[7544]白桃 さん
>白桃さんの50選街
ご提示いただいた街についてですが、愛媛県宇和町は昨年訪れましたので、そのときの感想をお話いたします。
宇和町は、愛媛県南部(合併後の新市名は「西予」のようですが)のやや北よりの内陸に位置し、人口1万7千人の町ですね。肱川支流の宇和川のつくる穏やかな盆地上の低地に、町域が広がります。
宇和町ホームページより、この町の地図をひろってみました。
http://www.islands.ne.jp/uwa/maps/maps.html
この街の中心部は、「卯之町」地区です。私が訪れたのも、この一角です。まず目を引くのは、中町地区の伝統的な町並みです。江戸末期、明治初期の民家や商家が立ち並び、白壁、うだつ(「卯建」という言葉の「卯」は、卯之町の卯であるという話を聞いたことがあるのですが、本当かどうか定かではりません。ご存知の方はいらっしゃいませんか?)、半蔀(はじとみ)、出格子など伝統的な建築様式が残る、落ち着いた美しい町並みです。
そして、この町は、城下町でも宿場町でもなく、宇和島藩の在郷町として栄えたというのも驚きです。宇和島へは急峻な法華津峠を越え、宇和島藩の支藩が所在した吉田を通過しなければ行けない場所に、です。歴史的には、シーボルトの弟子二宮敬作、また、シーボルトの娘で、敬作を頼って卯之町に生活した楠本イネ、脱獄中に敬作のもとに身を寄せた高野長英などの人物と深いかかわりがある街です。高野長英が身を潜めていた庵が現存しています。
さらに、洋風建築の学校として名高く、美しい校舎が高台に映える「開明学校」や、旧宇和町小学校校舎を移築し、国内外の稲約40種類の実物標本や農耕具などを展示する「米博物館」などのみどころも豊富です。
中でも、一番のおすすめは、愛媛県立歴史文化博物館です(南予だけでなく、愛媛県全体を展示対象とする博物館なのです)。この博物館、卯之町からちょっと離れた高台にあるのですが、規模がとにかく大きく、愛媛県の歴史に関わる力の入った展示は一見に値します。新居浜市の山車が飾ってある一角や、昭和期の松山市内の町並みを再現した一角など、凝った内容でしたね。
地理的なお話をしますと、松山から県南部の中心地宇和島に至るまで、内子、大洲、八幡浜、そしてこの宇和(卯之町)と中心地が続くのですが、それぞれが別個の小盆地内に展開し、その後背地に中心地が出来上がっているという印象で、どの街もそれなりの規模をもち、中心性が高いなという印象を受けたのでした。内子も、蝋の生産地として繁栄した当地の歴史を随所に感じさせる町並みが美しい場所でしたね。
宿毛~宇和島~卯之町~大洲~面河~四国カルスト~高知とドライブしたのですが、美しい海あり、山あり、変化に富んだ土地でした。その中でも、歴史的な町並みがよく残され、現在でも近隣の中心地としての基盤を維持しつづける卯之町の趨勢は、それらの地域の中において、絶妙なアクセントとなっていたのでした。この土地に、県立歴史文化博物館を建設した、愛媛県の英断には、敬服するところであります。
みんさんも、ぜひ、宇和町を訪れてみてください。