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【第三十六回十番勝負 問六:解説記事】

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[82767]2013年1月20日
伊豆之国

[82767] 2013年 1月 20日(日)15:22:49【1】伊豆之国 さん
木曽路はすべて山の中
今回の十番勝負・問六の共通項は、「(旧)中山道が通る市」でした。そこで、今日は前回の問三「東海道」編([81786])に続き、今回は「中山道と鉄道の関係」について書いてみようと思います。中山道六十九次の宿場と、現在の自治体名、対応する鉄道駅の対比を下記の表にまとめてみました。なお、江戸時代の宿場の地名表記については、複数の書き方が見られるものも多いので、現在と異なる表記が一般的だったものを除き、原則として現在の表記に合わせることとします。

番号宿場現在の自治体名対応する鉄道駅路線名備考
(江戸・日本橋)東京都中央区日本橋東京メトロ銀座線
1板橋〃 板橋区板橋埼京線板橋駅は住所は板橋区だが北区・豊島区との境界線上にあり、宿場の中心は都営三田線板橋区役所前駅付近
2埼玉県蕨市東北本線
3浦和〃 さいたま市浦和区浦和
4大宮〃 〃 大宮区大宮
5上尾〃 上尾市上尾高崎線
6桶川〃 桶川市桶川
7鴻巣〃 鴻巣市鴻巣
8熊谷〃 熊谷市熊谷
9深谷〃 深谷市深谷
10本庄〃 本庄市本庄
11新町群馬県高崎市新町
12倉賀野〃 〃倉賀野
13高崎〃 〃高崎
14板鼻〃 安中市なし
15安中〃 〃安中信越本線
16松井田〃 〃松井田
17坂本〃 〃なし横川駅より約3km
18軽井沢長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢長野(北陸)新幹線
19沓掛〃 〃 〃中軽井沢しなの鉄道中軽井沢駅は昭和31年まで「沓掛」駅
20追分〃 〃 〃信濃追分
21小田井〃 〃 御代田町なし御代田駅より約3km
22岩村田〃 佐久市岩村田小海線
23塩名田〃 〃なし
24八幡〃 〃なし
25望月〃 〃なし
26芦田〃 北佐久郡立科町なし
27長久保〃 小県郡長和町なし
28和田〃 〃 〃なし
29下諏訪〃 諏訪郡下諏訪町下諏訪中央本線
30塩尻〃 塩尻市塩尻
31洗馬〃 〃洗馬
32本山〃 〃なし日出塩駅より約1.5km
33贄川〃 〃贄川中央本線
34奈良井〃 〃奈良井
35藪原〃 木曽郡木祖村藪原
36宮ノ越〃 〃 木曽町宮ノ越
37福島〃 〃 〃木曽福島
38上松〃 〃 上松町上松
39須原〃 〃 大桑村須原
40野尻〃 〃 〃野尻
41三留野〃 〃 南木曽町南木曽南木曽駅は昭和43年まで「三留野」駅
42妻籠〃 〃 〃なし
43馬籠岐阜県中津川市なし
44落合〃 〃落合川中央本線
45中津川〃 〃中津川
46大井〃 恵那市恵那恵那駅は昭和38年まで「大井」駅
47大湫〃 瑞浪市なし
48細久手〃 〃なし
49御嵩〃 可児郡御嵩町御嵩名鉄広見線
50伏見〃 〃 〃明智明智駅は昭和57年まで「伏見口」駅。駅は隣の可児市にあり、宿場の中心までは約0.8km
51太田〃 美濃加茂市美濃太田高山本線
52鵜沼〃 各務原市鵜沼名鉄各務原線「鵜沼宿」駅
53加納〃 岐阜市加納名鉄本線JR岐阜駅のすぐ南側一帯。岐阜駅は「加納」地域にあったとされる( [79395] Issieさん)
54河渡〃 〃なし西岐阜駅より約2.5km。昭和39年まで長良川の対岸の西鏡島駅まで名鉄鏡島線(路面電車)が通っていた
55美江寺〃 瑞穂市美江寺樽見鉄道
56赤坂〃 大垣市美濃赤坂東海道本線(赤坂支線)
57垂井〃 不破郡垂井町垂井東海道本線
58関ケ原〃 〃 関ケ原町関ケ原
59今須〃 〃 〃なし
60柏原滋賀県米原市柏原東海道本線
61醒ヶ井〃 〃醒ヶ井
62番場〃 〃なし米原駅より約3km
63鳥居本〃 彦根市鳥居本近江鉄道本線
64高宮〃 〃高宮
65愛知川〃 愛知郡愛荘町愛知川
66武佐〃 近江八幡市武佐近江鉄道八日市線
67守山〃 守山市守山東海道本線
68草津〃 草津市草津東海道と重複
69大津〃 大津市大津
(京・三条大橋)京都府京都市東山区・中京区三条京阪本線

この表を見てわかるとおり、現在の鉄道の幹線ルートと大きく異なっていることがはっきりとわかります。埼玉県内を中心に高崎線が、木曽谷とその前後で中央本線が並行して走っている以外、長い区間を併走する鉄道路線がなく、鉄道のルートと大きく離れている区間が多くなっています。特に御代田(小田井)~下諏訪間では、途中岩村田で小海線と交差している以外、鉄道とは全く無縁な区間になっています。明治になって、当初は東京~関西間の鉄道幹線ルートをいったん中山道廻りで建設すると決めながら、すぐに東海道廻りに変更されたのも、地形の険しさによる工事の困難さがもちろん最大要因でしょうが、仮に当初の計画通り「中山道本線」が全通したとしても、前述の御代田~下諏訪間では沿線人口も少ない上、山道の上り下りが多く、当時の鉄道技術では長いトンネルの掘削もできず、甲州街道に沿う現在の中央線が開通すると東京方面へは距離も所要時間もはるかに短い中央線ルートに利用客を奪われて閑散ローカル線に転落し、この区間が果たして今日まで存続できたかどうかさえ怪しいようにも思えます。
旧中山道の宿場で、現在の鉄道路線に対応する駅があるのは、69宿中53宿。また、宿場と同名あるいは宿場名を含む駅、表記は異なるものの同一とみなすことができる駅は、49宿となっています。
この(旧)中山道、鉄道だけでなく、現在の国道でも一本の路線になっていません。東海道では「七里の渡し」が陸路に変わったほか、部分的に新道に付け替えられた区間も多いものの、基本的には現在の国道1号にルートが受け継がれているのに対し、中山道の方は、大雑把に見ると次のような路線に分断されています。

東京~高崎国道17号
高崎~信濃追分国道18号
信濃追分~八幡長野県道9号・154号
八幡~下諏訪国道142号
下諏訪~塩尻国道20号
塩尻~釜戸国道19号
釜戸~御嵩岐阜県道65号現在の中山道は旧道が通らない土岐市内で国道19号から21号へ分岐
御嵩~米原国道21号
米原~草津国道8号
草津~京都国道1号東海道と重複

ところで、旧中山道が通っている市で、宿場がなかった市は、戸田・北本・藤岡・岡谷・可児・東近江・野洲・栗東の8市です。現在の「新・中山道」が通っているものの、旧道が通っていない市には、土岐市のほか、行田市もわずかの差で通過していないと思われます。
また、該当する町は、軽井沢・御代田・立科・長和・下諏訪・木曽・上松・南木曽・御嵩・坂祝・神戸・垂井・関ケ原・豊郷・愛荘の15町(このうち宿場があったのは、坂祝・神戸・豊郷を除く12町。神戸町はぎりぎりで通過、一方岐南町はわずかにかすっていないと思われます)。該当する村は、平成の大合併で減少しましたが、木祖村と大桑村の木曽路の2村が今なお残っています。
中山道が通っている自治体で、域内に最も宿場が多いのは、塩尻市で5宿。これに次ぐのは、安中市・佐久市の4宿、高崎市・中津川市・米原市と軽井沢町の3宿が続いています。


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