測量の基準を現在の「世界測地系」に変更した 測量法改正が施行されたのは 2002年4月1日でした。
満10年を経過したところだったのですね。
地図の規格に関連して「地域メッシュコード」がJIS X0410として定められていますが、これも自動的に世界測地系によるものに移行しました。ところが過去に販売された地図製品のサービスなどのために、日本測地系に準拠したデータの更新が必要なケースがあり、10年間限定の追補規格が設けられましたが、これも先日失効しました。
前回言及したサイトは、実はこの追補規格失効にあたり日本デジタル道路地図協会(DRM)が、そのHP上に公開した
解説 の一部でした。
「地域メッシュコード」は、
[78328][78644]などで言及した
『地名集日本2007』 にも使われています。
メッシュ・コードは、行政管理庁告示第143号(1973年7月12日)に基づいた標準地域メッシュ(第一次地域区画)で、20万分1地勢図の区画に相当する。
具体的に説明すると、20万分1地勢図「東京」に相当する区画のメッシュコードは「5339」です。
「53」は赤道から40分刻みで北に数えて【0から数える】53、つまり北緯35度20分~36度を意味します。
「39」は東経100度から1度刻みで東に【0から】数えて39、つまり東経139度から140度の意味です。
このような地域メッシュは、緯度で40分・経度で1度というような一定間隔の経緯度(2次メッシュは緯度5分・経度7.5分で、25000分の1地形図の区画)で区画されているので、北に行くほど東西の実距離は短くなっています。
このことは、地球が丸いことから誰でも理解しているし、多円錐図法などで描かれた紙の日本全図が北の方では経線の間隔が狭まっていることでも実感されます。
では、電子地図はどうなっているのか? その答えが「円筒図法」です。
地軸と一致する中心を持つ円筒に投影して切り開いて平面にする。経線は等間隔の縦線で並ぶ。これが基本。
説明図
[80544]にリンクされた Google Mapの最小縮尺の世界図、巨大なグリーンランドと無限の拡がりを持つ南極大陸。
まさにメルカトル図法は円筒図法の代表です。
ところが、Google Mapをこんな広範囲の地図として利用することは、まずありません。
1000km2もある大きな市の全域を示す機会も殆んどないのですが、試みに
札幌市 1121km2と
田辺市 1027km2とを比較してみました(市名で検索すると、その領域がピンクで示されます)。
スケールが違っていたら、例えば左下に出る標尺が「10km/5マイル」を示すように調節してください。
経線が等間隔の円筒図法ならば、2つの市の緯度の違いは地図面積で約 29%になります。実面積の違い 9%との相乗で札幌市の地図は田辺市より4割以上大きな姿で画面に現われる…という予想は、見事に外れました。
地図上の 10km標尺の長さを同じに揃えることはできず、市の面積も違うので概略の比較になりますが、札幌市は田辺市とはほぼ同じ面積の市であることが実感されました。
なぜ、こうなったのか?
それは「1枚の紙」に書いたメルカトル図法と、シームレスにつながっているが、実際に目にする画面はその一部分であるという違いが 巧みに利用されているからだと思われます。
つまり、スクロールによって南北移動する場合には、地球上の位置(緯度)に応じて地域メッシュの横幅(つまり経線間隔)が自動的に調節されるという仕組みをプログラムに組み込み、本来は「等間隔の経線」、従って「正積」という望ましい性質から 大きく外れてしまう 「円筒図法の欠点」を 事実上克服していると思われます。
[80540] futsunoおじ さん
北と南で表示サイズがあまりに異なると感覚的な違和感が生じますから、ソフトウエア上で表示する緯度に連動した縮尺補正機能があってもいいと思います。
が、既に実現しているということではないでしょうか。
DRMの「解説3 地域メッシュコードの特徴」にも、以上のことに対応する記載がありました。
要点だけ引用
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ガイド2 電子国土は、ヨコ(東西)の間隔は一定で、タテ(南北)の間隔が北へ行くほど大きくなる円筒図法という地図投影法が用いられています。(中略)北へ行くほどタテ(南北)の間隔が長くなる円筒図法の特徴が表れています。
ガイド4A グーグル地図は、電子国土と同じく、円筒図法という地図投影法が用いられています。
ただし、(中略)電子国土と違い、右上【左下】に表示されている標尺が、襟裳岬も足摺岬も同じ表示縮尺になっているからです。次のヤフー地図も同様です。
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