[110226]あきごんさん
京都ー新大阪間が南回りルートで松井山手駅付近(中略)に新駅設置となった理由も良く分かりません。
当時の報道では、京都府が多大なる建設費負担をするのにメリットがほとんどないのでその見返りとして、京都ー新大阪間を北回りルートから松井山手駅付近を通る南回りルートにするという話だったと記憶しています。
ところで整備新幹線の新設建設はいつまで続けるのでしょうか。
現在建設中の(A)北海道新幹線新函館北斗-札幌は建設するしかありませんし、(B)北陸新幹線の敦賀-東小浜駅付近-京都駅付近-松井山手駅付近-新大阪駅は足踏み状態が続いています。
この他に、現実に整備新幹線の建設の可能性があるのは次の6か所だと思います。
(C)福島-山形-秋田間の奥羽新幹線、(D)富山-新潟-秋田の羽越新幹線、(E)新大阪-鳥取-松江-新下関の山陰新幹線、(F)岡山-高知及び新大阪-徳島-高松-松山の四国新幹線、(G)小倉-大分-宮崎-鹿児島中央の東九州新幹線、(H)新鳥栖-江北の西九州新幹線
(C)奥羽新幹線は山形県のみが熱心です。山形県はミニ新幹線である山形新幹線の山形福島の県境を結ぶ板谷峠の新線トンネル(
米沢トンネル(仮称))の建設をフル規格の奥羽新幹線でも使えるように整備するかどうかを精査をしています。しかしながら、秋田県ではミニ新幹線である秋田新幹線の秋田岩手の県境を結ぶ仙岩峠の新線トンネル(
新仙岩トンネル(仮称))の建設の協定を既に先に結んでおり、秋田県にとっては奥羽新幹線は現実的な話ではないようです。
#奥羽新幹線完成後は東京-福島-山形-秋田を2時間30分で結ぶ予定とのことです。
#将来的に維持補修コストまで考えると、山形新幹線の米沢トンネル(仮称)と秋田新幹線の新仙岩トンネル(仮称)の建設だけとするのが妥当なのではないかと思います。
(D)羽越新幹線は新潟県のみが積極的です。新潟県において、糸魚川市・上越市のある上越地方と、長岡市・新潟市のある中越地方の往来には鉄道では群馬県の高崎を経由する必要があるのは問題とされているようです。しかしながら、北陸新幹線の並行在来線のえちごトキめき鉄道と北越急行という2つの赤字第3セクター鉄道を抱えた上に、財政再建団体転落寸前の新潟県では首が回らないと言っても過言ではない状況です。北越急行を標準軌にして、上越妙高(北陸新幹線)-うらがわら(北越急行)の標準軌を敷くというミニ新幹線構想にて糸魚川-上越妙高-北越急行-浦佐-長岡-新潟を結ぶこととするという計画もあるようですが、現状維持となりそうです。
(E)山陰新幹線は鳥取県と島根県は積極的ですが、基点となる大阪府・兵庫県・山口県では特に積極的な活動は見受けられません。様々な団体が山陰新幹線の活動をしていますが、一枚岩の活動となっておらず、この新幹線構想における費用対効果の算出が一切為されておりません。おそらく北陸新幹線の新大阪延長で資金が尽きてこの建設までは手が回らないと思います。
(F)四国新幹線は、四国4県で以前から積極的に誘致活動が為されており、
愛媛県HPによりますと(1)新大阪-徳島-高松-松山-大分の費用対効果は0.31、(2)岡山-高知の費用対効果は0.59、(3)岡山-高知及び徳島-高松-松山の費用対効果は1.03と試算されています。香川県・愛媛県・高知県は(3)を、徳島県は飯泉嘉門・前徳島県知事の時までは(1)を推していましたが、昨年当選された徳島県の後藤田正純知事は従前の(1)ではなくて四国全体でまずは(3)の実現させた上で(1)を実現させると表明されました。
参考:
朝日新聞、
まいなびニュース
(G)東九州新幹線ですが、大分県(特に大分市)が積極的に誘致活動をしています。東九州新幹線で盛り上がらないとすると、新たな国土軸となる
太平洋新国土軸構想のあるべき
交通軸のすがたとして四国新幹線の(1)のルートを推したり、東九州新幹線の新たなルート
「博多~新鳥栖~大分」([110225]メークインさん)
を推したりして、大分市以外でも議論が活発となることを狙っています。日田・湯布院ルートは日田市では賛成意見が多く挙がり、従来通りのルート上の中津市では小倉からの東九州新幹線とすべきという意見が挙がり、と議論が活性化しています。
その後、福岡県久留米市の商工会では西九州新幹線「博多~久留米~佐賀市南部の
有明海沿岸道路~江北~長崎」と東九州新幹線「博多~久留米~大分」という形で久留米駅分岐とする意見も出てきています。
#東九州新幹線の従来通りのルートでは、小倉駅に東から進入する(博多方面へは直通できるが新大阪方面へはスイッチバックが必要)、もしくは西から進入する(新大阪方面へは直通できるが博多方面へはスイッチバックが必要)のどちらを選択するのかという問題が常につきまといます。後、小倉-博多はJR西日本の区間なのでJR九州単独でルート決定することができません。それに対して新鳥栖経由のルートでは博多への時間は短くなり、JR九州単独でルート決定することが出来ますが、新大阪方面へはほぼ所要時間が短くならないという問題が出てきます。
また、大分県の日田・湯布院ルートに乗じて、宮崎県も
「新八代~人吉~えびの~宮崎」([110225]メークインさん)
という案を出しました。現状、宮崎市から博多に向かうのは、宮崎-新八代は高速バスで、新八代-博多は新幹線であり、熊本県が肥薩線の復旧をする費用を出すなら、新幹線の地元負担1/3を求められるでしょう、という考えのようです。一応宮崎県も、従前の東九州新幹線ルートと、鹿児島中央-宮崎先行開業ルートとの比較としていますが、延岡市から新八代直通ルートには反対意見が出ているようです。
最後に(H)西九州新幹線の新鳥栖-江北の建設はかなり困難だと思います。
四国の鉄道高速化検討準備会(PDF)42コマでは
H22.8 第3回整備新幹線問題検討会議において「整備新幹線の未着工区間等の取扱いについて」が決定され、西九州ルートにおいては、①肥前山口・武雄温泉の単線区間の取扱い、②軌間可変電車(フリーゲージトレイン)の取扱い(実用化)が解決したうえで着工するものとされる
とあり、フリーゲージトレインの実用化を前提として西九州新幹線の肥前山口(現:江北)-長崎を建設し始めましたが、国土交通省がフリーゲージトレインが出来ないことが分かっても確たる合意もなしに肥前山口(現:江北)-長崎をフル規格で建設しました。新鳥栖-江北については佐賀県は建設する意思を一切示していないままで、この区間が建設できない法的責任はすべて国土交通省にあります。
個人的に、現実的に有り得るのは、(F)四国新幹線だと思います。JR四国は規模が小さく、路線も低規格であり、四国の旅客流動の分担率が1.8%(H21年
JR四国HP)でもあり、再国有化がない限り、現在のままでは立ち行かないと思います。
日本建設業連合会31コマでは単線新幹線の提言が為されていて、これだと費用対効果(B/C)1.56とあります。
現状、JR四国に限らず、伊予鉄道以外の四国の交通事業者は、国や自治体からのバックアップなしでは存続がかなり厳しいとも言われています。少なくとも憲法22条(居住・移転および職業選択の自由)で国民が具体的に保障されている権利「交通権」(
国土交通省HP(PDF))を保証する意味でも、建設の可能性が高いのではないでしょうか。
#ただ問題があるとすれば、在来線の瀬戸大橋線で現在でも島のある附近で時速が80km/hに制限されているところがありますので、防音工事を施工して、新幹線では設計通りの時速160km/hで走行できるようにしなければならないのでしょう。