かなり間が空きましたが、
[88903][88912][88946]の続きです…これまた途中ですが。
ビールの販売量の調査結果と、購入量の調査結果の分母が違っていたものですから、何とか近づけることができないかと試行してみました。で、こんな風に算出法を変えてみたのですが…
1.家計調査のビール購入額とビール購入量から1リットルあたりのビール購入単価を計算します。
2.家計統計の酒類全体の購入額に対するビール購入額の割合を計算します。
3.外食での飲酒におけるビールの割合について、2の結果に係数をかけることはせず、購入額の割合と同じと仮定しました。
4.外食での飲酒代に3の値を掛けたものを「外食におけるビールの飲酒代」と仮定します。
5.
[88903]と同様に飲食店におけるビールの原価率を30%と仮定し、5の値に0.3を掛けた計算値を1の計算値で割返す事により外食におけるビールの飲酒量推計値を算出しました。
7.ビール購入量と6の値を合計したものを「県内の1世帯あたりあたりビール総購入量推計値」とし、ここに2014年の世帯数をかけて「都道府県あたりのビール総購入量推計値」とし、販売量の総量と比較しました。
比較方法は販売量に対する購入量推計値割合を算出してます。
8.1~7の手順で全国の推計値も計算しました。
3.で係数をかけるのを止めたのは、他の酒類との比較もしたかったからです。
ビールと同様に販売量と購入量の直接比較ができる内容なのは清酒、焼酎、ウイスキー。
焼酎については販売量が甲類と乙類に別れているのを足しました。
(清酒も合成清酒と足した方が良いような気がしますが、こちらは清酒だけで比較)
で、その結果なのですが…全国の値で検討した結果いずれの酒類も購入量の推計値が販売量を下回ってしまうのです。
概要は次のとおり。
酒類 | 販売量(kg)…A | 購入量推計値(kl)…B | A/B*100 | 1位% | 1位県 | 最下位% | 最下位県 |
ビール | 2684049 | 1374951 | 51.2 | 78.1 | 埼玉 | 36.1 | 東京 |
清酒 | 582145 | 467249 | 80.3 | 105.1 | 愛知 | 45.7 | 岐阜 |
焼酎 | 925906 | 610486 | 65.9 | 95.9 | 山口 | 39.8 | 鹿児島 |
ウイスキー | 108370 | 64024 | 59.1 | 123.2 | 佐賀 | 22.7 | 宮崎 |
ビールは約半分、清酒が約8割程度。
ただ、各都道府県の計算結果を見ると、清酒・焼酎・ウイスキーでは販売量と購入量推計値がほぼ釣り合う県や販売量推計値の方が多くなる県もあるのですが、ビールに関しては購入量の比率が高い県でも販売過多。
この結果を見てまず思ったのが、「家計調査に協力してくれる家ってそもそも酒、特にビールの飲む量が少ない家なのではないのか?」と言う事。
「回答書を書くのはかなり面倒くさいと思うので、あらゆる層が全て無条件に協力してくれることが無く、協力してくれる層はある程度偏りが有るのでは無いか?」という疑問がわいてきた訳です。
しかし、その他に「もうひとつの可能性」があります。
「家計調査の調査項目では見えにくい消費」があるわけです。
1つは「間接的に購入している酒類」。
国税局の酒類の小売販売は「店頭での小売」「飲食業者への販売」の他に「菓子製造業者への販売」も含まれます。
洋菓子には洋酒がけっこう使われますし、日本酒を使ったカステラなんてのも見ました。
また、飲食業者でも、料理の材料としてお酒を使う。
この分は家庭で消費していても、酒類の消費としては出て来ない訳です。
でも…ビールってそういう消費形態が思いつかない。
ビールで考えられるとすると、たとえば「会合やイベントで消費されるもの」あたりでしょうか。
こういったものは、たぶん外食費には入っていないと思うのですが…
あと、いぜん鹿児島に行った時に、飲み会で「最初の乾杯だけビールで、後はひたすら焼酎」だったような覚えがあるので、鹿児島が焼酎の購入量推計値の販売量に対する少なさもその辺かなぁ、と。
言ってみれば「間接的な支出」?
おそらく、どっちがどうとでは無く、「サンプルの偏り」と「直接消費、または支出されていないもの」がない交ぜになって差として出ているのではないか、と考えられました。
と言う事で、結局のところ販売量と購入量の統計を「量で比較してみる」のは直接紐付けられない言う事になるようです。残念。
でも、どんな形でも良いので比較ができないか、とあがいて見たところ…長くなるので更に続きます。