新設あるいは編入合併によって市に成って以降、「人口異動を伴わない境界変更」以外の廃置分合を行っていない市については
[100903]で見ましたが、今回は「疑似単独市制」市の中で、市制後に人口異動を伴う廃置分合を行っていないところを見ていきます。
「疑似単独市制」市、もちろん私の造語ですが、市制施行日より前の5年間に合併をしているところを指します。つまり、表面的には単独市制となっているが、実質的には新設合併である市のことです。
表中の「合併ばなし」については、
成立しなかった合併情報に基づいています。例えば角田市は丸森町との合併による「あぶくま市」、尾花沢市は大石田町との合併による「はながさ市」構想がありました。
最終列のB/Aは、「2015年(平成27年)国勢調査人口」÷「市に成って初めて迎えた国勢調査人口」の値です。
市名 | 市制施行日 | 事前合併日 | 市制前町名 | 新設町構成 | 合併ばなし | B/A |
池田 | 1939.04.29 | 1935.08.10 | 池田 | 池田町と3村 | 豊能町と | 2.90 |
境港 | 1956.04.01 | 1954.08.10 | 境港 | 境・外江2町と4村 | なし | 1.04 |
羽咋 | 1958.07.01 | 1956.09.30 | 羽咋 | 羽咋・邑知2町と2村 | なし | 0.74 |
三田 | 1958.07.01 | 1956.09.30 | 三田 | (注)表外に詳細 | なし | 3.46 |
角田 | 1958.10.01 | 1954.10.01 | 角田 | 角田町と6村 | (あぶくま市) | 0.87 |
勝浦 | 1958.10.01 | 1955.02.11 | 勝浦 | 勝浦・興津2町と2村 | (外房市) | 0.62 |
柏原 | 1958.10.01 | 1956.09.30 | 柏原 | 柏原町・国分町 | なし | 2.00 |
垂水 | 1958.10.01 | 1955.01.10 | 垂水 | 垂水町と2村 | (大隅市) | 0.47 |
矢板 | 1958.11.01 | 1955.01.01 | 矢板 | 矢板町と2村 | 塩谷町と | 1.15 |
土佐 | 1959.01.01 | 1958.04.01 | 高岡 | 高岡・宇佐2町と1村 | なし | 0.85 |
羽曳野 | 1959.01.15 | 1956.09.30 | 南大阪 | 古市・高鷲2町と4村 | なし | 3.05 |
尾花沢 | 1959.04.10 | 1954.10.01 | 尾花沢 | 尾花沢町と4村 | (はながさ市) | 0.54 |
えびの | 1970.12.01 | 1966.11.03 | えびの | 飯野・加久藤・真幸3町 | 小林市ほかと | 0.72 |
君津 | 1971.09.01 | 1970.09.28 | 君津 | 君津・小糸・上総3町と2村 | 木更津市ほかと | 1.13 |
富津 | 1971.09.01 | 1971.04.25 | 富津 | 富津・大佐和・天羽3町 | 木更津市ほかと | 0.80 |
このグループの中で市としての歴史が最長の池田市を「疑似単独市制」と呼ぶのは適確ではないかもしれません。余談ですが、上表の15市の中で、現在「人口減少傾向が明らかではない」のは池田だけです。
「事前合併日」が1956年9月30日というのが、羽咋、三田、柏原、南大阪(羽曳野)の四つですが、これは偶然ではなく、この日に「町村合併促進法」(1953年10月1日施行)が失効するからなのです。このグループではありませんが、後に市となるところでは、富良野町、武蔵町(後の入間市)、後免町(後の南国市)などがこの日に新設合併を行っています。また、1956年9月30日という日は、特に記憶しなければならない日でありまして、アノ、伏黒村が伊達町を編入した日、赤河内が日和佐町を編入し日和佐町に改称という世にもキッカイな事が起こった日、松任町と野々市町で郷村を引き裂いた?日、そして、カノ大河原町と金ヶ瀬村が一緒になってスーパータウンの礎を築いた日なのです。
(注)三田の詳細
1956年3月31日:藍村と本庄村が新設合併し、相野町が成立
1956年9月30日:三田町、三輪町、広野村、小野村、 高平村が新設合併し、三田町が成立
1957年7月18日:三田町が相野町を編入
1958年7月01日:三田町が市制施行、三田市に
※1955年国勢調査人口
(三田町)
三輪町:8,981、三田町:8,005、広野村:5,086、小野村:2,191、高平村:3,390
(相野町)
藍村:3,173、本庄村:2,841
白桃ルールでは三田市の「前身町」は「三田町」ではなく「三輪町」となります。