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[111975] 2024年 8月 29日(木)18:50:06YT さん
Re:日本の有人島の一覧の項目修正:対馬と隠岐西ノ島について
[111974] オーナー グリグリ さん

対馬と西ノ島の情報を更新しましたのでご確認いただければと思います。

すみません。

#64 西ノ島に、以下の脚注が入っていません。

※注 1915年開削の船引運河により東(1,477人)と西(1,311人)に分離

以上、よろしくお願いします。
[111972] 2024年 8月 29日(木)11:58:07【1】訂正年月日
【1】2024年 8月 29日(木)13:34:07
YT さん
日本の有人島の一覧の項目修正:対馬と隠岐西ノ島について
[111317] オーナー グリグリ さん

【1.対馬について】

余り本質的なところではありませんが、日本の有人島一覧の対馬の脚注に修正点がありました。

#島名修正箇所修正前修正後備考
247対馬%注1671年開削の大船越瀬戸と1900年開削の万関瀬戸により対馬上島(12,159人/441.01km2),対馬下島(15,488人/247.01km2),その他(727人/7.72km2)に分離1672年開削の大船越瀬戸と1900年開削の万関瀬戸により対馬上島(12,159人/441.01km2),対馬下島(15,488人/247.01km2),大船越島(727人/7.72km2)に分離西暦(1671年→1672年)と島の呼称(その他→大船越島)の修正

まず大船越瀬戸の開削年号ですが、wikipediaにあった

1671年(寛文12年)開通。

というのが誤情報でした(現在は修正済み)。調べたところ、寛文12年は西暦1672年1月30日~1673年2月16日で、旧暦と新暦の違いを考慮したとしてもそもそも西暦1671年にはなりません。

より正確な情報としては、例えば『日本歴史地名体系』の「大船越瀬戸」の項によると

寛文一二年(一六七二)一月対馬藩主の宗義真の命で起工、権現山の鞍部を掘割って長さ六〇間・幅一〇間の人工の瀬戸が六月下旬に開通した。

『新版 角川日本地名大辞典』の「大船越瀬戸」の項でも

この地峡を掘り切ったのは近世初期の寛文12年で,正月に起工して6月下旬に竣工している。

少し古いですが、『対馬島誌 改訂』(1940年)によると(辛癸は辛亥に訂正し、その他漢字は新字体に修正)

皇紀二、三三二年 同天皇寛文十二年壬子是より先国守義真通航の便を図り、東海と浅海を通ずる大船越瀬戸の開鑿を計画し(古来此処の地頸にて積載物を御したる空船を曳きて小丘を越えたるなり)昨年辛亥既に幕府の許可を得是に至りて正月十一日郡奉行志賀甚五左衛門、同伊藤弥兵衛を奉行となして起工し六月下旬竣功す。

西暦の方が1~2か月遅れるのが当たり前ですが、旧暦1月11日~旧暦6月下旬は起工も竣工も1672年に入り込みます。

・寛文12年旧暦1月11日≡西暦1672年2月9日
・寛文12年旧暦6月29日≡西暦1672年7月23日

ところで対馬を大船越瀬戸と万関瀬戸で三分割した際の中の島の名称ですが、同じ『対馬島誌 改訂』の方に「大船越島」という名称が掲載されておりました。

然るに寛文年間に大船越の地峡を、又明治年間に万関の地峡を開鑿せしを以て、厳密なる定義により之を区分するときは、本島は上、中、下の三島となり、即ち大船越瀬戸以北を万関瀬戸以南を一の島となし、上下二島に対し中島の名称をも附すべく、大日本地誌には旣に大船越島と命名せり。然れども本島に在ては上下二島と云ふこと既に耳新らしくして通用し難きに、更に大船越島或は其他の島名を加ふるは地理学的には然らんも、実際的には好事家の言として其必要を感ぜざるべし。唯上下二島の名は海図上夙に公にせらしものなれば地理の説明等には之を用ゐるも敢て不可なかるべし。

大日本地誌 巻8 九州』(1911年)の方に確かに「大船越島」表記(おそらく初出)が見られますし、『新対馬島誌』(1964年)でも「大船越島」が使われています。まあ好事家の集まりであるここの立場としては、「大船越島」という呼称に一定の根拠がある以上、これを積極的に採用するべきでしょう。

【2.隠岐西ノ島について】

なお『新版 日本の島事典』では、岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬については、運河や水路によって分割した場合の個別の島面積が掲載されておりますが、よく考えてみると隠岐西ノ島も大正4年(1915年)に開削された船引運河があります。折角なので東西に分割した場合の人口を計算してみました。

#島名都道府県市区町村(小地域区分)人口
2020年
人口
2015年
64西ノ島東部(仮)島根県西ノ島町 (大字宇賀, 大字別府, 大字美田の一部 [0030-00020~00130])1,4771,544
64西ノ島西部(仮)島根県西ノ島町 (大字浦郷, 大字美田の一部 [0030-00010])1,3111,483

ただ残念ながら面積の情報は入手できませんでした(国土地理院地図で自分で計測することは可能ではありますが)。

隠岐西ノ島に関しては脚注等の追加修正はしなくても全然かまわないのですが、あえて脚注を入れるとなると、追加の脚注は

1915年開削の船引運河により東(1,477人)と西(1,311人)に分離

となり、

2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
(7) 岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬は、開削水路で分割されているが、自然島として合算した値を示す。



2. 対象とした有人島(島名欄背景色の説明)
(7) 島根県西ノ島町の西ノ島、岡山県瀬戸内市の長島、広島県呉市の倉橋島、愛媛県宇和島市の日振島、長崎県対馬市の対馬は、開削水路で分割されているが、自然島として合算した値を示す。

に修正となります。
[111864] 2024年 8月 6日(火)12:29:20【2】訂正年月日
【1】2024年 8月 6日(火)12:37:39
【2】2024年 8月 6日(火)15:31:12
YT さん
昭和19年人口調査に関する新規の知見3
最後に都道府県別人口です。

・資料A:『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第1表 都道府県、市部郡部及び男女別人口」と「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」
・資料B:『Population. Census statistics gathered from various prefectures. Report No. 53a(27)(a), USSBS Index Section 2』の「Populations of each prefecture of Japan proper (by urban and rural) 1935-1944 (都道府県別市部郡部別人口 昭和10年―昭和19年)
・資料C:『Population data (consisting of three envelopes): Quantitive and Qualitative Analysis of Tokyo Population Renewal. Report No. 14h(45), USSBS Index Section 2』の「第一表ノ二 昭和十九年人口調査トノ比較表 (都道府県別) Table 1 (2). Comparison with 1944 census (by prefectures [TO DO FU KEN])」
・資料D:『昭和19年人口調査結果原表~昭和21年年次勤労統計調査結果原表 No.3』の「昭和19年人口調査 2月22日午前0時調査 全国府県郡市区町村別(男女ニヨリ別チタル人口)(213枚)」

(開く)昭和19年2月22日人口調査における補正前/補正後都道府県別人口

こうしてみると、資料Aの補正前人口→資料Bの補正後人口→資料Dの補正後人口→資料Cの補正後人口(区を有する市を除く)(≒資料Aの補正後人口)という修正の流れが見えてくるのですが、そんな中でも資料Cと資料Aで、どういうわけか北海道庁と東京都の補正後人口が一致しません。

まずは北海道の人口の比較です。資料A『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第1表 都道府県、市部郡部及び男女別人口」によると

北海道根室支庁管内色丹村,東京都八丈支庁管内三根村・堅立村・中之号村・末吉村・大賀郷村,大島支庁,三宅支庁及び沖縄県を含む。

とあります。北海道につてはなぜ色丹村だけ?と思って資料C『Population data (consisting of three envelopes): Quantitive and Qualitative Analysis of Tokyo Population Renewal. Report No. 14h(45), USSBS Index Section 2』の「第一表ノ二 昭和十九年人口調査トノ比較表 (都道府県別) Table 1 (2). Comparison with 1944 census (by prefectures [TO DO FU KEN])」を見ると、

昭和二十年人口調査ハ昭和十九年ノ調査ニ比較シテ地域転ニ左ノ区域を包合セズ 仍テ二十年ノ地域ト同ジ地域ニ依ル場合十九年ノ人口中除外セラルベキ分ヲ括弧シ附シテ其ノ下行ニ内書シタリ
東京都
 小笠原島
鹿児島県
 大島郡
北海道
 国後郡泊村 留夜別村
 色丹村

表の都合上詳しく記しませんでしたが、資料Cにおける北海道の昭和19年人口は括弧の数字として

(8,186)

が併記されています。

ん?両者の人口の差(7,366人)は、国後郡泊村、国後郡留夜別村を追加で含むことによるもの?と思って資料A『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」を比較すると、確かに国後郡の人口は7,366人です。そして色丹村の人口820人に国後郡の人口7,366人を足すと、資料Cの括弧内の数字8,186人と一致します。

ここに来て資料A『昭和19年人口調査 集計結果摘要』がとんでもない人口処理をしていたことが判明しました。つまり「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」の方では、色丹郡色丹村、国後郡村、国後郡留夜別村の人口を掲載しているのにも関わらず、「第1表 都道府県、市部郡部及び男女別人口」の方ではわざわざ国後郡の人口を加算せずに集計を出しているという、中途半端な北方領土の人口を処理していたのです!

なぜこのような中途半端な人口処理に陥ったのか、というと実は北海道の北方領土の内、択捉島、歯舞群島、および千島列島北部(得撫郡、新知郡、占守郡の3郡)は昭和19年人口調査規則第22条の規定に基づく指定地域となっており、昭和19年2月22日ではなく、昭和19年5月31日に実際の人口調査が行われました。一方で国後島と色丹島では予定通り2月22日人口調査が実施されています。なんで国後郡だけ抜けてしまったのか・・・この辺は謎ではあります。

●内閣告示第四号
昭和十九年人口調査規則第二十二条ノ規定ニ依リ地域左ノ通指定ス
昭和十九年二月十七日
内閣総理大臣 東条 英機
樺太
大泊郡知床村大字外知床地域一円
大泊郡宮内村大字富内ノ内字散毛主、恩洞、富内、野幌、育仁、下伊佐、中伊佐、上伊佐及能仁ヲ除キタル地域一円
留多加郡能登呂村大字古江以南ノ地域一円
本斗郡好仁村大字十串以南ノ地域一円
名好郡西柵丹村大字沃内以北ノ地域一円
敷香郡散江村の内大字野頃及富岸を除きたる地域一円
北海道
紗那郡紗那村
択捉郡留別村
蘂取郡蘂取村
得撫郡
新知郡
占守郡
花咲郡歯舞村の内、志発島、多楽島、水晶島、勇留島、秋勇留島

となってくると択捉島や歯舞群島の人口も抜けているのではという疑惑が発生します。以前国立公文書館所蔵『昭和19年人口調査関係書類綴』(マイクロフイルム版)を閲覧したところ、「昭和十九年二月二十日現在ニ於ケル人口調査規則第二十二条ニ依ル指定地域ノ推計人口」という資料を見つけたことがあります。それによると昭和19年2月22日の「推計人口」は

男女計
457477934紗那郡紗那村
1,0911,0672,158択捉郡留別村
154152306蘂取郡蘂取村
9716得撫郡
131124新知郡
11145156占守郡
1,9032,0223,925花咲郡歯舞村の内、志発島、多楽島、水晶島、勇留島、秋勇留島
3,7383,7817,519

一方昭和19年5月31日の実際の調査人口については同じ資料の欄外の「(参考) 昭和十九年五月三十一日現在調査人口」によると

男女計
934紗那郡紗那村
2,181択捉郡留別村
306蘂取郡蘂取村
未提出得撫郡
未提出新知郡
未提出占守郡
5,020花咲郡歯舞村の内、志発島、多楽島、水晶島、勇留島、秋勇留島

とあります。資料A『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」や資料D『昭和19年人口調査結果原表~昭和21年年次勤労統計調査結果原表 No.3』の「昭和19年人口調査 2月22日午前0時調査 全国府県郡市区町村別(男女ニヨリ別チタル人口)(213枚)」では、紗那郡紗那村934人、択捉郡留別村2,181人、蘂取郡蘂取村306人などがそれぞれ上の数字と一致しており、これらに関しては昭和19年5月31日付の調査人口をそのまま昭和19年人口調査人口として採用していることが分かりました。

一方資料D『昭和19年人口調査結果原表~昭和21年年次勤労統計調査結果原表 No.3』の「昭和19年人口調査 2月22日午前0時調査 全国府県郡市区町村別(男女ニヨリ別チタル人口)(213枚)」の補正後人口は3,266,958人であり、資料B『Population. Census statistics gathered from various prefectures. Report No. 53a(27)(a), USSBS Index Section 2』の「Populations of each prefecture of Japan proper (by urban and rural) 1935-1944 (都道府県別市部郡部別人口 昭和10年―昭和19年)」記載の人口と完全に一致していました。しかしながら、資料C『Population data (consisting of three envelopes): Quantitive and Qualitative Analysis of Tokyo Population Renewal. Report No. 14h(45), USSBS Index Section 2』の「第一表ノ二 昭和十九年人口調査トノ比較表 (都道府県別) Table 1 (2). Comparison with 1944 census (by prefectures [TO DO FU KEN])」よりも3,435人多い状況となりました。この数字は昭和19年5月31日付の紗那郡紗那村934人、択捉郡留別村2,181人、蘂取郡蘂取村306人の合計3,421人とほぼ等しく(14人の差がありますが、これはさらなる補正値として処理)、資料A『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」の数字は、国後、択捉両島の人口を欠落させていると考えられます。

一方で資料Dの花咲郡歯舞村の人口は2,783人となっており、どうみても歯舞群島の人口5,020人が含まれていません。

最終的に北海道開発調整部統計課編『第57回(昭和23年)北海道統計書』「第23 支庁町村別人口累年 昭和19年~22年」により解決しました。これによると

総数
7,8033,7604,043歯舞村
4,8482,4662,382泊村
2,5181,2571,261留夜別村
820395425色丹村
934457477紗那村
2,1811,1101,071留別村
306154152蘂取村
000得撫郡
1,8891,577312新知郡
000占守郡

歯舞村の人口7,803人と2,783人の差5,020人の人口は、昭和19年5月31日付の花咲郡歯舞村の内、志発島、多楽島、水晶島、勇留島、秋勇留島の人口5,020人と等しく、つまり歯舞群島の人口も欠落していたことが判明しました。また『昭和19年人口調査関係書類綴』の方では「未提出」とされていた得撫郡、新知郡、占守郡の人口も、上の北海道統計書により判明しました。よって昭和19年人口調査における北海道の人口は、一般に公的に採用されている3,256,157人に歯舞群島5,020人、国後島7,366人、択捉島3,421人、千島列島北部1,889人を加算した3,273,853人を採用すべきであるというのが私の主張です。

また東京都の人口についても資料A『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第1表 都道府県、市部郡部及び男女別人口」と資料C『Population data (consisting of three envelopes): Quantitive and Qualitative Analysis of Tokyo Population Renewal. Report No. 14h(45), USSBS Index Section 2』の「第一表ノ二 昭和十九年人口調査トノ比較表 (都道府県別) Table 1 (2). Comparison with 1944 census (by prefectures [TO DO FU KEN])」の間で544人の人口差があります。最初この差は小笠原支庁かと思いましたが、資料Aの脚注を注意深く見ると・・・八丈支庁の内、町村制導入前の八丈小島の鳥打村、宇津木村、および青ヶ島村、鳥島が資料Aの人口には含まれていないことが読みとれます。資料A『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」によると、宇津木村、青ヶ島島、鳥島の人口がそれぞれ64人、374人、0人(噴火により無人化)なので、結果として東京都八丈支庁鳥打村の人口が106人(ただし男女別人口不明)が判明するという結果が得られました。

一方小笠原支庁では昭和19年人口調査が行われなかったのでしょうか?どうやら昭和19年2月、昭和19年人口調査の実施予定の直前になって、陸軍によって小笠原全島疎開が命令されたことが原因で、昭和19年人口調査が実施されたかどうか曖昧な状況のようです。しかしながらより詳しく調べてみると、昭和19年3月に小笠原支庁調査なるものが実施されていることが以下の資料から分かります。調査内容も職業調査を含む昭和19年人口調査とほぼ同等であることから、これもほぼほぼ昭和19年人口調査の一部とみなしてよいでしょう。よって、昭和19年人口調査における東京都の人口は、一般に公的に採用されている7,271,001人に八丈支庁の内鳥打村、宇津木村、青ヶ島村、鳥島の合計544人、小笠原支庁7,711人を加算した7,279,256人を採用すべきであるというのが私の主張です。

・東京都総務局行政部地方課『小笠原諸島概況』(1967年)

村島
1,9711,2953,266大村
6414411,082扇村袋沢村
2,6121,7364,348父島計
1,9711,2953,266沖島
6414411,082北村
1,1749352,109母島計
6295351,164硫黄島村
484290北硫黄島
000南硫黄島
4,4633,2487,711小笠原支庁合計

結局のところ、現時点で東京都青梅市、府中市、昭島市、町田町、伊豆群島の各町村の当時の区域での人口の情報は得られていないままです。また市部人口と郡部人口を足しても、『昭和19年人口調査 集計結果摘要』第1表掲載の都道府県別人口と一致しない都道府県が多数残されたままです。

補正後の結果都道府県
完全に市区町村別人口が判明した都道府県庁岩手県、秋田県、山形県、茨城県、群馬県、富山県、石川県、山梨県、滋賀県、奈良県、鳥取県、愛媛県、高知県、佐賀県、熊本県、大分県、鹿児島県、沖縄県、樺太庁
市区町村に分配できない人口が100人未満存在する都道府県庁北海道庁、福島県、神奈川県、福井県、長野県、岐阜県、島根県、岡山県、山口県(郡内に不明)、香川県、宮崎県(郡内に不明)
市区町村に分配できない人口が100~999人存在する都道府県庁栃木県、新潟県、静岡県、愛知県、三重県(郡内に不明)、京都府(郡内に不明)、和歌山県、徳島県、長崎県
市区町村に分配できない人口が1000~9999人存在する都道府県庁青森県、宮城県、埼玉県(郡内に不明)、千葉県、兵庫県、福岡県
市区町村に分配できない人口が1万人以上存在する都道府県庁東京都、大阪府、広島県

今後とも調査を継続していくつもりですが、例えば東京都公文書館で当時の人口資料を調べてみましたが、予想外に閲覧不可の資料が多いという状況です。

まあ『第五十三回 警視庁統計書 昭和十八年』および『第五十四回 警視庁統計書 昭和十九年』に掲載の、昭和18年末と昭和19年末の警察署調査現住人口がありますので、一応推計人口ぐらいは出せます。

以下の表の推計人口1は、昭和18年末の警察署調査現住人口で按分した昭和19年2月22日推計人口、推計人口2はは昭和18年12月31日24時と昭和19年12月31日24時との昭和19年2月22日午前0時に対する時間差(52日/366日と314日/366日)を考慮した上で按分した昭和19年2月22日推計人口(合計が一致しない場合は四捨五入を調整)です。

市町村昭和19年2月22日
人口調査
昭和18年12月31日
警察署調査現住人口
昭和19年12月31日
警察署調査現住人口
昭和19年2月22日
推計人口1
昭和19年2月22日
推計人口2
西多摩郡[青梅市(1955年)]26,92727,12829,42126,92726,927
西多摩郡青梅町12,02412,35011,93511,839
西多摩郡霞村7,5188,1647,4627,464
西多摩郡調布村7,5868,9077,5307,624
南多摩郡[町田町(1955年)]19,48119,35322,33719,48119,481
南多摩郡町田町14,12915,81614,22214,154
南多摩郡南村5,2246,5215,2595,327
北多摩郡[府中市(1955年)]30,00332,70233,40530,00330,003
北多摩郡府中町21,83922,04520,03620,002
北多摩郡西府村3,3463,5333,0703,085
北多摩郡多磨村7,5177,8276,8976,916
北多摩郡[昭島市(1955年)]21,08824,11825,07221,08821,088
北多摩郡昭和町19,14119,54116,73616,692
北多摩郡拝島村4,9775,5314,3524,396
大島支庁[新島本村(1955年)]4,2194,4524,3864,2194,219
大島支庁新島本村3,9463,8683,7393,737
大島支庁新島若郷村506518480482
三宅支庁[三宅村(1955年)]2,6152,7713,4032,6152,615
三宅支庁三宅島神着村1,1911,3161,1241,105
三宅支庁三宅島伊豆村8501,235802827
三宅支庁三宅島伊ヶ谷村730852689683
八丈支庁[八丈村(1955年)]
(八丈支庁八丈小島鳥打村106人を除く)
6,3476,3405,2456,3476,347
八丈支庁八丈島三根村3,3272,4823,3313,291
八丈支庁八丈島樫立村815772816830
八丈支庁八丈島中之郷村1,2481,2121,2491,276
八丈支庁八丈島末吉村950779951950
[111863] 2024年 8月 6日(火)12:11:29YT さん
昭和19年人口調査に関する新規の知見2
次に郡部の人口ですが、すべてを掲載するのは無理なので、補正のあった箇所のみをまとめます。資料は以下の通りです。

・資料A:『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第1表 都道府県、市部郡部及び男女別人口」と「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」
・資料B:『Population. Census statistics gathered from various prefectures. Report No. 53a(27)(a), USSBS Index Section 2』の「Populations of each prefecture of Japan proper (by urban and rural) 1935-1944 (都道府県別市部郡部別人口 昭和10年―昭和19年)
・資料D:『昭和19年人口調査結果原表~昭和21年年次勤労統計調査結果原表 No.3』の「昭和19年人口調査 2月22日午前0時調査 全国府県郡市区町村別(男女ニヨリ別チタル人口)(213枚)」

(開く)昭和19年2月22日人口調査における補正前/補正後郡町村別人口

後述する北海道庁と東京都以外、概ね資料B掲載の郡部の補正後人口と資料Dの補正後人口が一致しているので、資料Dの補正後人口(東京都に関しては資料Bの補正後人口)をそのまま郡部の人口として採用します。北海道庁、東京都の備考については、次の投稿で詳しく記述します。
[111862] 2024年 8月 6日(火)12:09:51YT さん
昭和19年人口調査に関する新規の知見1
[82202] 昭和19年人口調査の結果摘要の問題点
[85612] 昭和19年の人口調査における東京都の区部の人口
[85700] 昭和19年~昭和20年の東京都区部の人口
[98110] 昭和19年2月22日における、樺太庁の銃後の市町村別現在人口
[99132] 1944年2月22日人口調査における市部人口について新たな資料

昭和19年人口調査について、色々問題点があることをこれまで指摘してきました。そして今回、[98110] でも言及した、総務省統計局図書館所蔵の『昭和19年人口調査結果原表~昭和21年年次勤労統計調査結果原表 No.3』(DVD-ROM版)の「昭和19年人口調査 2月22日午前0時調査 全国府県郡市区町村別(男女ニヨリ別チタル人口)(213枚)」を用いることで、ある程度「報告もれ等を補正した人口」について知見が得られたので、今回以下のサイトに、現時点で分かっている知見をまとめたエクセルファイルをアップロードしました。

昭和19年(1944年)2月22日調市区町村別人口 Ver.0.6
https://u6.getuploader.com/SR1gou/download/943

まず、昭和19年人口調査の結果は、現時点で以下の2冊が公的に出版されている資料です。

・総理府統計局『昭和15年国勢調査 昭和19年人口調査 昭和20年人口調査,昭和21年人口調査 結果報告摘要』(1949年)
・総理府統計局『昭和19年人口調査 集計結果摘要』(1977年)

この内、『昭和15年国勢調査 昭和19年人口調査 昭和20年人口調査,昭和21年人口調査 結果報告摘要』の方は都道府県レベルのデータに留まり、『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の方に市区町村別人口が掲載されています。国立国会図書館の送信サービスが始まった当初、両方ともオンラインで読むことができたはずなのですが、残念ながら現在は、『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の方は国立国会図書館内限定に閲覧サービスが変更になってしまっています。

さて、『昭和19年人口調査 集計結果摘要』には

・第1表 都道府県、市部郡部及び男女別人口
・第2表 都道府県、市町村及び男女別人口

の二つの表が含まれていますが、第1表と第2表では都道府県別人口が異なります([82202]参照)。

第2表の人口は,報告もれ等の人口の補正前の人口である。

とのことですが、第2表の欄外には一部の市町村について「報告もれ等を補正した人口」が掲載されています。しかしながらその数値は百や千の桁で四捨五入されてしまっています。さらに東京都の人口については、昭和30年頃の境界によって人口が集計されてしまっています([85612]参照)。

2019年に総務省統計局図書館にて以下の資料に出会い、その結果樺太の市町村別人口の情報を新たに得ることに成功しました。また多くの市町村について報告もれ等の人口についての情報が掲載されていることも確認しました。しかしながら肝心の東京都の市区町村別人口部分が欠落していることも確認しました([98110]参照)。つまり『昭和19年人口調査 集計結果摘要』出版時点で、東京都の市区町村別人口に関して統計局で原表がすでに紛失してしまっていたと推察されました。

・総務省統計局『昭和19年人口調査結果原表~昭和21年年次勤労統計調査結果原表 No.3』(DVD-ROM版) (2014年)

東京都に関しては、以下の資料を基に第2表の数値を補ったようです。

・東京都総務局統計部『東京都の人口に関する統計資料 昭和30年3月』(1955年)

一方国会図書館所蔵の日本占領関係資料を調べたところ、以下の二つの資料に突き当たりました。この内2番目の資料に関しては、国立国会図書館内限定の閲覧サービスですので、オンラインで自宅で確認することはできません。

・『Population. Census statistics gathered from various prefectures. Report No. 53a(27)(a), USSBS Index Section 2
・『Population data (consisting of three envelopes): Quantitive and Qualitative Analysis of Tokyo Population Renewal. Report No. 14h(45), USSBS Index Section 2

以上より、集計値の異なる資料がおおね3系統存在すると推察されます。まず『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の第2表収録の表が作成された後、「人口もれ等」の補正が次に実施され(『昭和19年人口調査結果原表』の書き込み)、最終的に『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の第1表の人口に修正されたと推測されます。またこれらの人口の補正について、[99132] では

空襲等により一部集計結果が焼失してしまったことに対する補正

などと考察しておりましたが、補正地域が監獄や軍関連施設のある市町村などに偏っている感じがするので、主に以下の別集計に係るものと思われます。

なお,①宮城,離宮,皇族の殿邸その他これに準ずべき所 ②外国の大・公使館及び軍艦 ③監獄,矯正院及び予防拘禁所などの特別調査区については,関係主務省において別途調査された。

昭和19年人口調査原表の方には、『昭和19年人口調査 集計結果摘要』に収録されていない情報が残っており、改めて昭和19年人口調査原表を精査することで、市区町村レベルでの補正人口を精査しました。

まず市と市部人口について、既に[99132]の方で一回まとめていますが、改めて以下にまとめ直します。資料は以下の通りです。

・資料A:『昭和19年人口調査 集計結果摘要』の「第1表 都道府県、市部郡部及び男女別人口」と「第2表 都道府県、市町村及び男女別人口」
・資料B:『Population. Census statistics gathered from various prefectures. Report No. 53a(27)(a), USSBS Index Section 2』の「Populations of Cities on Feb. 22, 1944
・資料C:『Population data (consisting of three envelopes): Quantitive and Qualitative Analysis of Tokyo Population Renewal. Report No. 14h(45), USSBS Index Section 2』の「第二表ノ二 昭和十九年人口調査トノ比較表 (市区別) Table 2 (2). Comparison with 1944 census (by municipal districts)」
・資料D:『昭和19年人口調査結果原表~昭和21年年次勤労統計調査結果原表 No.3』の「昭和19年人口調査 2月22日午前0時調査 全国府県郡市区町村別(男女ニヨリ別チタル人口)(213枚)」

(開く)昭和19年2月22日人口調査における補正前/補正後市区別人口

資料Bに書き込まれている補正後人口は資料Cの補正後人口と概ね一致していますが、埼玉県熊谷市と岐阜県大垣市に補正後人口の違いがあります。資料Cでは両市に関して資料Bの補正後人口を斜線で消したうえで新たな修正後人口を記入しています。

資料Dに書き込まれている補正後人口は資料Cの補正後人口と概ね一致ししますが、神奈川県横浜市、愛知県名古屋市、大阪府大阪市などの補正後人口は資料Cと異なります。また資料Cでは区の人口については補正前の人口をそのまま載せてしまっていますが、資料Dでは区にも補正人口の書き込みがあります。

最終的に資料Dの補正人口を採用しましたが、東京都の情報は欠落しています。東京都に関しては、資料Bや資料Cの補正後人口、補正前人口を採用し、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市に関しては郡部の人口として扱います。


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