同名の市というのは、読み方に関わらず書いた場合に同一である場合であり、読みが同じでも書き方が違えば問題ありません。以下に、書き方も読み方もまったく同じ市、書き方は違うが読み方が同じ市、さらに書き方や読み方が似ている市を列挙します。背景が
灰色のデータは過去に存在した例です。
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日本には府中市って2つあることは、かなり有名だから皆さんご存知ではないかと思います。府中市ってどこにあると聞かれれば、東京近辺に住んでいる人ならきっと東京都の府中市と答えるでしょう。京王線府中駅ってのもありますから。もう一つの府中市は広島県にあります。また、鹿島アントラーズで有名な茨城県鹿島町が大野村と合併して1995年(平成7年)9月1日に市制施行するときに、すでに佐賀県に鹿島市があったにも関わらず、鹿島市の市名にできないかと自治省に掛け合った話は有名です。結局、鹿嶋市と読みは同じでも漢字を変えて市制施行しました。
このように一般的には同一の市の名前はできないはずですが、府中市の場合には、市制施行時期がほとんど同じであったため、自治省でも両自治体の申請を調整しきれなかったためのようです。ちなみに、広島県の府中市が1954年(昭和29年)3月31日市制施行、東京都の府中市が同年4月1日市制施行でわずか1日違いです。実はこの1日違いにも両自治体の駆け引きがあったようです。広島県には、府中市に加えて広島市のすぐ東側に府中町があり、さらに混乱してしまいます。
前の雑学でも書きましたが、1970年(昭和45年)3月の自治事務次官通知(昭和45年3月12日自治振第32号)により、「市の設置若しくは町を市とする処分を行う場合において、当該処分により新たに市となる普通地方公共団体の名称については、既存の市の名称と同一となり、又は類似することとならないよう十分配慮すること。」とされましたが、その後、2000年(平成12年)4月1日施行の地方自治法改正において、先の自治省通知自体には拘束力がないことが明確にされました(
[22583][82018]参照)。そして、2つの府中市の誕生から半世紀を経て、北海道の伊達市に続いて福島県に2番目の伊達市が2006年(平成18年)1月1日に誕生しました。福島県伊達市の合併協議会でも当初は同一名称は検討対象から外していたのですが、伊達市を希望する住民の声が高く、総務省や北海道伊達市と調整して、同一名の伊達市の実現に至ったようです。
ところで、沖縄県宮古島全体が2005年(平成17年)10月1日に合併し宮古島市となりましたが、合併協議の過程で一時、岩手県の宮古市と同名の市名を採用しかけたのですが、結局、宮古島市に落着し同名は回避されています。なお、
次の雑学で詳しく紹介する市制施行日にだけ存在した市にも、同一市名(同名同音・異名同音)の例が多数あります。
同一市名については同時期に限らなければさらに例が出てきます。まず、北九州市に新設合併された福岡県八幡市は消滅しましたが、その後京都府に八幡市が誕生しています。14年ぶりの八幡市の復活ですが読みが違います。また、愛知県には名古屋市に編入され守山区となった守山市がありました。その後に滋賀県に守山市が誕生しています。こちらは読みも同じです。以下、時間の流れに沿って八幡市と守山市のの変遷をまとめてみました。なお、八幡浜市など「八幡」関連の市についてもあわせて提示します。