[109317] オーナーグリグリさん
有人島一覧はこの辺りでひと段落ということにしましょうか。また、新しい情報が見つかれば更新します。では、今後ともよろしくお願いいたします。
すみません。早速ですが、追加情報と訂正情報があります。
まず、有人島の数の検証ですが、国土交通省の資料
『日本の島嶼の構成』によると、
我が国は14,125の島嶼により構成され、本州、北海道、四国、九州、沖縄本島を除く14,120島が離島。このうち、離島振興法による離島振興対策実施地域に含まれる有人離島は256島。
とあり、図による解説が載っています。すなわち
階層 | 島数 |
全島嶼 | 14,125 |
A.本州、北海道、四国、九州、及び沖縄本島 | 5 |
B.離島 | 14,120 |
B.1 有人島※ | 416 |
B.1.1 法対象 | 305 |
B.1.1.1 離島振興法(昭和28年制定) | 256 |
B.1.1.2 他の法律 | 49 |
B.1.1.2.1 沖縄振興特措法(平成14年制定) | 37 |
B.1.1.2.2 奄美群島振興開発特措法(昭和29年制定) | 8 |
B.1.1.2.3 小笠原諸島振興開発特措法(昭和44年制定) | 4 |
B.1.2 法対象外 | 111 |
B.2 無人島 | 13,705 |
※令和2年国勢調査結果に基づく有人離島の数を都道県に聞き取り、内水面離島である沖島(滋賀県)を含む。
すなわち、本州、北海道、四国、九州、及び沖縄本島を含め、令和2年国勢調査時には421の有人島が存在することになります。こちらとほぼ同じ内容が
公益財団法人日本離島センターでも紹介されています。
現在本サイトの
日本の有人島一覧の方では、2020年国勢調査時に1人以上の常住人口が存在する有人島は、熊本県上天草市の大矢野島と分離できなかった野牛島を含めて419島が登録されています。一方『2021離島統計年報』によると、
[109309]で紹介したように、愛媛県今治市の比岐島、宮崎県日南市の大島、沖縄県島尻郡渡嘉敷村の前島の3島は、「令和2年国調では無人島であったが,令和2年4月1日現在の住民基本台帳では住民登録があったため,有人島とした」とあるので、これら3つの島を有人島としてカウントすると、合計で422島が登録されていることになります。
よって国土地理院の数(416島+5島=421島)と比べると、1島だけ余計にリストアップしてしまっていることになります。これが何か・・・と問われると、おそらくritokeiの
有人離島一覧に唯一掲載されていなかった島、宮崎県宮崎市の青島(
[109233]参照)のことだと思われます。
ところでwikipediaの
Template:日本の指定離島で、「指定外の有人島」の「架橋により本土・沖縄本島と陸続となった有人島」の内、神奈川県横須賀市の天神島、静岡県浜松市西区・湖西市の弁天島、徳島県阿南市の小勝島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島などについてこれまで調べていなかったことに気付きました。そこで調べたところ、少なくとも宮崎県宮崎市の青島を有人島として登録する限りは、神奈川県横須賀市の天神島、佐賀県藤津郡太良町の竹崎島の2島についても、追加で有人島として登録するべきではないかと考えるに至りました。さらにその面積を検証する過程で、徳島県海部郡海陽町の竹ケ島の人口に間違いがあった(四国本土側の人口を含んでいた)ことも判明しました。
以下要追加・要修正と現時点で考えている情報です。
島名 | 都道府県 | 市区町村 (小地域区分) | 人口 (2020年) | 人口 (2015年) | 人口 (2010年) | 面積 (km2) | 備考 |
**天神島 | 神奈川県 | 横須賀市 (佐島三丁目の一部(基本単位区0990-03070)) | 8 | 10 | 8 | 0.05 | 面積出典:令和2年国勢調査基本単位区境界データ |
**竹ケ島 | 徳島県 | 海部郡海陽町 (大字宍喰浦字竹ケ島の一部(基本単位区0220-00260の一部)) | 135 | 152 | 173 | 0.40 | 2020年・2015年・2010年の人口は海部郡海陽町宍喰地区の人口(2020年2,430人・2015年2,737人・2010年3,109人)と住基人口比により推定、住基人口(2020年9月30日140人、宍戸地区推定2,513人)、面積出典:徳島県統計書(H17) |
**竹崎島 | 佐賀県 | 藤津郡太良町 (竹崎) | 508 | 551 | 680 | 0.56 | 面積出典:SHIMADAS(2019) |
上の修正・追加に伴い、本州、四国、九州の人口も変わります。
島名 | 都道府県 | 人口 (2020年) | 人口 (2015年) | 人口 (2010年) | 面積 (km2) | 備考 |
***本州 | 1都2府31県 | 102,577,812 | 102,978,562 | 103,498,671 | 227,939.72 | 滋賀県近江八幡市の沖島を含む |
***四国 | 4県 | 3,627,362 | 3,769,085 | 3,892,897 | 18,297.37 | 竹ヶ島(徳島県海部郡海陽町)・中ノ島・戸島(高知県須崎市)の人口推定処理の影響あり |
***九州 | 7県 | 12,346,483 | 12,546,122 | 12,692,792 | 36,782.38 | 南串島・竹ノ島(長崎県西海市)・鹿島(長崎県諫早市)・前島(長崎県西彼杵郡時津町)の人口推定処理の影響あり |
以下それぞれの島の追記事項です。
【竹崎島】佐賀県藤津郡太良町にあり、SHIMADAS(2019)によると、「対岸とほぼ接しているため、陸繋島と見なされることもある」そうですが、少なくとも砂洲でつながっているようには見えません。宮崎県の青島を独立した島とみなすのであれば、ここも独立した島とみなすべきでしょう。
【天神島】天神島は昭和40年に神奈川県の名勝・天然記念物指定を受けた島で、長さ5~6メートルの天神橋で本土と結ばれています。ここも自然島です。SHIMADAS(2019)によると周囲1kmですが、面積の情報はありません。
島の散歩というサイトによると面積は0.01 km2ですが・・・周囲1キロの円であれば面積は0.08 km2 (≒π*(1/2π)^2)、正方形であれば面積は0.06 km2(≒1/16)になるはずであり、0.01 km2は狭すぎます。そこで今回は令和2年国勢調査基本単位区境界データのAREA(面積)の情報を引用しました。
実は横須賀市基本単位区0990-03070は、天神島のみならず笠島などを含みますが、この内笠島に関してはSHIMADASによると「上陸不可」とあるので、事実上天神島にのみ人口が住んでいます。令和2年国勢調査基本単位区境界データでは、横須賀市基本単位区0990-03070に関しては天神島、笠島、笠島北西側の小さい岩礁の3つの閉じた境界データが含まれており、AREA(面積)の内容は、それぞれ50696.505 m2、24945,415 m2、1322.228 m2となっています。ここから天神島の面積を0.05 km2としました。
なお、国勢調査の基本単位区境界データの面積の情報があるのなら、他の面積不詳の島も同様の手法で情報が得られるのでは?と思われるかも知れませんが、天神島の場合は境域が島の輪郭に近く設定されていただけであり、笠島の場合は南に2割ほど海域を余計に含んでいるようにみえるなど、しばしば基本区境界データは海域などを境域に含んでいるため、簡単には使用できず、極力国勢調査基本単位区境界データを面積のソースとしての使用は避けたい事情があります。
そこで他の関連する島々の面積を令和2年国勢調査基本単位区境界データで算出してみると以下の通りでした。
島名 | 都道府県 | 市区町村 (小地域区分) | 面積1 (km2) | 面積1出典 | 面積2 (km2) | 面積2出典 | 備考 |
**粭島 | 山口県 | 周南市 ((大字粭島(基本単位区1020-00010~00040)) | 0.50 | 山口県統計年鑑(H19) | 0.440070788 | 令和2年国勢調査 基本単位区境界データ | これに関しては令和2年国勢調査基本単位区境界データ(0.44 km2)を採用しても問題ないかも知れない。 |
**竹ケ島 | 徳島県 | 海部郡海陽町 ((大字宍喰浦字竹ケ島の一部(基本単位区0220-00260の一部)) | 0.40 | 徳島県統計書(H17) | 1.573021489 | 令和2年国勢調査 基本単位区境界データ | 令和2年国勢調査基本単位区境界データの面積は本土側(金目地区、古目地区など)の面積を含んでおり、実際の中ノ島の面積は、全体の1/3程度(0.5 km2前後)か? |
*中ノ島 | 高知県 | 須崎市 ((大谷の一部(基本単位区0350-00080の一部)) | 0.18 | 高知県統計書(S61) | 0.452003404 | 令和2年国勢調査 基本単位区境界データ | 令和2年国勢調査 基本単位区境界データの面積は本土側(白浜地区、蜂ヶ尻地区など)の面積を含んでおり、実際の中ノ島の面積は、全体の1/3~1/4程度(0.11 km2前後)か? |
*戸島 | 高知県 | 須崎市 ((大谷の一部(基本単位区0350-00080の一部)) | 0.37 | 高知県統計書(S61) | 0.26333293 | 令和2年国勢調査 基本単位区境界データ | これに関しては令和2年国勢調査基本単位区境界データ(0.26 km2)を採用しても問題ないかも知れない。 |
粭島の面積は、閉鎖されたしまっぷ統合版(0.43 km2)とほぼ同じであり、もとも下一桁(0.5 km2)の数字しかなかった山口県統計年鑑よりも引用元として最適かも知れません。一方で、竹ケ島、中ノ島は、本土側の陸地を含んだ情報となっており、引用できません。中ノ島の面積の引用として高知県統計書を採用する限りは、戸島の面積の引用も高知県統計書を用いた方が良いでしょう。
【竹ケ島】さて、この面積の検証の過程でなんと徳島県海部郡海陽町の竹ヶ島の人口に問題があることが分かりました。海部郡海陽町の基本単位区0220-00260に字竹ケ島が与えられていたこと、SHIMADASなどでも字竹ケ島の人口が採用されていたこと(2015年214人)から、勝手に字竹ケ島=竹ケ島と判断しておりましたが、実際には四国本土側の金目地区、古目地区などにも集落がありました。
改めて国勢調査人口の変遷を見ると以下の通りです。ここに登場する字竹ケ島は、本土側を含んだ数字です。
地区 | 人口 (2020年) | 人口 (2015年) | 人口 (2010年) | 人口 (2005年) | 人口 (2000年) |
海部郡海陽町 | 8,358 | 9,283 | 10,446 | 11,507 | 12,104 |
旧宍喰町 | 2,430 | 2,737 | 3,109 | 3,376 | 3,553 |
字竹ケ島 | 201 | 214 | 239 | 271 | 283 |
一方、ritokeiを見ると、
2020年10月20日頃の記録では、平成22年国勢調査人口として240人を採用していましたが、その後、
2021年1月以降は、正しい人口(ただし住民基本台帳人口)に修正しており、
令和2年9月末の住民基本台帳人口は140人であるという情報が得られました。また
2017年5月10日付の徳島新聞の記事「みこしの「浜入れ」中止 海陽・竹ケ島神社夏祭り」によると、
町住民人権課によると、4月末時点の竹ケ島の人口は148人。うち40歳未満は37人で島民の25%しかいない。島の人口は07年4月末の人口313人と比べると半分以下になっており、過疎化が進んでいる。
以上の新聞記事と、ritokeiで発掘できた情報を並べると以下の通りになります。なお上の新聞記事に登場する「07年4月末の人口313人」というのは、国勢調査における字竹ケ島の人口(2005年271人)すら大幅に上回っており、おそらく字竹ケ島全域の人口を間違えて持ってきてしまったのではないのか?という気もしますが、一応以下の表に載せておきます。
(開く)徳島県海部郡海陽町の竹ケ島の住民基本台帳人口の変遷
(閉じる)徳島県海部郡海陽町の竹ケ島の住民基本台帳人口の変遷
年月 | 竹ケ島 |
2007年4月末 | 313 |
2017年4月末 | 148 |
2020年6月末 | 141 |
2020年9月末 | 140 |
2020年12月末 | 140 |
2021年3月末 | 136 |
2022年6月末 | 130 |
2022年9月末 | 129 |
2022年12月末 | 128 |
2023年3月末 | 128 |
2023年6月末 | 129 |
一方、
学校のあり方検討委員会資料集など、海陽町の資料などから海部郡海陽町や宍喰地区(旧宍喰町)の住民基本台帳人口の変遷を抽出すると、以下の通りとなります。
(開く)徳島県海部郡海陽町と宍喰地区の住民基本台帳人口の変遷
(閉じる)徳島県海部郡海陽町と宍喰地区の住民基本台帳人口の変遷
年月 | 海陽町 | 宍喰地区 |
2015年3月31日 | 10,158 |
2015年4月末 | 9,970 | 2,868 |
2016年3月31日 | 9,920 | 2,794 |
2017年3月31日 | 9,757 | 2,712 |
2018年3月31日 | 9,513 | 2,660 |
2019年3月31日 | 9,359 | 2,620 |
2020年1月1日 | 9,237 |
2020年3月31日 | 9,125 | 2,548 |
2021年1月1日 | 8,975 |
2022年1月1日 | 8,768 |
2022年3月31日 | 8,688 |
2023年1月1日 | 8,645 |
宍喰地区の2019年3月末と2020年3月末の住基人口から等比級数な人口減少を仮定して計算すると、2020年10月1日付の住民基本台帳人口は推定2513人。よって、2020年9月30日付の竹ヶ島の住民基本台帳人口140人との人口比から、2020年10月1日の竹ケ島の常住人口は135人と推定しました。
以上をまとめると:徳島県竹ケ島(と四国)の人口は修正する必要があります。神奈川県天神島、佐賀県竹崎島の人口も追加するかどうかは、宮崎県青島の扱い次第で、青島を追加した情報のまま残すのであれば、天神島、竹崎島も同様に有人島とみなすべきであり、青島を削除するのであれば、天神島、竹崎島、(ついでに
[109261]で記載した鹿老渡島)と合わせて、国土地理院などが認めていない有人島として別表に参考としてまとめた方が良いと思います。
なお鹿老渡島ですが、
[109261]の方で
地図で見る限り、倉橋島と鹿老渡島の間には明白に水路があり、両方の島が分けられております。にも拘わらず離島統計年報などで島として扱われていません。その理由はこの鹿老渡島が人工島の一種だからです。鹿老渡は歴瀬戸内の港として歴史的に発達した港町で、倉橋島との間の水路は、江戸時代に完成された人工的な堀であり、よって離島統計年報もSHIMADASも鹿老渡を独立した島と扱っていないのです。
などと解説文を書いて勝手に納得していましたが、あの後倉橋島との間の水路が人工的な堀であるとする文献を見つけることができていません。こちらの面積については、しまっぷ統合版(0.91 km2)を使わずに令和2年国勢調査基本単位区境界データを使ってみると、838,293.967 m2(すなわち0.84 km2)となります。
[109261]から面積出典を変更した場合は以下通りとなります。
島名 | 都道府県 | 市区町村 (小地域区分) | 人口 (2020年) | 人口 (2015年) | 人口 (2010年) | 面積 (km2) | 備考 |
**鹿老渡島 | 広島県 | 呉市 (倉橋町の一部(基本単位区2060-20010~20030)) | 121 | 134 | 170 | 0.84 | 面積出典:令和2年国勢調査基本単位区境界データ |