[104793]あきごんさん
武蔵国の人口
いわゆる旧国名と呼ばれる「国」に関しては、hmtさんが遺されたマガジンの特集『
国内地域の「国」』があります。現在では行政区画として機能しない「国」の範囲・境界を考えるにあたっては、特集内の記事でも指摘されているように「どの時点に基準を置くか」が大事になってきます。今回の場合は
[59112]hmtさんの言われた
かつて行政区画だったいわゆる「令制国」が1868年に廃止されたわけですが、「地理的名称としての国」は存続します。
の立場を採って、“「国」の活動状態を確認できた最後の記録”(
[75973]hmtさん)のある明治35年(1902年)までの変更が反映された国界が現在まで脈々と(あるいはひっそりと?)残っていると解釈するのが、2020年国勢調査人口を基に算出することとの整合性が取れるのではと個人的には思います。
その上で武蔵国の範囲を見ると、古利根川に関しては
[46981][59173](hmtさん)にもあるように明治29年(1896年)の「埼玉県下国界変更及郡廃置法律」により
埼玉県武蔵国北葛飾郡及同県下総国中葛飾郡を廃し其の区域を以て北葛飾郡を置き武蔵国に属す
と国界が変更されているため、埼玉/千葉県境は武蔵/下総国界と一致していると考えて良いと思います。
埼玉県の一部(古利根川以東)については線引きがややこしいようですが、知らなかったことに
したのは正解と言えるでしょう。
国勢調査では平成7年(1995年)から
小地域集計を行っており、市区町村単位よりさらに細かな人口を計算することができます。件のWikipediaの情報(どこまで正確かはわかりませんが)でも「○○の一部」となっている場所は流石に概算せざるを得ませんが、それでも横浜市の(特に港南区の)分割はより細かく行うことができるでしょう。ここではあきごんさんに倣って横浜市の人口のうち何人が相模国に属しているかをまず算出します。
南区六ツ川四丁目は2,165人。金沢区朝比奈町は507人、東朝比奈のうち元・朝比奈町だったのは二丁目(1,795人)と三丁目(1,325)の各一部とのことなので、足して二で割って1,560人とでもしましょうか。港南区は該当する町丁が多い上にWikipediaでも参照する記事によって細かい所に異同があるため一部臆測となりますが、おおよそ88,000人としてみました。以上を合計すると「南・港南・金沢区の一部」の人口は92,232人となります。これに戸塚区、栄区、泉区、瀬谷区(瀬谷区卸本町は「-」(該当数値なし)となっていて、住人は居ないようです)の人口を合わせると771,136人となり、さらに横浜市全体の人口から引くと武蔵国域は3,006,355となりました。
川崎市と、島嶼を除いた東京都は問題ないでしょう。埼玉県も前述の通り全域……ではなく、平成22年(2010年)に太田市(群馬県)から深谷市に編入された部分(
変遷情報)がありますので、深谷市前小屋の96人は上野国の住人ということになります。尤も、横浜市港南区で既に概算をしてしまっているので2ケタの人口なぞ最早誤差の域ですが……。
以上を合わせると、武蔵国の人口は25,912,419人となります。港南区の分が効いてきて、あきごんさんの計算より47,338人少なくなりました。まあ大台としては大して変わりませんので、「武蔵国の2020年現在の人口は約2600万人」で間違いないかと。
ちなみに、相模国人口ではあきごんさんが「山間部なので無視」された熱海市泉にも2,439の人口があります。武蔵国から減った47,338人と合わせて、相模国全体で(こちらも概算ですが)4,695,159人となります。