[91351]ぺとぺとさん
金融機関が名前の字体にうるさいのは
顧客の資産を預かる関係上、同一人物かどうかの確認を厳格に行う必要があること
はもちろんのことですが、一昔前の事情があるような気がします。
現在では(1)口座の開設の際や(2)窓口における多額の引き出しの際にも身分証の提示による本人確認が徹底されていますが、ちょっと前はうるさくはありませんでした。
(1)口座の開設に関して
孫が生まれたときに孫の将来のために祖父母が孫名義で勝手に口座を開く、ということが昔は自由にできました。当然、住民票や戸籍謄本などの「旧字体などの正式な漢字」を金融機関が確認できるはずもなく、祖父母の方も「正式な漢字」にとらわれることもなく、「一般的な漢字」の名義で開設したこともあるでしょう。
そして、年月が経過して大きくなった孫自身が金融機関に来店して「正式な漢字」の記載されている書類を提示しても、本当に口座の名義人と同一人物なのか? と判断に困ることもあったのではないでしょうか。
現在では申込書こそ手書きですが、住民票などの印刷された文字でチェックしているので、異字体による本人確認の混乱は防げていると思います。もっとも、異字体部分だけ手書き風の印刷の運転免許証を見たことがあるので、印刷活字でない「一般的な漢字以外」の名義の場合は特に要注意なのでしょう。
(2)多額の引き出しに関して
カードや通帳の盗難の際に安直な暗証番号だったので預金も引き出されるというのは変わりませんが(今は引き出し額に制限がある)、昔は口座開設に使った印鑑を持って窓口に行けばまとめて預金を引き出せました。だから空き巣対策に「印鑑と通帳は別に保管する」のが常識なわけですね。
で、いつの話が調べきれなかったのですが、「盗まれた印鑑と通帳で預金が引き出されたのだが、その際に書いて提出された書類の氏名に誤字があったにもかかわらず、窓口の担当係が支払いに応じてしまった。本人なら間違えないはずの氏名に誤字があったのを見逃して支払ったのは銀行の落ち度なので、引き出された分を補填しろ」という訴訟があった気がします。訴訟の結果がどうなったのかはわかりませんが、原告の訴えが一部分でも認められたのであれば金融機関は大変です。今後は同様のケースを出さないように、字体の差異に非常にうるさくなるのも当然のことでしょう。