一部として指定地域になっています。県庁所在都市の中で唯一の指定地。

[74038] 2010 年 1 月 24 日 (日) 16:32:46 hmt さん
 半島談義 (3)半島の範囲 紀伊半島

[74018] 白桃 さん
前にも話題にしたかと思うのですが、どっからが半島なんでしょうかね?
例えば、薩摩川内市は薩摩半島内にあるのかないのか、微妙なとこだと思うのです。

薩摩川内市は鹿児島湾の最奥よりも北ですから、明らかに薩摩半島の外でしょう。地名辞典では、鹿児島市街地から伊集院に向かう線を北限とするのが一般的で、拡張しても日置郡までのようです。

[18443] 白桃 さん
中国地方の形状は、ありやぁ半島の語源から考えてみても半島そのものですね。

半島の語源に関する俗説はさておき、細長い本州の両端部、「奥羽半島?」と「中国地方半島?」とは普通には半島と呼ばないので、日本最大の半島は紀伊半島ということになります。

その紀伊半島の範囲ですが、純粋に陸地の形だけから地図上で基線を引くと、伊勢湾北端又は西端から大阪湾頭へとなるでしょう。
これだと大阪市の大部分や奈良県のほぼ全部が紀伊半島に含まれることになりますが、通常は大阪府や奈良県北部は紀伊半島に含まず、中央構造線以南の紀伊山地を指しているようです。
川で言えば、概ね三重県櫛田川・奈良県吉野川・和歌山県紀の川の線から南。
面積約1万km2ですから、ほぼ同じ面積のハワイ島と共に面積の基準として覚えておくと便利です。

[18446] オーナー グリグリさん
http://www.mlit.go.jp/crd/hanto/itiran.pdf【半島振興対策実施地域対象市町村一覧】
最初の書き込み[18426]の半島の属する都道府県はこの資料も参考にしています。(中略)大阪府は紀伊半島に含まれないのではないか、とか。まぁそうは言っても半島自体の定義があいまいでしょうから徹底追求するのはあまり意味がないでしょう。

半島振興法で指定された紀伊半島の範囲も、ほぼ中央構造線以南ですね。
市町村単位【2005年当時と思われる】でその範囲を確認すると、東の伊勢湾側は松阪市以南。奈良盆地は紀伊半島の範囲外で、指定対象は 吉野川流域の吉野郡と五條市とに絞られています。和歌山県は 和歌山市を除く全域 が紀伊半島として指定されています。

“産業基盤及び生活環境の整備等について他の地域に比較して低位にある”半島地域の振興を目的とする法律だから、大阪湾沿岸地域や、県庁所在都市の和歌山市は指定対象外ということになるのでしょう。

半島の範囲は、純粋に地理的な海岸線の形で決まるものと考えていたのですが、上のような実例を見ると、地形や行政的な区分が結構影響しているようです。



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