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スナフキんさんの記事が1件見つかりました

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[94013]2017年10月16日
スナフキん

[94013] 2017年 10月 16日(月)21:29:15スナフキん さん
地図と書店の話
相当話題に乗り遅れましたが、書店云々の話ついでに。

先週金曜日、高田馬場にある芳林堂書店にてちょっとした地図のイベントがありました。いわゆる「トークショー」の類いのもので、詳しくはまぁ過ぎ去った事象ですから省きます。何よりも当日、私は取引先からの返事待ちで職場に張り付き残業状態だったため、このイベントには出向けませんでしたし。

でもあえて書こうと思ったのは、書店衰退の話題に直結するから。最初から身も蓋もない話をすると、この開催書店である芳林堂自体、過去経営に行き詰まって旗艦店だった池袋を閉じ、立教大のお膝元から撤退するという憂き目を見ています。それが証拠に、現在の公式Webを突けば一目瞭然、会社概要のページには異なる社名が表示されるようになっているはずです…砕いて言えば、書店同士の買収劇が生じたのですね。かように書店同士、出版社同士の倒産ないしは買収・合併はここのところ後を絶たず、明るいニュースに乏しいのが実情です。それでも何とか書店名「芳林堂」だけは生きながらえた、そして今回そこでイベントをやることになった、という種明かしです。聞けば、このイベントの前後で書店ではそれなりの売り上げを出したようで、やって無駄にならず同業者としてまずはホッとします。ちなみに、関連フェアはまだ少しの間続くとのことなので、気になる方は(高田馬場自体が中途半端な立地ですが)出かけてみてはいかがでしょうか。

すでにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、実は今年、毎年恒例のはずの国際ブックフェアの開催が取りやめになりました。これに関して様々な憶測が飛んでおり、来年の開催も危ういのではないか、もう2度と開催されないのではないかという極端な論調まで見え隠れしますが、総じて言えるのは「出版不況」が理由であることに違いはありません。出版業はネットスラングで「終わコン」と称され、儲からなくなってしまったのです。書店数の減少とブックフェアの中止は、一見因果ないように思えても、マクロな視点で見れば同じベクトル上にある問題と言えます。

書籍・出版物に魅力あるものが少なくなったのも、市場規模の縮小要因としてあるのは事実でしょう…いわゆる業界の努力不足です。しかし何よりもIT技術全盛の昨今、アナログなこれら以上の娯楽が世の中にはわんさと溢れているわけで、それらと同じ土俵で争ったら多勢に無勢、勝ち目はないです。「文庫本を図書館で読まないでほしい」「刊行から一定期間、図書館に蔵書しないでほしい」などと、第三者から見れば「えっ?」みたいな苦言を呈したくなるほど、経営が苦しいんですよね、どこも。

幸い、「電源」を失ったらなすすべがなくなるIT関連の娯楽に比べ、アナログな書籍は場所を選びません。多少かさばるのを厭わなければ、目に留めてくださる方がまだいらっしゃいます。いま、書店も出版社も、そういうちょっとしたきっかけをくださるお客さまにだけは絶対にそっぽを向かれまいと、あの手この手で苦労されています…冒頭に書いたイベント・トークショーもその一環。もっと、中身で、魅せられる勝負を、他の娯楽と対等にできれば素晴らしいのですが、そこに及ぶにはIT技術の進歩が早すぎてなかなかついていけず…もどかしいです。見て、手に取って、買ってくださるお客さまがいる限り、自分の責務として仕事はおろそかにできないな、と痛感する日々です。


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