[94691]敷守ほむらさん
住居表示制度がお好きなようですが、個人的には住居表示制度は好きではありません。
その理由は・・・・
第一に、住居表示制度は文字どおり住居に番号(ハウス番号)を付ける制度なので、
これが実施されても土地の地番(いわゆる番地)まで変るわけではありません。
土地の登記や固定資産税の課税は、住居表示の街区符号(○番)や住居番号(○号)で行われるわけではなく
相変わらず地番で行われるため、住居番号とともに地番も覚えていなければなりません。
(町名が変更される場合は、新しい町名+原則として元の番地。但し、町界の変更で同じ町内に番地が
重複する場合は番地も変更される)
いわゆる二重行政の典型みたいなものです。
(日本のお役所は、二重管理がお好きなようで、住民の管理さえ戸籍と住民基本台帳で二重に管理しています。)
第二に、江戸期から市街地化していた旧城下町や寺内町などでは、原則として通り沿いに町名が付けられて
いるため町界は建物の後ろ側の背割り方式となりますが
住居表示制度では町界を道路や鉄道・河川などの恒久的施設とすることとされており
原則として背割り方式を認めていません。
そのことが多くの地域で伝統ある町名の変更を余儀なくされ、各地に「中央○丁目」「本町○丁目」などという
味気ない町名ができてしまった元凶であるのではと思っています。
(但し、大阪市内の一部では背割り方式のまま住居表示されています。例:中央区道修町一丁目~四丁目。)
これらの弊害を解消するためには、むしろ住居表示の実施よりも
急激に市街地化したため地番が混乱していたり入り組んで分かりづらい地域の地番や町界(字界)の整理を
積極的に進めるべきだと思います。
ただ、これらの実施には住居表示制度の実施よりも煩雑で手間がかかるため、
これらの解消の手段として住居表示制度に頼りたがっているのはむしろ市町村側だと思われます。
(50年前の東京オリンピックの際、外国人に分かりやすい住所をということで、国が強力に実施をせまったため
東京区部の伝統的な町名がことごとく失われてしまった。)
多くの市町村が住居表示制度の実施に頼るなかで、東京の府中市や調布市などでは、
住居表示ではなく地番の整理によって分かりやすい住所を実現しようとしているのは一つの見識だと思われます。