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okiさんの記事が1件見つかりました

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記事番号記事日付記事タイトル・発言者
[77607]2011年2月6日
oki

[77607] 2011年 2月 6日(日)15:29:03oki さん
電子国土基本図(は使えない)
今日は、休日だというのに朝からお仕事。少し飽きてきたので、軽く書き込みを。

[77603] hmt さん
国土地理院の発表 によると、2月1日から、「電子国土基本図(地図情報)」が正式公開の運びになったとのことです。

「電子国土」や「基盤地図情報」は、提供された当初から興味を持って見てきましたが、現時点での評価は「使えない」の一言です。

「電子国土」の利用法には、「基盤地図情報」をGISのデータとして使用する場合と、「電子国土ポータル」を「紙の1/25000地形図」の代替となる閲覧可能地図として利用する場合の二つが考えられます。
まずデータとしての「基盤地図情報」ですが、その大半はGISデータとしては使えません。大きな理由は、そのフォーマットと仕様にあります。「基盤地図情報」のファイルフォーマットは「JPGIS」と呼ばれるXMLファイルですが、極端に冗長な構成を取っており、ファイルサイズが巨大になります。たとえば、地図上の3点を結ぶ線分を示すのに、20行もの記述が必要になります。1つの点(経緯度)を示すのに、次のような5行を費やし、その他ヘッダを入れると3点で20行が必要です。
<jps:column>
<jps:direct>
<jps:coordinate>36.40388495 139.610253106</jps:coordinate>
</jps:direct>
</jps:column>
行政区域、鉄道、道路など、あらゆる地物についてこれをやるのですから、ファイルサイズは馬鹿馬鹿しいほど大きくなります。
しかも、ArcGISやGRASSなど通常のGISソフトは、このフォーマットのファイルを読めません。JPGISファイルを読めるのは国土地理院が提供する「基盤地図情報閲覧コンバートソフト」だけで、このソフトを使ってGISで一般的な「シェープファイル」に変換する必要があります。この変換の過程で、JPGISが持つ属性情報は失われます。つまり、これだけ冗長な構成を取りながら、変換後に得られるのは、ただの経緯度の連なりだけなのです。
さらに、道路に関しては、基盤地図情報が提供するのは「道路縁」の情報で、「道路中心線」ではありません。もちろん、交差点(他の道路との接続)に関する情報もありません。鉄道の方は、線路の本数だけ情報があります。つまり、複線なら2本、複々線の場合は4本の線路に関する情報です。代わりに、線路と駅との関係に関する情報は得られません。
このような状況なので、基盤地図情報のデータを用いて、GISで重要なネットワーク分析を行うことはできません。特定道路の周辺100mに住んでいる人口を求めるようなバッファ分析もできません。
要は、基盤地図情報はただの白地図、つまり白紙の上の線分情報に過ぎないのです。今までの紙の地図上に描かれていた線分に、経緯度情報を与え、経緯度の連なりとして示したもの、それが基盤地図情報です。それ自体としては必要なものでしょうが、少なくとも、私が期待していたような、GISでの分析に利用できるデータではありません。これなら、以前に提供されていた「数値地図(25000および2500)」の方がよほどマシです。

ただ一つ、基盤地図情報で使えるのは「DEM(標高)データ」です。現在、1/25000地図の等高線を元に作成された全国の「10mメッシュDEM」と、航空レーザスキャナ測量で取得された、都市部を中心とした「5mメッシュDEM」があります。私は、「10mメッシュDEM」をすべてDLし、全国の「赤色立体地図」を作成しました。「赤色立体地図」はこういうもので、従来の段彩図に比べ、地形の凹凸が格段に立体的に把握できます。通常はリンク地図のような赤色の地図なのですが、これに彩色し、「彩色立体地図」と名付けました。この「彩色立体地図」をGoogle Earthに貼付け、その上に「ウォッちず」の地形図を被せて全国の地形を観察するのが、現在の私の大きな楽しみなっています。この点については、「基盤地図情報」とそれを提供する国土地理院に感謝しています。

次に、閲覧できる地図としての「電子国土ポータル」ですが、私にとっては、これも従来の「ウォッちず」の方が上です。
一つの問題は、「電子国土ポータル」の地図表示面があまりに狭いこと。「電子国土ポータル」では、地図の表示枠は画面全体の7~8割程度の面積しかありません。そして私の環境では、地図表示枠のうち右側および下側の1/5の範囲がグレーの空白部分になっています。地図が表示されるのは残りの4/5の範囲です。したがって、地図表示面積は画面の半分にも足りません。何度もプラグインをインストールし直していますが、まったく修正されません。ですので、「電子国土ポータル」は使いません(不思議なことに、「オルソ画像」だと表示枠の全体に地図が表示されるのですけどね)。
で、今回「ウォッちず」の「電子国土基本図」を見てみたのですが、重大な難点があります。1/25000地形図では、大字と小字は文字の大きさで判別可能でしたが、「電子国土基本図」では両者とも同じ大きさで、まったく判別できません。これでは非常に困る。
また、「樹木に囲まれた居住地」の記号がなくなっています。「建物」の記号が従来より淡彩で表示されていることもあり、地方(田園地帯)での集落の状況が非常に分かりにくくなった、というのが正直な感想です。
「ウォッちず」では、1/25000地形図は7月末まで閲覧可能と注記していますが、つまり8月以降は閲覧できなくなると言うことでしょう。そうなるととても困ります。今のうちに、国土地理院から「ウォッちず」のすべての地図画像をDLしローカルで使えるようにしようと、本気で考えているところです。


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