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みやこ♂さんの記事が1件見つかりました

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[53396]2006年8月15日
みやこ♂

[53396] 2006年 8月 15日(火)18:57:17みやこ♂ さん
山頂と三角点と山岳標高
[53356] 北の住人 さん 「山の高さ」
木々の中の最高点より、視界の良い三角点の方が、山頂としての雰囲気があるそうです。
まさにおっしゃるとおりで,頂上をちょっと離れた場所に良い展望所がある,というのも良く聞くお話です。
常念岳自体は,山頂も良い展望台になっていますが,[53194]で例示した「前常念岳」は,見通しが良く効くので一等三角点設置の場所に選ばれたと聞いています。わざわざキッチリ絶巓に置かなくても,「コストパフォーマンス的にここでいいやぁ~」という話があったとか,なかったとか。
[53370] 千本桜 さん のおっしゃる「蔵王山脈の前烏帽子岳」も同様の理由と想像します。

三角点や三角測量のお話しは,皆さん先刻ご承知のはず。なのでちょっとくどいかも知れませんが・・・。
そもそも三角点は,三角測量のための測量点ですから,高さよりもむしろ「平面での位置を確定させる」ことが主たる役目なわけです。したがって選点作業では「見通しが効くこと」が絶対条件になるので,結果として山頂や山頂付近の見晴らしの良いところに埋設されることが多くなりました。
しかも三角点には標高数値が与えられており,一方で水準点は平地に設けられることが多いようですから,山岳地では高さを知るためには三角点の数値を用いるほかなく,自然と「三角点は山の高さを表しているもの」と思われるようになったのでしょう。

選点作業に際して,もうひとつ重要な要素があります。それは「将来的に三角点標柱の維持が容易であること」です。つまり,いくら見通しが効いても,そこが険しい岩峰だったりすると,埋設した三角点の周囲が落ち着かず,やがて標柱自身が転がってしまう危険性が高いので,避けるわけです。
たとえば富士山頂の剣ヶ峰や槍ヶ岳山頂などは,無理して建てたがために,三角点標柱が維持できなくなった例です。
富士山頂の二等三角点は,剣ヶ峰の崩壊により当初の標柱が倒壊の危機に瀕し,改埋されました。この際,三角点自身の標高も変わりました。ただ,安定した地盤にまで標柱を下げると「富士山の標高がかわってしまう」と言われたがために,無理矢理(?)にコンクリートで固め,四捨五入して3776mになるよう,3775.6mに設定されています (ちょうど3775.5mにしなかったのは,10cmの余裕をみた,ということなのでしょうか.とはいえ,実際に「富士山の一番高い場所」は今でもちゃんと3776mあるそうですが。

すなわち,ここでは「三角点標高が山の高さを表すこと」を明確に意識しています。
槍ヶ岳(二等三角点)も,あのへんで一番目立つ峰だけに,何が何でも山頂に三角点を置きたかったのかもしれません。ただ,せっかく無理して設置したのに,とうの昔に倒壊し,そのまま復旧されることなく,今では失われてしまったようです。

これらをまとめると,「三角点標高は山の高さを表しているわけではないが,だからといって全く無視しているわけでもない」ということになるでしょうか。積極的に「山の高さ」を知ろうとしては,いなかったわけですから。
であるからこそ,平成3年の「日本の山岳標高一覧 -1003山-」が画期的だったと考えるわけです。


トコロデ,じつはわたくし,三角点の標高数値を疑っております。
たとえば現行の1/5万地形図での「槍ヶ岳」では,明治末期の測量成果がそのまま使われています。以前見比べたことがあったのですが,主な山岳標高の数値に変化はありませんでした。
むろん,当時の測量官の腕を疑うものではありませんし,測量機器の精度も,そのころ既に充分なものであったことは承知しています。明治期以降,現在に至るまでに改測作業も行われています。でも,それ以外の要素に対する疑義なのです。
色々な困難な条件が重なり合った明治期の山岳地帯での測量で,1mや2mくらいの誤差はあってもよさそうに思えるんだけどなぁ。
どこかで誰かが「今さら変更なんてできないぞ,なぁ~」と言っているような気がするのですが。


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