先に
[88903]で行っている検討内容の補足をします。
[88903]では文中で「無理矢理な概算である」「仮定に乱暴な部分がある」と言う事は述べているものの、「どう無理矢理か」「どう乱暴か」の説明を端折っています。
どう言う点を「無理矢理で乱暴」と認識していたかと言いますと…
1.「都道府県庁所在地の市に住む人の中から、さらに無作為抽出した」家計調査の母集団を「都道府県に住む人全員とするのが妥当かどうかの検証をしていません。
家計調査の調査方法を確認したところ、その市に住む人を母集団とした調査としては妥当な調査数でした。しかし、県全体を母集団と捉えた場合、「地域の偏りによる誤差」が生じている可能性はかなり大きく、本来なら統計的な検証が必要です。
ただ、他のより妥当そうな調査結果が思いつかない訳でして、乱暴ですが「n数も一定数確保されているし、一番近似していそうなデータであろう」と言う事で、誤差の存在の可能性は目をつむって家計調査をそのまま使用しています。
2.飲酒代の中のビールの割合の設定が無理矢理である。
たぶん、ここが一番乱暴な考察だと思います。
ここを何とか設定しないと購買量の推計はできない訳ですが、1県1県仮定しようとすると絶対に恣意的になります。
一律一定割合にするか、近接しそうなデータから借りるかしてくれば、「県ごとの数値の差からのEMMの恣意性の排除」はできそう…ですが、一定割合にしようとするとそれを決める根拠が見いだせません。
ならばすぐ近くにある近接データを…と言うことで購入金額に対するビールの購入額の割合を流用しました。
ただ、そのままだと販売量と購入量推計に大きな開きが出たため、仮定のビール購入額割合に一律に係数を掛けて飲酒代の中のビールの割合と仮定しました。
実際には「飲酒代の中のビールの割合が高い県」があってそれを加味すると販売量と購入量推計の差が縮まるんでしょうが、外食での飲酒代中の酒の種類ごとの割合の統計ってあるんでしょうか。
(ちなみに、ここの部分の検討を更に進めると興味深い事が分かったのですが、それは別稿で)
3.飲食店のビールの原価率の設定がよろしくない。
これもネット検索で出てきた経営指南的なHP等々で書かれている数値を見て決めてますんで、もうちょっと客観的な数字にしたいところです。
法人税関係の資料とか探した方が良いような気がしますが…
(親が商売をやっていた時のビールの原価率にしようかと思ったのですが止めました)
4.飲食店のビールの卸価格の設定が乱暴。
卸価格と小売価格が同じで良いのか、と言うところもあるのですが、本当なら家庭と飲食店の購入形態の違いも出て来るはずなのです。
具体的には「家庭で購入するのは缶ビールの割合が多いはず」「飲食店が仕入れるのは生ビールの樽と瓶ビールが多いはず」と言う事です。
容器形態で1リットルあたりの単価も変わってくるので、できればそこまで加味したいところですが、これも多分統計が無いので、「家庭の購入量と購入額から算出した1リットルあたりの単価」で仮定してしまっている訳です。
実際の卸価格を調べて係数を設定しても良いのかもしれませんが、そうすると「仮定」が更に1つ増える訳で…
…と、その時点で「無理矢理だなぁ」と思っていたものがこれだけありました。
できれば、無理矢理度合いを少しでも減らしたいところではあるので、もし「こう言う統計を使えば良いのではないか」「こう言う計算をすれば妥当性が上がるのでは無いか」というご提案がいただければ良いなぁ、と言う思いもあり算出の過程を示しました。
(算出過程を示した理由はもう1つ、「こんな風に考えていかないと、直接比較できないデータでしたよ」と言う事を表したかったのもあります)
疑義もありましょうが、改善のためのご意見もいただけるとありがたいです。
と、言う事、で。
[88909] 白桃さん
上記の通り、ご質問の1.2.とも無理矢理だと言うのは分かった上で敢えて行いました。
特に、家計調査は世間一般で「県を代表する数字」と捉えられやすく、それだけに「県全体との誤差の可能性」は頭に置いておかなければいけないのですが、今回は敢えてその点は目をつぶって販売量の統計と購入量の統計との比較ができないか検討してみた、と言う事でご了承下さい。
(思考実験的なものですしまだ改善が必要なので、全都道府県の計算結果を示すのを止めました。)
もし、より妥当な統計がありましたらご教授頂けると非常にありがたいです。
また、県ごとの飲酒代の内訳についてまで統計はとられていないだろうと思い、近接する数字を仮定の数字として利用しました。
完全無根拠の数字とするよりは良いかなと言う事で仮定した訳ですが、いくつか行っている仮定の中でもここを特にご指摘頂いたと言う事は、白桃さんは県ごとの飲酒代中のビールの割合を推定するための劇的な改善策をお持ちなのだろうと理解いたしました。
ぜひご教授頂きたく、伏してお願いするものであります。
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以下追記…
本稿を書いている間に
[88903]の「穴」を1つ見つけてしまいました。
販売量は
[88890]グリグリさんが書かれている平成25年のデータを使いましたが、一方の家計調査は
[88894]みかちゅうさんの示された平成24~26年のデータ。
収支として考えると、同じ年度のデータを比較しないといけません。
これは大きなミスでした。
時間がある時に計算し直してみます。