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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[53081]2006年8月6日
スナフキん

[53081] 2006年 8月 6日(日)00:49:47スナフキん さん
教育用地図帳のこと、地図屋としての、その悩み
レスしたい書き込みはいくつかあるのですが、その前に。

まず始めに、教育用地図帳とよりどころについての問題は、非常な複雑な事柄を内包しています。多方面から様々な書き込みが見られますが、私自身もそのすべてに目を通し、かつそしゃくしているわけではないので、この書き込みは私からの一方通行気味になることをお許しください。

くだけた話、私自身は恒常的な作業担当としてではないものの、教育用地図帳の編集・制作作業に携わった経験があります。ですから、ある程度の事情は飲み込めているつもりです。しかしそれとは別に、自社が独自に出版している地図帳の記載事項について問い合わせがあった場合、私はかなりの確率でこんなニュアンスでもって答えています。

「学校教育で使用されている地図帳には、そのように記されています。弊社ではそれをひとつの基準として、地図帳の掲載内容を編集させていただいております。」

これが例えば日本の自然地名や標高数字になってくると「国土地理院」を引き合いに出します。字名クラスだと「国土行政区画総覧」の存在を示し、典拠であると説明することも。海外の山岳標高になってくると「理科年表」が重要なバイブルとなります。モノによって参考資料は異なりますが、教育用地図帳による部分は多いと言えるでしょう。あまりここで例示すると企業秘密および取引先との守秘義務に抵触するので、変に詳しくは書けませんがご勘弁を。

上記の返答内容に「教育用地図帳は正しく、絶対なものである」とはどこにも見えません。しかし、相手方には「教育用地図帳は正しいのだな」と抱かせるには十分な内容でもあります。そういう意味では、私の応答内容は決して好ましいものではないのかもしれません。

ですが、ちょっと言い訳をさせてください。それならどうやって相手に納得してもらえばいいでしょうか? 台湾は中国と同じ色が伏せてあるが別の国ではないのかとか、樺太のかなりの部分が白く抜けているが印刷ミスではないのかとか、問われた時に答える手段としてやはり教育用地図帳を出す以外に有効な手段がないことが多いのです。

確かに、私も前述のように編集経験があるので教育用地図帳こそが絶対の信頼を置けるものだとは思っていません。「大和…」の例を引き合いに出すまでもなく、日本国内でさえ地域によって地名呼称が変化することは決して珍しいことではありません。多分書いている私以上に皆さんがそれをご存じでしょう。しかし、日本国中ほとんどの人が1度は手にした事のある地図として、教育用地図帳の存在があるのは事実として動きません。問い合わせの相手は地図の記載内容に疑問を抱いているわけですから、それを受けているこちらとしては納得してもらえる一番いい方法(無難な方法、に置き換えられるかもしれません)を探さなければなりません。

論争を巻き起こすつもりはないのですが、結局自分では欠点・短所が分かっていても教育用地図帳にはその浸透度の点から、どうしてもしがみつかざるを得ない、そんな矛盾があります。私が答えている内容は世間に誤解を与えているのかもしれませんが、それはどうしようもなくやむを得ずのことと、納得していただきたく思います。


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