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[85623] 2014年 5月 17日(土)01:52:33【3】YT さん
国勢調査における面積の遡及データの取り扱いの問題点:遡及改定をどこまで考慮するべきか
国勢調査報告書に載っている面積を入力して行く内に、人口データでは余り意識を払わなかった問題が、面積データの場合にはそれなりに重要な問題と成り得ることが判りました。それは、国勢調査報告書に載っている面積が、その対象年度の国勢調査時における面積と、その後に出版された国勢調査に収録されている遡及データとしての過去の国勢調査時における面積とが一致しないケースが多々ある点です。特に問題となるのは、領土問題等で面積のデータが不足しているケースです。

まず『昭和25年 国勢調査報告 第8巻 最終報告書』記載の昭和25年の調査地域及び昭和15年以前の調査地域は以下の通りです。

地域昭和15年以前の調査地域昭和25年の調査地域
旧版図675,313.35368,284.15
 旧内地 (樺太を除く)382,470.03368,284.15
  沖縄県を除く46都道府県380,083.79368,284.15
   北海道88,801.4278,486.06
    根室支庁13,805.813,490.45
     泊村538.99
     留夜別村961.05
     色丹村255.12
     紗那村959.53
     留別村1,429.73
     蘂取村749.74
     得撫島1,468.68
     新知郡540.79
     占守郡3,310.14
     歯舞村165.0063.41
      水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島および多楽島101.59
      その他の地域63.4163.41
     その他の地域3,427.043,427.04
    その他の地域74,995.6174,995.61
   東京都2,134.062,031.12
    八丈支庁82.3982.39
     宇津木村1.511.51
     島打村1.711.71
     青ヶ島5.295.29
     鳥島4.654.65
     その他の地域69.2369.23
    小笠原102.94
    その他の地域1,948.731,948.73
   島根県6,627.366,626.06
    穏地郡348.91347.61
     五箇村52.7451.44
      竹島1.30
      その他の地域51.4451.44
     その他の地域296.17296.17
    その他の地域6,278.456,278.45
   鹿児島県9,205.727,825.68
    大島郡1,411.6531.61
     十島村115.3931.61
      硫黄島, 竹島および黒島31.6131.61
      その他の地域83.78
     横当島3.88
     その他の地域1,292.38
    その他の地域7,794.077,794.07
   その他の42府県273,315.23273,315.23
  沖縄県2,386.24
 外地292,843.32
  樺太36,090.30
  朝鮮220,791.81
  台湾35,961.21
旧版図外5,611.25
 関東州3,462.45
 南洋群島2,148.80
合計680,924.60368,284.15

ここで「昭和15年以前の調査地域」とありますが、総面積の368,284.15 km2自体、京都府に関する面積改定
(A) 昭和28年9月に市町村面積の改測を行った結果第一巻に掲載の面積より市部(1.14方粁減)、郡部(3.09方粁増)、県計(1.95方粁増)がそれぞれ増減している。
が反映されておりますし、鹿児島県大島郡十島村の総面積である115.39 km2も、『昭和十年 全国市町村別面積調』記載の18.43 km2から改定されております(そもそも18.43 km2という面積が明らかに誤りですが)ので、これはあくまでも昭和25年国勢調査の結果をまとめた段階で、総理府統計局が把握していた最新の面積ということでしょう。

次に『昭和30年 国勢調査報告 第一巻 人口総数』の「調査の概要」(pdf)記載の昭和15年~昭和30年の面積と『昭和30年国勢調査 全国都道府県郡市区町村別面積改定表』記載の改定された昭和30年の面積をまとめると以下の通りになります。

調査地域昭和15年昭和20年昭和22年昭和25年昭和30年昭和30年改定
北海道88,775.0478,459.6878,459.6878,486.0678,664.4878,508.67
 根室支庁13,811.493,496.133,496.133,490.453,439.413,445.01
  得撫郡, 新知郡および占守郡5,319.61
  泊村, 留夜別村, 紗那村, 留別村および蘂取村4,639.04
  色丹村255.12
  歯舞村165.0063.4163.4163.4163.4063.40
   水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島および多楽島101.59
   その他の地域63.4163.4163.4163.4163.4063.40
  その他の地域3,432.723,432.723,432.723,427.043,376.013,381.61
 その他の地域74,963.5574,963.5574,963.5574,995.6175,225.0775,063.66
東京都2,144.802,041.862,041.862,031.122,020.882,023.01
 小笠原村102.94
 その他の地域2,041.862,041.862,041.862,031.122,020.882,023.01
島根県6,624.606,623.306,623.306,626.066,625.046,625.04
 穏地郡348.03346.73346.73347.61347.71347.71
  五箇村51.8650.5650.5651.4451.5751.57
   竹島1.30
   その他の地域50.5650.5650.5651.4451.5751.57
  その他の地域296.17296.17296.17296.17296.14296.14
 その他の地域6,276.576,276.576,276.576,278.456,277.336,277.33
鹿児島県9,103.817,814.777,833.207,825.689,190.919,140.17
 大島郡および那瀬市1,289.0418.4331.611,411.531,356.20
  三島村 (硫黄島, 竹島および黒島)18.4331.6131.6131.61
  十島村および横当島 (吐噶喇列島)18.4387.5487.54
  その他の地域 (奄美群島)1,270.611,292.381,237.05
 その他の地域7,814.777,814.777,814.777,794.077,779.387,783.97
その他の42府県273,510.93273,510.93273,510.93273,315.23273,264.58273,363.85
誤差0.890.89
380,159.18368,451.43368,469.86368,284.15369,765.89369,660.74
沖縄県2,386.24

●昭和15年の面積に沖縄県の面積を足した382,545.42 km2は『昭和十年 全国市町村別面積調』の総面積と完全に一致しています。なお昭和15年の鹿児島県大島郡十島村の面積18.43 kmは三島村(硫黄島, 竹島および黒島)を含んでの数字ですが、表記の都合上、上表では十島村にのみ18.43 km2を記入しております。
●昭和20年人口調査と昭和22年臨時国勢調査の誤差については
昭和15年の総面積から調査結果に含まれていない地域を除いた数値との間に0.89平方粁の誤差がある。
とありますが、そもそも昭和20年人口調査と昭和22年臨時国勢調査には市区町村別面積の情報が記載されておりませんので、今回ここでは検証しません。昭和22年の鹿児島県の面積には、なぜか大島郡十島村・三島村の総面積18.43 km2が加算されているのですが、これについては、三島村の項に追加しておきました。
●昭和25年の面積は、先の昭和25年国勢調査報告書のものと一致します。

このように『昭和30年 国勢調査報告 第一巻 人口総数』では、たとえ面積がおかしかろうが、「作成当時の」調査結果を尊重して表を作っていることが判ります。

一方昭和30年までに復帰した鹿児島県大島郡の面積1,411.53 km2は、昭和25年国勢調査報告書記載の1,411.65 km2に比べて0.12 km2減っておりますが、これは十島村の面積の減少(83.78 → 83.66 km2; 横当島の面積3.88 km2は変わらず)に相当します。なお昭和30年の国勢調査の面積は、最終的に『昭和30年国勢調査 全国都道府県郡市区町村別面積改定表』で一部改定されておりますが(オンラインでは閲覧できない)、このことが昭和35年(pdf)、昭和40年(pdf)、昭和45年(pdf)の国勢調査報告書記載の面積の遡及データにも影響を与えております。


調査地域昭和15年昭和20年昭和25年昭和30/35年昭和40年昭和45年
北海道88,775.0478,459.6878,486.0678,508.6778,511.6078,513.28
 根室支庁および根室市13,811.493,496.133,490.453,445.013,445.083,458.71
  得撫郡, 新知郡および占守郡5,319.61
  泊村, 留夜別村, 紗那村, 留別村および蘂取村4,639.04
  色丹村255.12
  根室市536.88436.29436.29403.22403.29416.88
   水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島および多楽島101.59
   その他の地域435.29436.29436.29403.22403.29416.88
  その他の地域3,060.843,059.843,054.163,041.793,041.793,041.83
 その他の地域74,963.5574,963.5574,995.6175,063.6675,066.5275,054.57
東京都2,144.802,041.862,031.122,026.892,027.372,141.11
 小笠原村102.94106.14
 その他の地域2,041.862,041.862,031.122,026.892,027.372,034.97
島根県6,624.606,623.306,626.066,625.036,625.726,625.89
 隠岐島348.03346.73347.61347.71347.71347.74
  五箇村53.1650.5651.4451.5751.5751.57
   竹島1.30
   その他の地域51.8650.5651.4451.5751.5751.57
  その他の地域296.17296.17296.17296.14296.14296.17
 その他の地域6,276.576,276.576,278.456,277.326,278.016,278.15
鹿児島県9,103.817,814.777,825.689,140.179,141.589,144.97
 大島郡および那瀬市1,289.0431.611,356.201,356.281,356.97
  三島村 (硫黄島, 竹島および黒島)31.6131.6131.6131.61
  十島村および横当島 (吐噶喇列島)18.4387.5487.5487.54
  その他の地域1,270.611,237.051,237.131,237.82
 その他の地域7,814.777,814.777,794.077,783.977,785.307,788.00
その他の42府県273,510.93273,510.93273,315.23273,359.98273,470.56273,648.23
誤差0.89
380,159.18368,451.43368,284.15369,660.74369,776.83370,073.48

昭和35年以降の国勢調査の面積の遡及データでは、奄美群島の昭和20年~25年の面積が、復帰直後の昭和30年の改定版面積に置き換わってしまっています。つまり昭和30年以降の統計局の方針は、国勢調査の対象外だった地域の過去の面積については、復帰直後の国勢調査時の面積に置き換えるというものになったように見えます。なお昭和35年まで、復帰した小笠原、奄美群島を含め、日本が実行支配していなかった時期の地域の面積は過去のデータも総計から除外していたようです。また歯舞村は根室市に合併され、過去の面積のデータも根室市で再計算されています。
[85612] 2014年 5月 13日(火)21:52:36【3】YT さん
昭和19年の人口調査における東京都の区部の人口
昭和19年2月22日に日本の内地では、配給制度への備えを目的として銃後人口の人口調査を実施しました。その時の市町村別人口の詳細は戦後に『昭和19年人口調査 集計結果摘要』(1977年)として出版されておりますが、[82202]に示したように、東京都の人口に関しては、1955年1月頃の境界によって人口が集計されてしまっております。

これに関し今日、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞で、戦中・戦後の人口に関する記事を調べたところ、昭和20年11月22日の朝日新聞の東京版朝刊において、昭和20年11月1日の人口調査の結果(都道府県・市・区別のみ)とともに、昭和19年の人口調査に対する増減が記述されていることを見出しました。つまりこの朝日新聞の記事の数字を使えば、昭和19年2月22日の東京都の当時の区部別人口が一応計算できることになります。

朝日新聞の新聞記事の数字(S20人口、増減)と、この記事により算出可能な昭和19年人口(S19計算値)『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の数字(S19文献値)と市区名(対応する地区)、及び人口の一致の有無をまとめると以下の通りになります。

地区S20人口増減S19計算値S19文献値対応する地区一致
旧東京2,777,010-3,800,6106,577,6206,558,161特別区部×
八王子63,192-14,28677,47877,478八王子市
立川34,586-17,03851,62451,624立川市
麹町区17,976-30,48148,457150,748千代田区
神田区26,436-75,855102,291千代田区
日本橋区22,876-50,94773,823188,871中央区
京橋区53,344-61,704115,048中央区
芝区67,116-96,080163,196291,997港区×
麻布区20,697-59,00279,699港区×
赤坂区8,791-3,99212,783港区×
四谷区11,245-56,58367,828359,601新宿区
牛込区20,771-95,045115,816新宿区
小石川区43,444-97,863141,307270,993文京区
本郷区49,304-80,282129,586文京区
下谷区59,988-109,441169,429403,420台東区
浅草区24,581-209,410233,991台東区
本所区12,753-228,296241,049438,114墨田区
深川区14,094-196,759210,853396,337江東区
品川区89,782-124,492214,274395,770品川区×
目黒区121,333-81,200202,533202,533目黒区
荏原区53,708-127,789181,497品川区×
大森区160,865-136,896297,761564,784大田区
蒲田区52,135-214,888267,023大田区
世田谷区276,450-27,023303,473303,473世田谷区
渋谷区84,067-155,432239,499239,499渋谷区
淀橋区51,090-124,867175,957新宿区
中野区124,011-92,713216,724216,724中野区
杉並区211,229-48,517259,746259,746杉並区
豊島区92,192-209,865302,057302,057豊島区
滝野川区36,494-88,541125,035341,552北区
荒川区84,010-250,370334,380334,380荒川区
王子区101,807-114,710216,517北区
板橋区217,974-53,152271,126271,226板橋区+練馬区
足立区172,437-78,116250,553250,553足立区
向島区64,842-132,223197,065墨田区
城東区11,114-174,370185,484江東区
葛飾区171,557-10,017181,574181,574葛飾区
江戸川区146,497-47,712194,209194,209江戸川区
区部合計2,777,010-3,744,6336,521,6436,558,161特別区部×


八王子市と立川市、そして東京特別区部の大部分で、新聞記事から求められる数字と『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の人口が一致しますが、品川区+荏原区→品川区に関しては『昭和19年人口調査 集計結果摘要』よりも1人多く、麻布区+赤坂区+芝区→港区に関しては『昭和19年人口調査 集計結果摘要』よりも36,319人足りません。おそらく赤坂区の人口減少の数字が桁落ちして印刷されているのでしょう。実際各区の減少分を合計(3,744,633)しても、旧東京全体の減少分(3,800,610)と一致しません。なお新聞記事から求めることが可能な昭和19年の特別区部の人口(6,577,620または6,521,643)は、『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の昭和19年の特別区部の人口(6,558,161)とも微妙に異なります。

まあ一応は、麻布区、赤坂区、芝区以外の昭和19年人口調査における区別人口はほぼ確定しました。

官報の方では11月26日に、郡市区別人口が公表されておりますが、ここには人口の増減が載っておりません。11月23日に、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞が一斉に昭和20年11月1日付の人口調査の結果速報を発表しているということは、官報よりも先にメディアに公開された情報があり、そこに昭和19年の人口との比較が載っていたのでしょうか(毎日・読売の記事には昭和19年の人口との比較が載っていない)?それとも朝日新聞は独自に昭和19年の人口との比較をしたのでしょうか?

[82278]にも書いたように、国立公文書館で昭和19年人口調査関連の資料に一通り目を通しましたが、何れも市区町村別人口の情報が記載されていませんでした。また東京都公文書館の統計資料室に問い合わせた限りでは、該当するような資料は保管しておりませんでした。あと調べていないのは東京都公報ですが、こちらは立川にある都立多摩図書館にマイクロフィルムとして収められているのがほぼ唯一?の全閲覧可能な資料状態で、載っているかも分からない情報を端から端まで調べるのは大変そうです。
[85609] 2014年 5月 13日(火)01:23:24YT さん
北方領土・竹島の面積の扱い
余り政治的な話には立ち入りたくないのですが、国勢調査における北方領土・竹島の面積の扱いが時代とともに変化しているようです。

昭和25年から昭和45年の国勢調査までは、北方領土と竹島の面積は日本全国の面積に含んでおりません。しかしながら昭和50年以降の国勢調査からは、歯舞諸島を根室市に、他3島を北海道の郡部に、竹島を島根県隠岐郡五箇村の面積に加算するように変更がなされております(昭和50年国勢調査令(昭和50年4月10日政令第114号))。しかも厄介なことに、昭和50年以降の国勢調査では、面積の集計には含めるものの、人口密度の算出には面積に含めないという、面倒な計算方法が今日まで続いているようです。

北方領土・竹島の面積について、昭和25年~昭和40年の国勢調査においても遡って同様の修正をするべきなのか、面積の問題は人口問題以上に微妙な問題を含んでおります。
[85605] 2014年 5月 11日(日)00:49:48【2】YT さん
1965年、1970年の国勢調査の面積の問題点
[85587]に引き続き、1965年、1970年の国勢調査における面積を入力しましたが、現時点で最大の問題は、国勢調査報告書の面積に誤りが多すぎる点です。現在統計局のサイトから一通りの報告書をダウンロードできますが、総てをダウンロードできるわけではありません。例えば昭和40年の国勢調査の場合、ダウンロードできるのは1巻だけですが、こちらを使って市区町村別面積を入力したところ、合計が合わないという問題が発生しました。どうも東京都の面積に1.60 km2のズレが生じる問題があるようですが(これとは別に1巻では鳥島の面積の表中での扱いに誤りがある)、オンラインでは訂正をまとめたページも確認できないし、1巻のpdfだけでは問題が解決しませんでした。そこで昨日図書館で『昭和40年 勢調査全国都道府県市区町村人口総覧 都道府県の部 その13 東京都の人口』を閲覧し、結果23区の一部の面積等が改訂されていることを確認しました。ただ1巻の訂正をまとめた資料の存在を確認できませんでした。

それよりもひどいのが、昭和45年の国勢調査報告書です。pdfの質が悪いだけではなく、面積のデータでは、実際にフォント上で「5」と「6」の活字が30箇所以上間違っています。これは原稿を書いた人が悪筆だったせいなのでしょうか?あるいは人口はチェックしていても、面積の方までは再チェックがされなかったせいなのでしょうか?間違いの箇所の半分以上は人口密度を再計算することで正しい数字を見積もれますが(つまり原稿段階では正しい面積と人口密度が計算されていた)、小数点以下第二位の数字が間違っている場合は計算しても違いがでないことが多く、その場合は前後の年の国勢調査の面積を比較して正しそうな数字を選んでいますが、とにかく間違いが多過ぎです。

内容の方で昭和40年の国勢調査で問題になりそうなのが、秋田県南秋田郡大潟村の面積です。人口の方は16人と、郡別人口の方に集計されていますが、面積の方は、

2) 八郎潟の面積(218.62 km2)のなかに含まれている。

とあり、その八郎潟の面積の方は市郡別面積の方には加算されていません。正しい解釈としては昭和40年10月1日の時点で開拓が済んだ面積をどっから持ってくる必要がありますが、[85587]で示した、岐阜県郡上郡白鳥町に編入された福井県大野郡旧石徹白村の一部(人口は岐阜県郡部に加算されているが、面積は都道府県別や郡部・市部から除外)、岐阜県中津川市と長野県西筑摩郡山口村の間の境界紛争地域(人口は都道府県別や郡部・市部から除外されているが、面積は各県の郡別・市別に分割)と同じように、改訂すると郡市別・都道府県別面積の数字が変わってしまう問題を含んでいます。現時点でこれらのケースについては、国勢調査報告書の県別・市郡別のグルーピングを尊重し、面積の再分配は止めた方がいいのかも知れません。

また[85604]のケースや、[85587]で示した富山県下新川郡宇奈月町・朝日町の面積(これは昭和40年・昭和45年の国勢調査でも継続して問題となる)については再分配するべきなのか、まだ意見がまとまっていません。

とりあえず面積というのは自分が予想していた以上にいい加減なデータのようです。地積を積み上げてビルドアップで計算するのではなく、全体の地図を作製して、そこからビルドダウンで計算するのが基本のようです。有効となる数字も小数点以下第二位なのか小数点以下第三位なのかよく分かりませんが、国土地理院の方法によると万5千分の1の地図を使用とあるので、0.01 km2 = 1 haは、4 mm×4 mm四方となり、小数点以下第三位まで見積もるのには適していませんね。少なくともビルドダウンで計算した結果、丸め誤差が発生しないように分配されてしまっているようです。まあそもそも水平面って何なのでしょう?満潮干潮はどこまで考慮するのか、測量ではブーゲー異常を考慮するのか、多分これを調べ出すと、それだけで一冊の本ができそうですね。
[85604] 2014年 5月 11日(日)00:14:47YT さん
昭和25年において市町村別面積が示されていない地域の面積の分割試算
[85559]で、東京都新島若郷村と新島本村の面積が『昭和十年 全国市町村別面積調』、『昭和25年 国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その13 東京都』において合計となっている問題を指摘しましたが、改めて東京都統計年鑑を見たところ『第1回 東京都統計年鑑』(昭和27年、人口は昭和28年1月1日調)と『第2回 東京都統計年鑑』(昭和28年、人口は昭和28年1月1日調)において、人口密度が若郷村と新島本村とで異なることに気付きました。つまり東京都総務局統計部では、面積は合計で表しつつ、人口密度算出の際には独自に面積を決めていることになります。そこで人口密度から面積を逆算してみますと:

都道府県年月日人口人口密度面積最小値面積最大値下2桁有効と仮定した場合の面積
東京都新島若郷村1953.1.15873491.67951.68441.68
東京都新島本村1953.1.14,36016825.875426.029925.88~26.02
東京都新島若郷村1954.1.15633351.67811.68311.68
東京都新島本村1954.1.14,29116625.771825.927525.78~25.92

よって東京都統計年鑑からは、新島若郷村1.68 km2と新島本村25.90 km2 (合計27.58 km2より1.68 km2を除することで算出)が確定しました。

また石川県河北郡金津村・高松町について、『昭和26年 石川県統計書』によると

都道府県町村面積
石川県河北郡金津村8.00
石川県河北郡高松町13.20

面積の合計は21.20 km2であり、こちらも一応石川県統計書による面積が確定しました。

昭和25年において市町村別面積が示されていない地域([85559]参照)について、残りについても面積を分割算出しようと地方統計書の類と比較検討してみましたが、他は残念ながら重大な問題がありました。

まず埼玉県児玉郡阿久原村・渡瀬村について『昭和29年 埼玉県統計年鑑』によると

都道府県町村面積
埼玉県児玉郡阿久原村7.4
埼玉県児玉郡渡瀬村4.9

面積の合計は12.3 km2です。埼玉県統計年鑑の面積は下一桁までであり、桁落ちしておりますが、一応合計の数字は1950年国勢調査報告書の12.30 km2と一致します。

次に岐阜県加茂郡旧富岡村村の件ですが、『昭和23年 岐阜県統計書』、『昭和24年 岐阜県統計書』、『昭和25年 岐阜県統計書』、『昭和26年 岐阜県統計書』と『昭和十年 全国市町村別面積調』、『昭和25年 国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その21 岐阜県』における、関連する市町村の面積を並べると以下の通りです。

都道府県町村県統S23県統S24県統S25県統S26面積S10国勢S25
岐阜県加茂郡富岡村10.2310.2310.23
岐阜県加茂郡富田村6.7610.4810.4810.486.766.76
岐阜県武儀郡関町28.9139.2710.78
岐阜県関市57.3265.832.40
岐阜県武儀郡瀬尻村8.20
岐阜県武儀郡倉知村9.93
岐阜県山県郡千疋村3.473.473.47
岐阜県加茂郡田原村18.4314.5818.4318.44
岐阜県武儀郡下有知村8.488.488.488.488.48
岐阜県上記合計76.2876.2876.2876.2876.2876.31


岐阜県統計書の方はこれらの地域で少なくとも昭和26年まで『昭和十年 全国市町村別面積調』の数字を使い続けており、昭和25年の国勢調査で一部改訂された面積の数字が使われておりません。実際昭和25年の国勢調査の面積は『昭和十年 全国市町村別面積調』の面積に比べ、加茂郡俵村・武儀郡旧関町・旧瀬尻村・倉知村の合計で0.03 km2増えています。しかしながら、旧富岡村と旧富田村の面積は、昭和25年の国勢調査でも同じであり、よって昭和25年国勢調査の旧富岡村の面積10.23 km2の内、3.72 km2が加茂郡富田村に入り(合計10.48 km2)、残りの6.51 km2が武儀郡関町に入った(合計38.91 km2)と、当てはめることが可能です。

なお昭和24年10月1日の加茂郡富岡村の廃止に先立ち、昭和23年12月10日に加茂郡田原村の一部(昭和22年臨時国勢調査で278人)が武儀郡田原村に編入されています。『昭和24年 岐阜県統計書』では田原村の面積が3.85 km2ほど減り、その分が昭和24年武儀郡関町に加算されておりますが、一方で『昭和25年 国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その21 岐阜県』では、田原村の一部の編入が考慮されているようには見えず、国勢調査報告書の面積が明らかに間違っています。が、このような誤りは一々チェックしたら切りが無いので見なかったことにします。

一方問題となるのが岐阜県安八郡旧北平野村の件です。『昭和24年 岐阜県統計書』、『昭和25年 岐阜県統計書』、『昭和29年 岐阜県統計書』、『昭和30年 岐阜県統計書』と『昭和十年 全国市町村別面積調』、『昭和25年 国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その21 岐阜県』、『昭和30年 国勢調査報告 第1巻 人口総数』における、関連する市町村の面積を並べると以下の通りです([85559]で安八郡本郷村・池田村と書いてしまった箇所がありますが、揖斐郡の間違いです)。

都道府県郡市町村県統S24県統S25県統S29県統S30面積S10国勢S25国勢S30
岐阜県安八郡北平野村3.783.783.76
岐阜県安八郡神戸町5.238.578.5718.155.235.2017.99
岐阜県安八郡南平野村4.924.924.924.924.89
岐阜県安八郡下宮村5.685.685.685.685.65
岐阜県不破郡赤坂町5.075.075.0715.625.075.0815.40
岐阜県不破郡青墓村9.539.539.539.539.55
岐阜県揖斐郡池田村4.034.03
岐阜県揖斐郡本郷村9.539.53
岐阜県揖斐郡温知村14.0014.0013.55
岐阜県揖斐郡八幡村12.0912.0912.0912.0912.08
岐阜県揖斐郡宮地村9.129.129.129.129.11
岐阜県揖斐郡池田町35.2135.54
岐阜県上記合計68.9868.9868.9868.9868.9868.8768.93

関連する境界異動は以下の通りです。

昭和25年4月1日安八郡北平野村を廃し、その区域を分割し一部を同郡神戸町に編入し、残部を揖斐郡池田村に編入
昭和25年8月1日揖斐郡本郷村と池田村を廃し、その区域をもって同郡温知村を設置
昭和29年4月1日安八郡南平野村、神戸町、及び下宮村を廃し、その区域を分割し、
南平野村の一部を不破郡赤坂町に編入し、残部をもって安八郡神戸町を設置
昭和29年5月1日揖斐郡温知村を廃し、その区域をもって同郡池田村を設置
昭和29年5月1日揖斐郡池田村を廃し、その区域をもって同郡池田町を設置
昭和29年9月1日不破郡赤坂町及び青墓村を廃し、その区域をもって同郡赤坂町を設置
昭和30年4月1日揖斐郡池田町、八幡村、及び宮地村を廃し、その区域をもって同郡池田町を設置

岐阜県統計書の方はこれらの地域で少なくとも昭和30年まで『昭和十年 全国市町村別面積調』の数字を使い続けているのに対し、国勢調査の方では昭和25年と昭和30年の直前に改訂作業が行われています。とりあえず昭和25年国勢調査と岐阜府県統計書の面積の違いを比較すると、旧北平野村・神戸町・池田村・本郷村の合計で0.06 km2、昭和25年国勢調査の方が面積が減っております。旧北平野村だけで0.02 km2、神戸町だけで0.01 km2、池田村・本郷村の合計で0.01 km2減っております。『昭和24年 岐阜県統計書』・『昭和25年 岐阜県統計書』だけで判断すると、旧北平野村3.78 km2の内、神戸町に異動した面積は3.34 km2、温知村に異動した面積は0.44 km2となりますが、ここから昭和25年国勢調査の面積に合わせるには、0.02 km2の面積を両者から除する必要があります。諦めて按分()で判断すると、0.02 km2分は総て神戸町側に異動した分(3.34 km2 × 3.76/3.78 ≒ 3.32 km2)となり、よって昭和25年の国勢調査における面積は、安八郡神戸町が8.52 km2、揖斐郡池田町が13.99 km2となります。

北海道に関しては『昭和25年刊 北海道市町村市勢要覧』、『昭和27年刊 北海道市町村市勢要覧』という資料を閲覧できましたが、それぞれ面積についてはkm2から下三桁までしめされており、項目のうち総面積民有地細別について

冊子基本法規出どころ調査年月日
昭和25年刊丑統第836号通牒による市町村報告昭和24年8.1
昭和27年刊26統第508号通牒による市町村報告昭和26年4.1

とあります。「市町村報告」がいかなる資料なのか、現時点で私には判断がつきません(わかる方がいらしたら教えてください)。

まず北海道常呂郡佐呂間村と同郡若佐村に関しては、下三桁で示されている『昭和25年刊 北海道市町村市勢要覧』の面積を四捨五入すれば、昭和25年国勢調査の面積と同じとなり、一応面積は以下のように求まります。

都道府県町村統S25国勢S25按分
北海道常呂郡若佐村151.409n.a.151.41
北海道常呂郡佐呂間村224.708376.12224.71
北海道常呂郡上記合計376.117376.12376.12

しかしながら、その他、北海道空知郡砂川町・上砂川町・歌志内町、上川郡朝日村・上士別村・上川郡、河西郡中札内村・更別村・大正村・中川郡幕別町・広尾郡忠類村・大樹村の三ケースでは、北海道市町村市勢要覧記載の面積と国勢調査記載の面積が異なります。あえて面積を出そうとするなら、以下のように按分する必要があります。

都道府県町村統S25国勢S25按分
北海道空知郡砂川町73.477116.1072.65
北海道空知郡上砂川町45.700n.a.45.19
北海道空知郡歌志内町57.29858.3956.65
北海道空知郡上記合計176.475174.49174.49

都道府県町村統S27国勢S25按分
北海道上川郡朝日村511.124n.a.511.13
北海道上川郡上士別村165.750676.88165.75
北海道上川郡上記合計676.874676.88676.88

都道府県町村統S27国勢S25按分
北海道河西郡中札内村290.184n.a.288.74
北海道河西郡更別村181.348n.a.180.44
北海道河西郡大正村120.394558.76119.79
北海道中川郡幕別町339.828364.20338.13
北海道広尾郡忠類村203.440n.a.202.43
北海道広尾郡大樹村627.237830.68624.11
北海道三郡上記合計1,762.4311,753.641,753.64


次に岡山県小田郡白石島村・神島外村に関して昭和25年から昭和30年までの『岡山県統計書』などをチェックしましたが、残念ながら昭和29年以前に関しては市町村別面積が記載されておらず、記載されてるのは民有地・官有地などの地目別面積(単位:町)のみです。この場合、固定資産税の対象となる地積のみの面積ですので、所有者の存在しない土地の面積が含まれません。『岡山県統計書』では昭和30年以降に町村別の面積が記載されるようになりますが、岡山県小田郡白石島村と神島外村は昭和30年4月1日に共に笠岡市に編入されており、『昭和30年 岡山県統計書』では既に両村の面積が記載されていません。そこで地積から無理矢理按分して面積を求めてみたところ、以下のようになります。

都道府県町村統計S25(町)km2換算国勢S25按分
岡山県小田郡神島内村446.54.42809910.608.38
岡山県小田郡白石島村118.01.170248n.a.2.22
岡山県小田郡上記合計564.55.59834710.6010.60

最後に島根県に関し、『昭和23年 島根県統計書』や『昭和28年 a島根県統計書』を閲覧しましたが郡別の地積の情報はあっても、町村別の面積・地積の情報は全くありません。島根県簸川郡朝山村は昭和30年3月22日に出雲市に編入されておりますが、それでも敢えて昭和30年の国勢調査の数字から逆算で計算しようとすると以下のようになります。

都道府県市郡町村国勢S25国勢S30S25年の面積へ按分
島根県簸川郡窪田村39.6948.6048.37
島根県簸川郡旧乙立村27.11
島根県簸川郡朝山村26.78
島根県出雲市57.56138.65137.98
島根県簸川郡稗原村21.41
島根県簸川郡上津村13.80
島根県1市1郡上記合計186.35187.25186.35

すなわち島根県簸川郡旧乙立村の面積27.11 km2の内、8.68 km2が窪田村(39.69 + 8.68 = 48.37 km2)に異動し、残りの18.43 km2が朝山村(26.78 + 18.43 = 45.21 km2)に異動したと、強引に推測できます。

このように、岐阜県の一部、北海道、岡山県、島根県に関しては、昭和25年の国勢調査で合計などでしか示されてない面積を無理に町村別に算出しようとすると、ある程度恣意性を排除することが出来ないことになります。
[85587] 2014年 5月 7日(水)02:04:44【2】YT さん
1960年の市区町村別面積の問題点
まず[85559]冒頭の備考の説明の番号が間違っているので訂正します。

(B) 十和田湖(59.86 km2)を含む。
に対応するのは全国計で、

(C) 十和田湖(59.86 km2)を含まない。
に対応するのは青森県・秋田県で、

(D) 宍道湖 (82.32 km2)は市部・郡部の面積に含まない
に対応するのは島根県です([85559]では(B)になっている)。

文章を書いている途中で後から十和田湖の面積の脚注を追加したので、番号がずれてしまいました。

現時点で昭和35年(1960年)の市区町村別人口を入力し終えたところですが、その面積にも3つほど問題となる箇所がありました。

1960年国勢調査における都道府県別・市郡別面積をまとめると以下のようになります。

都道府県合計市部郡部その他備考
全国369,660.7482,559.42285,577.661,446.34
北海道78,508.6710,207.5568,301.12
青森県9,612.652,225.917,324.0262.72小川原湖
岩手県15,274.463,987.0611,287.40
宮城県7,285.711,187.396,098.32
秋田県11,608.971,823.539,566.21219.23八郎潟
山形県9,325.152,983.136,342.02
福島県13,779.821,886.2011,789.66103.96猪苗代湖
茨城県6,087.921,562.884,525.04
栃木県6,419.441,959.634,459.81
群馬県6,349.961,033.975,315.99
埼玉県3,799.831,388.822,411.01
千葉県5,034.431,530.973,503.46
東京都2,026.891,030.55996.34
神奈川県2,361.371,277.991,083.38
新潟県12,575.333,452.659,122.68
富山県4,252.03970.733,281.30
石川県4,193.921,656.962,509.9826.98邑知潟 (3.96); 河北潟 (23.02)
福井県4,187.381,496.562,690.82
山梨県4,463.481,114.793,348.69
長野県13,581.562,591.6210,975.7814.16諏訪湖
岐阜県10,521.821,535.488,986.34
静岡県7,768.822,448.495,255.4464.89浜名湖
愛知県5,057.481,887.033,170.45
三重県5,765.811,866.703,899.11
滋賀県4,016.00443.722,877.78694.50琵琶湖
京都府4,612.072,026.012,586.06
大阪府1,831.471,312.94518.53
兵庫県8,329.922,371.515,958.41
奈良県3,692.15630.783,061.37
和歌山県4,714.99565.614,149.38
鳥取県3,488.39501.972,986.42
島根県6,625.031,490.855,052.3781.81宍道湖
岡山県7,059.931,685.705,357.5816.65児島湾干拓第7区
広島県8,431.231,525.256,905.98
山口県6,073.102,071.034,002.07
徳島県4,142.85541.243,601.61
香川県1,859.36391.331,468.03
愛媛県5,651.181,527.954,123.23
高知県7,104.241,990.385,113.86
福岡県4,900.771,491.323,409.45
佐賀県2,403.50888.911,514.59
長崎県4,086.381,121.752,964.63
熊本県7,371.411,373.215,998.20
大分県6,312.431,406.624,905.81
宮崎県7,732.511,786.535,945.98
鹿児島県9,140.172,308.226,831.95
十和田湖59.7759.77青森県・秋田県に含まず
中海101.67101.67鳥取県・島根県に含まず
岐阜県郡上郡白鳥町に編入された福井県大野郡旧石徹白村の一部77.3277.32福井県・岐阜県に含まず

続いて3つの問題点を列挙しますと:

(1) 岐阜県郡上郡白鳥町へ異動した旧石徹白村の領域(住民あり)の取り扱い

まずは福井県大野郡旧石徹白村です。大野郡石徹白村は昭和30年の国勢調査によると人口1,402人、面積103.07 km2ですが、昭和33年10月14日に石徹白村の一部(105人、25.75 km2)が福井県大野郡和泉村(昭和35年の面積 332.26 km2 = 旧下穴馬村128.29 km2 + 旧上穴馬村 178.22 km2 + 旧白鳥町 25.75 km2)となります。そして翌日の昭和33年10月14日に、白鳥町の残りの地区(1,297人、77.32 km2)が岐阜県群上郡白鳥町(昭和35年の面積 118.78 km2)となっております。

これに関して昭和35年国勢調査報告によると、

3) 岐阜県郡上郡白鳥町の面積のうち,昭和33年10月15日同町に編入された福井県大野郡旧石徹白村の面積は,全国の面積に含まれているが,境界不明のため,岐阜県および白鳥町の各面積には含まれていない。

とあり、人口1,297人が住んでいる77.32 km2の帰属をはっきりさせておりません。ただし昭和35年の国勢調査報告書の方では、13,658人中1,297人分が住んでいる土地を無視して、そのまま人口密度を計算しています(13,658人/118.78 km2 ≒ 115.0 人/km2)。

昭和40年(1965年)の国勢調査では、岐阜県郡上郡白鳥町の面積は196.24 km2(昭和35年より77.42 km2増加)、福井県大野郡和泉村の面積は332.26 km2(昭和35年と同一)となっており、77.32 km2の土地はそのまま岐阜県郡上郡白鳥町に加算されていることになります(残りのプラス0.10 km2は、昭和36年4月1日に大和村の一部が白鳥村へ人口異動なしに境界変更されたことに対応すると考えられます)。よって旧石徹白村の面積77.42 km2は、昭和35年の時点で岐阜県郡上郡白鳥町に加算して問題ないように思えるのですが、国勢調査の方を優先するべきか悩ましいところです。

(2) 岐阜県中津川市と長野県西筑摩郡山口村の間の境界紛争地域の面積
御存じのように昭和35年の国勢調査の場合、岐阜県中津川市と長野県西筑摩郡山口村の間の境界紛争地域の人口79人が岐阜県と長野県の人口に加算されておりません。

2) 岐阜県中津川市と長野県西筑摩郡山口村の間の境界紛争地域の人口 (79人) は,全国計に含まれているが,岐阜県および長穏県のいずれにも含まれていない。

ところがこの境界紛争地域の面積については何ら言及がなく、岐阜県中津川市と長野県西筑摩郡山口村の間で分割されているように見えます。

(1)の場合は、人口を分割しているのに、面積の分割を完了していないことになりますが、(2)の場合は、逆に面積を分割しているのに、人口を分割していないケースということになります。

(3) 下新川郡宇奈月町・朝日町の面積

昭和30年の国勢調査では、富山県下新川郡宇奈月町の面積424.82 km2、富山県下新川郡朝日町の面積146.76 km2と分割されておりました(合計571.58 km2)。その後昭和34年1月1日に朝日町の一部(昭和30年の人口1355人)が下新川郡舟見町(昭和30年の面積12.20 km2)へ異動しておりますが、さらに舟見町は同日昭和34年1月1日に下新川郡入善町(昭和30年の面積56.33 km2)に吸収されております(昭和35年の入善町の面積71.58 km2で、15.25 km2の増加)。よて昭和34年1月1日に朝日町から入善町へ異動した面積は3.05 km2と推測されます。

ところが昭和35年の国勢調査では、下新川郡宇奈月町・朝日町の面積は示されず、人口密度も空欄となっております。脚注によると


2) 下新川郡宇奈月町と同郡朝日町の境界未定。同町の各面積も測定不能。(両町の合計面積は 568.61 km2)。

とあります。昭和30年の国勢調査と比べて2.97 km2面積が減っており、朝日町から入善町への異動で面積が3.05 km2で減少したのほかに、0.08 km2の面積が増えたことになりますが、この辺は昭和30年の国勢調査において、

一部調査未了のため総理府統計局において推定した。

ことに伴う誤差と考えられます。

そこでより新しい国勢調査の面積を使って、下新川郡宇奈月町・朝日町の面積を推定できるのではないかと期待して、より新しい国勢調査の報告書をチェックしたところ、なんとこの面積の問題は昭和40年・昭和45年・昭和50年の国勢調査においても続いていることが分かりました。昭和40年の国勢調査報告書によると

2) 富山県下新川郡宇奈月町と同郡朝日町の各面積は推定不能 (両町の合計面積は 568.61 km2)。

昭和45年の国勢調査報告書によると

3) 富山県下新川郡宇奈月町と同郡朝日町の各面積は推定不能 (両町の合計面積は 568.61 km2)。

昭和50年の国勢調査報告書によると

2) 富山県下新川郡宇奈月町と同郡朝日町の各面積は推定不能 (両町の合計面積は 568.61 km2)。

昭和35年・昭和40年・昭和45年・昭和50年の国勢調査では、何れも両町の面積と人口密度は空欄となっております。昭和55年の国勢調査でようやく宇奈月町341.20 km2、朝日町227.41 km2という数字に落ち着いています(合計568.61 km2)。奇しくもこの地区に関しては1980年まで1960年の合計面積を使いまわしていたことが判明しましたので、結果として1960年まで遡って宇奈月町341.20 km2、朝日町227.41 km2を適用することも可能に見えますが、その一方でわざわざ20年近くにわたり、国勢調査では宇奈月町と朝日町の面積を確定せずに放置し続けていたのも事実です。これも国勢調査表記を優先する場合にはどのようにまとめるべきなのか、悩ましいところです。

【追記:タイトルが『「1950年」の市区町村別面積の問題点』となっていたので、「1960年」に修正しました。また白鳥町の所属郡が一部間違っていたので訂正。】
[85568] 2014年 5月 5日(月)22:32:20YT さん
国勢調査報告の変遷情報等では、日野郡江尾町と西伯郡外江町の町制施行日を取り違えている?
[85566] 白桃 さん
[85567] MI さん
鳥取県告示第四百九十二号
日野郡江尾村を江尾町とし昭和二十二年十一月一日から及び西伯郡外江村を外江町とし同年十一月三日から施行することを夫々同年十月八日許可した。
  昭和二十二年十月三十一日
    鳥取県知事 西尾愛治
 手許で確認した限り、これに関する「正誤」は出ておりません。とすれば、江尾村から江尾町への町制施行日は1947年10月1日でも11月3日でもなく「11月1日」が正当ということになります。YT さんご確認の「国勢調査報告」や上記「鳥取県の市町村変遷」は、この告示文を読み誤ったということになるのでしょうか。


この件に関して『昭和25年国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その31 鳥取県』から[85558]で紹介した前後の文章を見ると、

28) 昭和22. 11. 1. 西伯外江村を外江町とする。((4 270―昭和22.10.1 人口、この項以下同じ。) 備考 昭和15 (3 186)、昭和10 (3 379)、昭和5 (3 552)、大正14 (3 429)、大正9 (3 015)
29) 昭和22. 11. 3. 日野郡江尾村を江尾町とする。((2 705) 備考 昭和15 (2 321)、昭和10 (2 388)、昭和5 (2 512)、大正14 (2 221)、大正9 (2 529))

となっております。変遷情報に関しては広報等を優先するべきで、MIさんが指摘されたように日野郡江尾町の町制施行は昭和22年11月1日(現在鳥取県の変遷情報#82では1947(S22).10.1となっている)、西伯郡外江町の町制施行は昭和22年11月3日(現在鳥取県の変遷情報#83では正しく1947(S22).11.3となっている)とするのが正しいでしょう。

『昭和25年国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その31 鳥取県』と『鳥取県の市町村変遷』は、共に日野郡江尾町と西伯郡外江町をセットで日付を取り違えてしまっているように見えます。おそらく鳥取県の市町村変遷』が、参考文献としての『昭和25年国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その31 鳥取県』の記述の誤りを引き継いでしまったのではないでしょうか。
[85563] 2014年 5月 5日(月)10:05:24【1】YT さん
昭和15年10月~昭和22年9月までの福岡市の変遷情報
[85561] 白桃 さん

「1955年の国勢調査人口の要修正箇所・および変遷情報の要修正箇所」について(まだ十分に拝見させて頂いたわけではありませんが)、少なくとも上記の部分は明らかに間違いだと思います。


ご指摘ありがとうございます。自分も国勢調査報告書が完全なものだとは思っていません。

330,377という数字は、1940年(昭和15年)の福岡市、箱崎町、壱岐村、残島村、今宿村の人口の合計ですが、福岡市はその後、1942年に今津村を編入しております。今津と彦山を取り違えたのではないでしょうか?


ご指摘の通り、330,377という数字は、1940年(昭和15年)の福岡市(306,763)、箱崎町(16,454)、壱岐村(3,585)、残島村(917)、今宿村(2,658)の合計に相当します。『昭和25年国勢調査報告 第7巻 都道府県編 その40 福岡県』から昭和15年10月~昭和22年9月の変遷情報の内、福岡市がらみの数字を抜き出すと、以下のようになっています([85558]で田川郡彦山村の変遷情報を51番目と書いてしましましたが、正確には81番目です)。

75) 昭和15. 12. 26. 糟屋郡箱崎町 (16 454―昭和15. 10. 1 人口、この項以下同じ。) を廃し、その区域を福岡市 (306 763…計 323 217) に編入。(備考 箱崎町 昭和10 (14 635)、昭和5 (11 945)、大正14 (8 926)、大正9 (7 145))

80) 昭和16. 10. 15. 早良郡壱岐村 (3 585)、残島村 (917) 及び糸島郡今宿村 (2 658) を廃し、その区域を福岡市 (323 217…計 330 377) に編入。

(備考)昭和 10昭和 5大正 14大正 9
早良郡 壱岐村3 5663 2843 0682 940
早良郡 残島村956806805813
糸島郡 今宿村2 6832 5992 5432 593


81) 昭和17. 2. 11. 田川郡彦山村 (3 426) を廃し、その区域を福岡市 (330 377…計 333 803) に編入。(備考 昭和10 (3 058)、昭和5 (2 949)、大正14 (2 804)、大正9 (2 785))

82) 昭和17. 4. 1. 糸島郡今津村 (2 172) を廃し、その区域を福岡市 (333 803…計 335 975) に編入。(備考 昭和10 (2 123)、昭和5 (2 029)、大正14 (2 075)、大正9 (2 040))


『昭和22年 臨時国勢調査結果報告』の方には、昭和21年人口調査との人口の比較が掲載されていますが、昭和15年国勢調査との人口の比較が掲載されていません。昭和15年の国勢調査の結果が出版されたのは、昭和22年の臨時国勢調査や昭和25年の国勢調査の結果が出版されたのよりも後のことであり、人口比較による十分なチェックが行われなかったため、誤った記述が昭和25年の国勢調査結果報告書の方にも記載されてしまったのでしょう。
[85560] 2014年 5月 5日(月)00:43:17【1】YT さん
1950年の市区町村別面積の問題点 (2) 沖縄県の問題
なお統計局のサイトでは閲覧できませんが、昭和30年の国勢調査における面積は、『昭和30年国勢調査 全国都道府県郡市区町村別面積改定表』で大幅に改訂されております。

都道府県合計市部郡部その他備考
全国369,660.7467,761.23300,598.951,300.56
北海道78,508.677,662.0670,846.61
青森県9,612.651,728.187,884.47
岩手県15,274.463,626.3411,648.12
宮城県7,285.71792.206,493.51
秋田県11,608.971,797.309,592.44219.23八郎潟
山形県9,325.152,105.677,219.48
福島県13,779.821,597.1112,078.75103.96猪苗代湖
茨城県6,089.681,162.094,927.59
栃木県6,437.641,736.494,701.15
群馬県6,331.86841.105,490.76
埼玉県3,802.421,019.782,782.64
千葉県5,033.921,367.693,666.23
東京都2,023.01919.221,103.79
神奈川県2,361.371,176.841,184.53
新潟県12,575.333,046.979,528.36
富山県4,252.03916.413,335.62
石川県4,193.921,064.193,104.2725.46河北潟(23.02); 芝山潟(2.44)
福井県4,264.701,350.792,913.91
山梨県4,463.481,106.743,356.74
長野県13,624.031,863.1911,746.6814.16諏訪湖
岐阜県10,479.291,350.899,128.40
静岡県7,768.751,775.875,992.88
愛知県5,057.551,592.333,465.22
三重県5,765.851,734.624,031.23
滋賀県4,016.00422.342,899.16694.50琵琶湖
京都府4,633.611,806.972,826.64
大阪府1,809.93977.35832.58
兵庫県8,329.921,953.066,376.86
奈良県3,692.11250.433,441.68
和歌山県4,714.99368.604,346.39
鳥取県3,488.39475.403,012.99
島根県6,625.041,311.525,231.7181.81宍道湖
岡山県7,059.931,623.245,436.69
広島県8,431.221,101.867,329.36
山口県6,073.101,995.874,077.23
徳島県4,142.85248.173,894.68
香川県1,859.36238.701,620.66
愛媛県5,651.181,228.564,422.62
高知県7,104.241,523.595,580.65
福岡県4,900.771,425.103,475.67
佐賀県2,403.50878.271,525.23
長崎県4,086.381,057.793,028.59
熊本県7,371.41999.066,372.35
大分県6,312.431,381.454,930.98
宮崎県7,732.511,416.836,315.68
鹿児島県9,140.171,743.007,397.17
十和田湖59.7759.77青森・秋田に含まず
中海101.67101.67鳥取・島根に含まず

このほか、小笠原は本土復帰するまで国勢調査が行われていませんが、沖縄では米国政府が国勢調査を行っています。

沖縄県の国勢調査の場合、1950年、1955年、1960年と、個別の市町村別面積は示されておりませんが、(1950年は奄美群島を除く)面積合計の方は2,388.24 km2のまま採用されております。ところが1965年の国勢調査で初めて沖縄県の個別の市区町村別面積が示されているのですが、その面積は

地区面積備考
合計2,388.22
沖縄群島1,500.67
(1) 北部地区(842.98)沖縄群島要覧
(2) 中部地区287.79
(3.1) 那覇地区35.68那覇市統計書
(3.2) 南部地区335.46
宮古群島250.02
八重山群島637.56

となっており沖縄群島の面積が、各地区の面積合計と等しくありません。これは

1. 面積は首都して昭和14年沖縄県統計書(第1編内務)による1939年12月末現在の数字である。
2. ( )は沖縄群島要覧による。
3. 那覇地区の面積は那覇市統計書1966年版による1963年7月16日現在の数字である。

とあり、1963年の那覇市統計書の数字の扱いに問題があることになります。つまり那覇市拡大に伴う面積の増減がきっちり処理されていないことを意味します。

実際、『第一回琉球統計年鑑』から数字を持ってくると、1950年、1955年、1960年の沖縄群島の南部地区+那覇地区の合計の面積は369.90 km2となり、沖縄群島の面積の方は何ら問題のないものになります。

一方、[85559]に示すように1950年の国勢調査で採用されている宮古群島の面積250.01 km2、八重山群島の面積637.54 km2を用いると、合計の数字にも問題がないことになりますが、市区町村別面積を合計すると、宮古群島と八重山群島では上に示すように合計0.03 km2面積が増えてしまいます。『第一回琉球統計年鑑』でこれらの数字を検証すると、少ない方の数字は『沖縄群島要覧』、多い方の数字は『昭和14年 沖縄県統計書』の昭和15年末の面積によることが明示されております。そこで『昭和15年 沖縄県統計書』から昭和15年年末の数字を持ってくると

地区面積備考
合計2,386.24鳥島(面積不明)を含まず
沖縄群島1,498.66
(1) 国頭郡798.33
(2) 中頭郡287.79
(3.1) 那覇市5.11
(3.2) 首里市2.45
(3.3) 島尻郡404.98
宮古郡250.02
八重山郡637.56

つまり昭和15年末の時点では2386.24 km2、その後昭和25年の『沖縄群島要覧』の時点で、鳥島2.0 km2の面積ほか、北部地区や南部地区の面積が改訂され、さらに宮古郡と八重山郡で合計0.03 km2の改訂が行われた。ところが市区町村別面積の方は、なぜか昭和15年の数字を引き継いだ表記が『琉球統計年鑑』でなされ、さらに昭和40年の国勢調査那では那覇地区だけで面積改訂を行ったため、昭和40年の国勢調査の方では市区町村別面積の合計と一致しないという事態が深刻化してしまった、ということになります。

琉球地区に関しては奄美群島の面積を含め、色々要調査箇所があり、現状としては『沖縄群島要覧』を閲覧し、この誤差が丸め誤差や換算誤差によるものなのか、それとも別なのか、その原因をつかむ必要があることなります。昭和25年~40年の沖縄県の面積として2,388.22 km2(奄美群島を除く)を用いるのであれば、まず『沖縄群島要覧』の数字が優先されるべきでしょう。
[85559] 2014年 5月 4日(日)23:45:51【2】YT さん
1950年の市区町村別面積の問題点 (1) 一部の市町村別面積の数字が分割・吸収前のまま
現時点で私の手元で沖縄・奄美・小笠原・北方領土・竹島を除く地域について、1950年と1955年の国勢調査報告書に記載の面積を一応まとめましたが、幾つか重大な問題が発生しています。まず昭和25年国勢調査の最終報告書(第八巻)における日本全土の都道府県別面積と、『昭和十年 全国市町村別面積調』をまとめると以下の通りです。

都道府県合計(km2)市部(km2)郡部(km2)その他(km2)備考昭和10年(km2)
全国368,284.1519,815.28348,326.69142.18382,545.42
北海道78,486.064,272.3474,213.7288,775.04
青森県9,623.55127.829,495.739,630.92
岩手県15,230.47483.6114,746.8615,235.31
宮城県7,266.04228.917,037.137,273.75
秋田県11,614.59202.2211,412.3711,663.86
山形県9,331.74210.959,120.799,325.76
福島県13,772.74177.3213,595.4213,781.61
茨城県6,092.17120.845,971.336,090.99
栃木県6,438.89107.106,331.796,436.59
群馬県6,334.12137.756,196.376,335.87
埼玉県3,808.09216.153,591.943,802.68
千葉県5,032.16363.674,668.495,062.09
東京都2,031.12618.071,413.052,144.80
神奈川県2,361.13819.571,541.562,352.81
新潟県12,570.46193.3912,377.0712,578.05
富山県4,257.21181.484,075.734,257.42
石川県4,195.75285.613,910.144,192.42
福井県4,253.87111.374,142.504,264.48
山梨県4,463.5650.184,413.384,465.87
長野県13,630.96267.4813,363.4813,626.13
岐阜県10,491.69310.8310,180.8610,494.70
静岡県7,771.13546.577,224.567,769.91
愛知県5,049.06576.684,472.385,081.14
三重県5,762.38430.185,332.205,765.28
滋賀県4,025.36135.093,890.274,050.93
京都府4,632.421,034.003,598.42(A)4,621.20
大阪府1,814.63649.301,165.331,813.63
兵庫県8,332.32879.667,452.668,322.85
奈良県3,687.9749.423,638.553,688.60
和歌山県4,732.40125.674,606.734,723.48
鳥取県3,488.5074.623,413.883,489.48
島根県6,626.06218.346,325.4082.32(B)6,624.60
岡山県7,059.00213.716,845.297,046.48
広島県8,422.16291.538,130.638,436.52
山口県6,098.11977.825,120.296,082.11
徳島県4,141.6391.414,050.224,143.22
香川県1,862.3488.261,774.081,858.73
愛媛県5,663.15277.375,385.785,667.26
高知県7,104.93132.906,972.037,103.62
福岡県4,906.35772.004,134.354,939.70
佐賀県2,403.7455.632,348.112,449.03
長崎県4,069.97541.103,528.874,075.98
熊本県7,385.28495.846,889.447,437.75
大分県6,329.31447.305,882.016,333.87
宮崎県7,744.04642.877,101.177,738.85
鹿児島県7,825.68581.357,244.339,103.81
沖縄県2,386.24
十和田湖59.8659.86

備考:
(A) 一巻,四巻(全国368,302.94 km2、京都府4,630.47 km2,鹿児島県7846.42 km2)と七巻,八巻で面積が異なる。
昭和28年9月に市町村面積の改訂を行った結果第一巻に掲載の面積より市部(1.14方粁減)、郡部(3.09方粁増)、県計(1.95方粁増)がそれぞれ増減している。
鹿児島県における面積修正(-20.74 km2)の原因は不明
(B) 十和田湖(59.86 km2)を含む。
(C) 十和田湖(59.86 km2)を含まない。
(D) 宍道湖 (82.32 km2)は市部・郡部の面積に含まない。

面積については以下のように解説されています。

1) 旧内地の面積は昭和10年内閣統計局刊行「全国市町村別面積調」を基礎として、建設省調査所の史料より訂正したもの。
9) 昭和25年国勢調査第一巻第1表の昭和25年の面積368,302.94方キロを本数字に改訂。


つまり面積のデータは基本的には『昭和十年 全国市町村別面積調』からの増減で対応していることが分かります。ただし面積の出所は「昭和25年 全国市町村別面積調査(建設省地地理調査所)」とありますが、そもそもこの資料が閲覧可能な印刷された資料なのかどうかが分かりません。

また『琉球統計報告 第2巻第5号』 (1952年)によると、1950年の国勢調査面積は以下の通りとなっております。

群島土地面積(km2)
全琉球3,677.24
沖縄群島1,500.69
奄美群島1,239.00
宮古群島250.01
八重山群島637.54

1、面積は参謀本部陸地測量部の5万分の1の地形上における1940年1月26日の調査を基礎にして算出したものである。
2、沖縄群島の面積は、硫黄島島(2方粁)を含んだ数字である。
3、奄美群島の面積には、十島村(18.39方粁)を含んだ数字である。


なお『琉球統計報告』などの1950年国勢調査報告書には琉球の市区町村別の面積の情報が記載されておりませんが、『沖縄県統計書 昭和15年第1編』および『琉球統計年鑑 第1回(1955-1956年)』と照らし合わせることにより、市区町村別面積について一応算出することが可能です。ただし1950年国勢調査における奄美群島の市町村別面積の情報がまだ得られておらず、『沖縄群島要覧』 (1952年)の閲覧・比較検討を予定しております。


既に上の表でも十和田湖と宍道湖が特別扱いとなっておりますが、昭和25年の国勢調査については以下のように市区町村の面積に含まれない地域が存在します。もっともこれらは市区町村面積とは別に集計することで対応可能です。

都道府県地域面積
青森県南津軽郡五郷村外錯雑地3.79
青森県上北郡小川原沼62.26
青森県(郡部)十三湖20.55
宮城県玉造郡西大崎村外六ヶ村入会地5.57
秋田県(郡部)八郎潟湖222.21
山形県東村山郡長崎町外三ヶ村入会地0.08
山形県東村山郡豊田村長崎町入会地0.36
山形県西置賜郡西根村平野村入会地105.96
福島県(郡部)猪苗代湖104.15
茨城県行方郡霞ヶ浦30.97
茨城県真壁郡所属不明の飛地0.08
千葉県君津郡秋元村三島村入会地0.25
千葉県印旛郡印旛沼の所属不明地域15.19
東京都(三宅支庁)三宅島三宅村阿古村坪田村共有地5.48
東京都(八丈支庁)鳥島4.65
東京都(八丈支庁)ベヨネイス列岩0.02
東京都(八丈支庁)須美寿島0.05
東京都(八丈支庁)嬬婦岩0.01
神奈川県足柄上郡北足柄村外九ヶ村組合地11.14
神奈川県足柄上郡南足柄村外九ヶ村組合地9.23
神奈川県足柄上郡岡本村外九ヶ村組合地5.44
神奈川県足柄下郡湯河町外一ヶ村入合地0.39
神奈川県足柄下郡宮城町村外七ヶ村組合地5.10
新潟県佐渡郡加茂湖の所属不明地域0.97
富山県下新川郡黒部国有林351.79
富山県東礪波郡東山見村外一ヶ村入会地1.45
富山県西礪波郡石黒村吉江村入会地1.62
富山県西礪波郡東石黒村西野尻村入会地2.53
石川県珠洲郡河北潟22.85
石川県珠洲郡邑知潟4.74
福井県大野郡大野町外三ヶ村入会地2.47
山梨県東八代郡花鳥村外五ヶ村入会地5.49
山梨県東八代郡旧岡村外二ヶ村入会地1.56
山梨県東八代郡増田村富士見村外二ヶ村入会地2.30
山梨県北巨摩郡駒城村外二ヶ村入会地38.11
長野県諏訪郡諏訪湖14.45
長野県上伊那郡美篶村高遠町錯雑地0.11
静岡県賀茂郡天城御料地78.21
静岡県田方郡棚塩山御料地4.06
静岡県田方郡天城御料地73.61
静岡県駿東郡小山町外二ヶ村入会地0.66
静岡県富士郡富士山御料地28.61
静岡県引佐郡猪鼻湖5.57
静岡県(郡部)浜名湖70.74
三重県一志郡豊地村外三ヶ村入会地5.98
三重県北牟婁郡長島町桂城村入会地0.14
滋賀県(郡部)琵琶湖695.47
京都府与謝郡阿蘇海5.19
京都府熊野郡久美浜湾7.30
大阪府南河内郡河内村白木村錯雑地1.63
大阪府南河内郡中村河内村錯雑地0.93
奈良県北葛城郡陵西村外三ヶ村入会地0.93
和歌山県伊都郡妙寺町信太村入会地0.54
鳥取県東伯郡東郷池4.32
島根県(市部・郡部外)宍道湖82.32
(都道府県外)(市部・郡部外)十和田湖59.86


しかしながら、以下の地域については、分割・吸収前の市区町村の面積が調査未了により残ってしまっています。

都道府県市区町村面積備考
北海道空知郡上砂川町n.a.昭和24年4月1日砂川町の一部及び歌志内町の一部を以て新設、調査未了。
北海道空知郡砂川町116.10
北海道空知郡歌志内町58.39
北海道上川郡朝日村n.a.昭和24年8月20日上志別町の一部を以て新設、調査未了。
北海道上川郡上士別村676.88
北海道河西郡中札内村n.a.昭和22年9月1日大正村の一部を以て新設、調査未了。
北海道河西郡更別村n.a.昭和22年9月1日大正村の一部を以て新設、調査未了。
昭和23年4月1日幕別町との間に境界変更、調査未了。
北海道河西郡大正村558.76
北海道中川郡幕別町364.20
北海道広尾郡忠類村n.a.昭和24年8月20日大樹村の一部を以て新設、調査未了。
北海道広尾郡大樹村830.68
北海道常呂郡若佐村n.a.昭和23年4月1日佐呂間村の一部を以て新設、調査未了。
北海道常呂郡佐呂間村376.12
埼玉県児玉郡阿久原村n.a.昭和24年12月1日児玉郡若泉村を廃し、その区域をもって渡瀬村及び阿久原村を設置。
埼玉県児玉郡渡瀬村12.30
東京都(大島支庁)新島本村27.58新島本村・新島若郷村あわせて面積27.58 km2。
東京都(大島支庁)新島若郷村27.58
石川県河北郡金津村n.a.河北郡高松町の一部をもって金津村を設置。
石川県河北郡高松町21.20
岐阜県安八郡旧北平野村3.76昭和25年4月1日安八郡北平野村を廃し、その区分を分割し、一部を同郡神戸町に編入し、残部を揖斐郡池田村に編入。
岐阜県安八郡神戸町5.20
岐阜県揖斐郡温知村13.55昭和25年8月1日安八郡本郷村及び池田村を廃し、その区域をもって同郡温知村を設置。
岐阜県加茂郡旧富岡村10.23昭和24年10月1日加茂郡富岡村を廃し、その区分を分割し、一部を同郡富田村に編入し、残部を武儀郡関町に編入。
岐阜県加茂郡富田村6.76
岐阜県武儀郡関町32.40
島根県簸川郡旧乙立村27.11昭和25年5月3日簸川郡乙立村を廃し、その一部を同郡窪田村に、他の一部を同郡朝山村に編入。
島根県簸川郡朝山村26.78
島根県簸川郡窪田村39.69
岡山県小田郡白石島村n.a.昭和24年4月1日小田郡神島外村の一部をもって設置、調査未了
岡山県小田郡神島外村10.60

当初これらの面積も昭和30年の国勢調査の面積を参考に加減することで対応可能と考えておりました。しかしながら実際に面積を比較したところ、昭和25年と昭和30年の間で面積の基礎資料に断絶があることが分かりました。『昭和30年 国勢調査報告 第一巻 人口総数』によると

この報告書に掲げた昭和30年の都道府県市区郡町村別面積は,建設省地理調査所および総理府統計局が,終戦後修正を施した5万分の1地形図(応急修正版)上において新たに測定した昭和30年10月1日現在の境域による市区町村の平面面積である。したがって,この数値は従来の5万分の1の地形図による面積とは,地域に異動がない場合でも,かならずしも一致しない。

とあり、昭和30年の面積から逆算して修正しようとしても、恣意性を排除することは不可能です。

そこで例えば北海道について地方統計書の記述を調べてみようと、試しに『第64/65回北海道統計書 (昭和30/31年)』を閲覧してみましたが、既に面積の方は昭和30年国勢調査ベースの方法で計算したものと一致しており、より古い北海道統計書との比較が必要なことが分かりました。

また東京都の新島本村・新島若郷村に関しては、『昭和28年 東京都統計年鑑』の段階では一緒の面積が記載され、『昭和29年 東京都統計年鑑』では合併が完了してしまっており、公的に両者を分離した数字がないようです。一応『昭和13年 市町村概観.』によると、

官有地民有地合計メートル法換算値(m2の単位で四捨五入)
新島本村60町98畝1036町51畝1097町49畝10,884,198
新島若郷村2町82畝26歩102町23畝26歩105町06畝22歩1,041,990

とあり、メートル法で換算すると合計11.93 km2となりますが、これは国勢調査報告書の数字である27.58 km2を大幅に下回り、官有地・民有地の設置されていない地域が16 km2近くもあることになります。


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