「人生は出会いで、相撲は立ち合いで決まる」以外は、さしたる信条を持ち合わせていない白桃ですが、こと「観光」に関しては一家言持っています。それは、「21世紀においては、地域の観光に力を注いでも地域を活性化することは難しい。特に温泉をメインにしている観光地は絶望的である。」ということですが、私の意に反して結構「健闘」している温泉地がないこともないのです。
「地域の活性化」=「人口増加」ではありませんが、下表は、1960年国勢調査日(10月1日)時点で存在していた市町村の中で、「温泉」が地域経済にかなりの比重を占めていると思われる77市町村の、2000年→2015年の人口増加率トップ10です。
順位 | 市町村名 | 最高人口年 | 増加率(2015/1960) | 増加率(2015/2000) | ----- | 比率 |
1 | A町 | 2015年 | 17.45 | 8.31 | | 6.47 |
2 | B町 | 2015年 | 12.13 | 7.03 | | 6.55 |
3 | C町 | 2005年 | 149.66 | 1.50 | | 6.82 |
4 | D市 | 1985年 | 7.10 | -1.23 | | 6.64 |
5 | E町 | 2005年 | 79.37 | -2.06 | | 5.69 |
6 | 別府市 | 1980年 | 13.37 | -3.47 | | 10.68 |
7 | 伊東市 | 2005年 | 25.26 | -4.71 | | 17.55 |
8 | 武雄市 | 1960年 | -16.55 | -4.90 | | 5.87 |
9 | 伊豆長岡町 | 1995年 | 42.61 | -5.04 | | 9.13 |
10 | 花巻市 | 2000年 | 10.98 | -5.15 | | 5.87 |
注1:最終列の「比率」は、2015年国勢調査における「宿泊業・飲食サービス業」従事者数が15歳以上就業者数に対する%です。
注2:人口は1960年国勢調査時点での境域に組替えていますが、D市だけは1965年国勢調査時点での境域に組替えております。また、境界変更等の微細な境域変更は考慮外です。
注3:有馬温泉(神戸市)、道後温泉(松山市)など、有名な温泉であっても所在自治体の人口推移に殆ど影響しないと考えられるところは除外しています。また、飯坂町(現;福島市)もワケあって除外しています。
注4:上表に出てこない67市町村は以下の通りです。( )内は2000→2015の増加率。上表トップ10との比較のため主な温泉地に書き込みました。
北海道
上川町(-29.28)、弟子屈町、阿寒町、幌別町(現;登別市-9.38)、虻田町
東北
大鰐町、雫石町、鳴子町、蔵王町、田沢湖町、温海町、尾花沢町、上山市、赤湯町、熱海町、常磐市
関東
藤原町(-28.25)、日光市、塩原町、那須町、 栗山村(-47.53)、水上町(-33.21)、草津町(-15.37)、伊香保町、
箱根町(-25.54)、湯河原町
甲信北陸
湯沢町、妙高々原町、豊浦村、宇奈月町、加賀市(-13.10)、山中町(-23.76)、七尾市、芦原町、下部町、上山田町、戸倉町、
山ノ内町、野沢温泉村
東海
下呂町(-17.02)、熱海市(-12.56)、下田町、東伊豆町、西伊豆町、土肥町、修善寺町(-14.93)
近畿
城崎町(-19.01)、温泉町、白浜町(-8.11)、那智勝浦町、龍神村
中国
三朝町、関金町、東郷町、温泉津町、湯原町、奥津町
九州
杷木町、嬉野町、小浜町、南小国村、山鹿市、阿蘇町、湯布院町(-8.48)、栄村(天瀬町→日田市)、指宿市(-10.27)、牧園町
さて、ここからが問題。A~Eを1960年国勢調査時の自治体名で答えてください。と言っても、これだけでは非常に難しいと思いますのでヒントを。
A町は、「山陰の三名湯」に数えられる温泉がありますが、人口増の主因は、温泉の「力」ではなく、現在は合併で一緒になった県庁所在地に近く、ベッドタウンになっているからで、「健闘している温泉地」の対象から外すべきであったかもしれません。
B町こそ、まさに「健闘している温泉地」で、ここを強調したいがために問題にした、と言うのが正直なところです。「平成の大合併で」注4で挙げた67市町村の一つと一緒になりました。
C町にある温泉が脚光を浴びたのは、そんなに前ではありません。オフ会開催地です。
D市は、案外盲点かもしれません。東海地方の市で、市域には4つの温泉街があります。その4つは、もともと別の町にありました。
E町も、東海地方です。温泉地というよりは、温泉施設がある大型レジャーランドで有名と言った方が分かりやすい?