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[85624] 2014年 5月 17日(土)01:57:36【4】YT さん
国勢調査における面積の遡及データの取り扱いの問題点:昭和60年の歯舞群島の面積改定の問題
沖縄県が復帰した後の昭和50年(pdf)と昭和55年(pdf)の国勢調査では、北方領土と竹島への意識が強く働いたのか、国勢調査の遡及データを含め、日本が実効支配していない地域の面積を含めて合計の数字を記載するようになります。その一方で人口密度を計算する際には、北方領土と竹島の面積を除いて計算するというルールが現在まで続いています。このほか、三島村・十島村は鹿児島県大島郡から鹿児島県鹿児島郡所属に変更、隠岐島穏地郡は隠岐郡となり、過去の遡及データも所属郡が変更されて再計算されています。

地域昭和15年昭和20年昭和25年昭和30/35年昭和40年昭和45年昭和50年昭和55年
北海道88,775.0483,455.4383,481.8183,504.4283,507.3583,509.0383,512.8783,516.57
 得撫郡, 新知郡及び占守郡5,319.61
 択捉島 (紗那村, 留別村, 蘂取村)3,139.003,139.003,139.003,139.003,139.003,139.003,139.003,139.00
 国後島 (泊村, 留夜別村)1,500.041,500.041,500.041,500.041,500.041,500.041,500.041,500.04
 色丹島 (色丹村)255.12255.12255.12255.12255.12255.12255.12255.12
 根室市536.88536.88536.88504.81504.88518.52518.82518.91
  歯舞群島 (水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島, 多楽島)101.59101.59101.59101.59101.59101.59101.59101.59
  その他の地域435.29435.29435.29403.22403.29416.93417.23417.32
 その他の地域78,024.3978,024.3978,050.7778,105.4578,108.3178,096.3578,099.8978,103.50
東京都2,144.802,148.492,137.262,133.032,135.112,141.112,145.382,156.35
 小笠原村102.94106.14106.14106.14106.14106.14106.14106.14
 その他の地域2,041.862,042.352,031.122,026.892,028.972,034.972,039.242,050.21
島根県6,624.606,624.426,626.296,625.266,625.956,626.126,626.806,627.41
 隠岐郡348.03348.03347.84347.94347.94347.97348.15348.23
  五箇村51.8651.8651.6751.8051.8051.8051.9751.98
   竹島0.230.230.230.230.230.230.230.23
   その他の地域51.6351.6351.4451.5751.5751.5751.7451.75
  その他の地域296.17296.17296.17296.14296.14296.17296.18296.25
 その他の地域6,276.576,276.396,278.456,277.326,278.016,278.156,278.656,279.18
鹿児島県9,103.819,170.977,913.229,140.179,141.589,144.979,153.389,162.81
 奄美群島 (那瀬市及び大島郡)1,270.611,237.051,237.051,237.131,237.821,238.301,238.83
 鹿児島郡105.59206.31205.57205.61205.61205.61205.61205.61
  三島村 (硫黄島, 竹島, 黒島)31.6131.6131.6131.6131.6131.6131.61
  十島村及び横当島 (吐噶喇列島)18.4387.5487.5487.5487.5487.5487.5487.54
  その他の地域87.1687.1686.4286.4686.4686.4686.4686.46
 その他の地域7,727.617,727.617,707.657,697.517,698.847,701.547,709.477,718.37
沖縄県2,386.242,388.223,625.272,388.222,388.222,239.222,245.872,249.91
その他42府県273,510.93273,510.44273,315.23273,359.98273,468.96273,648.23273,850.69273,995.04
全国382,545.42377,297.97377,099.08377,151.08377,267.17377,308.68377,534.99377,708.09

昭和50年、昭和55年の国勢調査の面積の遡及データを確認したことにより、実行支配していない地域の過去の面積については、実効支配に復帰した直後の面積で代用する(沖縄県を除く)という方針が定まっているのかと思いました。しかしならが昭和60年の国勢調査報告書を読んだ時(以下の面積の遡及データはオンラインでは確認できない)、この方針が破られていることに気づきました。


地域昭和15年昭和20年昭和25年昭和30/35年昭和40年昭和45年昭和50年昭和55年昭和60年
北海道88,775.0483,455.4383,481.8183,504.4383,507.3683,509.0483,512.8783,516.5783,519.22
 得撫郡, 新知郡及び占守郡5,319.61
 択捉島 (紗那村, 留別村, 蘂取村)3,139.003,139.003,139.003,139.003,139.003,139.003,139.003,139.003,139.00
 国後島 (泊村, 留夜別村)1,500.041,500.041,500.041,500.041,500.041,500.041,500.041,500.041,500.04
 色丹島 (色丹村)255.12255.12255.12255.12255.12255.12255.12255.12255.12
 根室市536.88536.88536.88504.82504.89518.53518.82518.91519.03
  歯舞群島 (水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島, 多楽島)101.60101.60101.60101.60101.60101.60101.60101.60101.60
  その他の地域435.28435.28435.28403.22403.29416.93417.22417.31417.43
 その他の地域78,024.3978,024.3978,050.7778,105.4578,108.3178,096.3578,099.8978,103.5078,106.03
東京都2,144.802,148.492,137.262,133.032,135.112,141.112,145.382,156.352,162.34
 小笠原村102.94106.14106.14106.14106.14106.14106.14106.14106.18
 その他の地域2,041.862,042.352,031.122,026.892,028.972,034.972,039.242,050.212,056.16
島根県6,624.606,624.426,626.296,625.266,625.956,626.126,626.806,627.416,628.42
 隠岐郡348.03348.03347.84347.94347.94347.97348.15348.23348.42
  五箇村/隠岐の島町51.8651.8651.6751.8051.8051.8051.9751.9851.98
   竹島0.230.230.230.230.230.230.230.230.23
   その他の地域51.6351.6351.4451.5751.5751.5751.7451.7551.75
  その他の地域296.17296.17296.17296.14296.14296.17296.18296.25296.44
 その他の地域6,276.576,276.396,278.456,277.326,278.016,278.156,278.656,279.186,280.00
鹿児島県9,103.819,170.977,913.229,140.179,141.589,144.979,153.389,162.819,165.03
 奄美群島 (那瀬市及び大島郡)1,270.611,237.051,237.051,237.131,237.821,238.301,238.831,239.38
 鹿児島郡105.59206.31205.57205.61205.61205.61205.61205.61205.63
  三島村 (硫黄島, 竹島, 黒島)31.6131.6131.6131.6131.6131.6131.6131.61
  十島村及び横当島 (吐噶喇列島)18.4387.5487.5487.5487.5487.5487.5487.5487.54
  その他の地域87.1687.1686.4286.4686.4686.4686.4686.4686.48
 その他の地域7,727.617,727.617,707.657,697.517,698.847,701.547,709.477,718.377,720.02
沖縄県2,386.242,388.223,625.272,388.222,388.222,239.222,245.872,249.912,254.17
その他42府県273,510.93273,510.44273,315.23273,359.98273,468.96273,648.23273,850.69273,995.04274,071.96
全国382,545.42377,297.97377,099.08377,151.09377,267.18377,308.69377,534.99377,708.09377,801.14

昭和60年の国勢調査では、歯舞群島の面積が101.59 km2から101.60 km2に改定されています。それだけでなく、過去の歯舞群島の面積も101.60 km2に改定されています。その結果、まず昭和15年の現根室市境域内の内歯舞群島を除く面積が0.01 km2減らされています。まあこれは『昭和十年 全国市町村別面積調』の面積が165.00 km2なので、そこから歯舞群島分の面積を引いたということで、トータルで±ゼロということでいいでしょう。

しかしながら、昭和25年の現根室市境域内の内歯舞群島を除く面積が0.01 km2減らされています。これは昭和25年の国勢調査報告書の面積を、30年以上後になって改定した行為に相当します。一方で昭和30年~45年までの面積は、歯舞群島の面積のみに0.01 km2を加算した結果、総数も0.01 km2増えております。昭和50年以降は国勢調査自体が北方領土の面積を含める表記となったので、現根室市境域内の内歯舞群島を除く面積が0.01 km2減らされていますが、根室市のトータルの面積は過去の国勢調査のままを保ちます。なぜ昭和60年の段階で、歯舞群島の面積を0.01 km2に改定しただけでなく、その過去の面積まで変えてしまったのか、しかも過去の国勢調査における実効支配内の市区町村の面積まで変えてしまうような改定を中途半端に行ったのか、たかが0.01 km2ですので丸め誤差の範疇ですが、その理由がわかりません。

なお平成2年以降の国勢調査の面積の遡及データは以下の通りですが、昭和60年以前の面積の遡及データを変更することなく現在まで続いています。竹島や北方領土の面積は頻繁に改定されているようですが、昭和60年の歯舞群島の面積改定とは異なり、過去の面積にまで修正がなされていません。

地域平成2年平成7年平成12年平成17年平成22年
北海道83,408.3583,451.5983,453.0483,455.7383,456.87
 得撫郡, 新知郡及び占守郡
 択捉島 (紗那村, 留別村, 蘂取村)3,139.003,184.043,184.043,184.043,184.04
 国後島 (泊村, 留夜別村)1,500.041,498.831,498.831,498.831,498.83
 色丹島 (色丹村)255.12253.33253.33253.33253.33
 根室市514.21512.62512.64512.60512.72
  歯舞群島 (水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島, 多楽島)101.6099.9499.9499.9499.94
  その他の地域412.61412.68412.70412.66412.78
 その他の地域77,999.9878,002.7778,004.2078,006.9378,007.95
東京都2,183.262,186.622,186.902,186.962,187.50
 小笠原村104.41104.41104.41104.41104.41
 その他の地域2,078.852,082.212,082.492,082.552,083.09
島根県6,626.246,706.706,707.296,707.566,707.95
 隠岐郡345.88345.97346.04346.19346.22
  五箇村/隠岐の島町52.3952.3952.39242.97242.95
   竹島0.230.230.230.230.21
   その他の地域52.1652.1652.16242.74242.74
  その他の地域293.49293.58293.65103.22103.27
 その他の地域6,280.366,360.736,361.256,361.376,361.73
鹿児島県9,183.269,185.999,186.719,187.699,188.78
 奄美群島 (那瀬市及び大島郡)1,238.661,239.791,240.021,240.231,240.39
 鹿児島郡219.69219.70219.70132.71132.71
  三島村 (硫黄島, 竹島, 黒島)31.3631.3631.3631.3631.36
  十島村及び横当島 (吐噶喇列島)101.35101.35101.35101.35101.35
  その他の地域86.9886.9986.99
 その他の地域7,724.917,726.507,726.997,814.757,815.68
沖縄県2,264.002,266.042,271.302,274.592,276.15
その他42府県274,072.00274,032.47274,067.82274,102.25274,132.85
全国377,737.11377,829.41377,873.06377,914.78377,950.10

この場合、昭和60年の国勢調査における歯舞群島の面積の改定に伴う、過去の面積の遡及データの改定は無かったものとして集計するべきなのでしょうか?

なお米軍占領下の琉球政府の国勢調査の面積については、追加修正で対応するしかない問題が見つかりましたが、これについては項を改めて後日まとめます。
[85623] 2014年 5月 17日(土)01:52:33【3】YT さん
国勢調査における面積の遡及データの取り扱いの問題点:遡及改定をどこまで考慮するべきか
国勢調査報告書に載っている面積を入力して行く内に、人口データでは余り意識を払わなかった問題が、面積データの場合にはそれなりに重要な問題と成り得ることが判りました。それは、国勢調査報告書に載っている面積が、その対象年度の国勢調査時における面積と、その後に出版された国勢調査に収録されている遡及データとしての過去の国勢調査時における面積とが一致しないケースが多々ある点です。特に問題となるのは、領土問題等で面積のデータが不足しているケースです。

まず『昭和25年 国勢調査報告 第8巻 最終報告書』記載の昭和25年の調査地域及び昭和15年以前の調査地域は以下の通りです。

地域昭和15年以前の調査地域昭和25年の調査地域
旧版図675,313.35368,284.15
 旧内地 (樺太を除く)382,470.03368,284.15
  沖縄県を除く46都道府県380,083.79368,284.15
   北海道88,801.4278,486.06
    根室支庁13,805.813,490.45
     泊村538.99
     留夜別村961.05
     色丹村255.12
     紗那村959.53
     留別村1,429.73
     蘂取村749.74
     得撫島1,468.68
     新知郡540.79
     占守郡3,310.14
     歯舞村165.0063.41
      水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島および多楽島101.59
      その他の地域63.4163.41
     その他の地域3,427.043,427.04
    その他の地域74,995.6174,995.61
   東京都2,134.062,031.12
    八丈支庁82.3982.39
     宇津木村1.511.51
     島打村1.711.71
     青ヶ島5.295.29
     鳥島4.654.65
     その他の地域69.2369.23
    小笠原102.94
    その他の地域1,948.731,948.73
   島根県6,627.366,626.06
    穏地郡348.91347.61
     五箇村52.7451.44
      竹島1.30
      その他の地域51.4451.44
     その他の地域296.17296.17
    その他の地域6,278.456,278.45
   鹿児島県9,205.727,825.68
    大島郡1,411.6531.61
     十島村115.3931.61
      硫黄島, 竹島および黒島31.6131.61
      その他の地域83.78
     横当島3.88
     その他の地域1,292.38
    その他の地域7,794.077,794.07
   その他の42府県273,315.23273,315.23
  沖縄県2,386.24
 外地292,843.32
  樺太36,090.30
  朝鮮220,791.81
  台湾35,961.21
旧版図外5,611.25
 関東州3,462.45
 南洋群島2,148.80
合計680,924.60368,284.15

ここで「昭和15年以前の調査地域」とありますが、総面積の368,284.15 km2自体、京都府に関する面積改定
(A) 昭和28年9月に市町村面積の改測を行った結果第一巻に掲載の面積より市部(1.14方粁減)、郡部(3.09方粁増)、県計(1.95方粁増)がそれぞれ増減している。
が反映されておりますし、鹿児島県大島郡十島村の総面積である115.39 km2も、『昭和十年 全国市町村別面積調』記載の18.43 km2から改定されております(そもそも18.43 km2という面積が明らかに誤りですが)ので、これはあくまでも昭和25年国勢調査の結果をまとめた段階で、総理府統計局が把握していた最新の面積ということでしょう。

次に『昭和30年 国勢調査報告 第一巻 人口総数』の「調査の概要」(pdf)記載の昭和15年~昭和30年の面積と『昭和30年国勢調査 全国都道府県郡市区町村別面積改定表』記載の改定された昭和30年の面積をまとめると以下の通りになります。

調査地域昭和15年昭和20年昭和22年昭和25年昭和30年昭和30年改定
北海道88,775.0478,459.6878,459.6878,486.0678,664.4878,508.67
 根室支庁13,811.493,496.133,496.133,490.453,439.413,445.01
  得撫郡, 新知郡および占守郡5,319.61
  泊村, 留夜別村, 紗那村, 留別村および蘂取村4,639.04
  色丹村255.12
  歯舞村165.0063.4163.4163.4163.4063.40
   水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島および多楽島101.59
   その他の地域63.4163.4163.4163.4163.4063.40
  その他の地域3,432.723,432.723,432.723,427.043,376.013,381.61
 その他の地域74,963.5574,963.5574,963.5574,995.6175,225.0775,063.66
東京都2,144.802,041.862,041.862,031.122,020.882,023.01
 小笠原村102.94
 その他の地域2,041.862,041.862,041.862,031.122,020.882,023.01
島根県6,624.606,623.306,623.306,626.066,625.046,625.04
 穏地郡348.03346.73346.73347.61347.71347.71
  五箇村51.8650.5650.5651.4451.5751.57
   竹島1.30
   その他の地域50.5650.5650.5651.4451.5751.57
  その他の地域296.17296.17296.17296.17296.14296.14
 その他の地域6,276.576,276.576,276.576,278.456,277.336,277.33
鹿児島県9,103.817,814.777,833.207,825.689,190.919,140.17
 大島郡および那瀬市1,289.0418.4331.611,411.531,356.20
  三島村 (硫黄島, 竹島および黒島)18.4331.6131.6131.61
  十島村および横当島 (吐噶喇列島)18.4387.5487.54
  その他の地域 (奄美群島)1,270.611,292.381,237.05
 その他の地域7,814.777,814.777,814.777,794.077,779.387,783.97
その他の42府県273,510.93273,510.93273,510.93273,315.23273,264.58273,363.85
誤差0.890.89
380,159.18368,451.43368,469.86368,284.15369,765.89369,660.74
沖縄県2,386.24

●昭和15年の面積に沖縄県の面積を足した382,545.42 km2は『昭和十年 全国市町村別面積調』の総面積と完全に一致しています。なお昭和15年の鹿児島県大島郡十島村の面積18.43 kmは三島村(硫黄島, 竹島および黒島)を含んでの数字ですが、表記の都合上、上表では十島村にのみ18.43 km2を記入しております。
●昭和20年人口調査と昭和22年臨時国勢調査の誤差については
昭和15年の総面積から調査結果に含まれていない地域を除いた数値との間に0.89平方粁の誤差がある。
とありますが、そもそも昭和20年人口調査と昭和22年臨時国勢調査には市区町村別面積の情報が記載されておりませんので、今回ここでは検証しません。昭和22年の鹿児島県の面積には、なぜか大島郡十島村・三島村の総面積18.43 km2が加算されているのですが、これについては、三島村の項に追加しておきました。
●昭和25年の面積は、先の昭和25年国勢調査報告書のものと一致します。

このように『昭和30年 国勢調査報告 第一巻 人口総数』では、たとえ面積がおかしかろうが、「作成当時の」調査結果を尊重して表を作っていることが判ります。

一方昭和30年までに復帰した鹿児島県大島郡の面積1,411.53 km2は、昭和25年国勢調査報告書記載の1,411.65 km2に比べて0.12 km2減っておりますが、これは十島村の面積の減少(83.78 → 83.66 km2; 横当島の面積3.88 km2は変わらず)に相当します。なお昭和30年の国勢調査の面積は、最終的に『昭和30年国勢調査 全国都道府県郡市区町村別面積改定表』で一部改定されておりますが(オンラインでは閲覧できない)、このことが昭和35年(pdf)、昭和40年(pdf)、昭和45年(pdf)の国勢調査報告書記載の面積の遡及データにも影響を与えております。


調査地域昭和15年昭和20年昭和25年昭和30/35年昭和40年昭和45年
北海道88,775.0478,459.6878,486.0678,508.6778,511.6078,513.28
 根室支庁および根室市13,811.493,496.133,490.453,445.013,445.083,458.71
  得撫郡, 新知郡および占守郡5,319.61
  泊村, 留夜別村, 紗那村, 留別村および蘂取村4,639.04
  色丹村255.12
  根室市536.88436.29436.29403.22403.29416.88
   水晶島, 勇留島, 秋勇留島, 志発島および多楽島101.59
   その他の地域435.29436.29436.29403.22403.29416.88
  その他の地域3,060.843,059.843,054.163,041.793,041.793,041.83
 その他の地域74,963.5574,963.5574,995.6175,063.6675,066.5275,054.57
東京都2,144.802,041.862,031.122,026.892,027.372,141.11
 小笠原村102.94106.14
 その他の地域2,041.862,041.862,031.122,026.892,027.372,034.97
島根県6,624.606,623.306,626.066,625.036,625.726,625.89
 隠岐島348.03346.73347.61347.71347.71347.74
  五箇村53.1650.5651.4451.5751.5751.57
   竹島1.30
   その他の地域51.8650.5651.4451.5751.5751.57
  その他の地域296.17296.17296.17296.14296.14296.17
 その他の地域6,276.576,276.576,278.456,277.326,278.016,278.15
鹿児島県9,103.817,814.777,825.689,140.179,141.589,144.97
 大島郡および那瀬市1,289.0431.611,356.201,356.281,356.97
  三島村 (硫黄島, 竹島および黒島)31.6131.6131.6131.61
  十島村および横当島 (吐噶喇列島)18.4387.5487.5487.54
  その他の地域1,270.611,237.051,237.131,237.82
 その他の地域7,814.777,814.777,794.077,783.977,785.307,788.00
その他の42府県273,510.93273,510.93273,315.23273,359.98273,470.56273,648.23
誤差0.89
380,159.18368,451.43368,284.15369,660.74369,776.83370,073.48

昭和35年以降の国勢調査の面積の遡及データでは、奄美群島の昭和20年~25年の面積が、復帰直後の昭和30年の改定版面積に置き換わってしまっています。つまり昭和30年以降の統計局の方針は、国勢調査の対象外だった地域の過去の面積については、復帰直後の国勢調査時の面積に置き換えるというものになったように見えます。なお昭和35年まで、復帰した小笠原、奄美群島を含め、日本が実行支配していなかった時期の地域の面積は過去のデータも総計から除外していたようです。また歯舞村は根室市に合併され、過去の面積のデータも根室市で再計算されています。
[85612] 2014年 5月 13日(火)21:52:36【3】YT さん
昭和19年の人口調査における東京都の区部の人口
昭和19年2月22日に日本の内地では、配給制度への備えを目的として銃後人口の人口調査を実施しました。その時の市町村別人口の詳細は戦後に『昭和19年人口調査 集計結果摘要』(1977年)として出版されておりますが、[82202]に示したように、東京都の人口に関しては、1955年1月頃の境界によって人口が集計されてしまっております。

これに関し今日、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞で、戦中・戦後の人口に関する記事を調べたところ、昭和20年11月22日の朝日新聞の東京版朝刊において、昭和20年11月1日の人口調査の結果(都道府県・市・区別のみ)とともに、昭和19年の人口調査に対する増減が記述されていることを見出しました。つまりこの朝日新聞の記事の数字を使えば、昭和19年2月22日の東京都の当時の区部別人口が一応計算できることになります。

朝日新聞の新聞記事の数字(S20人口、増減)と、この記事により算出可能な昭和19年人口(S19計算値)『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の数字(S19文献値)と市区名(対応する地区)、及び人口の一致の有無をまとめると以下の通りになります。

地区S20人口増減S19計算値S19文献値対応する地区一致
旧東京2,777,010-3,800,6106,577,6206,558,161特別区部×
八王子63,192-14,28677,47877,478八王子市
立川34,586-17,03851,62451,624立川市
麹町区17,976-30,48148,457150,748千代田区
神田区26,436-75,855102,291千代田区
日本橋区22,876-50,94773,823188,871中央区
京橋区53,344-61,704115,048中央区
芝区67,116-96,080163,196291,997港区×
麻布区20,697-59,00279,699港区×
赤坂区8,791-3,99212,783港区×
四谷区11,245-56,58367,828359,601新宿区
牛込区20,771-95,045115,816新宿区
小石川区43,444-97,863141,307270,993文京区
本郷区49,304-80,282129,586文京区
下谷区59,988-109,441169,429403,420台東区
浅草区24,581-209,410233,991台東区
本所区12,753-228,296241,049438,114墨田区
深川区14,094-196,759210,853396,337江東区
品川区89,782-124,492214,274395,770品川区×
目黒区121,333-81,200202,533202,533目黒区
荏原区53,708-127,789181,497品川区×
大森区160,865-136,896297,761564,784大田区
蒲田区52,135-214,888267,023大田区
世田谷区276,450-27,023303,473303,473世田谷区
渋谷区84,067-155,432239,499239,499渋谷区
淀橋区51,090-124,867175,957新宿区
中野区124,011-92,713216,724216,724中野区
杉並区211,229-48,517259,746259,746杉並区
豊島区92,192-209,865302,057302,057豊島区
滝野川区36,494-88,541125,035341,552北区
荒川区84,010-250,370334,380334,380荒川区
王子区101,807-114,710216,517北区
板橋区217,974-53,152271,126271,226板橋区+練馬区
足立区172,437-78,116250,553250,553足立区
向島区64,842-132,223197,065墨田区
城東区11,114-174,370185,484江東区
葛飾区171,557-10,017181,574181,574葛飾区
江戸川区146,497-47,712194,209194,209江戸川区
区部合計2,777,010-3,744,6336,521,6436,558,161特別区部×


八王子市と立川市、そして東京特別区部の大部分で、新聞記事から求められる数字と『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の人口が一致しますが、品川区+荏原区→品川区に関しては『昭和19年人口調査 集計結果摘要』よりも1人多く、麻布区+赤坂区+芝区→港区に関しては『昭和19年人口調査 集計結果摘要』よりも36,319人足りません。おそらく赤坂区の人口減少の数字が桁落ちして印刷されているのでしょう。実際各区の減少分を合計(3,744,633)しても、旧東京全体の減少分(3,800,610)と一致しません。なお新聞記事から求めることが可能な昭和19年の特別区部の人口(6,577,620または6,521,643)は、『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の昭和19年の特別区部の人口(6,558,161)とも微妙に異なります。

まあ一応は、麻布区、赤坂区、芝区以外の昭和19年人口調査における区別人口はほぼ確定しました。

官報の方では11月26日に、郡市区別人口が公表されておりますが、ここには人口の増減が載っておりません。11月23日に、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞が一斉に昭和20年11月1日付の人口調査の結果速報を発表しているということは、官報よりも先にメディアに公開された情報があり、そこに昭和19年の人口との比較が載っていたのでしょうか(毎日・読売の記事には昭和19年の人口との比較が載っていない)?それとも朝日新聞は独自に昭和19年の人口との比較をしたのでしょうか?

[82278]にも書いたように、国立公文書館で昭和19年人口調査関連の資料に一通り目を通しましたが、何れも市区町村別人口の情報が記載されていませんでした。また東京都公文書館の統計資料室に問い合わせた限りでは、該当するような資料は保管しておりませんでした。あと調べていないのは東京都公報ですが、こちらは立川にある都立多摩図書館にマイクロフィルムとして収められているのがほぼ唯一?の全閲覧可能な資料状態で、載っているかも分からない情報を端から端まで調べるのは大変そうです。
[85609] 2014年 5月 13日(火)01:23:24YT さん
北方領土・竹島の面積の扱い
余り政治的な話には立ち入りたくないのですが、国勢調査における北方領土・竹島の面積の扱いが時代とともに変化しているようです。

昭和25年から昭和45年の国勢調査までは、北方領土と竹島の面積は日本全国の面積に含んでおりません。しかしながら昭和50年以降の国勢調査からは、歯舞諸島を根室市に、他3島を北海道の郡部に、竹島を島根県隠岐郡五箇村の面積に加算するように変更がなされております(昭和50年国勢調査令(昭和50年4月10日政令第114号))。しかも厄介なことに、昭和50年以降の国勢調査では、面積の集計には含めるものの、人口密度の算出には面積に含めないという、面倒な計算方法が今日まで続いているようです。

北方領土・竹島の面積について、昭和25年~昭和40年の国勢調査においても遡って同様の修正をするべきなのか、面積の問題は人口問題以上に微妙な問題を含んでおります。
[85605] 2014年 5月 11日(日)00:49:48【2】YT さん
1965年、1970年の国勢調査の面積の問題点
[85587]に引き続き、1965年、1970年の国勢調査における面積を入力しましたが、現時点で最大の問題は、国勢調査報告書の面積に誤りが多すぎる点です。現在統計局のサイトから一通りの報告書をダウンロードできますが、総てをダウンロードできるわけではありません。例えば昭和40年の国勢調査の場合、ダウンロードできるのは1巻だけですが、こちらを使って市区町村別面積を入力したところ、合計が合わないという問題が発生しました。どうも東京都の面積に1.60 km2のズレが生じる問題があるようですが(これとは別に1巻では鳥島の面積の表中での扱いに誤りがある)、オンラインでは訂正をまとめたページも確認できないし、1巻のpdfだけでは問題が解決しませんでした。そこで昨日図書館で『昭和40年 勢調査全国都道府県市区町村人口総覧 都道府県の部 その13 東京都の人口』を閲覧し、結果23区の一部の面積等が改訂されていることを確認しました。ただ1巻の訂正をまとめた資料の存在を確認できませんでした。

それよりもひどいのが、昭和45年の国勢調査報告書です。pdfの質が悪いだけではなく、面積のデータでは、実際にフォント上で「5」と「6」の活字が30箇所以上間違っています。これは原稿を書いた人が悪筆だったせいなのでしょうか?あるいは人口はチェックしていても、面積の方までは再チェックがされなかったせいなのでしょうか?間違いの箇所の半分以上は人口密度を再計算することで正しい数字を見積もれますが(つまり原稿段階では正しい面積と人口密度が計算されていた)、小数点以下第二位の数字が間違っている場合は計算しても違いがでないことが多く、その場合は前後の年の国勢調査の面積を比較して正しそうな数字を選んでいますが、とにかく間違いが多過ぎです。

内容の方で昭和40年の国勢調査で問題になりそうなのが、秋田県南秋田郡大潟村の面積です。人口の方は16人と、郡別人口の方に集計されていますが、面積の方は、

2) 八郎潟の面積(218.62 km2)のなかに含まれている。

とあり、その八郎潟の面積の方は市郡別面積の方には加算されていません。正しい解釈としては昭和40年10月1日の時点で開拓が済んだ面積をどっから持ってくる必要がありますが、[85587]で示した、岐阜県郡上郡白鳥町に編入された福井県大野郡旧石徹白村の一部(人口は岐阜県郡部に加算されているが、面積は都道府県別や郡部・市部から除外)、岐阜県中津川市と長野県西筑摩郡山口村の間の境界紛争地域(人口は都道府県別や郡部・市部から除外されているが、面積は各県の郡別・市別に分割)と同じように、改訂すると郡市別・都道府県別面積の数字が変わってしまう問題を含んでいます。現時点でこれらのケースについては、国勢調査報告書の県別・市郡別のグルーピングを尊重し、面積の再分配は止めた方がいいのかも知れません。

また[85604]のケースや、[85587]で示した富山県下新川郡宇奈月町・朝日町の面積(これは昭和40年・昭和45年の国勢調査でも継続して問題となる)については再分配するべきなのか、まだ意見がまとまっていません。

とりあえず面積というのは自分が予想していた以上にいい加減なデータのようです。地積を積み上げてビルドアップで計算するのではなく、全体の地図を作製して、そこからビルドダウンで計算するのが基本のようです。有効となる数字も小数点以下第二位なのか小数点以下第三位なのかよく分かりませんが、国土地理院の方法によると万5千分の1の地図を使用とあるので、0.01 km2 = 1 haは、4 mm×4 mm四方となり、小数点以下第三位まで見積もるのには適していませんね。少なくともビルドダウンで計算した結果、丸め誤差が発生しないように分配されてしまっているようです。まあそもそも水平面って何なのでしょう?満潮干潮はどこまで考慮するのか、測量ではブーゲー異常を考慮するのか、多分これを調べ出すと、それだけで一冊の本ができそうですね。


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