今回の七番勝負・問二の共通項は、「『市名+市名=駅名』となる市名の組み合わせ」でした。
これに該当する駅は85駅(想定解となる組み合わせは87組…理由は後述)あり、五十音順に並べると下記の一覧表のようになります。また、これらの駅について、組み合わせとなる地名の由来を、次のようにグループ分けしたものを、記号で表しています。更に、その駅名が「市名+市名」のタイプになった日と、その理由も示しておきました。
<想定解に該当する駅名>
番号 | 駅名 | 路線 | 所在地 | タイプ | 該当となった日 | 理由 | 備考 |
1 | 安芸津 | 呉線 | 広島県東広島市 | A2 | 1954.8.1 | 安芸市誕生 |
2 | 安芸中野 | 山陽本線 | 広島市安芸区 | A2 | 同上 | 同上 |
3 | 安芸長浜 | 呉線 | 広島県竹原市 | A2 | 1994.10.1 | 駅開業 |
4 | 阿波池田 | 土讃線 | 徳島県三好市 | A2 | 2005.4.1 | 阿波市誕生 |
5 | 阿波海南 | 牟岐線 | 徳島県海陽町 | A2 | 同上 | 同上 |
6 | 阿波加茂 | 徳島線 | 徳島県東みよし町 | A2 | 同上 | 同上 |
7 | 阿波川口 | 土讃線 | 徳島県三好市 | A2 | 同上 | 同上 |
8 | 阿波半田 | 徳島線 | 徳島県つるぎ町 | A2 | 同上 | 同上 |
9 | 阿波福井 | 牟岐線 | 徳島県阿南市 | A2 | 同上 | 同上 |
10 | 伊賀神戸 | 近鉄大阪線・伊賀鉄道 | 三重県伊賀市 | A2 | 2004.11.1 | 伊賀市誕生 | 読み方違い(…かんべ) |
11 | 石狩金沢 | 札沼線 | 北海道当別町 | A2 | 1996.9.1 | 石狩市誕生 |
12 | 石狩沼田 | 留萌本線 | 北海道沼田町 | A2 | 同上 | 同上 |
13 | 伊豆大川 | 伊豆急 | 静岡県東伊豆町 | A2 | 2004.4.1 | 伊豆市誕生 |
14 | 伊豆長岡 | 伊豆箱根鉄道駿豆線 | 静岡県伊豆の国市 | A2 | 同上 | 同上 |
15 | 和泉砂川 | 阪和線 | 大阪府泉南市 | A2 | 1958.7.1 | 砂川市誕生 |
16 | 和泉中央 | 泉北高速鉄道 | 大阪府和泉市 | B1 | 2006.2.20 | 中央市誕生 |
17 | 和泉鳥取 | 阪和線 | 大阪府阪南市 | A2 | 1963.4.1 | 駅開業 |
18 | 和泉橋本 | 阪和線 | 大阪府貝塚市 | A2 | 1956.9.1 | 和泉市誕生 |
19 | 和泉府中 | 阪和線 | 大阪府和泉市 | A2 | 同上 | 同上 |
20 | 出雲大東 | 木次線 | 島根県雲南市 | A2 | 1956.4.1 | 大東市誕生 |
21 | 出雲八代 | 木次線 | 島根県奥出雲町 | A2 | 1941.11.3 | 出雲市誕生 | 読み方違い(…やしろ) |
22 | 伊勢柏崎 | 紀勢本線 | 三重県大紀町 | A2 | 1955.1.1 | 宇治山田市が伊勢市に |
23 | 伊勢鎌倉 | 名松線 | 三重県津市 | A2 | 同上 | 同上 | 2009.10.8より災害で運休、2016.3.26復旧・再開 |
24 | 伊勢川口 | 名松線 | 三重県津市 | A2 | 同上 | 同上 |
25 | 伊勢竹原 | 名松線 | 三重県津市 | A2 | 1958.11.3 | 竹原市誕生 | 「伊勢鎌倉」と同様 |
26 | 伊勢松本 | 近鉄湯ノ山線 | 三重県四日市市 | A2 | 1955.1.1 | 宇治山田市が伊勢市に |
27 | 市川大野 | 武蔵野線 | 千葉県市川市 | C | 1978.10.2 | 駅開業 |
28 | 伊那福岡 | 飯田線 | 長野県駒ヶ根市 | E | 1954.4.1 | 伊那市誕生 |
29 | 伊那八幡 | 飯田線 | 長野県飯田市 | E | 1977.11.1 | 八幡市(京都府)誕生 | 注1 |
30 | 伊予大洲 | 予讃線 | 愛媛県大洲市 | A1 | 1955.1.1 | 伊予市誕生 |
31 | 伊予亀岡 | 予讃線 | 愛媛県今治市 | A2 | 1955.1.1 | 伊予市・亀岡市誕生 |
32 | 伊予小松 | 予讃線 | 愛媛県西条市 | A2 | 1955.1.1 | 伊予市誕生 |
33 | 伊予西条 | 予讃線 | 愛媛県西条市 | A1 | 同上 | 同上 |
34 | 伊予桜井 | 予讃線 | 愛媛県今治市 | A2 | 1956.9.1 | 桜井市誕生 |
35 | 伊予立川 | 予讃線 | 愛媛県内子町 | A2 | 1986.3.3 | 駅開業 |
36 | 伊予長浜 | 予讃線 | 愛媛県大洲市 | A2 | 1955.1.1 | 伊予市誕生 |
37 | 伊予氷見 | 予讃線 | 愛媛県西条市 | A2 | 1961.6.1 | 駅開業 | 氷見の由来([89248] hmt さん) |
38 | 伊予三島 | 予讃線 | 愛媛県四国中央市 | A2 | 1955.1.1 | 伊予市誕生 |
39 | 越前大野 | 越美北線 | 福井県大野市 | A1 | 2005.10.1 | 越前市誕生 |
40 | 越前竹原 | えちぜん鉄道勝山永平寺線 | 福井県永平寺町 | A2 | 同上 | 同上 |
41 | 甲斐大和 | 中央本線 | 山梨県甲州市 | A2 | 2004.9.1 | 甲斐市誕生 |
42 | 加賀笠間 | 北陸本線 | 石川県白山市 | A2 | 1958.5.1 | 笠間市誕生 |
43 | 鹿児島中央 | 鹿児島本線・九州新幹線 | 鹿児島県鹿児島市 | B1 | 2006.2.20 | 中央市誕生 |
44 | 鹿島旭 | 鹿島臨海鉄道 | 茨城県鉾田市 | E | 1985.3.14 | 駅開業 | 旧鹿島郡旭村 |
45 | 鹿島大野 | 鹿島臨海鉄道 | 茨城県鹿嶋市 | E | 同上 | 同上 | 旧鹿島郡大野村 |
46 | 川西池田 | 福知山線 | 兵庫県川西市 | D1 | 1954.8.1 | 川西市誕生 | 府県境越え |
47 | 岐阜羽島 | 東海道新幹線 | 岐阜県羽島市 | D2 | 1964.10.1 | 駅開業 |
48 | 郡上八幡 | 長良川鉄道 | 岐阜県郡上市 | C | 2004.3.1 | 郡上市誕生 | 旧郡上郡八幡町、読み方違い(…はちまん) |
49 | 郡上大和 | 長良川鉄道 | 岐阜県郡上市 | C | 同上 | 同上 | 旧郡上郡大和町 |
50 | 佐世保中央 | 松浦鉄道 | 長崎県佐世保市 | B1 | 2006.2.20 | 中央市誕生 |
51 | 上越妙高 | 北陸新幹線・えちごトキめき鉄道 | 新潟県上越市 | D1 | 2015.3.14 | 駅名改称(新幹線駅開業) |
52 | 新宮中央 | 鹿児島本線 | 福岡県新宮町 | B3 | 2010.3.13 | 駅開業 |
53 | 関富岡 | 長良川鉄道 | 岐阜県関市 | C | 1986.12.11 | 駅開業 |
54 | 伊達紋別 | 室蘭本線 | 北海道伊達市 | C | 1972.4.1 | 伊達市(北海道)誕生 |
55 | 丹波竹田 | 福知山線 | 兵庫県朝来市 | A2 | 2004.11.1 | 丹波市誕生 | 読み方違い(…たけだ) |
56 | 知多半田 | 名鉄河和線 | 愛知県半田市 | E | 1970.9.1 | 知多市誕生 |
57 | 千歳船橋 | 小田急小田原線 | 東京都世田谷区 | E | 1958.7.1 | 千歳市誕生 | 旧北多摩郡千歳村 |
58 | 千葉中央 | 京成千葉線 | 千葉市中央区 | B1 | 2006.2.20 | 中央市誕生 |
59 | 中央弘前 | 弘南鉄道大鰐線 | 青森県弘前市 | B2 | 同上 | 同上 |
60 | 中央前橋 | 上毛電鉄 | 群馬県前橋市 | B2 | 同上 | 同上 |
61 | 燕三条 | 上越新幹線・弥彦線 | 新潟県三条市 | D2 | 1982.11.15 | 駅開業 | 燕市との境界線上 |
62 | 津山口 | 津山線 | 岡山県津山市 | F | 1929.4.10 | 山口市誕生 | 切れ目違い(津山/口) |
63 | 土佐一宮 | 土讃線 | 高知県高知市 | A2 | 1959.1.1 | 土佐市誕生 | 読み方違い(…いっく) |
64 | 土佐大津 | 土讃線 | 高知県高知市 | A2 | 同上 | 同上 |
65 | 土佐加茂 | 土讃線 | 高知県佐川町 | A2 | 同上 | 同上 |
66 | 土佐佐賀 | 土佐くろしお鉄道中村線 | 高知県黒潮町 | A2 | 1963.12.18 | 駅開業 | 当時は国鉄中村線 |
67 | 土佐長岡 | 土讃線 | 高知県南国市 | A2 | 1959.1.1 | 土佐市誕生 |
68 | 戸田小浜 | 山陰本線 | 島根県益田市 | E | 1966.10.1 | 戸田市誕生 | 読み方違い(…こはま)、所在町名と隣接町名より |
69 | 西海鹿島 | 銚子電鉄 | 千葉県銚子市 | F | 2005.4.1 | 西海市誕生 | 読み方違い・切れ目違い(西/海鹿島:にし/あしかじま) |
70 | 備前一宮 | 吉備線 | 岡山市北区 | A2 | 1971.4.1 | 備前市誕生 |
71 | 日向長井 | 日豊本線 | 宮崎県延岡市 | A2 | 1954.11.15 | 長井市誕生 |
72 | 福島高松 | 日南線 | 宮崎県串間市 | E | 1950.1.10 | 駅開業 | 旧南那珂郡福島町、1949.9.15仮乗降場として開業 |
73 | 豊前川崎 | 日田彦山線 | 福岡県川崎町 | A2 | 1955.4.14 | 宇島市が市制4日後に豊前市に |
74 | 豊前松江 | 日豊本線 | 福岡県豊前市 | A2 | 同上 | 同上 | 読み方違い(…しょうえ) |
75 | 碧南中央 | 名鉄三河線 | 愛知県碧南市 | B1 | 2006.2.20 | 中央市誕生 |
76 | 三郷中央 | つくばEXP | 埼玉県三郷市 | B1 | 同上 | 同上 |
77 | みどり中央 | スカイレール瀬野線 | 広島市安芸区 | B3 | 2006.3.27 | みどり市誕生 | 「鉄道」と認められるか?([85670]) |
78 | 美濃太田 | 高山本線・長良川鉄道 | 岐阜県美濃加茂市 | A2 | 1954.4.1 | 美濃市誕生 |
79 | 美濃松山 | 養老鉄道 | 岐阜県海津市 | A2 | 同上 | 同上 |
80 | 美作大崎 | 姫新線 | 岡山県津山市 | A2 | 2006.3.31 | 大崎市誕生 |
81 | 美作加茂 | 因美線 | 岡山県津山市 | A2 | 2005.3.31 | 美作市誕生 |
82 | 八千代中央 | 東葉高速鉄道 | 千葉県八千代市 | B1 | 2006.2.20 | 中央市誕生 |
83 | 大和朝倉 | 近鉄大阪線 | 奈良県桜井市 | A2 | 2006.3.20 | 朝倉市誕生 |
84 | 大和新庄 | 和歌山線 | 奈良県葛城市 | A2 | 1959.2.1 | 大和市誕生 |
85 | 横須賀中央 | 京急本線 | 神奈川県横須賀市 | B1 | 2006.2.20 | 中央市誕生 |
(注1)「伊那八幡」駅…1954.4.1伊那市誕生により該当する駅に、1963.2.10福岡県八幡市消滅でいったん非該当に(この間は読み方違い)。京都府八幡市の市制で再該当
<駅名を構成する市名の組み合わせのタイプ分け>
【A】…「旧国名」絡み
A1:旧国名+所在市名
A2:旧国名+所在地または周辺の地名(所在市名でない)
【B】…「中央」絡み
B1:所在市名+中央
B2:中央+所在市名
B3:所在地(市名でない)+中央
【C】…所在市名+所在地または周辺の地名
【D】…所在市名と隣接市名の組み合わせ
D1:前が所在市名
D2:後ろが所在市名
【E】…郡名・広域地名・旧地名など、駅の所在市名や旧国名以外に由来する地名を冠したもの
【F】…偶然の一致(切れ目違いなど)
該当する駅名は、上記の85駅ですが、「伊達紋別」については、駅の所在地である「伊達市(北海道)/紋別市」のほかに、伊達市を福島県のほうにしても、この問の趣旨から見て「正答」みなされると思われるため、2つの組み合わせ、ということになります。同様に、「和泉府中」も、「府中」を東京都・広島県どちらとしても正答とみなされるため、結局「正答となる組み合わせ」は87組、ということになります。
この表を見ると、「旧国名」絡みである駅名(【A】グループ)が圧倒的に多いことが一目瞭然です。全体の6割強を占めており、そのうち最多なのは「伊予」の9駅(
[65870])で、すべて「平成の大合併」以前から該当しており、「大合併」以前は「伊予北条」も「該当する駅」でした。「伊予三島」は、以前はそのものずばり市名でもあり、「市名+市名」=「所在地市名&駅名」という唯一の組み合わせでもありました。「伊予」についで多いのは、「阿波」の6駅で、こちらはすべて「阿波市」発足と同時に仲間入りしたものです。
「和泉」「伊勢」「土佐」がいずれも5駅で続きます。旧「和泉国」内にある「和泉」のつく駅で該当する駅は5駅(平成13年(2001)のさいたま市発足以前は南海「和泉大宮」駅も該当していた)ですが、和泉市内にある「和泉府中」と、市外にある「和泉砂川」「和泉橋本」の両駅(「和泉大宮」も)については、駅の開業(駅名の誕生)が「和泉市」の発足(昭和31年=1956)以前であり、「和泉市」発足後にできた「和泉鳥取」駅(昭和38年開業)も和泉市内にはないため、これらの「和泉」は旧国名と考えられますが、「和泉中央」については、ニュータウンにできた新線の駅で、開業が和泉市ができてからだいぶ経ってからであること、和泉市域のほぼ中央に近いことなどから、「和泉」は旧国名よりも市名に由来するほうが高いものと考え、【B】グループに入れたほうがよいのではないかと思われます。「豊前松江」駅は、現在は豊前市域に入っていますが、「豊前市」発足より10年前にこの駅名になっているので、「結果として豊前市内の駅になった」ということで、この「豊前」は旧国名と見て問題ないでしょう。「安芸」と「大和」は、旧国名と同名の市がその旧国外にあるものです。同様な例に「日高市」がありますが、「日高」のつく駅で該当するものはありません。
「安芸津」については、形式上「安芸(国)+津」とみなして【A】グループに入れましたが、実態としては「安芸津」というひとかたまりの地名ではないかと思うのですが、「ご当地」の方がいらっしゃいますので、その辺の詳しいことをご存知でしたらフォローを…。>ピーくん さん。
「大合併」による新たな「旧国名市」の誕生により「仲間」に入ったものには、「阿波」のほか、「伊賀」「伊豆」「越前」「甲斐」「丹波」「美作」のつく各駅名があります。「飛騨」のつく該当駅もこのときできましたが、後述しますが短期間のうちに該当する駅がなくなっています。
【D】グループの「所在市名+近隣市名」のグループには、4駅ありますが、そのうち3駅が新幹線の駅なのが興味深いところです。ただ、「岐阜羽島」については、分類上このグループに入れたのですが、岐阜羽島駅は岐阜県内唯一の新幹線駅であり、この「岐阜」は、市名よりも県名と見たほうがよいのではないかと思われます。また、合併により両方とも市名が消え、該当しない駅名となった「水沢江刺」(所在地は旧水沢市)も、この【D】グループでした。一方、このグループで唯一新幹線の駅でない「川西池田」は、明治26年(1893)に「摂津鉄道」(のちに「阪鶴鉄道」)という私鉄の駅として開業した当時は「池田」という駅名でした。しかし、駅は当時から現在の兵庫県川西市域にあり、「池田」は猪名川を挟んだ対岸の大阪府の地名(現在の池田市)で、「県境を越境した駅名」だったのでした。現在の「川西池田」に改称されたのは、戦後の昭和26年(1951)で、大阪近郊の住宅地として発展してきた川西市(当時は「川西町」)の顔を立てたものと思われますが、それ以前に明治43年に現在の阪急宝塚線「池田」駅が、前身である「箕面有馬電気軌道」の駅として開業しており、猪名川を挟んで国鉄と阪急のそれぞれの「池田」駅がお互いに離れた場所にあった、という時代が長らく続いたのでした。池田市の中心駅(代表駅)は、市制以前から阪急の池田駅であり、川西市の中心駅も、以前の福知山線の状況から見て、阪急の「川西能勢口」駅(昭和40年以前は「能勢口」駅)であったと見られ、福知山線が複線電化され、JRになってから大増発された現在でも、能勢電鉄との乗換駅(梅田からの直通特急も運行されている)でもある「川西能勢口」駅が「川西池田」駅を乗降客数でもまだ大きく上回っているようです。…>川西市ゆかりのぺとぺと さん。(
[89886],
[53070])
現在では「市名+○○」の形になっている、「郡上」のつく2駅は、市制以前の「郡上郡」の名をとったものと思われます。このような(旧)郡名に由来する駅名には、飯田線の「伊那○○」、鹿島臨海の「鹿島○○」、名鉄河和線の「知多半田」があります。ただ、「知多半田」(「半田」は駅の所在市名でもありますが)駅は「知多鉄道」によって開業した駅であり、同じ線にある「知多武豊」駅と同様、社名を冠して、既に開業していた国鉄武豊線の駅名と区別する意味もあったように思われます。(類例-旧「三河鉄道」の路線に多い「三河○○」駅…
[83505] k_ito さん)
「中央市」の誕生と同時に「該当する駅名」となった駅が多い「中央」絡みの駅は、近年になって増加したタイプの駅名ですが、「中央前橋」と「横須賀中央」は戦前派で、共に路線開業時からの駅名です。
「大昔」に消滅した旧町村名をいまだに冠している駅名もあります。小田急の「千歳船橋」駅は、昭和2年(1927)の開業当時は「東京府北多摩郡千歳村大字船橋」だったことから、総武線の「船橋」駅との区別もあって、当時の村名を冠したものと思われます(旧国名の「武蔵」にしなかった理由はよくわからないのですが)。千歳村は、9年後の昭和11年に当時の「東京市世田谷区」に合併されて地名が消滅しましたが、それから90年近くを経た現在でも、京王線の「千歳烏山」駅と共に、当時の村名を受け継いでいます。日南線の「福島高松」駅(
[65843])は、隣にある「福島今町」駅と共に、駅ができた当時は「南那珂郡福島町」だったことに由来すると見られます(「串間」駅も元は「福島仲町」駅でした)。福島町は、昭和29年に新設合併で現在の「串間市」になりましたが、「福島」は古くは「櫛間」と呼ばれており、また「串間」という苗字も宮崎県に多数存在している(全国に約1800人、その約6割が宮崎県に集中)ので、「串間」という書き方もおそらく古くから存在しており、市制施行に当たって、いわば「昔の名前に戻った」ということなのでしょうか。
「市名+市名」駅名になった期日が最も早い現存の駅(駅名)は、おそらく「津山口」駅と思われます。「区切り方違い」になっているこの駅は、昭和4年(1929)の山口市の市制以来、80年以上の間このタイプの駅名になっていることになります。これに次ぐのは、やはり戦前の昭和16年からこのタイプになっている、こちらは「読み方違い」の「出雲八代」駅で、「戦前派」はどうやらこの2駅のみのようです。戦後にこのタイプになった駅で最も早いのは、開業した時点でこのタイプの駅名になった日南線の「福島高松」駅と思われます。一方、一番新しくこのタイプになった駅は、昨年3月の北陸新幹線(長野~金沢)の開業と同時に誕生(旧信越本線「脇野田」駅を移設改称、在来線は「えちごトキめき鉄道」に転換)した「上越妙高」駅です。
駅名が「市名+市名」タイプになった理由で最も多いのは、「片方がもともと市名と同名(所在市名であるものとそうでないものがある)で、もう一方が市名と同じになった」ことによるものですが、「伊予亀岡」駅は伊予市と亀岡市が同日に市になったために「該当する駅名」になった、現存唯一の例です。「伊那八幡」駅は、いったん非該当となった後、再び該当する駅名となった、これも現存唯一の例となっています。新線・新駅の開業によって「該当する駅名」になった駅は「岐阜羽島」など13駅、駅名の改称によるものは「上越妙高」のみですが、これも前述しましたが新幹線開業による「実質新駅」といえるかもしれません。
「過去には『市名+市名』タイプの駅名だった」のが、駅の廃止・駅名改称・駅名に含まれていた市名の消滅によって現在は存在しない、あるいは該当しなくなった駅もあります。これについては、次回に書き込むことにします。