(書いている最中で中身がこんがらがった上、弾みで一度全文消えてしまったのでムンクの叫び状態になりつつ書き直しています)
反対語コレクションのグリグリさんとNさんのやりとりを見ていて頭がこんがらがってきました。
語弊があるかもしれませんが、哲学的な部分に突入しているというか、禅問答のようになってきているというか、何というか読めば読むほど意図するところが読み取りにくくなり、「スパッと線引きできない」という感じが強くなってきています。
なかなか結論が出せるものではないと思いますが、気になった点を挙げてみます。
1.「言葉の意味」に幅がある場合にきちんとその幅を掴んでいるか?比較できるところで比較しているか?
「登山」という言葉には「麓から山頂方向に向かって登る」意味と「山に登って、降りる行為全体」を示す意味があると考えます。
前者なら反対語は「山の上の方から麓方向に向かって下りる」意味であるところの「下山」になると思われますが、後者の場合は…そもそも反対語が設定できるのかと言う気もするのですが、もし無理に設定するとした場合は全然別の行為を示す言葉になってくるんじゃないでしょうか。
とにかく「比較するのに妥当なところで比較しているか」と言うのは常に考えなきゃならないと思います。
場合によっては逆方向から考えてみる事も必要でしょう。
グリグリさんもNさんも「登山」という用語からスタートした考察になってると思いました。「下山」からスタートしてみるとどうなるでしょうか?
2.一般的には並立関係だが、限定的な用例でのみ「二分割かつ対向関係」になるものはどうするか?
私が海山を挙げたのは単に「誰か挙げそうな気がするから挙げてみよう」程度の話だったのですが、これが用例次第では「二分割かつ対向関係」になっているのではないか?と思われました。
具体的には「山海の珍味」という言葉。
これの意味を調べると
このように、
山や海でとれる、珍しい味の食べ物。いろいろな種類のごちそう。
とあります。
実際の運用上でも「あらゆるところで取れたいろいろなごちそう」と言うことで「山海の珍味」と言われていることが多いと思われます。
そうすると「山海」の指し示す意味は「ありとあらゆる場所」と言うことになり、「山」と「海」で世界を二つに分けていることになることから、この用例においては対向関係であると言えるのではないか、と考えました。
また、グリグリさんが挙げた「田畑」も限定的な条件下では2分割かつ対向関係になります。
専門用語になりますが、
田畑輪換と言う言葉があります。
これは、1つの圃場を年により田んぼの状態にしたり畑の状態にしたりしながら連続して作付を続けていくことを示します。
この用語の範疇では圃場の状態は「田」と「畑」のいずれかしかない形ですので、「田」と「畑」は状況を2分割しており、なおかつ対向関係と言えるでしょう。
これらのような「限定的な用例でのみ」「二分割かつ対向関係」になるものについてはコレクションの対象としない、と言うことでも良いとは思うのですが、そうすると「今採用されている組み合わせが、分割ではなく平行する関係になり得ることはないか」「そういったものがあった場合に、どの程度まで○でどこから×にするか」を考えておかないといけないと思います。
特に○×については誰もが納得する線が引けうるのか?と言うのが気になるところです。
3.一般的には反対語ではないが、特定の熟語に含まれた場合のみ反対語となりうるものはどうするか?
まぁ、この手ははなっから除外してしまえば良いのですが…思いついた事例は「与」と「野」。
それぞれ1文字ずつなら反対語としての関係は皆無なのですが、これが「与党」と「野党」となると途端に反対語になり、ご丁寧に「与野党」とくっついた言葉もある。
そして、基本的には2分割かつ対向関係な訳でして…もし「与野」はどうか、と問われたらどうするか?
採用されている事例には「偶然それらの文字が含まれた」と思われるものもある(たとえば、本来当て字である暑寒別とか)のでどうなのか…なんて事を考えたです。
まぁ、「与」と「野」が反対語になり得るシチュエーションはこれだけのようなので、「複数シチュエーションないと×」としてしまえば良いと思うのですが…こういった方向でのグレーゾーンもまだありそうな気がします。
……………と、こういったことを考えているうちに頭がこんがらがってしまった、と言うことです。
本当なら編集長として「こう言う形でどうか」と提案したいところなのですが…この案件はヒジョーにキビシい。
今後新たな事例の提案があるごとに考えるしか無さそうなのですが、一般的に「反対語」とされているものを見ていくとそれらの関係が思ったよりも多様で複雑なので、ややこしい事例がまだ眠っているかもしれません。
#自分で基準を決めるのではなく、例えば特定の「反対語辞典」等々を参考にして、「それで反対語となっているものの組み合わせなら採用」とする手も有りかもしれません。いずれにしても思った以上に悩ましいです。
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それから、本稿を書くにあたりネット上にある「反対語」関連のサイトを見ていたら、文中で使った「ある熟語」のそれぞれの文字が反対語の組み合わせである、となっていました。
それらを含む地名がありましたので、候補として提示します。
岩手県一関市萩荘問答谷地
宮城県大崎市三本木桑折問答川原
宮城県黒川郡大和町落合松坂内問答山
宮城県黒川郡大和町落合松坂外問答山
福島県福島市岡島問答山
福島県本宮市高木問答
福島県河沼郡会津坂下町五ノ併問答川原甲
このようにあり、ああなるほど、と思ったものなのですが…グリグリさんいかがでしょうか。