[28574]だんな さん
安価な輸入硫黄の増加やパルプ・繊維産業の不況などで鉱山は斜陽の一途をたどり、昭和44(1969)年に閉山となりました。
輸入硫黄が経営を圧迫した時期もあったのですが、土硫黄及び硫化鉄鉱の鉱山に決定的なダメージを与えたのは、石油精製プロセスの水素化脱硫から副生する「回収硫黄」でした。
わが国が中東などから大量の原油を輸入しているのは周知の通ですが、この中には大量の硫黄化合物が含まれており、燃料として使用すると大気汚染の原因になります。そこで製油所段階でこれを取り除く「脱硫」技術が実用化されたのですが、燃料油脱硫の結果副生してくる回収硫黄は、鉱山から掘り出す土硫黄を駆逐しました。
松尾は、見えない形で中東から日本に忍び込んできた硫黄に負けたのです。
ところで、硫酸と共に硫黄の主用途になっているものは何でしょうか?
それはゴムです。大量の硫黄分が含まれている廃タイヤは、そのまま燃料にすると大気汚染の原因になります。